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徽宗皇帝のブログ

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第三次アーミテージレポートで日本の今後は予測できる
「IWJ」所載の第三次アーミテージ報告、すなわちジャパンハンドラーズから日本への命令書の翻訳を転載する。
内容を一言で言えば、米国は軍事的・経済的・政治的に日本を徹底的にパシリにする、というものだ。それをおためごかしの美辞麗句で「勧奨」(実は命令)したのが、このアーミテージ報告である。一例が、ミャンマーへの投資で、これは要するに、日本の金でミャンマーを発展させ、その後、米国あるいは欧米あるいは国際金融資本がミャンマーを餌にする、ということだろう。要するに、現在の日本の政治も経済も、すべてジャパンハンドラーズの指令で動いている、ということだ。
安倍総理が「日本は一流国家であり続ける」とどこかのスピーチで言ったのは、このアーミテージ報告の冒頭にある、

「しかしながら、日本には決定しなければならないことがある。つまり、日本は一流国家であり続けたいのか、 それとも二流国家に成り下がって構わないのか? 日本の国民と政府が二流のステータスに甘んじるなら、この報告書は不要であろう。この同盟に関する我々の評価と推奨事項は、日本が大きな貢献を果たせる世界の舞台で完全なパートナーであることに依拠している。」

に対する返答、つまり、「はい、我々はご主人さまの忠実な犬であり続けることを誓います」という趣旨であったわけだ。(笑)

長い文章なので、私もまだ斜め読みしかしていないが、これを読めば、日本のTPP参加が既定方針であること、日本は原発依存を決してやめないこと、日中対立が今後も画策(演出)されること、その他、今後の日本の進路や状況ははっきりと分かると思う。そういう意味では、貴重な資料だろう。ただし、上辺を飾るおためごかしの発言から、その真意(つまりアメリカの「命令」は何か)を読みとる程度の読解力は必要だ。
なお、この文章の所在は「マスコミに載らない海外記事」で知った。いつも、このサイトにはお世話になっていることを改めて感謝したい。

問題は、ジャパンハンドラーズの指令がそのままワシントン(オバマ政権)の意思なのかどうかである。

*本文文字数超過なので、二回に分けて転載する。




(以下引用)







2013/02/03 【ブログ記事】「第3次アーミテージレポート」全文翻訳掲載


【イントロ記事公開】IWJ特報 第75号「『第3次アーミテージレポート』全文翻訳・完全注解〜米国からの命令書を読み解く(1)」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/59054

 これまで我々は、メルマガ「IWJ特報!」第48号(2012年9月13日発行)で、「野田政権の『勝手に決める政治』の裏に米国の露骨な要求」と題して、「第3次アーミテージレポート」を通し、米国の、日本に対する無茶苦茶ともいえる要求の中身を論じてきた。2012年12月16日の衆議院総選挙において、自民党が圧勝した後、米国はさらに要求を強めている。

【第3次アーミテージレポート原文はこちら(英文)】
http://csis.org/files/publication/120810_Armitage_USJapanAlliance_Web.pdf



 奇観というべきは、日本の政官財各界が、このレポートに書かれた米国からのアジェンダを、忠実に遂行しようとしている姿である。民主党から自民党へ政権が交代してからも、そうした従属的姿勢は変わらない。これに新聞・テレビなどの既存大手メディアが後押しをして、対米従属の列に加わる。本メルマガ第61号〜63号、72~74号で何度も論考した「改憲・憲法第9条の改正(集団的自衛権の行使)」の問題をはじめ、「原発の推進」、「TPP交渉参加推進」、「中国との緊張の維持」など・・・、現実に起こりつつあるこれらの政策の裏に、米国の要求があるのは明らかである。  

なぜ、こうした首を傾げたくなる政策が、次々と実行されていくのか。その答えを導きだすためには、「アメリカの要求」を徹底的に知る必要がある。そのためには、昨年の夏に発表されたこの「第3次アーミテージレポート」を改めて読み解く必要がある。

 我々は、このレポートを全文完全邦訳し、このブログ記事とメルマガに、レポートの邦訳全文を掲載する。詳細な注と分析を加えた「解説板」については、有料メルマガ「IWJ特報!」で公開していくので、そちらをご購読いただきたい。

ご購読はこちらから→ http://bit.ly/p5A3bt

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ーーーーーー【以下、邦訳全文】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(※訂正:「新しい安全保障戦略に向けて」の第2パート「防衛戦略」中の訳を一部訂正しました。2013年2月15日)

米日同盟
アジアに安定を定着させる

CSIS 国際戦略研究所
日本講座 報告書
執筆者
リチャード・L・アーミテージ
ジョセフ・S・ナイ

2012年 夏

■目次
研究班 参与者
研究班 署名

はじめに           1
エネルギー安全保障      2
経済と貿易          6
近隣諸国との関係       7
新しい安全保障戦略に向けて  11
結論             15
提言             16
執筆者について        19



