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徽宗皇帝のブログ

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NHKのクリーン・ヒット
TORA氏の「株式日記と経済展望」より転載。(最後の「私のコメント」は、言うまでもなくTORA氏のもの。)元記事は、NHKスペシャルを文章化したもので、誰が書いたか知らないが、その作業に感謝したい。こういう無償の努力が、インターネットの世界ではごく普通に行われているのであり、著作権がどうのこうのとか言うより新しい時代の「知の共有」の面を重視するべきだろう。知はもともと所有権など無いし、あらゆる知的創造は先人から学び、盗んだ知から生まれるものなのである。
前から書いているように、私・徽宗皇帝はTORA氏とは異なる政治思想の持ち主だが、こうした議論が行われることが日本人の政治意識を高め、日本を良くすることにつながると考える者であり、まずはお互いの議論の叩き台としてこうした情報を共有することが一番大事だと考えている。そして、日本の公教育から現代史と現代政治が忌避されたことが日本人を無知にし、現在の政治的混沌と退化を招いたという点ではTORA氏と同意見である。
天木氏はここに引用された第四回の内容に批判的だが、私はNHKでここまで発言できたというだけでも素晴らしいと思う。商業マスコミにおける発言規制と偏向を考えれば、この程度の発言さえも大胆だと言うべきだろう。もちろん、NHKも政府に気兼ねしながらの番組作りをしているのだから、完全に本音での発言などできるはずはないのである。


(以下引用)


◆NHKスペシャル シリーズ 日米安保50年 第4回 12月11日 テレビをみるひと

(寺島)僕も 全く好きじゃないんだけど突き詰めていった時にね日米安保が ゆがんだ本質って何なんだろうってことを僕も ワシントンに長くいていろんな人と議論しながら感じたことなんですけど日米安保で 飯を食ってる人たちっていうものを日米双方で つくってしまった。例えば ワシントンでね例えばアメリカの世界外交戦略だとかそういう大きな世界戦略の構想に関わってるレベルの人たちではなく日本問題だけで 特殊に飯 食ってるような人たちね。常に それらの人たちに日本のメディアも お伺いを立ててショ-・ザ・フラッグだ 何だって話につながっていくことなぜ ああいうことが起こるのか。

それから もっと 我々自身 よく問いかけなきゃいけないのはアメリカが悪いなんて話じゃなくて我々自身の問題としてね 例えばなぜ 防衛次官が逮捕されるような事件が起こったのか。つい この間ですよね。思い出していただいたらですねもたれ合いの構造というかねアメリカ自身もね駐留経費を7割 日本側が持ってるという構図の中で日本における基地だけは 特殊にいかように理由をつけてでも存続させねばならないということに つながってってるというパラドックスを 僕 感じるんですよね。そういう意味合いにおいて当初の 冷戦期のスタートの時点に持ってた構想とか考え方とか大きく ゆがんじゃってもたれ合いの構造の中でお互いに議論を深めて敬愛に値する関係に持っていくっていうことに大変 大きな障害が起こっているというのが僕の率直な印象ですね。

(寺島)僕は 駐留経費を負担してはいけないというのではなくてやはり すべて バランスですからおっしゃる論点は 分かります。だけど 我々 日本人として根底において失ってはいけない意志は何だと言ったら私は 世界を動き回ってるから余計 感じるのかもしれませんがホントに常識に帰る意志なんですよ。

それは 何だと言うと一つの独立国家に敗戦後65年もたって 外国の軍隊がさっきのような規模で駐留し続けてる。 しかも地位協定上のステータスが占有権を持ってる基地が圧倒的だという状況を変えていこうという意志を見せずにそれで 金さえ出してるんだからという話をしてるんじゃない。要するに そこのところの意志をしっかり持って匍匐前進でもいいから一歩ずつでもいいからものを変えていくことを見せないと例えば 沖縄の問題だって沖縄の人たちが見てるのは自分の所から基地が出てってくれればどこか 日本のほかのとこに行ってくれればいいという程度の問題意識ではないんです実際に議論してみると。

