本山よろず屋本舗さんのサイトより
http://homepage2.nifty.com/motoyama/index.htm
ホームレスの言葉を最近聞かなくなりましたが、からくりがわかりました。
<転載開始>
 今でもよく憶えているのですが、今から数十年も前の私が中学生の頃、一億総中流と言われ始めました。
 その言葉を聞いて、私は我が家は中流なのか、それとも下流なのかと考えたことをよく憶えています。
 今の日本は何と言われているでしょうか。
 一億総中流だった層のほとんどが沈んでしまいました。巷では、1%と99%と言われるようになっています。

 アルバイトで細々と生計を立てている今の私は、おそらく貧困層に入るのだろうと思います。
 しかし家族がいない気楽さで、私はビンボーをあまり苦と感じていませんでした。それゆえ、自分が貧困層だという自覚がなかったことに気づきました。

 今回は、『「闇の支配者」最後の日々』(ベンジャミン・フルフォード著、KKベストセラーズ)から抜粋して紹介したいと思います。
 バブル崩壊後の日本が、失われた20年を過ごしてきたことは誰でも知っています。日本が貧困化してきたことは、こうした20年以上も続いた経済の不調がもたらしたものだと思ってしまいます。
 しかし『「闇の支配者」最後の日々』でのベンジャミン氏の主張は、日本人は政府によって、意図的に貧困化させられたというのです。
 単純に貧困は経済の不調のせいだと思い込んでいた私は、考え込んでしまいました。