はじめに

この日米同盟報告書は、日米関係が漂流している時期に発表される。日米両国の指導者たちが無数の他の課題に直面しているとき、世界で最も重要な同盟の1つの健全性が危機に瀕しているのである。米国務次官補カート・キャンベルと、両政府内の彼の同僚たちによって、同盟の安定は大方保たれてきたが、同盟地域内外における今日の課題と機会に対処するには、それ以上のことが必要である。日米双方は、中国の再台頭とそれに伴う不安定要素、核能力と敵対的意図をもつ北朝鮮、そしてアジアのダイナミズムの兆しに直面している。他にも、グローバル化した世界とますます複雑化する安全保障環境には多数の困難な課題が存在する。このような今日の大問題に適切に対処するには、より強力でより平等な同盟が必要である。

上記のような同盟が存在するためには、米国と日本が一流国家の視点をもち、一流国家として振舞うことが必要であろう。我々の見解では、一流国家とは、経済力、軍事力、グローバルな視野、そして国際的な懸念に関して実証された指導力をもつ国家である。同盟の支援に関して米国側に改善点はあるが、米国が一流国家であり続けることには寸分の疑いもない。しかしながら、日本には決定しなければならないことがある。つまり、日本は一流国家であり続けたいのか、 それとも二流国家に成り下がって構わないのか? 日本の国民と政府が二流のステータスに甘んじるなら、この報告書は不要であろう。この同盟に関する我々の評価と推奨事項は、日本が大きな貢献を果たせる世界の舞台で完全なパートナーであることに依拠している。

我々は、今日の世界における日本の影響と役割を混乱させている諸問題を認識した上で、上記の質問を投げかけた。日本の人口は劇的に老齢化し、出生率は低下している。日本の債務対GDP比は、200パーセントである。日本では、6年間に6人の首相が交代した。そして、多数の若い日本人の間に厭世観と内向性が増大している。しかし、日本の重要性の低下は運命ではない。日本は、一流国家であり続ける十分な能力がある。要は日本がどのような傾向をもつかという問題にすぎない。

日本は多数の課題に直面しているが、日本の国力と影響力には、同様に多くの過小評価され十分に活用されていない側面が存在する。日本は世界第三位の経済圏であり、中国の2倍の消費者セクターをもつ。日本は、改革と競争によって解き放たれる可能性のある巨大な経済的潜在力をもち続けている。自由貿易と移民に対する開放性と女性の職場進出が増大すれば、日本の国内総生産(GDP)は著しく成長するだろう。日本のソフト・パワーも注目に値する。日本は、国際的に尊敬される国としてトップ3にランクされ、「国家ブランド」としては世界第一位である。日本の自衛隊(JSDF)は、現在の日本で最も信頼されている機関であるが、時代錯誤の制約を軽減できれば、日本の安全保障と評判の向上により大きな役割を果たせる態勢にある。

日本は、世界の平穏な地域に位置する、取るに足りない国ではない。アジア太平洋地域の安定した戦略的平衡のための海の要、国連(UN)と国際通貨基金(IMF)など主要多国籍機関に対する2番目に大きな貢献者、世界で最もダイナミックな半球のためにシーレーンをオープンに保つ米軍のホストとして、米国とその他の国々は日本に頼っている。

日本が強い米国を必要とするに劣らず、米国は強い日本を必要とする。そして、この観点から、我々は日米同盟とそのスチュワードシップの問題を取り上げる。日本が米国と肩を並べ続けていくには、米国と共に前進する必要がある。日本は、今までアジアのリーダーであったが、今後もそうあり続けることができるのである。

以下の報告は、日米同盟に関する超党派研究グループのメンバーの大多数の見解を示すものである。この報告では、特に、エネルギー、経済、世界貿易、隣国との関係、そして安全保障に関する問題を取り上げる。これらの分野において、研究グループは、日本と米国に対して、短期および長期に渡る政策の推奨事項を提言する。これらの推奨事項は、アジア太平洋地域およびそれ以外での平和、安定、繁栄のための力としての日米同盟を支えることを目的としている。



エネルギー安全保障
原子力エネルギー 

2011年3月11日の悲劇は、未だ生々しい記憶であり、地震、津波、その後の炉心溶融によるすべての被害者に対し、謹んで哀悼の意を表明する。当然ながら、福島の原子力災害は、原子力にとって大きな躓きの石となり、その影響は、日本全国だけでなく、世界中に波及した。英国や中国のように原子力拡張計画を慎重に再開した国もあるが、ドイツのように原子力を段階的に全廃することを決定した国もある。

日本は、原子炉の徹底的な調査と原子力保安規定の改定を行なっている。原子力に対する一般市民の強い反対にも関わらず、野田佳彦首相の政府は、2基の原子炉の再稼動を開始した。さらなる再稼動は、安全性の確認と地元の合意に依存する。我々の見解では、このような状況において原子力発電を慎重に再開することは責任ある正しい措置である。

