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徽宗皇帝のブログ

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資本主義は小手先の改善策では治療不能である
政治と経済は我々の生活の基盤なのだが、それに無関心な人間があまりに多いのは驚異的ですらある。今にも割れかかっている氷の上で呑気に飲み食いし、毎日を過ごしているというイメージだ。
もちろん、何の力も無い庶民が政治や経済を学んで語って何になる、と冷笑する向きもあるわけだが、そういう姿勢こそが政治や経済をどんどん悪化させてきたのではないか?
庶民の一人ひとりが及ばずながらも政治や経済に真剣に向かい合うことから真の民主主義と、一般庶民が幸福になる新しい経済システムが生まれるのではないだろうか。
で、新しい経済システムが今求められているわけだが、それを私は「制限付き資本主義」「制限付き自由主義」であると見ているわけである。
もともと「無制限の自由」とはナンセンスな思想である。真に自由ならば「何をしても許される」わけだから、法も道徳も存在しない社会になるしかない。
それが「新自由主義」がもたらす社会なのである。
人々はやっとその事に気づきはじめている。
社会システムとは本来自由の制限なのである。したがって、社会全体の秩序は個人の恣意的な自由に優先する。法も道徳もそれである。その秩序をすべて取り払い、「自由な企業活動」を許せば、力あるものが無力なものを虐げ、奪い尽くす弱肉強食のジャングルになるしかない。
それが「新自由主義」の目指す社会である。
私は資本主義自体は否定はしない。しかし、資本主義が欲望の肯定を発展エンジンとする社会システムである以上、それを放置すると怪物化すると考えている。政府の役目、そして国民の役目はそれを監視し、操縦することにある。
下の二つの記事はどちらも「阿修羅」からの引用である。
引用1では資本主義の牙城であるフィナンシャルタイムズが、社会主義(あるいは共産主義)の牙城である赤旗と同じように資本主義の現状について否定的な見解を述べているわけだ。
引用2は日刊ゲンダイ掲載の記事のようだが、「引用1」より具体的に資本主義がどう行き詰っているかを述べている。新自由主義は値段がつかないものを切り捨ててきた、というのは明確な分析であり、それが世界中にはびこる貧困と格差の原因だろう。今、それをどう是正していくかが世界的な課題なのである。
それには社会システムの根本的変更以外は真に有効的な解決策は無い、というのが私の考えだ。


(引用1)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-01-16/2012011606_01_1.html

「しんぶん赤旗」 2012年1月16日(月)
「危機にある資本主義」/英国主要経済紙がシリーズ企画/格差拡大・高失業率…揺らぐ信頼


 英国の主要経済紙フィナンシャル・タイムズが1月9日付から、「危機にある資本主義」と題したシリーズ企画を開始し、格差が広がり、高失業率、金融危機が続くもとで、資本主義への信頼が揺らいでいることを指摘しています。


 フィナンシャル・タイムズは世界中に読者を持つ国際的有力紙。同紙が個々の資本主義国の経済、金融戦略への言及だけでなく、資本主義そのものの「危機」を取り上げることは極めて異例です。

 「5年前ならフィナンシャル・タイムズがこのような企画をすることなど考えられなかった」

 シリーズ開始日に寄せた論評で、こう述べたのは、元米財務長官でハーバード大学学長も務めたローレンス・サマーズ氏。資本主義の牙城と言われた米国で、資本主義を肯定的に考えていない人が40%に達していることを指摘しています。

 その背景について同氏は「不況の広がりと異常なほどの高失業率のもと、資本主義が雇用創出と中間層の生活水準向上に有効なのかという疑問が持ち上がっている」と分析しています。


 同紙コラムニストのジョン・プレンダー氏は、昨年秋から欧米で広がった格差是正を求める「オキュパイ(占拠)」運動の広がりを念頭に置きながら、「強欲な銀行家、過剰なほど高収入の企業経営者、活力のない景気、高率なまま張り付いた失業率…。これらは街頭での抗議行動を引き起こし、発達した国で資本主義への不満を引き起こす原因となっている」と指摘。米国での最高経営責任者(CEO)と一般労働者との所得格差が、1965年の24倍から、2000年には299倍、10年には325倍へと跳ね上がり、格差拡大が無視できない状態になっていることを挙げています。