 まず数字で、日本の貧困化の度合いを見てみたいと思います。
 ・・・<『「闇の支配者」最後の日々』、p180~p184から抜粋開始>・・・

 日本人の3割近い世帯がすでに貧困層

 2016年3月、ホリエモン(堀江貴文)の発言が話題となった。
 あのネオリベ(ネオリベラル/新自由主義)の権化のような男が「日本は格差社会によって貧困化している」と認めているのだ。アベノミクスを完全否定していると言っていい。
 どんな発言をしているのかと言えば、「今の20歳の地方在住の社会人女子の生活水準は、タイ・バンコクの同年代の女性と大差ない」、「日本の非正規雇用の中高年はタイ・シンガポール・インドネシアの一般レベルより貧しい」という内容だ。出所後、世界各地を旅行した実感らしいが、あながち間違いではあるまい。昨今の中国人観光客の爆買いについても「日本の一般庶民の購買力が弱まった結果、日本で売っている商品やサービスが異常なレベルで安くなってしまい、中国人から見てもビックリするほど安いから買いまくっている。日本人が『高い』と言って買わない商品をアジア人は『安すぎる』と思っている」と指摘。日本とアジア各国では購買力の逆転現象が起きているという認識は正しい。
 IMFの「World Economic Outlook Databases 2015年10月版」によれば、2014年度の1人当たりの名目GDP(USドル)ランキングで日本は27位の3万6221.81USドル(約380万円)。アメリカは11位の5万4369.83USドルと大きく引き離されている。
 20年前、バブル崩壊後の1995年は3位、1990年から2001年まで日本は常にトップ5に入っていた。世界でも屈指の豊かな国だったのだ。小泉純一郎政権が発足後、ものすごい勢いで下落していった。歴代政権がパパ・ブッシュ、つまり、ナチス勢力にせっせと日本の富を差し出すようになった何よりの証拠であろう。
 しかも実態はさらに悪いと言わざるを得ない。1人当たりの名目GDPは、実は国の豊かさを示しても国民の豊かさを意味しているわけではない。これまでも述べてきたように、わずか1%に99%の富が集中している以上、多くの国民は、統計データ以下の生活を余儀なくされている。
 2016年1月に発表された労働組合「連合」の調査によれば、非正規労働者2000万人のうち、7割が年収200万円以下であった。驚くのは年収100万円未満が38.4%と全体の4割近くに達していることだろう。主稼得者(しゅかとくしゃ)(世帯で仕事をしている人)の世帯で見ても非正規雇用の男性37.5%、女性48.9%が「ワーキングプア(年収200万円以下の貧困層)」なのだ。こうした非正規雇用は、2016年、全労働者数の4割を突破している。つまり、日本人の3割近い世帯がすでに貧困層という計算になるのだ。
 年収200万円あれば中進国や途上国ならば十分、暮らしていけよう。しかし物価の高い先進国では、厳しい生活を余儀なくされる。先進国でそれなりの収入を得るには高度な教育が必要だ。その教育には高いコストがかかる。その結果、いったん貧困層に陥った世帯は貧困が固定化して抜け出せなくなる。先進国のメリットは充実した福祉制度だが、それも国家財政が厳しくなるなかで、どんどん、切り捨てられている。貧困問題で言うならば途上国より、先進国の貧困層のほうが悲惨になりやすいのだ。
