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徽宗皇帝のブログ

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関岡英之によるTPP解説
「晴耕雨読」から転載。
関岡英之は「年次改革要望書」の存在を世間に初めて知らしめた功績者であったと記憶している。この「年次改革要望書」の存在によって日本が米国の属国である事実が一般国民にも分かるようになり、そこから民主党革命など、新しい日米関係の模索が始まったのだから、関岡氏の功績は現代史の中に特記されていい。
言論は政治に対して無力だという考えがあるが、関岡氏のやったことは明らかに言論によって政治が激動したということである。
関岡氏ほどではなくても、誰も読まないような、ネット上の小さなつぶやきも、思わぬ偶然から誰かに拾われ、転がり始めた小さな雪玉がやがて大雪崩となるように、世界を変える可能性もある。それが情報時代の面白さだ。

さて、下記記事はTPPの性質、TPPの変遷の歴史についてのまとめになっており、衆院選を前に、TPPについて勉強し直すのに適当ではないだろうか。
もちろん、この記事以外にも中野教授の書いたものなど、TPPについて詳しく知りたければ、いくらでもあるとは思うが、TPPについての世間の認識がまだまだ不十分だと思うので、あえて屋上屋を架すわけである。
特に、ISDS条項、ラチェット条項、秘密交渉などがTPPの問題点であり、農業や医療、保険などの一つ一つの協議内容以前に、「交渉に入れば、その段階で抜け出せなくなる」という手続き上の大問題があるのである。
もっとも、最近は私自身、TPPについてはもう読むのもうんざりなので、新しい動向や変更については分かっていない可能性もある。しかし、TPPとは「国家主権の喪失」であり、「グローバル企業による世界支配」の明文化である、という一点さえ押さえておけば、問題は無いと思う。
TPPを、農業分野などだけに話を限定して論じること自体が大きな間違いであり、世間を誤らせてしまうのである。



(以下引用)


関岡「オバマ大統領が就任後初来日した2009年10月、オバマ大統領はTPP参加を表明した。ブッシュに続いてオバマも参加を表明したことで、党派を越えたアメリカの国策となった。オバマがTPP参加を表明する場として東京を選んだことは重要だ。日本抜きのTPPはありえないということだ」

関岡英之「重要な問題がある。1994年に発効したNAFTAの時にかなり成功した、アメリカにとって有利な貿易・投資ルール域外に広げることだ。アメリカはNAFTAでは、南北で国境を接するカナダとメキシコにアメリカ型の貿易・投資ルールを飲ませた」。

関岡英之「それによってアメリカの企業が隣国であるカナダやメキシコで傍若無人に振る舞えるようになった。ISDS条項という国際協定上の強制力がある訴訟条項によって、アメリカ企業が相手国政府を訴えることができる強大な権限が与えられた」。


関岡英之「訴えられる国からすれば、外資による内政干渉を恒常化させ、主権を脅かされる重大な問題だ。NAFTAで味をしめたアメリカは、これを一挙に世界共通ルール化しようとしてWTOに持ち込んだ。そしてWTOの枠組みに投資協定を加えることに成功した」。

関岡英之「そもそもWTOはGATT以来、物品の貿易について話し合う場だったはずなのに、そこに貿易とは本来関係のない投資という分野を持ち込んだのだ。アメリカはISDS条項に象徴されるような、アメリカ企業に一方的に有利で、他国にとっては危険なルール、」

関岡英之「要するに、NAFTAで成功した投資ルールの域外化を一挙に世界規模に拡大しようと画策したのだ。だが、この時インドを中心とした発展途上国が猛反対したため、アメリカが目論んだ最も危険なISDS条項の導入は阻止することができた。しかしアメリカはそれで諦めず、発展途上国が厄介なのであれば、まず先進国共通ルールにしようと、次にOECDに持ち込んだ。この時、ISDS条項を含むMAI(多国間投資協定)という協定の草案を作り、OECDの共通ルールにしようと画策したが、フランスに猛反発されて、アメリカの野望はまたしても打ち砕かれた」

関岡英之「それでも諦めないアメリカは、今度は自国の裏庭と呼んでいる南米に回帰した。北米で成功した投資ルールを一挙に南北アメリカ大陸の共通ルールにしようと画策した。しかし今度はブラジルやベネズエラに真っ向から反対され、ブッシュ・ジュニア大統領が提唱した」 

関岡英之「FTAA(米州自由貿易地域)構想は頓挫した。それだけではなく、中南米諸国は、昨年暮れに『カリブ海中南米共同体』というEUに匹敵するような経済共同体を発足させたが、アメリカはそこから排除されているのだ」。