日本は、エネルギー効率の向上において非常に大きな進歩を遂げ、エネルギーの研究開発で世界的なリーダーとなっている。日本人は、エネルギー消費の削減と、エネルギー効率に関する世界最高の基準の設定において、驚異的な国民的結束を発揮してきたが、近未来における原子力エネルギーの欠如は、日本に重大な影響を及ぼすであろう。原子力発電所の再稼動なしでは、日本が2020年までに二酸化炭素 (CO2) 排出量を25パーセント削減する目標に向って有意義な進歩を遂げることは不可能であろう。原子力は、現在も将来も、排ガスのない基底負荷発電の唯一の実質的ソースとして残るであろう。環境省のデータによれば、日本の排出量は、原発再稼動なしでは、2020年までにせいぜい11パーセントしか削減できないが、再稼動できれば、20パーセント近くまで削減できるという。1 原発を永久に停止した場合は、輸入した石油、天然ガス、石炭の消費量が増大するだろう。さらに、国のエネルギー政策に関する決定の延期は、エネルギーに依存する重要な産業を日本から追い出しかねず、国家の生産性を脅かす可能性がある。

また、開発途上国は原子炉の建設を続けるので、日本の原発永久停止は、責任ある国際原子力開発を妨害することにもなるだろう。フクシマ以後一年以上にわたって原子炉認可を中断していた(ただし、進行中のプロジェクトは中断しなかった)中国は、新規プロジェクトの国内建設を再開しつつあり、最終的には重要な国際ベンダーとして台頭する可能性がある。中国が民生用原子力発電の世界的開発のメジャー・リーグでロシア、韓国、フランスに加わろうと計画しているとき、世界が効率的で信頼性の高い安全な原子炉や原子力サービスから利益を得るためには、日本が遅れをとることはできない。

他方、米国としては、使用済核廃棄物の処理にまつわる不確実性をなくし、明確な許認可手続きを導入する必要がある。我々はフクシマから学習し、是正措置を導入する必要性を十分に認識しているが、原子力はエネルギー安全保障、経済成長、環境上のメリットなどの分野でまだ巨大な可能性を保持している。日本と米国は、国内/国外の安全かつ信頼性の高い民生用原子力を推進する上で共通の政治的、商業的利益をもっている。東京とワシントンは、フクシマからの広範な経験を生かしながら、この分野で同盟関係を活性化し、安全な原子炉の設計と健全な規制業務の普及を世界的に促進することにおいて指導的役割を再び演じる必要がある。3.11の悲劇のために、経済と環境をこれ以上大きく衰退させてはならない。安全でクリーンな責任ある開発と利用によって、原子力は日本の包括的な安全保障に欠かせない要素を構成する。そしてこの点において、原子力研究開発での日米の協力は不可欠である。



天然ガス

天然ガスに関する最近の明るい進展により、たった数年前には誰も可能と思わなかった形で、二国間のエネルギー貿易がよみがえる可能性がある。アラスカとハワイ以外の48州で膨大なシェール・ガスが埋蔵されていることが発見され、米国は世界で最も急速に成長する天然ガス生産国となった。国際エネルギー機関(IEA)によれば、2014年に計画されているパナマ運河の拡張により、世界の液化天然ガス(LNG)輸送船団の80パーセントがパナマ運河を使用できるようになり、出荷コストが劇的に低下し、米国湾岸からのLNG輸出のアジアでの競争力が激増することになる。2

米本土におけるシェール・ガス革命とアラスカの豊富なガス埋蔵量は、日本と米国に相補的な機会を提供する。すなわち、 米国は2015年までにハワイとアラスカを除く48州からLNGの輸出を開始するはずであり、日本は世界最大のLNG輸入国であり続ける。1969年以来、日本は比較的小量のLNGをアラスカから輸入してきたが、特に3.11を踏まえて、LNGの輸入先を増やして多様化する必要があり、LNG取引リンクの拡大に対する関心が高まっている。

1. リック・ワレス、「Japan Carbon Hopes Resting on Nuclear」、The Australian (シドニー版)、2012年5月25日 http://www.theaustralian.com.au/news/health-science/japan-carbon-hopes-resting-on-nuclear/story-e6frg8y6-1226366138315.

2. 国際エネルギー機関(IEA)、「Medium-Term Oil and Gas Markets 2010 (Paris: International Energy Agency, 2010)」、264ページ、http://www.iea.org/papers/2011/mtogm2010.pdf.