 ホリエモンが指摘するように中進国でそれなりに収入を得ている人のほうが、先進国で貧困に陥っている人より、生活が豊かになっている。日本に観光に来る中国人やアジア各国の人たちは、普通の日本人と同等か、より豊かな生活をしている。
 これは日本に限ったことではない。先進国に住んでいる人の相当数が、すでに貧困化して中進国の人よりも貧しくなっている。ところが、日本を含む先進国の人々は、その「現実」を認めたくない。自分たちが没落していることを受け入れられないのだ。だから何かあれば中国の悪口を言い、ロシアやブラジル、インドの社会問題を取り上げて、自分たちの価値観で文句をつける。そうして溜飲を下げてプライドを守っているのだろう。これまで通り、先進国の立場を維持したいがゆえに、変化や変革を望まなくなっているのだ。
 その結果、BRICSなどの台頭で新しい時代の枠組みを作る動きに、とにかく反対してしまう。そこを国際ハザールマフィアたちにつけ込まれて、結果的にマフィアどもの延命を手助けしている。自分たちを苦しめる敵を味方と信じているのだ。
 今の先進国の人々の多くは「茄(ゆ)でガエル」になっている。水のなかにいるカエルをゆっくり温めていくと、熱湯になるまで気づかない。それと同様、自分たちがマフィアたちに茄(ゆ)でられていることに気づかず、危険な道を突き進もうとしている。
 日本人は現実をきちんと理解して向き合うべきだろう。
 安倍政権発足後、アベノミクスのかけ声をよそに、日本の貧困率は急上昇している。それにもかかわらず貧困問題がクローズアップされることは少ない。逆にあたかも景気が回復しているかのようなプロパガンダを信じている人も多い。
 確かに街に行けば、一見景気が回復したように感じる。街はこぎれいになり、デパートは人で賑(にぎ)わっている。それは中国人などの観光客が増えたことと、もう一つ、忘れてならないのは、街からホームレスがすっかり消えたからなのだ。貧しい人が目の前から見えなくなり、景気のいい人が遊んでいれば、なんとなく豊かになった気がする。あくまでも「気がする」だけであり、実態は違う。見えないところで、かつてないほど悲惨な状況が生まれつつあるのだ。
 日本の貧困は非常に見えにくい。国民性もあるのだろうが、貧困になった人は「自分が悪い」と自罰(じばつ)的になって声を上げず、周囲も「自業自得(じごうじとく)」「怠け者」と切り捨てる傾向が強い。確かに戦後、社会がリセットされて、努力すれば誰でも豊かになれた。しかし、現在は違う。政府が構造的に貧困層をつくっている。いや、ハザールマフィアに貢(みつ)ぐために日本人を貧困化して、その金を奪っているのだ。貧困になった人は犠牲者であり、まだ貧困になっていない人も、いつ自分がそうなるかもしれない危険な状況を理解していない。
 2016年7月には参院選がある。それまでに、一人でも多くの日本人に、現実を伝えたいと思っている。

 ・・・<抜粋終了>・・・


 では具体的に、貧困がどのように進んでいるか見てみましょう。
 ベンジャミン氏は、AV嬢というとてもユニークな切り口をしています。そこから若者が奨学金で借金奴隷になっている実態を紹介しています。


