忍者ブログ

徽宗皇帝のブログ

徽宗皇帝のブログ

赤信号、みんなで渡って大惨事
今日は私の駄弁は少なめにし、「長周新聞」記事を二つ紹介する。
一つは経済、もう一つは軍事の記事で、まったく別記事だが、どちらも現在の日本が抱える重要問題に関わる記事だ。そしてどちらも「自分の頭で考えず、『空気』で行動し、その結果他人の手の平の上で踊らされている日本」という構図がある。

「引用1」は企業の海外移転の問題。企業は利潤追求の目的で「安い労働力」を求めてどんどん海外へ移転していく。この流れは、ほとんど不可逆的であり、誰にも止められない。だが、それは真に合理的判断なのかどうか。中国との「半国交停止」によって自動車産業の受けた被害は、あるいは数年分の利益に相当するのではないか。タイの洪水による損害はどうか。ミャンマー(人件費が日本の56分の1!)の「民主化」が、或る日突然終わればどうなるのか。
「愛国心」や「日本社会との連帯」「企業の社会的意義」にはまったく無関心な大企業がいくら損害を受けようがかまわないが、企業の海外移転によって起こる日本の産業空洞化と雇用不足に我々はどう対処すればいいのか。
「引用2」は米国による日本操作の問題。軍事における日中衝突演出とTPPはどちらも「仮想敵国としての中国を利用した米国の利益追求行為である」ということだ。



(引用1)



 また海外移転による生産の脆弱性も指摘され「以前は簡単に生産停止など起きていなかったのに、最近はすぐ生産が停止する。タイで洪水が起きると生産停止、中国で尖閣問題の騒ぎが起きると減産。少し前は台風で海外から来る部品が入らなくなり生産停止になった。目先のもうけや人件費の安いところを追い求めて海外ばかり出て行くが、どこかで災害が起きれば、遠く離れた工場がすぐに止まる。安定生産を維持することもできない状態だ」と地域でも話題にされている。
 この海外移転の動きは自動車産業全体に広がっている。新規工場建設ではホンダがバングラデシュ、インド、ブラジルに計画。マツダはマレーシアで合弁企業を立ち上げる方向だ。スズキはインドの工場が暴動で一カ月生産停止になったことでミャンマーへの進出を検討している。すでにトヨタはブラジル、オーストラリア、メキシコなどへ進出し、三菱自動車もインドやタイに進出している。
 当然、自動車の国内生産は縮小し海外生産が拡大し続けている。2012年度上半期の国内自動車メーカーの海外生産比率はトヨタ=60%、日産=77%、ホンダ=73%、スズキ=64%、マツダ=30%、三菱自=48%、ダイハツ=21%、富士重工=26%。この乗用車8社の総生産台数は約1294万台で、このうち海外生産が795万台。自動車業界の海外生産比率は61%に達している。食糧自給率39%と同様、自動車製造も国内生産は39%に低下。自動車大手は車をアメリカに売るため農産物輸入の自由化を進めて食料生産を破壊してきたが、もうからなくなると国を捨てて海外に出ていき、製造業もぶっつぶす動きとなっている。
 海外移転の流れは自動車関連企業にとどまらず、半導体や家電メーカー、食品会社など全産業に拡大している。タイにハードディスク製造工場を持ちアジア進出を加速している東芝は北九州工場など三工場を閉鎖。1200人の配置転換を押しつけ、移動できない労働者は自主退職に追い込んでいる。最盛期に3000人を働かせていたエム・シー・エス(本社・下関、MCS)は来年3月で閉鎖。シルトロニック・ジャパン(山口県光市)も5月に工場を閉鎖し500人解雇している。
 さらにルネサスエレクトロニクスは3年以内に10工場閉鎖し1万4000人削減。そのほかTDK(来年3月までに7工場閉鎖、1200人配転)、SUMCO(来年度までに2工場閉鎖、1300人削減)、パナソニック(2工場閉鎖)、旭化成(千葉県館山市の工場を来年秋までに閉鎖、200人配転)、シャープ(工場を台湾の会社に売却し、1万人規模の人員を削減)などが次次に大リストラを打ち出している。
 その一方で最近、海外生産の拡大計画を表明した主な企業を見ると新日鉄、JFEスチール、富士ゼロックス、椿本チエイン、ヤマハ発動機、安川電機、日立製作所、三井化学、三菱重工、デンソー、パナソニック、大日本印刷、ダイキン、武田薬品、三陽商会(アパレル大手)、オンワード樫山、キッコーマン、アサヒ、日清食品など多様。進出先はベトナム、インドネシア、インド、韓国、ミャンマー、フィリピン、パキスタン、バングラデシュ、マレーシアなどアジアを軸に、南アフリカ、メキシコ、ロシア、ブラジル、ポーランドもある。世界中で人件費の低い国を物色している。
 アジア各国の人件費(一般工)は日本と比較すると韓国が2分の1で中国が7分の1。他の国はインドが9分の1、フィリピン=11分の1、タイ=13分の1、ベトナム=29分の1、カンボジア=46分の1、バングラデシュ=49分の1、ミャンマー=56分の1。最近はミャンマー進出を狙う企業が増えている。経営が立ちゆかなくなって工場閉鎖に追い込まれたわけではなく、営利追求でアジア各地を食い荒らして回る日系大手企業の思惑があらわになっている。
 日本全体の海外進出企業の動向をみると、海外現地法人の事業所は01年段階で1万2476社。それが9年間で6123社も増加し1万8599社(2010年度)になっている。海外生産をおこなう現地法人の労働者数は01年段階は317万5396人だったが、9年間で約182万人も増え、499万3669人(2010年度)に到達した。海外進出の裏で進行したのが日本国内の著しい疲弊である。
 こうしたなかで、外国人労働者流入の規制を取り払うTPP参加の動きが日米政府間で強行されようとしている。それは企業の海外移転と外国人採用を拡大し、農漁業生産がつぶされた上に製造業までつぶし日本の未来をつぶすことを意味している。製造現場では「大手企業の営利追求で国がつぶされるわけにはいかない」「地場の中小企業を中心に産業を保護しないと日本の未来はない」と切実に語られている。