しかしながら、米国と自由貿易協定(FTA)を締結していない国、特に、そのFTAに国のガス処理に関する条項がない国へのLNG輸出を求める米国企業は、まず、米国エネルギー省(DOE)化石エネルギー局の認可を得る必要がある。FTAを締結した16か国は、DOEの輸出認可を受けるが(ただし、その他の規制および認可要件も適用される)、これらの国のほとんどは主要LNG輸入国ではない。

日本のような非FTA締結国には、認可を与えることが米国の「公益」でないとDOEが結論しない限り、認可が与えられる。キーナイLNG基地は、アラスカから日本への輸出に対するDOE認可を日常的に受領していた。しかし、ハワイとアラスカを除く48州からのLNG輸出の将来性が浮上するにつれ、DOEの認可プロセスは政治的に精査されつつある。DOEの非FTA認可を既にうけているサビン・パスLNGプロジェクトに加えて、ハワイとアラスカ以外の48州でのLNGプロジェクトに対する8つの認可がDOEの承認を待っている。

環境または経済上の理由により、活動家たちがLNGの輸出に反対している。輸出によって、米国天然ガスの国内価格が上昇し、天然ガスに大きく依存している国内産業の競争力を弱めるという懸念が存在するのである。ブルッキングス研究所による最近の政策提言で、この申し立てに対する反論が行なわれた。将来輸出される見込みのある分量は、米国の天然ガス全供給量と比較して少なく、国内価格への影響は最小限であり、産業用、住居用、その他の国内用としてガス使用の伸びを妨げるものではない、と結論されている。3 LNG輸出を制限すると、米国シェール・ガスおよびLNG輸出プロジェクトへの投資が不必要に抑止される。

米国は、資源ナショナリズムに走るべきではなく、民間部門のLNG輸出計画を禁止すべきではない。米国の政策立案者は、これらの新資源に対する環境に責任を持つ開拓を促進しながら、輸出に対してオープンであり続けなければならない。さらに、日本の危機においては、米国は、すでに交渉済みの商業契約と一般商業レートによる日本向けLNGの供給に支障がないことを保証し(ただし、大統領による国内向け国家非常事態宣言がない場合に限る)、コンスタントかつ安定した供給を確保すべきである。
安全保障体制の一環として、米国と日本は、軍事上の同盟だけでなく、天然資源に関しても同盟すべきである。この協力分野は、開発が不十分なままである。

また、米国は、日本へのLNG輸出を妨げている現在の法律を修正すべきである。米議会がFTA要件を削除して自動認可に切り替えれば理想的だが、それは米国と平和的関係にある国ならどの国に対するLNG輸出も国益であるという反証可能な推定を確立することになる。代わりに、米議会は、LNG輸出では、日本をFTA締結国の1つと見なして、他の潜在顧客国と対等な立場に置くべきである。少なくとも、ホワイト・ハウスは、現在の法律下で認可を検討する際に日本関係の輸出プロジェクトを全面的に支援し、優先すべきである。

正しい政策支援があれば、天然ガスは二国間貿易を活性化し、日本の米国への対外直接投資(FDI)を増大させることもできる。北米のガス供給量は膨大であるが、見込まれるタンカー通行量の処理に必要な基地、港、陸上輸送システムが十分でないという懸念がある。4 大きなインフラ投資がなければ、米国のガス生産は成長できない。
これが、米天然ガスに関する法律を修正して、他のFTA顧客国家と対等の立場を日本に与えるための、もう1つの有力な理由である。

3. Charles Ebinger/Kevin Massy/Govinda Avasarala共著、「Liquid Markets: Assessing the Case for U.S. Exports of Liquefied Natural Gas」(ワシントンDC、ブルッキングス研究所、2012年5月)、http://www.brookings.edu/~/media/research/files/reports/2012/5/02%20lng%20exports%20ebinger/0502_lng_exports_ebinger.

4. AFP、「U.S. Not Ready for Larger Panama Canal: Experts」Taipei Time、2011年5月16日、http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/2011/05/16/2003503394.



メタン・ハイドレート: エネルギー協力の強化に寄与する潜在的大転換の好機

二国間協力には、もう1つの有望だがより不確実な長期的領域としてメタン・ハイドレートがある。メタン・ハイドレートは、深く埋もれた氷の中に閉じ込められた天然ガスの結晶である。経済的および技術的な大きなハードルを乗り越えられれば、メタン・ハイドレートの埋蔵量は、現在の在来型および非在来型ガスの埋蔵量をはるかに上回るだろう。

日本の南中央域、沖合にあるメタン・ハイドレートの鉱床は、天然ガス国内消費量の10年分に当たると見積もられ、世界的には、現在実証されている天然ガス埋蔵量の100倍をはるかに超える700,000兆立方フィートと概算されている。5 メタン・ハイドレートは、陸上および沖合いに広く分布し、特に極地と連邦大陸棚に存在する。6 専門家たちが予想するように、メタン・ハイドレートのほんの一部しか開発できない場合でも、それらの量は、現在の天然ガス埋蔵量の見積りをはるかに上回る可能性が高い。

日本と米国は、可能性のある大規模メタン・ハイドレート生産の研究開発で緊密に協力している。5月には、アラスカのノーススロープでの日米現地試験で、CO2の圧入および隔離によるメタン・ハイドレートの抽出に成功し、エネルギー供給と環境の両面におけるメリットが実証された。結果として大規模なメタン・ハイドレート生産にいたる変革の可能性を踏まえ、我々は、日米が費用効果の高い、環境に責任をもつメタン・ハイドレート生産の研究開発を加速するように推奨する。米国と日本は、代替エネルギー技術の研究開発に全力を傾けるべきである。