 ・・・<『「闇の支配者」最後の日々』、p191~p196から抜粋開始>・・・

 貧困風俗嫌の陰に奨学金「借金奴隷」

 実は日本の貧困を計るわかりやすいバロメーターがある。
 AV女優のルックス、である。AV女優のルックスがよければよいほど、その国の景気は悪い。景気と風俗嬢のルックスは反比例するのだ。
 別に変な話ではない。風俗で働くのはお金が必要だからだ。景気がよければ、風俗でなくとも稼げる。男に貢がせるなり、お金持ちと結婚もできよう。逆に景気がいいときは、「かわいくない」風俗嬢でもたくさん稼げる。
 さて、この視点で日本の風俗産業を見てほしい。女性アイドルとAV女優のルックスに差はない。アイドルはルックスよりもキャラクターが重要なこともあってか美人度合いで言えばAV女優のほうが上というのがもっぱらだろう。
 で、アイドルやモデル顔負けのAV女優や風俗嬢の儲けはどうか。
 これは私も聞いて本当に驚いたのだが、いま、それなりにかわいい風俗嬢でもフルタイム働いて月20万円稼ぐのが精一杯で、コンビニやファミリーレストランでバイトしないと生活できないという。コンビニのバイトだけでは生活できないので風俗でも働いているのではなく、風俗だけでは食えないためにコンビニでバイトしているのだ。
 それで調べたところ理由があった。
 2006年、風営法(風俗営業法)が大幅改正とり、店舗型は原則禁止となった。新規店はすべてデリバリーヘルス(派遣型)に切り替わったらしい。デリヘルは都内全域に女性を車で配送する。それで移動などに時間がかかってフルタイムでも数人しか相手をできないらしい。店舗型ならば待機料も支払われるが、デリヘルの場合、自宅待機でギャラはゼロ。デリヘルの相場は一時間1万円で女性の取り分は半分の5000円を切る。月20日働いても30万円を稼げないのだ。
 しかも風俗を希望する女性はたくさんいて過当競争になる一方、肝心の男性客は減っている。それで風俗産業自体がデフレになって「それなりにかわいい程度」だとバイトしなければ、やっていけなくなっているらしいのだ。
 日本の風俗嬢は35万人。この数字自体は1960年代から変化はないが、2006年以降、ごく普通の女性の割合が増えている。
 これにも理由がある。
 その一つが大学の奨学金制度の「改悪」の影響なのだ。あえて風俗の話をしたのは。この大学の奨学金制度の実態を知ってほしかったからだ。
 2001年、小泉政権下で未納問題があった育英会の奨学金制度を廃止して公金を貸し付ける「学生支援機構」に移管した。それで多くの学生が400万円から800万円の「借金」を抱えて社会人になるようになった。それ以前、育英の時代3割前後だった受給率が4割を突破したのが2006年であり、最初の受給者の返済もこの年から始まる。だから風俗嬢が増えて、風俗に行く男性客が減っていたのだ。
 育英会の奨学金は学費免除の給付型や返済免除項目もたくさんあった。それだけに審査条件が厳しく2割程度しか受給できなかった。だから親の世代は奨学金を「借金」とは考えず、子供が奨学金で進学したいと言えば賛成する。ところが学生支援機構の奨学金は、年金などの公金を貸し付ける「借金」であり、税金と同じ扱いとなる。つまり、公権力が取り立てるのだ。新入社員になったばかりで国家に800万円の借金をした現実に気づけば、風俗で働くしかないと選択する人がいても、また風俗に行かなくなる人がいても当然であろう。
 女性に関心のない男性を「草食系」と呼ぶが、その言葉が生まれたのが2006年。そして第1次安倍政権が発足した年でもある。これは偶然か。
 2015年以降、奨学金受給者は5割に達した。公権力で強制徴収できる強みなのだろう。消費者金融よりも簡単に何百万円を貸してくれる。こうして「奨学金で大学に行って勉強しよう」という真面目で優秀な学生の多くが借金漬けの「奴隷」となっている。年収300万円程度の若い世代にすれば、奨学金返済は税金と一緒なのだから収入の半分が税金という「五公五民」の状態となる。今の若い世代に「ネトウヨ」と呼ばれる、他国や他民族に攻撃的な発言をする人が多いのは、外国人排斥をそうした不満のはけ口にしているからなのかもしれない。
 奨学金という名の「国家のヤミ金」で借金漬けにされた学生たちは、どうなるのか。その答えはアメリカにある。
 アメリカも大学の学費が高すぎて奨学金で借金漬けになる学生が多い。その返済免除になるのが軍隊なのだ。貧しい家庭の場合、まず軍に入って給付型の奨学金を得て大学に進学する。こうしてアメリカ軍は人材を確保している。間違いなく日本も追従するはずだ。
 自衛隊入隊を返済免除条件にするだけではない。目的は軍属の確保であろう。
 軍隊を外国で大規模に展開するには兵士より、輸送や基地の運営といった業務ができるスタツフが必要となる。これを軍属というが、自衛隊は国内での活動に限定していたために軍属の数が他の国の軍隊に比べて圧倒的に少ない。それで海外派遣に限界があった。ところが、今や何十万人という大卒の「借金奴隷」がいるのだ。自衛隊をイラクに派兵するとき、現地基地までの輸送や基地内業務をすれば返済を免責すると言えば、人員はいくらでも集まる。奨学金の借金奴隷を使えば、自衛隊を海外派兵のできる軍にすることは簡単なのだ。
 いずれにせよ、数十万人の大卒者が国家の「借金奴隷」となっている。もし、日本に極右の軍事政権ができるとすれば、間違いなく、その先兵となるのは、彼ら「借金奴隷」である。すでに日本を軍事国家にする下準備は終わっている。
 この現実を知っておいてほしいのだ。