 シリーズの執筆にあたっているのは、同紙のコラムニストや世界各地の国際金融・政治のリーダーたちです。

 マレーシアで20年余りにわたって首相を務めたマハティール・モハマド氏は12日付で、かつて欧州資本主義諸国の工業製品は世界を席巻したが、第2次大戦後の日本の台頭に続き、今では韓国、中国などからの製品輸出が増えていると指摘。「欧州諸国は、急速にその市場を失っている。欧州中心主義を改めなければならない」と主張しています。

 展開されている議論の中には、資本主義がもたらす弊害を認めつつも、「危機は資本主義そのものに対する告発ではない。いかに政策運営をするのか、改善方向を見いだすべきだ」(11日付、コラムニスト、ビクラム・パンディット氏)など、資本主義存続のために政策の見直しが必要との主張もあります。

 同紙は、このシリーズを2週間は続けると予告しています。



(引用2)


ユーロ崩壊で世界はどうなる!? 資本主義が行き詰まってもいいじゃないか
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-4775.html
2012/1/16 日刊ゲンダイ


経済学者・中谷巌氏インタビュー

経済学者の中谷巌氏(写真/現・三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長)が今週、新著を出す。タイトルはズバリ、「資本主義以後の世界」(徳間書店)だ。ユーロ崩壊が決定的になりつつある今、多くの人が知りたいのがこのテーマだ。資本主義はどうなり、その後、何が起こるのか。中谷氏に聞いてみた。
「西洋が主導してきた資本主義は完全に壁にぶち当たりましたね。日本は20年前から停滞していますが、今後、米国もユーロも失われた20年に突入する。フロンティアが完全に消滅したからです」
コロンブスの新大陸発見以降、西洋は自分たち以外の大陸を征服し、そこから富を得ることで資本主義を発展させてきた。アフリカ、オセアニア、インド。もちろん、日本もそれに入る。主役は2つの大戦で無傷だった米国が担った。しかし、そういう意味での地理的フロンティアはもうなくなってしまったのである。
「そこで米国はグローバル金融市場に目をつけた。世界の覇権国が自分たちのものづくりがうまくいかなくなると、金融立国を目指すのは必然です。通貨機軸国としての立場を利用できるからです。英国はシティーをつくり、米国もそれに倣った。日本には猛烈な構造改革を要求し、閉鎖的な市場慣行を潰しにかかった。そうやってかなりの利益を上げたけれど、リーマン・ショックで、自粛せざるを得なくなった。いい加減なことをやってきたのが世界に露見してしまったからです。
地理的フロンティアもない、金融もダメ。それでは、どこにフロンティアが残っているのか」
こう問いかける中谷氏は、その副作用を列挙した。

◆もともと成長を続けることに無理がある

「資本主義国に余裕があれば、寛大に所得再分配ができるが、それができない。限界はアチコチに露呈しています。99%対1%という格差の拡大、それによる社会の不安定化。環境破壊に対してもCOPは何も決められない。欧米も日本も財政赤字を抱えて身動きが取れない。金融政策も限界で、FRBは6000億ドルもの国債を引き受けたが景気回復どころか、流動性を確保するのが精いっぱいです。みんなが使えるものをすべて使い切ってしまったのです」
資本主義とは、資本家がなんとしても毎年、プラス成長して増殖することを義務付けられているシステムだ。それが止まるとどうなるのか。
「自転車が止まるように倒れてしまうと多くの人が信じているが、そうなのでしょうか。コストが安ければ、使用済み核燃料を処理できないのに原発をつくってしまうのが資本主義です。新自由主義者は何事もマーケットで解決できると考え、その思想はマーケットで値段がつかないものの切り捨てにつながった。文化であり、共同体であり、環境であり、高齢者です。それでも経済成長を続けなければいけないのか。人類学者の中沢新一氏は『日本の大転換』という著書の中で『原子力と資本主義は同じだ。いったん暴れだすと収拾がつかない。健全な人間社会の形成において異物だ』と書いているが、面白い見方だと思います。それに、資本主義における資本とは異星人のようにやってきて、ポンと工場をつくり、都合が悪くなるとどこかへ行っちゃう。もともと、その土地、生活圏には馴染まないものなのです。今後は自己増殖を求めるだけでは人類社会はうまくいかない。文明、発想の転換が必要なのに、儲け話ばかり考えている人々やメディアは耳を貸そうとしない。そこも問題だと思います」
資本主義の崩壊は必然として、それは悪いことではないかもしれない。その後にどんな社会を築いていくかだ。

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