地球規模の石油、ならびにガス共有地/公有地の確保 

当分の間、世界経済は主として化石燃料に依存し、輸送の分野では石油がほとんど独占の状態が保たれるだろう。現在世界第三位の大規模石油輸入国である日本と米国は、世界規模の石油取引におけるシフトが世界の地政学を不安定にしたり、中東のエネルギー供給国へのアクセスやそれらの国々からの出荷を脅かさないようにすることに、ますます中核的な戦略上の利害を共有しつつある。カナダ、米国、ブラジルの石油産出量の上昇が他地域からの輸入に対する南北アメリカの依存度を減らすかもしれないが、世界の石油市場における次の大きなシフトは、中東の生産国からますます豊かになりつつあるアジアの消費国への石油とガスの輸出量が急上昇することである可能性が高い(ただし、中東のエネルギー消費の上昇も輸出量に影響するだろう)。将来の石油需給に関する現在の予測では、ペルシャ湾は、今後40年間で、世界の石油供給において、かつてよりはるかに重要な役割を果たすであろう。ペルシャ湾は、LNGの重要な供給元でもあり、カタールのラス・ラファン液化プラントが取引されるLNGの3分の1を供給する。

ペルシャ湾からのエネルギー供給に対する世界の依存度が高まり、ペルシャ湾からアジアへのエネルギー・フローが増大するにつれ、地球上の共有地/公用地に広がる資源を確保することの重要性が増すであろう。日本の艦艇は、2009年にソマリア沖で海賊退治の作戦を開始した。さらに、3.11以降の発電用石油需要の要件の上昇にも関わらず、日本は、2012年の最初の5か月でイランからの石油輸入を3分の1に減少させ、米国の制裁と歩調を合わせた。さらに、海賊行為/著作権侵害、ペルシャ湾からの出荷の保護、地域の平和に対する脅威(現在のイラン原子力プログラムによる脅威など)を除去するための戦闘を行い、シーレーンの確保などにおいては、東京(日本政府)は多国籍軍との協力を強化する必要があるだろうし、それは歓迎されるであろう。

5. Charles Batchelor、「Fire Ice: Gas Source is Little Understood」、Financial Times、2012年6月1日, http://www.ft.com/intl/cms/s/0/506686c4-a4d0-11e1-9a94-00144feabdc0.html#axzz1y968sb2w.

6. National Energy Technology Laboratory (NETL)、「Energy Resource Potential of Methane Hydrate 」(ワシントンDC、米国エネルギー省、2011年2月)、http://www.netl.doe.gov/technologies/oilgas/publications/Hydrates/2011Reports/MH_Primer2011.pdf.



経済と貿易

2011年11月、野田首相は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加入のための事前協議に日本が参加することを発表した。TTPは、完全に実現すると、世界貿易の40パーセントを占め、大西洋から太平洋をまたいで少なくとも11か国が加入する。さらに、他の地域的なFTAとは異なり、TPPは、包括的かつハイレベルな、法的拘束力をもつ自由貿易協定として際立っている。昨年の発表以来、日本のTPP加入への歩みは遅い。争点の幅広さや交渉関係者の数のため、時間がかかり、細部への配慮も必要となる。しかし、交渉への参加を遅らせないことが、日本の経済安全保障上の利益になる。また、日本が最も重要な同盟国とFTAを締結していないことは不条理であり、日本が交渉に参加することを我々は強く奨励する。米国側としては、交渉プロセスと協定案にもっと光を当て、透明性を増すべきである。



日米経済関係の活性化と確保

我々は、米日経済関係を強化し、確固たるものとするためにTPP討議に加え、骨太で革新的な多国間自由貿易協定を提案する。日本はメキシコとFTAがあり、カナダとのFTAを拡大している。この2国は米国にとって最重要な貿易相手であり、世界最大のFTAであるNAFTA(包括的経済・エネルギー・安全保障協定)の参加者でもある。米国、日本、カナダ、メキシコがCEESAに加盟すれば、実質上は米日が、経済・安全保障・戦略的エネルギー関係を拡大、深化させることになる。日本には重大なエネルギー・安全保障上のニーズがあり、なおかつ投資するための資本がたっぷりある。日本は、国内での経済的損失と人口統計上の挑戦(人口減少問題)による損失を補うために、海外投資による財務・金融リターンを増大・活性化する必要がある。他方、米国と北米の広域には、天然ガス開発のチャンスがいっぱいあふれているというのに、開発のためのインフラ投資の資金難を抱えている。

CEESAには、次の3つの柱がある。

1.日本は、NAFTAとの連携協力を目指し、メキシコとの既存FTAと並んで、カナダと米国とのFTA交渉を行う。NAFTA加盟国の各国と共に、日本はFTA(条約の)加盟[調印]国として、北米にあるエネルギーへの自由なアクセスを(拘束を受けずに)許可され、かつ、北米におけるインフラと戦略的エネルギー投資機会を得るにあたって、有利な立場に置かれるだろう。