もっともっと 日本の安全保障のことも 真剣に彼らも考えてます。だけど 先にあるもの 例えば5年 10年 15年という先に日本は どうしようとしてるのか米軍基地の問題を。昔の 例えば 社会党が言っていた反米 反安保 反基地という話じゃないですよ。要するに米軍のこの地域における抑止力としての価値も吟味して しっかりと認める立場にある人間こそ逆に言えば 段階的に どこを目指してこの国は行くんだということを示さないからフラストレーションが見えてくるのがポイントだと思う。 

その根底にある問題意識が我々 なにも ナショナリズムにかられて言ってるんじゃないですよ。世界の常識として 国際社会でしっかりした意志を持った国として発言するためには独立国家に 外国の軍隊が駐留し続けてることはおかしいんだと。それがいかに 同盟関係であれですね。それを 変えていく意志がなきゃ駄目だというのが根底だと思いますよ。

(田中)私は 決して異論があるわけじゃないんです。日本として すべて 国際情勢は変わっていくわけですし戦後六十数年たって 同じことを続けていくということはいいとは 全然思わないし変えてく必要はあると思います。基地だって引き下げていかなきゃいけない。それは そのとおりだと思います。ですけど片っぽだけの議論をするわけにいかないじゃないですかと。日本の安全を どういうふうに担保するんだという議論今の国防予算を GDPの0.8を例えば2%まで引き上げますかと。どうですか?

(寺島)僕は あれだと思いますよ。駐留米軍経費のコストを思いやり予算も含めて約6,000億近く負担してますが日本が 一歩ずつ 主体性のある形での安全保障を組み立てていく方向にするべきだと思ってますよ。つまり それを自主防衛と言おうが段階的に接近していかなきゃいけないと。ただし 軍事大国への野望だとかそういうことに対しては極めて自己制御の効いた問題意識がなきゃいけないと思いますけれどもただ 本当に常識を失ってしまった65年というのかなつまり 自分は 大人だと思い込んでいる子供というかよく アメリカの外交の議論の中に日本のことを プロテクトレイトと呼ぶ議論があるんですね。 プロテクトレイトは保護領という意味なんですよ。我々にしてみれば 1951年のサンフランシスコ講和条約時代俺たちは もう独立国だと思ってますけどもやはり 外から見れば そう見える理由というのは何なんだろうということを考えなきゃいけないと思います。

(寺島)今の議論が 僕ものすごく大事だと思うんです。私も 北京大学だとかでしっかり議論してみて感ずることなんですけど中国の本音は すごい複雑で日米同盟に関してそれを必ずしも 自分たちの脅威と思ってる部分だけじゃなくて世に言う 「瓶の蓋」論ってやつなんですけども実は アメリカが 日本に駐留していることによって日本軍国主義の復活を押さえる瓶の蓋として機能してるというような 複雑な…いわゆるコンテクスト 文脈で理解したり期待したりしてる部分もなくはないっていう複雑骨折してる。そういうことをも しっかり踏まえて 私 申し上げたいのは日本近代史を貫いてるんですけども米中関係が見えないっていうところが我々の歴史の中のブラインドになってるということ。アメリカと中国との関係。で 今現在も そうなんですよ。何やら 日米で連携して台頭する中国の脅威と向き合おうっていうゲームを もし組み立てるような単純な話で今 我々の置かれている状況を理解してるならとんでもなく ずれてきててなぜならば米中関係っていうのは こういう軍事的な側面もあるけどももっともっと密度の濃い交流っていうのが 深まってると。例えば 去年 米中貿易は日米貿易の もう2.5倍になっちゃったんですよ。それから 去年 アメリカ人として中国を訪れた人って171万人なんですよ。日本に来たアメリカ人は 70万人です。100万人以上多くのアメリカ人が中国を訪れている。その背景には例えば ビジネスフォーラム見ててもやはり 21世紀の経済大国中国に対する魅力を感じてものすごい熱気でビジネストークが行われていると。更に 米中戦略対話というやつなんですけどもアメリカと中国との間で 閣僚級10人ぐらいの人が集まってもう 2006年から積み上げてきてますけどもオバマ政権になってアメリカ 更に それに踏み込んで安全保障の問題まで戦略対話のテーマに取り上げ始めて要するに 実は 日米で連携して中国の脅威に 向き合うなんていうゲームじゃなくて米中の 要するにコミュニケーション 意思疎通というのがものすごく太くなっていることに対して我々自身が認識してなきゃいけないと。だからこういう軍事的な力学でもって中国を あたかも封じ込めるような地点に我々が立っているのではないということを今の 田中さんの話に付加して申し上げておきたいですね。