 ・・・<抜粋終了>・・・


 私は、堤未果(つつみみか)氏の著作から、アメリカの学生が高騰する学費で借金奴隷となっていて、それがアメリカ軍が軍属を確保する手段になっている実態は知っていました。
 いずれ日本のそうなるかもしれないと思っていたのですが、実態は私の認識よりずっと進んでいて、すでに日本の若者は借金奴隷になっていたようです。
 では次に、悲惨極まる介護の現場の話を紹介します。


 ・・・<『「闇の支配者」最後の日々』、p199~p204から抜粋開始>・・・

 介護制度は合法的「高齢者処分システム」

 もう一つ、現代のアウシュヴィッツとなっているのが介護の現場であろう。組織的に老人を「間引く」システムになっているからである。
 まさか、と思う人もいるだろう。残念ながら事実なのだ。昨今、ニュースになっているような単に人手不足とか、過酷な労働現場、給料が安いのが問題ではない。介護制度を通じて効率よく高齢者を「間引いて」、それで浮いた予算を国際ハザールマフィアに貢いでいるのが、介護問題最大のタブーなのだ。
 日本の介護制度は、本来、非常によくできていた。1997年の草案なので、国際ハザールマフィアの影響が少なく、本当に高齢者と日本の未来のために官僚たちが知恵を絞って作った制度なのだ。実際、介護保険を導入すれば、年金と合わせて個人でも最低限度の介護が受けられる。超高齢化社会への対策としては、まずまずの完成度であったのだ。
 1997年から一部自治体で実験したところ、長生きする老人が急増した。老人介護のポイントは骨折だ。70歳を過ぎたお年寄りの場合、骨折すると回復せず、寝たきりになりやすい。骨折から数年でだいたい亡くなる。自宅介護では、痴呆もそうだが、この骨折が防げないのだ。きちんとした介護施設を誰でも利用できるようになれば骨折が減って「長生き」する。つまり、介護保険制度が正しく機能すれば、医療費や福祉の負担が増大することが分かったのだ。
 普通ならば保険料の値上げや医療費の削減方法を検討する。
 ところが、ここで天下の売国奴・小泉政権が発足。日本の金をナチスに貢ぐために作られた政権だけに、真っ先に、この介護制度がターゲットになった。予算ばかり使い、働かない老人たちは「ナチス」にすれば害でしかない。手っ取り早く殺して、その浮いた金を寄こせと要求したのだろう。そうして介護保険制度は、「どうすれば確実に老人たちを早死にさせるか」という観点で制度が見直されていくことになる。
 小泉政権下、介護制度は全面施行となる。それに合わせて、一億総中流だった日本社会は突如、「勝ち組」「負け組」という言葉で、中流から下がった「下流層」が激増する。生活がギリギリの人が増えれば、残念ながら自分の親でも「そこまで長生き」してほしいとは思わなくなる。早死にするような悪質な介護施設のほうがありがたい、となってしまう。そこまで追い詰められていない人も介護保険料の値上げには反対の声を上げ、保険点数の削減に諸手を挙げて賛成するようになる。
 保険点数の削減は介護施設の収入減となる。当然、職員の給料も下がる。介護職は命を預かっている。生活できるだけの給料があれば真面目な職員も自然と集まり、スタッフの質はすぐに向上する。そこで保険点数の大幅ダウンなのだ。まともに働いても生活できない給与水準となれば、介護職を希望する能力の高いスタッフは、やりたくてもできなくなる。
 実際、介護施設の職員の多くは非正規雇用の派遣社員で、1カ月働いても給料は月に15万円程度。ダブルワークもできないので、職員の多くは「自宅通勤」が前提となる。自宅から通うのが条件で過酷な介護職を希望する人は、ほとんどいない。
 そこで政府はリーマンショック後の2009年、麻生太郎政権時、不況対策として介護を中核事業に指定した(重点分野創業事業)。これで介護職の施策が緩和、さらに採用した事業者に補助金が入るようした。それでも給料は月15万円なのだ。リーマンショックの不況で職を失った人だろうが、介護職を選ぶことはない。
 その結果、やってきた大半の職員は、いわゆる「ニート」となった。逆に言えば介護職を希望するのは、長年、自宅で引きこもり、30代、40代になったニートしかいなかった。いや、ニートを掻(か)き集めるのが目的だった、そう指摘するのはジャーナリストの中村淳彦(あつひこ)氏である。彼は2008年、ジャーナリストを辞めて介護施設の経営者に転身した人物で、あまりにも酷(ひど)い実態を告発した『崩壊する介護現場』(ベスト新書、2013年)を執筆、ジャーナリストに復帰した。
 編集部からの資料に彼の生々しいインタビューがあった。職員はコンビニのバイトすらできない能力で、人間性も劣悪。そんなスタッフしか集まらず、崩壊する介護の現場の苦悩が綴(つづ)られている。一部、引用しよう。


 「これで『まともな介護ができるのか』と疑問に持つ人もいよう。
 もちろん、できない。できるはずもない。
 それでも施設が回るのは、顧客自体が親を捨てているからだ。介護施設の大半は「21世紀の姥(うば)捨て山」であって、むしろ、酷い介護によって早く死んでほしいと願っているのが実情なのだ。ゆえに底辺と中年童貞が蠢(うごめ)く最低の介護施設は、ある意味、最高の施設となる。
 いや、昨今の政府の政策を見ていると、介護システムそのものを「合法的な高齢者処分場」に仕立てようとしているとしか思えなくなってくる。そうして高齢者の医療負担を減らす、そんな国家ぐるみの「陰謀」と疑いたくなるのが介護の現場なのである。
 金持ちは質の高い施設を利用している。間違っても私が経営していたような介護施設にはこない。介護の仕事で「普通に生活できる」収入があれば、介護の質は上がり、高齢者の寿命は延びることだろう。それでは自治体と政府の福祉負担の増大を意味する。
 だからこそピンボー人たちを長生きさせないよう介護制度を設計し直したのだろう。
 親を捨てたい家族が増えるのは貧困が原因であり、職に就けない「底辺」たちを介護業界に集めるのもまた貧困である。貧困は介護という地獄の釜の蓋を開け、その釜に叩き落とされるのもまた「貧困者」なのである……。」
     (『実録!超ド貧乏 ヤバすぎる最底辺の生現場』宝島社、2016年、より)