2.米国は、米日安全保障同盟の一部として、LNGガスと他の形状の“戦略的エネルギー”供給を、日本輸出用に保証することを誓約する。

3. 日本は1,000億ドルから2,000億ドルを、エネルギー開発を景気づける目的で北米に投資することを誓う。これには、天然ガス、石油、石炭、風力、太陽、次世代の核開発費が含まれる。

我々は、CEESAが現行の貿易政策の発展とは矛盾することなく、また、それ(現行の貿易政策)からの離脱を意味するものではないと信じる。日本は、すでにメキシコとFTAを締結し、カナダとFTAを交渉する意図を発表した。したがって、次のステップは、日本の最も重要な同盟相手であり、最大の取引および投資のパートナーである米国との交渉に向け邁進することである。カナダ、メキシコ、そして米国とのFTAは、日本の経済、エネルギー、および金融の安全保障において、我々が思いつける他のどの手段より役立つだろう。これら3つのFTAは、日本のエネルギー供給を保護するだけでなく、米国、カナダ、およびメキシコの農業製品への自由貿易アクセスも日本に付与し、結果として安定した食物供給を確保することになる。日本の農業人口は急速に減少しており、日本の人口は老齢化し、農民の平均年齢は66歳を超えた。このような展望では、日本は農業貿易政策の調整を延期する余裕がない。すべての関係者が、持続不能な防衛的貿易戦略ではなく、真の経済と食物の安全保障という観点で考察すれば、FTAを妨害する残りの農業障壁は容易に克服できる。大韓民国(ROK)が米国とのFTA交渉で成功できるなら、日本もできる。

CEESAに調印すれば、日本は、高度な工業化社会の急速に成長する部分と根本的に統合され、TPPによって具体化される先進経済と新興経済の架橋を支援し、世界最大の自由貿易圏を構築することで世界的な経済成長を促進することになる。
(以上和訳:斉藤みどる)



近隣諸国との関係
米日韓関係を再興するために

日米同盟、ならびにこの地域の安定と繁栄のために極めて重要なのは、日米韓関係の強化である。この3国のアジアにおける民主主義同盟は、価値観と戦略上の利害を共有するものである。日米韓政府はこのような関係を土台として、外交資源を出し合い、連帯して北朝鮮の核兵器開発を抑止すること、また中国の再興(re-rise)に対応する最適な地域環境を整えるために助力することが必要である。

今後の国際的システムのルール作りに3国が共通して大きな関心を持っているのは、原子力エネルギーの分野である。核保有国の中で中国が台頭しているため、日韓両国のような世界市場で重要な役割を果たす同盟国にとって、原子力エネルギーの生産において適切な安全対策、拡散防止の手法、および高水準の透明性を確保することが極めて重要になる。米国では、政策が定まらないこと、経済環境が不利に働いていること(天然ガスの価格下落を主因とする)、また米韓原子力協力協定(123 agreement)が更新されていないことが、原子力エネルギー・セクターの足かせとなっている。今こそ、世界の原子力発電の基準を策定するために、日韓両国の政府がさらに大きな役割を担う絶好の機会である。現体制の将来を確かなものにするためには、日本が再び安全な原子力エネルギーに取り組むこと、そして韓国が世界的な原子力エネルギー供給国として最高水準の透明性確保と拡散防止に取り組むことが不可欠になる。

国間協力のもうひとつの分野は、海外開発援助(ODA:overseas development assistance)である。米国は、現在日韓と戦略的な開発援助協定を結んでいる。開発に対する3国の考え方は類似しており、いずれも世界的な援助大国である。韓国は、援助国支援の受益国から供与国への転換に世界で初めて成功した国である。今日の最大の被援助国は、日米両国にとって戦略上重要なアフガニスタンとベトナムである。現在韓国は、4000人規模の自国平和部隊を持ち、若者たちが世界中で開発と良い統治のプロジェクトに従事している。ビジョンと資金を出し合って協調的な取り決めを結び、世界中で戦略的開発を進めていくことが、同盟国3国の利益となるだろう。

米日韓は、価値観と経済的利害に加えて、安全保障問題も共有している。収斂されるべき核心は、3国が民主主義国家として無理ない同盟関係にあると仮定されること。しかしながら、北朝鮮の核兵器開発を抑止し、また中国の再興に対処する最適な地域環境を整えるために大いに必要とされている3国間の協力は、短期的な不和によって進展を妨げられている。

米国政府は、慎重な取扱いを要する歴史問題について判断を下す立場にないが、緊張を緩和し、再び同盟国の注意を国家の安全保障上の利害、および将来に向けさせるべく、十分に外交的な努力を払わなければならない。同盟国がその潜在能力を十分に発揮するためには、日本が、韓国との関係を悪化させ続けている歴史問題に向き合うことが不可欠である。米国はこのような問題に関する感情と内政の複雑な力学について理解しているが、個人賠償を求める訴訟について審理することを認める最近の韓国の大法院(最高裁)の判決、あるいは米国地方公務員に対して慰安婦の記念碑を建立しないよう働きかける日本政府のロビー活動のような政治的な動きは、感情を刺激するばかりで、日韓の指導者や国民が共有し、行動の基準としなければならないより大きな戦略的優先事項に目が向かなくなるだけである。