(引用2)



日本全土の基地化進行 米軍は後方に下げ

 日本国内や米軍基地を巡る軍事動向は、石原知事の尖閣諸島購入発言、それに追随する野田政府の「国有化」、8・15を前後した尖閣諸島への上陸騒ぎ、オスプレイの運用、沖縄での大規模な離島奪還訓練と進み、エスカレートする一方となっている。それはアメリカが今年1月に打ち出したアジア重視の「新軍事戦略」の実行としてあらわれている。
 この「新軍事戦略」はアメリカがアフガン・イラク戦争で敗北し、未曾有の経済恐慌で米国家財政が窮地に陥り、米陸上部隊の維持すらできないほど衰弱するなか、米陸軍の数を10年間で6万人減らし49万人体制にする。同時に対中国戦争をにらみ日本や韓国、フィリピンなどの兵員を前面に立たせ、米軍はハワイやグアム、オーストラリアなど安全な後方に下げるものである。中国の核ミサイル攻撃が届く九州、沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ第一列島線のなかから米軍を外に移動させ、アメリカは通信ネットワークや精密誘導弾などを駆使した「遠隔誘導戦争」をやる作戦である。
 アメリカは中国に戦争を仕かけるが、戦争が始まれば、日本やフィリピンなどの同盟国を盾にし、米軍は無人偵察機による遠隔操作で人的物的犠牲はすべて日本に押しつける方向だ。最初から岩国にしろ沖縄にしろ在日米軍基地はすべてミサイル攻撃を受ける想定である。そのための米軍再編であり、岩国や沖縄の基地の軍備増強であり、オスプレイ配備となっている。
 すでに米軍は2000年代から日本中の民間港を物色し補給、出撃拠点作りを準備してきた。米海軍は下関(山口県)、博多(福岡県)、長崎、鹿児島、新潟、秋田の六港を朝鮮有事の重要港と位置づけている。下関、新潟、秋田が朝鮮半島、鹿児島は中国、博多と長崎が両方をにらむという位置づけで各地の港、空港、道路網整備を急いでいる。
 市民生活にはなんの有用性もない人工島や巨大な道路、橋、トンネルなどに莫大な予算が投じられ、商店街は疲弊し、若者は働く場がなくなり、各地で取り壊された空き家や工場跡地が増加している。それがまた道路やヘリポートなどへ変貌し軍事都市化に拍車がかかっている。市民生活の疲弊と連動して日本全土が基地として戦火にさらされる危機が迫っており日本全体の問題になっている。

 アジア市場略奪を画策 TPP参加を迫る

 それはまた、成長するアジア市場を奪いとるアメリカの経済政策と連動している。アメリカが持ち出したTPPは、アジア・太平洋で日本を中心とするアメリカの経済ブロック化をすすめ、中国と対抗して圧力をかけ、支配下に置くものである。すでに自動車など製造業は、尖閣問題に端を発した中国での販売落ち込みで生産が激減し、国内工場の生産縮小やリストラに乗り出している。輸出入や観光客の行き来にも甚大な影響を与えている。中国・アジア諸国との友好関係が日本の発展の道であることは明らかであるが、その関係を壊し、アメリカの意図に従って日本の富を根こそぎアメリカに差し出せというのである。
 戦後アメリカに占領され、「民主化」と称し「高度成長で豊かになった」と騒がれたが、ここまできて日本社会をガタガタに崩壊させ、日本の富をすべてアメリカが巻き上げ、対中国戦争の盾として戦火にさらす現実が進行している。
 かつて朝鮮、中国、アジア侵略を広げて大破たんした経験を持つ日本民族が、今度はアメリカの尻馬に乗ってふたたび中国・アジア諸国との戦争にかり出されるわけにはいかない。また、広島や長崎に原爆を投げつけ、沖縄戦で大殺戮し、日本全国を空襲で焼き払って基地を奪った民族絶滅政治がいまだに続いている。このアメリカへの従属を断ち切り、独立と平和の世論を全国的に束ねて60年「安保」斗争のような一大政治斗争をまきおこすことに展望がある。140年前、列強の植民地となることを拒絶する馬関攘夷戦争をたたかい、屈辱的な「開国」の道を進む徳川幕府をうち倒して、独立した新しい近代統一国家を樹立した父祖たちの誇りを、現代によみがえらせねばならない。




拍手

PR

コメント

コメントを書く