関岡英之「アメリカは、自分の裏庭だと思っていた中南米からも追い出され、行き場が無くなってしまった。そこで次にアメリカが目をつけたのがアジア太平洋地域というわけだ。TPPに日本を引き入れ、アメリカ型の投資ルールをアジア太平洋地域の共通ルールにしようとしているのだ」。

関岡英之「もしそれが実現してしまえば、EUや中南米諸国もアジアとは貿易があるから、最終的にはこうしたルールを飲まざるを得なくなるだろう。日本がどのような決断をするかは、単に日本だけの問題ではなく、世界に影響を及ぼすことになる」。

関岡英之「これまでインド、フランス、ブラジルなどの国が、アメリカの野望を見抜き、ISDS条項に象徴されるアメリカ型投資ルールの危険性を察知して、アメリカの様々な圧力をはねのけ何とかそれを阻止してきた」。

関岡英之「もしここで日本がみすみすアメリカのお先棒を担いでしまったら、かれらの今までの努力を無にすることになる。日本の責任は重大だ」。

関岡「今年3月に米韓FTAが発効した。韓国人が毒素条項と呼んでいるISDS条項がこのFTAには盛り込まれている。米国は『米韓FTAはTPPの予行演習』とみている。つまり、最終的にはTPPに持ち込みたいルールをまず米韓FTAに盛り込んだのであって、本当の狙いは韓国よりも日本なのだ」

関岡英之「韓国はGDPが日本の5分の1以下の小国である。韓国は、いざ批准しようと土壇場になってISDS条項の問題性に気づき、国会で野党議員が催涙ガスをまいてまで批准を阻止しようとしたが、時既に遅しで強行採決され、発効してしまった」。

関岡英之「世界の国々は、日本は韓国と違って成熟した先進国だから、韓国のような不様な失態は演じないだろうと、一抹の不安を抱きながら固唾を呑んで日本の去就を見守っているのだ」。

※ここまで。

逓信「耀」12月号。

逓信「耀」12月号⇒http://ow.ly/fKomA続き⇒http://ow.ly/fKoow ※TPP参加への警鐘(関岡英之先生=城内実対談)⇒http://ow.ly/fKorO



(参考記事「神州の泉」より)





2012年12月10日 (月)



鳩山-小沢ラインによる第一次民主党は、“年次改革要望書”を廃止した救国政権だった!!!




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 植草事件が、戦後日本の政治経済、あるいは統治体制にとって、どのような意味と位置づけを持っているか皆さんは考えたことがおありだろうか。神州の泉は京急事件に触れてから、日本の政治や経済の在り方や、統治の現実を考えざるを得なくなった。それまではあんまりそういうジャンルには興味を持たずに過ごしてきた。もっと具体的に言うなら、神州の泉は、大手メディアの報道を深く考えずに、そのまま受け止めていたことが多かったように思う。つまり、B層国民に片足を突っ込んだようなノンポリの一人であった。

 ところが、植草事件に関わってから、それまで描いていた日本の全体像ががらりと変わり、官僚横暴のあまりの酷(ひど)さと、対米隷属統治体制の闇の底を否応なく凝視せざるを得なくなっていた。ご存じのように、2004年と2006年の植草事件(国策捜査)は、植草一秀氏が、小泉政権を苛烈に弾劾したことが間違いなく引き金になっている。植草氏が、小泉-竹中構造改革路線の悪の構図をどこまでも掘り下げて行った場合、誰がそれに一番危惧を感じるのかと言えば、それは小泉政権を動かしていた米系国際金融マフィアの手先である米国の対日戦略家たちと、それに阿諛追従する国内既得権益勢力であった。

二番目は、植草氏が財務省(旧大蔵省)の洗脳的な徴税大作戦TPRの実態を暴いたことに対する怒りと危機感を抱いている財務官僚たちである。植草氏自身が述べておられるように、彼は大蔵省がTPRを創設した際の事務局メンバーであったから、TPR情報について、これほど確かなものはないのだ。植草氏はこの原体験があるから、誰よりも早く野田総理が推し進めた消費税増税の本質に気づき、小泉政権糾弾と同様に、不退転でこの法案の筋の悪さ、反国益性、反国民受益性を指弾し続けている。

