マスコミに載らない海外記事さんのサイトより
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-0dc8f4.html
<転載開始>


2025年1月10日
Strategic Culture Foundation
論説

 デンマーク主権、ひいては欧州連合主権のトランプによる蹂躙は残忍な威嚇行動だ。

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 こういう友人がいれば敵など不要だ。かくして自国「最強の同盟国」とされるアメリカの地政学的野望に関し、自国が、いかにどうでもよい存在かデンマークは思い知った。

 ドナルド・トランプ次期大統領は、まるでハト小屋の中の猫のようだ。彼らの領土をアメリカが強制的に併合するという最近の彼の発言で近隣諸国や同盟諸国やNATO加盟諸国全員動揺している。

 1月20日に二度目の大統領職に就く元不動産王は不動産買収ラッシュのように大統領としての政策を打ち出している。カナダを51番目の州として併合し、パナマ運河の管理権を取り戻し、メキシコ湾をアメリカ湾に改名し、デンマーク領グリーンランドを併合したいと彼は考えている。

 共和党次期大統領の発言を虚勢と大げさな自尊心だと片付けるのは簡単だ。自分の能力を宣伝する際、彼は特に大げさに言う傾向がある。「24時間以内」でウクライナに平和をもたらすとトランプは語ってきた。また以前、自ら「事業の天才」と彼は称していた。第一期政権時代には、アラブ諸国とイスラエル間で「世紀の取り引き」を仲介すると語っていたが、結局その構想は、ガザでの大量虐殺とレバノン侵略という惨事に終わった。

 従ってアメリカの新たな領土獲得に関するトランプ発言は余り文字通りに受け止めない方が良いだろう。気まぐれで、実に投機的に過ぎない。真意は目をそらすことだとロシア元大統領ドミトリー・メドベージェフは述べ、これを「宇宙的愚かさ」と呼んだ。

 一体何から目をそらすのか? ウクライナの惨事から国際社会の目をそらすために、併合に関する荒唐無稽な話をトランプ大統領と顧問らは故意に煽っているのだと地政学専門家ギルバート・ドクトロウは見ている。アメリカ主導のNATOによるウクライナでの対ロシア代理戦争はワシントンと同盟諸国にとって紛れもない災難だ。この三年間の戦争を終わらせるためロシア軍が急速な進撃を続ける中、キーウ政権は軍事的崩壊に直面している。

 ロシアの条件に同意して、この大惨事からアメリカが抜け出す必要があるのをトランプは知っている。そのために、カナダを占領し、デンマークからグリーンランドを奪取するという一見突飛な話をトランプはしているのだ。実現しないかもしれないが、新たな土地を求める願望は確実に世界の注目を集めている。

 それでも、グリーンランド収用をトランプが真剣に考えているのではないかという疑念はひそかにある。今週フロリダ州マール・ア・ラゴでモンロー2.0政策を発表した記者会見で、数年にわたりアメリカはグリーンランドに注目してきたとトランプは述べた。つまり、これは単なるトランプ個人の取り組みではないのだ。

 この北極の島(大陸以外の島としては世界最大)を、アメリカ国家安全保障上の重要権益と彼は呼んだ。特に、北極圏でロシアと中国の権益が高まっており、アメリカは介入すべきだとトランプは述べた。気候変動により北極圏に新たな航路が生まれ、豊富な天然資源採掘の可能性が生まれている。この地域で最大の存在感を持つロシアは当然正当かつ有利な主張をしている。

 領土に関する希望リストをトランプ大統領が発表した同じ日、息子ドナルド・ジュニアが宣伝活動のため個人的にグリーンランドに飛んだ。トランプ大統領の息子は首都ヌークで役人から歓迎されなかったが、グリーンランド人の「歓迎パーティー」がでっち上げなのは明らかだった。

 一方、フロリダでの自由奔放な記者会見で「グリーンランドに対する法的権利をデンマークが持っているかどうかさえ国民は知らないが、もし持っているなら、国家安全保障上必要なので、放棄すべきだ」とトランプは述べた。

 間もなく第47代大統領になる彼は領土奪取のため軍事力を行使する可能性を排除しなかった。

 鳩小屋に猫が忍び寄るのを見た鳩のようにデンマークとヨーロッパの政治家たちは臆病に反応した。「グリーンランドは売り物ではない」とデンマークのメッテ・フレデリクセン首相は反抗的態度を取った。ヨーロッパ主権は不可侵で、トランプが一方的に国境を変えることはできないとドイツとフランスは弱々しく警告した。デンマーク領土を守るためEUが共通防衛協定を発動する話さえあった。ではNATOの相互防衛協定はどうだろう。事実上のNATO指導者アメリカから、NATO加盟諸国はデンマークを守るのだろうか。

 トランプは気が狂っていて傲慢なのかもしれない。だが彼の流儀で価値ある点は、少なくとも無意識に、アメリカとNATO同盟諸国の酷い偽善と道徳的破綻を暴露していることだ。

 アメリカとNATOはウクライナで三年間にわたり流血沙汰を引き起こし、第三次世界大戦に発展する危険をはらんでいる。その全てが、ロシアの侵略とされるものからウクライナの主権と国境を守るという神聖な祭壇の上で行われている。

 その後トランプが登場し、同盟国とされる国々の領土を併合すると脅迫している。

 その不条理さは、国際法の遵守と国境の尊重に関する欧米諸国の主張の虚偽さを露呈している。更に不条理なのは、保護国だとアメリカが主張する「同盟諸国」に対する自らの攻撃性と軽蔑をアメリカ新大統領が露骨に宣伝していることだ。

 最近の一連の記事で、デンマークのアメリカに対する卑屈な追従をロン・リデノーは軽蔑している。昨年デンマークのフレデリクセン首相がアメリカとの「防衛協力協定」に署名しアメリカをデンマークの最強同盟国と宣言したばかりだとリデノーは指摘している。

 NATO加盟諸国の中でデンマークは最も親米的かつ強硬派な国の一つになった。ウクライナにF-16戦闘機を最初に供給した国の一つでもある。

 これまでロシアに対して主張してきた以上に、アメリカからの脅威をNATO加盟国が感じているのは、なんと馬鹿げたことだろう。

 デンマークの主権、ひいては欧州連合主権のトランプによる蹂躙は残忍な威嚇行動だ。玄関マットのように振る舞えば、玄関マットのように扱われる。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2025/01/10/trump-tramples-danish-doormat-with-threat-annex-greenland/