(寺島)僕はね段階的接近というのが大事で安保を解消しようとか日米同盟を軽視しようなんて話じゃなくて重視するからこそ正面から 向き合って僕は まず 自立への一歩として1993年に ドイツがやったように米軍基地の目的をしっかり吟味してその抑止力の中身を吟味して段階的縮小と 地位協定の改定いわゆる占有権を与えた基地から日本側が管理権を持った基地へ性格を変えていく。それから 北東アジア情勢の変化を横にらみしながら段階的に米軍基地の縮小を図ってだけど空白 作っちゃいけないから例えば ハワイ グアムまで引き下がった米軍が緊急派遣的に アジアに展開して安定を保つということのために日本が ある程度のコストの分担を続けるなんていうことも過渡的な状況としては一つの選択肢としてあってもいいと思うんですよね。更に 最終的にはバランスのとれた自主防衛に…何十年かかるか分かりませんがね。いわゆる軍事大国への誘惑を断って専守防衛という 要するに憲法精神にも矛盾のない防衛の構想っていうものをしっかり踏み固めて進みだしていくっていうのが僕は 日本の安保の自立でそれが 段階的接近ではないかなと思いますけどね。

(田中)そのとおりですね。日本の安全保障政策として何と何と何をどういうことをやっていく必要があるのか ということですよ。日米安保体制は 続いているし私は 大事なことだと思うから日米安保間でも きちんとした戦略協議をやって日本が 安全保障政策として何をしたいかということをきちんと相談をしていくべきだと思いますよね。なぜ 今まで 根本的な議論ができなかったんでしょうね?こういう自立した外交とか自立した日本独自の安全保障を考えるということが 十分にできなかったんでしょうか?


寺島実郎日本総合研究所理事長と田中均日本総研国際戦略研究所理事長


◆画龍点晴を書いたNHKの日米安保50年スペシャル 12月12日 天木直人

読者の皆さんは昨晩(12月11日)で終わったNHKスペシャル「日米安保
50年」という4回連続番組をご覧になっただろうか。

 私の感想は、結論から言えば画龍点晴を欠いた番組に終わり残念だった、という
ものだ。

 3回までは良かった。日米安保が出来るまでの経緯とその欺瞞、変貌をわかり
やすく説明する番組になっていた。

 その番組に基づいて締めくくられる第4回の討論番組は、当然のことながら
今後に日米安保をどうするかを正面から議論する、まさしくこの特集番組の掉尾
を飾る番組になって、特集を終わるべきものと期待された。

 その結論はもちろん日米安保をなくす、という私の持論で終わる必要はない。

 日米軍事同盟は必要だ、という意見で終わってもいい。

 議論が平行線で終わってもいい。

 重要な事は、国民の前で、論点をごまかすことなく、主要な問題点を浮き彫り
にさせることである。

 それがなかった。

 論点の最大のものは、全3回の番組で繰り返し明らかにされた、「日米安保条約の条文の文字は一字一句変わっていないのに、ここまでその内容が変貌してしまった」、
そればなぜか。誰の責任か。これからどうすべきか、という点だ。

 ジャパンハンドの一人であるアーミテージが言っていた、「同盟とは自ら血を流し、相手のために血を流す。そういう関係だ。ただそれだけだ」という言葉に基づいて、これからの日米関係はそれでいいのか、という点を議論すべきだった。

 出席者はその議論を避けた。というよりも司会者がそれを避けた。

 何よりも出席者が悪かった。実は当初私もその一人に呼ばれていた・・・



日本の安全保障のあるべき姿は日米同盟よりアジア安保???
なぜアンケートの中に駐留なき日米安保体制がないのか?