 2003年に植草氏は、竹中平蔵氏が率いた金融プロジェクトチーム(PT)が行った、極めて不可解で怪しい動きを見抜き、いわゆる、りそな銀行救済にまつわる一連の大掛かりな株価操作の疑いを“りそなインサイダー取引疑惑”として徹底的に追及する構えを見せた。これには国内既得権益勢力のみか、外国資本が濃厚に関わっていた。これは外国資本と、これと結託していた国内勢力のコラボレーションによる日本国富収奪作戦であった。この形は郵政民営化でクライマックスとなった。ゴールドマン・サックスら、米系国際金融資本が、郵貯と簡保にストックされている340兆円の郵政資金を狙う計画が郵政民営化であった。

 このためにUSTR(米国通商代表部)を筆頭とする対日戦略部隊が、あの手この手を駆使して民営化の実現に働きかけた。これらの動きを俯瞰すると、小泉政権以降に日本に導入された新自由主義の猛威は、アメリカが日本市場を制度改悪と「悪の規制緩和」によって、国際金融資本が食い込みやすい形に改造することにあった。この指針として使われたのが1994年から継続されていた、日米間の「年次改革要望書」であった。日本人にとって、年次改革要望書は「悪のバイブル」なのである。

なぜなら、この要望書が謳うことは、日本独自の商習慣やしきたりで築いていた市場性格をことごとく破壊して、一方的にグローバル・スタンダードでルール統一することだったからである。竹中平蔵氏が口癖のように言っていた“イコール・フッティング”は、「同等の条件」だと簡単に説明されるが、要は、その国の事情によって成り立っているすべての環境条件をグローバルスタンダードに合致するように破壊せよという意味である。外国資本が一人勝ちするような制度改革と規制緩和を、日本人の手で行うように、われわれは隠然たる強制を受け続けているのである。国際金融資本は日本市場の改造だけでは飽き足らず、日本の慣習や文化すべてを無価値化しようとしているが、それが年次改革要望書が求める最終進化形であるTPPである。

 日本のマスコミが国民受益に一貫して背反する存在であることは、悪の内政干渉指令書である年次改革要望書の扱いを見るとよく分かる。この両国による要望書は1994年に開始しているが、マスコミはこれが発効されたことも、継続していたことも、失効したこともいっさい報じる姿勢がなかった。世間が騒ぎだした後に、わずかにフジテレビがこれに触れた番組があったが、趨勢的に眺めれば、マスコミはこの要望書が生まれてから消えるまで一貫して無視していた。

 マスコミはいっさい報道しなかったが、2009年9月、鳩山政権誕生と同時に年次改革要望書は廃止された。1994年から15年間続いた年次改革要望書の交換を破棄したのである。これがどれほど救国的な行為か分かるだろうか。鳩山氏と小沢氏は、この悪しき内政干渉指令書を止めたのである。これは言い換えると、小鳩ラインが国民の生活を守る方向に舵を切っていた紛れもない証なのである。神州の泉にはこれが本当に心のある政治だと思う。

 安倍晋三氏が救国的な宰相になりうると信じている人たちがいるが、それならば彼は、2006年9月26日から2007年8月27日までの安倍内閣を運営していた時、なぜ年次改革要望書を廃棄しなかったのだろうか。彼は国際金融資本の猛威から日本を防衛する意志がまったくないからである。おかしいだろう。国を国際金融マフィアの強奪する状況に任せておきながら、国防軍の創設と言っても筋が通らない。まずは日本の経済市場を防衛することが先決なのである。国民の生活を外国資本に滅茶苦茶にされ、未来の希望が失せて、何の国防、何の憲法改正なのだろうか。

 小泉-竹中路線が行ったことは、国際金融マフィアに日本国富を貢ぐことだった。そのベースに厳然として居座っていたものが「年次改革要望書」であった。国を守り、国民生活を守る意思があったなら、安倍内閣はまずもって、この年次改革要望書を破棄することが先決だったことになる。2010年6月4日、鳩山内閣が総辞職して菅直人が総理大臣になったが、菅政権はこの瞬間から対米隷属に舵を切っている。

 アメリカは年次改革要望書の復活を強く求め、これを受け入れた管首相は、そのままのネーミングではまずいだろうということで、「日米経済調和対話」という新しい名前で復刻させた。鳩山-小沢ラインが、安倍晋三氏の対米隷属の姿勢とは対蹠的に、間違いなく救国政権だったことが、年次改革要望書を取り止めた一事でよく分かる。従って、小沢氏を排除し、鳩山氏の求心力を殺いだ、藤井裕久氏を筆頭とする民主党裏切り議員たちの罪は非常に重い。この経緯は小泉俊明議員の著書「民主党大崩壊!」に詳しく書かれている。








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