「田中宇の国際ニュース解説」より転載。
ここのところあまり面白い記事の無かった田中宇のブログだが、これは面白い。最近はほとんど読まなくなっていたので、この記事の存在は「武山祐三の日記」で知った。
もっとも、面白いとは言っても、自分の推測と同じこと(7月8日記事「菅総理は覚悟を決めた?」の私のコメント参照)を田中宇が考えていたことが面白い、というだけである。
下記記事の前半には米国の犬の前原が米国からの指示で脱原発の旗振りをしているという内容の記述もあった。
この記事の趣旨は、要するに、米国政治は分裂しており、オバマ政権中枢は、これまでの米国内日本利権屋とは別路線を行っているということだ。
これまでの日本利権屋は、日本政財界と日本官僚を手ゴマにして原発利権を漁っていたが、オバマ政権中枢はそれとは無関係だから、原発屋には冷淡で、今後は世界を脱原発に進めていこうと考えているのだろう。日本のマスコミもその切り替えをこれから次第にしていくわけである。
米国の政治はもちろん、ロックフェラーの意志で動くから、これはロックフェラーの命令による世界政策だろう。世界が今後は原発から他のエネルギーへと重点を移していくなら、もともと石油資本家であるロックフェラーにとっては、まだまだ石油で儲けられるということにもなる。
まあ、米国の属国にすぎない日本の政治の実体は、日本の政治だけを見ていてもわかるはずはない、ということである。したがって、日本が独立国であるかのような前提で論じている日本のマスコミや評論家の論説はほとんど読むに値しない。
田中宇などは、そう言う点ではもともといい着眼点を持っているのだから、その復調は喜ばしい。
(以下引用)
▼誰がストレス試験をやれと言ったか
7月4日、全国各地の原発立地の市町村長に先駆けて、佐賀県の玄海町の岸本町長が、地元の九州電力・玄海原発の再稼働を了承した。その直後の7月6日、日本政府は、すべての原発のストレス試験(耐性テスト)を実施すると唐突に宣言した。前週に海江田経産相が現地を訪問し、ストレス試験などせず原発を再稼働しても安全だと太鼓判を押して町長や知事を説得したばかりだった。町長は、いったん了承した原発再稼働を撤回せざるを得なくなるとともに、面子を潰され、今後ストレス試験で玄海原発の安全性が認められても、簡単に再稼働を了承することはできなくなった。同じ日には、九電が子会社の社員らに原発推進のやらせ投稿を要請していたメールが暴露された。九電の権威は失墜し、原発の再稼働を地元に強く求めることができなくなった。
一週間前に現地を説得した海江田経産相も面子を潰された。ストレス試験は、政府の中で経産省よりもさらに上層部の意志決定ということになる。以前IAEAが日本に原発のストレス試験を提案した時、日本政府は断わっていたが、今回は一転して急にやることになった。誰の意志決定なのか。菅首相が独断で決めたと考えるより、これまでの経緯から考えて、また米政府の原子力安全委員会(NRC)あたりが画策し、絶妙のタイミングでオバマが菅首相に電話して、ストレス試験をしろと要求した可能性がある(米NRCは、自国の原発についてのストレス試験について、やる必要はないと言っている)。
今回のドタバタ劇は、全国の他の原発立地の市町村長たちに、地元の原発の再稼働を簡単に承認しない方が良いと考えさせ、日本の脱原発を上から促進する効果がある。福島原発事故を受けて、日本人の多くは原発に対する懸念を一気に強めたが、それが反原発の市民運動の大きな高まりにつながる流れはあまり起きていない。我慢を美徳とする日本人の習性があるためか、日本では草の根からの脱原発が進まない。その分、日本を脱原発させたい米当局は、上からの謀略的な動きをせざるを得ない。
米当局が日本に脱原発させたがっている前提で考えると納得できる動きのもう一つは、ソフトバンクの孫正義社長が、資金を投じ、脱原発としての自然エネルギー開発を猛然と開始したことだ。孫は、事故後の福島を訪問して衝撃を受け、脱原発に目覚め、自然エネルギー財団を設立することにしたと説明している。その説明自体は、それなりに納得できるとも感じる。
だが「米当局が日本に脱原発をさせようとしている」という前提で孫の動きを見ると、もしかして孫は米国中枢の誰かから「米国は日本に脱原発をさせたい。日本は脱原発せざるを得なくなる」と聞かされ、これをビジネスチャンスと考えて、脱原発的なエネルギー開発に取り組むことにしたのではないかとも思える。米国側としては、日本の財界人の中に脱原発の旗振り役や出資者がいれば、日本の脱原発の動きが加速されて好都合だ。しかし、旧財閥や大手メーカーなど「財界村」で生きている企業の経営者がやると、東京電力から抑止や嫌がらせを受けるかもしれない。その点、孫のような財界村の外にいる新興勢力なら自由に動ける。楽天の三木谷浩史会長も、福島事故への対応を批判して経団連を退会したが、この動きも、孫と同じような背景かもしれない。
日本人の多くは、社会で起きている出来事の裏読みや、いわゆる謀略の存在(諜報的観点)に慣れていない。謀略はイスラエルやロシアの話で、日本は無縁だと思っている。しかし今、日本のいろいろな政治的出来事が、確度の高いことしか言わない優等生的なマスコミの説明で納得できない事態になっている。これはおそらく戦後日本にとっての「お上」である米国の覇権体制の崩壊が進んでいることと関係している。この状態は、今後さらにひどくなるだろう。