(私のコメント)
NHKの日米安保50年スペシャル番組を見ていましたが、既に60年安保反対闘争を戦った人たちは70歳以上となり、日米安保に対するアレルギーは若い人の中にはほとんどないようだ。というよりか国防や外交問題をほとんど考えると言うことがなくなってしまった。だから70年安保闘争以降には、安保反対デモは消えてしまった。

なぜならば60年の安保反対闘争に危機感を感じた日本政府とアメリカは、教育段階から徹底した政治に無関心になるような教育を行なって、学校内で政治問題などを討論する事は全くなくなってしまった。教職員の中でも日教組の問題があるからイデオロギー的な問題はタブーになってしまった。

高校のカリキュラムの中でも歴史教育は選択科目とされて、世界史や地理を知らない大学生も出てくるようになって、日本とアメリカが戦争をしたことも知らないような高校生も出てくる。だから中国人や韓国人から歴史問題を突きつけられても日本人の大学生は何も知らない。学校で教えられてこなかったからだ。

近代史や現代史を知らなければ、現代の日本の国防や外交を論ずる事も出来ない。しかし民主主義国家においては国民の一人ひとりが国防や外交問題などにも精通して行かなければなりませんが、日本の国防戦略や外交戦略を論じたようなブログは僅かしかない。株式日記では駐留なき安保を主張して自主防衛体制を強化することを主張しています。

そのような見地でNHKのスペシャル番組を見ていましたが、NHKの世論調査によれば日米安保に対しては否定的なアンケート調査が出た。国民の大勢的な意見としては在日米軍基地は段階的に縮小していくべきと言う意見なのでしょうが、国防予算を拡大していくべきと言う積極論は一部に限られる。日本の国防予算は年々削られて減少している。

在日米軍基地を縮小させていく為には日本の国防予算を増やさなければ軍事的な空白が生じて中国や北朝鮮が暴れだす。日米安保に反対する勢力としてはほとんどが左翼的な勢力であり、自主防衛論からの日米安保反対は少数派に過ぎない。国会議員の中でも安保反対在日米軍基地撤去を主張しているのは共産党と社民党ぐらいで、日本には自主防衛を主張する政党が無い。

NHKの討論の中でも寺島実郎氏が「独立国家に外国の軍隊が駐留し続けるのはおかしい」という常識が日本人から欠落してしまって、共産党も社民党もミニ政党となり、自民党も民主党も日米安保堅持政党だ。しかし90年代の米ソ冷戦終結によって日米安保は役割を終えたと思うのですが、20年近くたっても日米安保を見直そうという意見は少ない。

日本における民主党政権の誕生は日米安保見直しの良いきっかけになるかと思われましたが、鳩山内閣の沖縄の普天間基地返還論でも日米の間に亀裂が入ると大騒ぎになった。寺島実郎氏が言っているようにアメリカと中国の関係が密接になり、経済的に見ればアメリカと中国は一蓮托生的な同盟関係にある。そのような関係で米中が軍事的に対立関係に入ると言うのは有り得ない事だ。

最近は中国の軍事的な脅威が目立つ事件が多くなりましたが、アメリカは新たなる冷戦体制を構えて中国と対峙して行くつもりなのだろうか? そうなると日米安保体制もまた変質して行く事になりますが、アメリカの外交が中国封じ込めに動くのだろうか? そうなると日本が中国との対立の最前線という事になります。

アメリカの世界戦略は在日米軍基地があるからこそ成り立つ戦略であり、もし日米安保がなくなればアメリカはハワイからケープタウンにいたる制海権を失う事になる。それで一番喜ぶのは中国ですが、沖縄の米軍基地が一つのキーポイントであり、鳩山首相の普天間基地海外移転要求は、一つの転換点でもあったのだろう。

アメリカがもし中国封じ込めに動いたとすればアメリカの外交戦略に大転換が起きた事になる。しかし昨日の討論ではそのような見方をする人はいなかった。アメリカの中にも米中関係を重要視する勢力もあり、中国封じ込めを主張する勢力もある。しばらくはアメリカの動きを注視しなければなりませんが、日本の動きがカギを握っている。


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