日韓両国の政府は、現実的政策というレンズを通して2国間のつながりを見直すべきである。歴史的な反感は、どちらの国にとっても戦略上脅威となるものではない。両民主主義国の間に構築された経済、政治、および安全保障上の関係を考えれば、両国がこうした問題を巡って戦争を始めることはない。しかしながら、北朝鮮の好戦的態度、ならびに中国軍の規模、能力、および発言力が強まっていることは、両国にとって真の戦略的難題となっている。2010年以来、韓国海軍の哨戒艦天安(Cheonan)の沈没、および延坪島(Yeonpyeong)砲撃事件など、通常兵器による挑発的軍事行動によって、北朝鮮の核とミサイルが大きな脅威となってきている。さらに直近では、金正恩の長距離ミサイル実験および軍部との権力闘争は、北東アジアから平和を奪うものである。同盟国は、根深い歴史的不和を蒸し返し、国家主義的な心情を内政目的に利用しようという誘惑に負けてはならない。3国は、別途非公式の場での活動を通じて、歴史問題に取り組むべきである。現在そのような場がいくつか存在するが、参加国は、歴史問題についての共通の規範、原則、および対話に関する合意文書に積極的に取り組むべきである。

2012年6月、日本の海上自衛隊と米韓の海軍が合同軍事演習を行ったことは、軋轢を招く歴史問題を棚上げし、より大きな今日の脅威に立ち向かおうとする正しい方向への一歩である。加えて、日韓両国政府が諜報活動から得られる北朝鮮に関する情報を系統的に共有できるようにする軍事情報包括保護協定(GSOMIA)や、軍需品の共有を促進する物品役務相互提供協定(ACSA)といった懸案中の防衛協定を締結するために迅速に行動することは、同盟国3国の安全保障上の利益に資する実務および事務レベルの軍事的取り決めと言うことができる。



中国の再興

過去30年の中国の経済力、軍事力、および政治的影響力の急速な伸びは、世界で最も人口の多い国を劇的に刷新してきただけでなく、東アジアの冷戦後の地政学的環境を決定してきたことは明らかである。堅固な日米同盟は、決して中国の再興に対する制約となるわけではなく、安定的で予見可能な安全な環境の提供に一役買うことによって、これに貢献してきたのであり、その環境の中で、中国は繁栄してきたのである。我々の同盟が中国の成功の一翼を担っているのだ。しかしながら、中国が新たに得た力をどのように利用するか、すなわち、既存の国際基準を強化するか、中国の国益に従ってこれを見直すか、あるいはその両方であるかについて透明性を欠き、はっきりしないことが、ますます懸念されるところである。

特に心配な分野のひとつは、中国が中核とする権益の範囲を拡張する可能性があることである。新疆、チベットおよび台湾という公式に言及される3地域に加えて、南シナ海および尖閣諸島が新たな権益として言及されるようになった。後者については非公式であり、宣言されているわけではないが、人民解放軍(PLA)海軍が南シナ海および東シナ海で存在感を強めているため、我々の推論はあらぬ方向に導かれる。さらに、主権という共通するテーマから、尖閣諸島および南シナ海における中国政府の意図に疑問が提起される。ひとつは疑う余地のないことだが、中国の中核とする権益の範囲が曖昧であることから、当該地域の外交の信頼性がさらに低下することだ。

中国が急速に成長しつつある総合的な国力をどのように利用しようとする可能性があるか不確かであったため、対中戦略として、同盟国側は関与とヘッジを組み合わせてきた。しかし、協調活動の地理的範囲の漸進的拡大、ミサイル防衛技術に関する共同作業、海上通信網の相互運用性、および維持に関連する任務への十分な配慮、東南アジア諸国連合(ASEAN)などの地域機構を強化する取り組み、航行の自由への再注力、ならびに2011年12月の新たな日米印戦略対話の開始といった中国の軍事力および政治的発言力の拡大に対する同盟国側のヘッジのほとんどの側面は、中国が引き続き高度経済成長の道を辿り、防衛費および防衛力を同等に増強できるという仮定に基づくものだった。

この仮定は、もはや確かなものとはいえない。中国は1979年に鄧小平が「改革開放」政策を実施して以来、30年以上が経っており、成長が減速しつつあるという兆候が多数見られる。中国が輸出主導から国内消費主導型の経済に移行するかどうかについては、疑問がある。ここ数年のうちに、中国の指導者は、エネルギーの制約、痛ましい環境悪化、厄介な人口問題、国民と地方の所得不均衡の拡大、新疆やチベットの少数民族の反乱、ならびに蔓延する公務員の汚職という、少なくとも6つの悪に立ち向かわなければならない。そのうえ、経済の成功によって、中国の政治構造が、増加しつつある中間所得層から高まる期待に応えるように並外れた圧力を受けることになるという「中間所得の罠」に対処する不確定要素も加わる。これらの難題はどれをとっても、中国の経済成長の道を狂わせ、社会の安定を脅かす可能性がある。中国共産党(CCP)はこうした厄介な難題を認識しており、これを理由のひとつとして、中国指導者は2012年に国内治安対策費を、おおむね防衛予算に匹敵する1200億ドルを超える規模に増額している。人民解放軍は、依然として、台湾の正式な独立を目指す動きを阻止することを含めて、外的脅威に対処する手段の開発に重点を置いている。しかし、中国共産党は、内なる脅威も等しく憂慮している。