ここのところあまり面白い記事の無かった田中宇のブログだが、これは面白い。最近はほとんど読まなくなっていたので、この記事の存在は「武山祐三の日記」で知った。
もっとも、面白いとは言っても、自分の推測と同じこと(7月8日記事「菅総理は覚悟を決めた?」の私のコメント参照)を田中宇が考えていたことが面白い、というだけである。
下記記事の前半には米国の犬の前原が米国からの指示で脱原発の旗振りをしているという内容の記述もあった。
この記事の趣旨は、要するに、米国政治は分裂しており、オバマ政権中枢は、これまでの米国内日本利権屋とは別路線を行っているということだ。
これまでの日本利権屋は、日本政財界と日本官僚を手ゴマにして原発利権を漁っていたが、オバマ政権中枢はそれとは無関係だから、原発屋には冷淡で、今後は世界を脱原発に進めていこうと考えているのだろう。日本のマスコミもその切り替えをこれから次第にしていくわけである。
米国の政治はもちろん、ロックフェラーの意志で動くから、これはロックフェラーの命令による世界政策だろう。世界が今後は原発から他のエネルギーへと重点を移していくなら、もともと石油資本家であるロックフェラーにとっては、まだまだ石油で儲けられるということにもなる。
まあ、米国の属国にすぎない日本の政治の実体は、日本の政治だけを見ていてもわかるはずはない、ということである。したがって、日本が独立国であるかのような前提で論じている日本のマスコミや評論家の論説はほとんど読むに値しない。
田中宇などは、そう言う点ではもともといい着眼点を持っているのだから、その復調は喜ばしい。
(以下引用)
▼誰がストレス試験をやれと言ったか
7月4日、全国各地の原発立地の市町村長に先駆けて、佐賀県の玄海町の岸本町長が、地元の九州電力・玄海原発の再稼働を了承した。その直後の7月6日、日本政府は、すべての原発のストレス試験(耐性テスト)を実施すると唐突に宣言した。前週に海江田経産相が現地を訪問し、ストレス試験などせず原発を再稼働しても安全だと太鼓判を押して町長や知事を説得したばかりだった。町長は、いったん了承した原発再稼働を撤回せざるを得なくなるとともに、面子を潰され、今後ストレス試験で玄海原発の安全性が認められても、簡単に再稼働を了承することはできなくなった。同じ日には、九電が子会社の社員らに原発推進のやらせ投稿を要請していたメールが暴露された。九電の権威は失墜し、原発の再稼働を地元に強く求めることができなくなった。
一週間前に現地を説得した海江田経産相も面子を潰された。ストレス試験は、政府の中で経産省よりもさらに上層部の意志決定ということになる。以前IAEAが日本に原発のストレス試験を提案した時、日本政府は断わっていたが、今回は一転して急にやることになった。誰の意志決定なのか。菅首相が独断で決めたと考えるより、これまでの経緯から考えて、また米政府の原子力安全委員会(NRC)あたりが画策し、絶妙のタイミングでオバマが菅首相に電話して、ストレス試験をしろと要求した可能性がある(米NRCは、自国の原発についてのストレス試験について、やる必要はないと言っている)。
今回のドタバタ劇は、全国の他の原発立地の市町村長たちに、地元の原発の再稼働を簡単に承認しない方が良いと考えさせ、日本の脱原発を上から促進する効果がある。福島原発事故を受けて、日本人の多くは原発に対する懸念を一気に強めたが、それが反原発の市民運動の大きな高まりにつながる流れはあまり起きていない。我慢を美徳とする日本人の習性があるためか、日本では草の根からの脱原発が進まない。その分、日本を脱原発させたい米当局は、上からの謀略的な動きをせざるを得ない。
米当局が日本に脱原発させたがっている前提で考えると納得できる動きのもう一つは、ソフトバンクの孫正義社長が、資金を投じ、脱原発としての自然エネルギー開発を猛然と開始したことだ。孫は、事故後の福島を訪問して衝撃を受け、脱原発に目覚め、自然エネルギー財団を設立することにしたと説明している。その説明自体は、それなりに納得できるとも感じる。
だが「米当局が日本に脱原発をさせようとしている」という前提で孫の動きを見ると、もしかして孫は米国中枢の誰かから「米国は日本に脱原発をさせたい。日本は脱原発せざるを得なくなる」と聞かされ、これをビジネスチャンスと考えて、脱原発的なエネルギー開発に取り組むことにしたのではないかとも思える。米国側としては、日本の財界人の中に脱原発の旗振り役や出資者がいれば、日本の脱原発の動きが加速されて好都合だ。しかし、旧財閥や大手メーカーなど「財界村」で生きている企業の経営者がやると、東京電力から抑止や嫌がらせを受けるかもしれない。その点、孫のような財界村の外にいる新興勢力なら自由に動ける。楽天の三木谷浩史会長も、福島事故への対応を批判して経団連を退会したが、この動きも、孫と同じような背景かもしれない。
日本人の多くは、社会で起きている出来事の裏読みや、いわゆる謀略の存在(諜報的観点)に慣れていない。謀略はイスラエルやロシアの話で、日本は無縁だと思っている。しかし今、日本のいろいろな政治的出来事が、確度の高いことしか言わない優等生的なマスコミの説明で納得できない事態になっている。これはおそらく戦後日本にとっての「お上」である米国の覇権体制の崩壊が進んでいることと関係している。この状態は、今後さらにひどくなるだろう。
PR
コメント