 中村淳彦氏は、一点、間違っている。介護システムそのものを「合法的な高齢者処分場」に仕立てようとしているとしか思えない、ではない。仕立てているのだ。国家ぐるみの「謀略」なのである。
 介護は3世代の家族関係がなければ成立しない。70代の老人でいえば息子、娘が子育ての一段落した50代。孫が学校を出て20代、30代で働き出していれば小市民でもきちんとした介護を行えるのだ。
 ところが今の50代は保険料の負担などでアップアップ、孫の世代は、先にも述べた「奨学金」でローン地獄にはまり、生活がギリギリで支えたくても支えられなくなっている。とくに50代は、年金も、本当にもらえるのかわからないために「自衛」する意識が高まっている。こうして親を見捨てる人を増やし、結果的に福祉予算と医療費の削減に成功し、その浮いた分を株式市場へと流して国際ハザールマフィアに貢いでいる。
 本当に酷い話であろう。繰り返すが、これが、いまの日本の現状なのだ。それでいて、どうして安倍政権を支持できるのか、私は不思議でならない。

 ・・・<抜粋終了>・・・


 実は私の知り合いに定年退職後、介護の仕事に就いた人がいます。
 彼に介護の仕事の報酬を聞いて驚きました。介護の仕事は腰を悪くする人が多く、重労働です。その割に賃金の額が少ないのです。これでは介護の仕事に就くインセンティブがなくなってしまうと感じました。
 私は、どうして政府は介護に仕事に就く人々の給料を上げないのだろうと不思議だったのですが、ベンジャミン氏が言うように、意図的に上げないという説には説得力があります。
 では最後に、都会で、(以前は多く見かけたのに)すっかり見なくなったホームレスの話題を紹介したいと思います。


 ・・・<『「闇の支配者」最後の日々』、p190~p199から抜粋開始>・・・

 東京の街からホームレスが消えた

 今の日本は、ものすごい勢いで貧困層が増えている。
 だが、日本の貧困は見えにくいために気づかない人も多い。実際、あれほどいたホームレスが街から消えた。もちろん景気が回復したからではない。バブル時代だってホームレスは東京駅や新宿駅にいた。2000年代まで新宿駅から東京都庁までの地下道には、何十人という数のホームレスが「住んでいた」。いつもいるホームレスの顔を覚えていたぐらいだ。ちょっとした公園ならばブルーテントがあった。花見で有名な上野公園など100人単位のホームレスがいた。電車で古雑誌を拾って駅前で売っている人もたくさんいたものだ。
 しかし、今、東京でホームレスを見かけることはない。昨今、日本に観光に来る外国人のなかには「日本にはホームレスがいない」と真顔で語る人もいるぐらいだ。
 では、彼らはどこにいったのか?
 気になって調べたところ、ホームレスを連れて行けば「一人当たり5万円」の報奨金で収容所に集めて、目立つ場所から消していたのだ。
 人々の目の前からいなくなったからといって「貧困」問題が解決するわけではない。どんなに隠そうとしても必ずポロが出る。

 ・・・(中略)・・・

 先に街からホームレスが消えた、と書いた。では、彼らはどこに行ったのか。ホームレスを収容する「無料宿泊施設」の大半は、ヤクザのフロント企業が運営している。生活保護を受給させるなどして貧しい人から搾(しぼ)り取る貧困ビジネスの現場なのだ。行政は、その実態を知っていながら見て見ぬ振りをしている。劣悪な収容所のホームレスほど優先的に生活保護を受給させて、どんどん「間引(まび)いている」。私が取材した関係者は、はっきりと語っていた。2010年、臓器移植法案の改正で海外での移植が事実上、禁止になった。その途端、街からなぜか、ホームレスが消えたのだ。それを偶然と思うほど、私は初心(うぶ)ではない。収容所に集めて一人当たり5万円を支給する。早死にさせることを条件に生活保護を受給させて死ぬ寸前までその金をヤクザが奪う。死にそうになったら金持ちに臓器を売却する……。
 死体から石鹸を作る「アウシュヴィッツ」のメンタリティを感じるのは私だけではあるまい。

 ・・・<抜粋終了>・・・


 私は、(半分冗談ですが)いざとなったらホームレスになればいいやと考えていたのですが、それは改めることにしました。
 私の認識は甘すぎました。
 どうやら日本は、恐ろしい国になってしまったようです……。


(2016年5月7日)