中国が大きくつまずいた場合、同盟国側に提起されるおそれのある難題は、必ずしも軽微なものになるわけではない。質が異なるものになるというだけである。我々同盟国側は、中国の平和と繁栄から得るところが大きい。あるいは、中国指導者が深刻な国内の分裂に立ち向かう場合には、再び統一を取り戻そうと、現実のものであるか、想像上のものであるかにかかわらず、おそらく外的脅威を利用して、ナショナリズムに逃避しようとすることが考えられる。指導部が秩序を維持するために、情け容赦のない手段に出て、既に起きている人権侵害を深刻化し、パートナーだった外国を離反させ、40年前にニクソンが始めて以来、中国への西側の関与を牽引してきた政治的合意をないがしろにすることも考えられる。

またあるいは、中国の将来の指導者が、温家宝首相の提唱するような政治改革の新ラウンドに取り組めば、中国の内政と対外姿勢に異なる影響がもたらされる可能性もある。ひとつだけ確実なことは、同盟国側は、中国の軌道変更と幅広い将来の可能性に適応できるような能力と政策を開発しなければならないということである。高度経済成長と動きのない政治権力は、将来の中国の新しい指導者が期待するものではない。我々は彼らの判断から情報を得る必要がある。



人権と日米同盟:行動指針の策定

日米同盟に関する2012年4月30日の共同声明では、関係強化のための共通の価値観について次のように明示的言及がなされている。「日本と米国は、民主主義、法の支配、開かれた社会、人権、人間の安全保障、自由で開かれた市場といった価値へのコミットメントを共有している。今日のグローバルな課題に我々が共に取り組むに当たり、これらの価値がその指針となる」。この共同声明はさらに、その共通の価値観を次のように運用できるようにすることを誓約する。「我々は、法の支配を推進し、人権を擁護するとともに、平和維持、紛争後の安定化、開発援助、組織犯罪と麻薬密売、感染症に関し、さらに協調していくために、共に取り組んでいくことを誓う」。

人権については、さらに具体的な行動指針を策定することが、賞賛に値する目標であり、対象となる機会は多い。ビルマ(ミャンマー)において民主的改革を進めることを、最優先とするべきである。日米は、民間部門の投資、外国の援助、および国際金融機関からの融資によって与えられる経済的レバレッジを活用して、良い統治、法の支配、および人権に関する国際規範の厳守を促進するべきである。企業の社会的責任について最高水準の基準を設定すること、また少数民族や政治的敵対勢力を含めて、ビルマのすべての利害関係者が意見を出し、ビルマの今後の経済に関与できるようにすることによって、日米両国政府は、残忍な軍事独裁から真の議会制民主主義へと国を移行させるために働いているビルマの人々を支えることができる。国際人道法の推進および市民社会の保護に対する誠実な取り組みによって導かれれば、同様の協調的活動がカンボジアやベトナムでも役に立つと考えられる。この2国は人権の歴史が浅い。米国は最近安全保障面での協力を強化しており、日本は経済的および政治的に大きな利害関係を有している。

さらに日本に近い北朝鮮の問題は、難題である。北朝鮮政府の人権侵害は、十分な証拠書類があり、実にひどい状況にあるため、日米両国ともこれについて声を上げてきた。しかし、米国は、従来から、北朝鮮における人権問題を非核化という「メイン・イベント」から注意をそらすものとみなしており、日本は、主として、何年も前に北朝鮮に拉致された日本人の運命に重点を置いてきた。我々は、すべての拉致被害者について詳細な報告を求める日本の取り組みを支持することを再確認する。また、日米が、人権その他の問題に関する北朝鮮への効果的関与のためのより大きな戦略という文脈の中で、この問題に密接に協力することを提言する。

北朝鮮と同盟国にとっての解決方法は、懸念の範囲を広げ、拉致や強制収容、政治および宗教の自由に関する厳しい制限だけでなく、食料安全保障や災害救助、公衆衛生、教育、および文化交流を含めて、朝鮮半島におけるあらゆる人道上の問題に取り組むことである。朝鮮半島の非核化に関する6か国協議は事実上中断されており、韓国政府その他の関係国が緊密に連携して、人道に重点を置いた指針をまとめれば、同盟国は、北朝鮮の新しい指導部が同国の将来を描く戦略的環境を、再び整える機会を得られるだろう。(以上和訳:佐野 円)
 

(以下、すぐ次に転載)



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