首相主催の「桜を見る会」をめぐり、第2次安倍政権発足後の14年以降、参加人数や費用が急増している問題で、安倍晋三首相の地元後援者が約850人参加したとされる疑惑が、首相の公的行事の「私物化」として、波紋を広げている。


野党は12日、追及チームの初会合を開催。招待客選定を担当する内閣府は、今年の招待者リスト提出を求められたが、保存期間が1年未満とされる文書として「終了後、文書、電子媒体とも廃棄した」と拒んだ。ただ、目的次第では文書保存を「1年」とする規定もあることが判明。その規定を書いた内部文書を提出させられるはめになった担当者は「いったん持ち帰らせてほしい」と、釈明した。


政府側は「各省庁の意見を踏まえ、功績があった方を幅広く招待する」と繰り返したが、野党側は「安倍事務所を通せば、フリーパスで行ける枠があるのではないか」と追及。また、招待状の名前と実際の訪問者の本人確認をしていないことが分かり、野党が「キャバクラ嬢という方が参加したとネットで公表している」として、警察庁に推薦の有無を問う場面もあった。


政府答弁は終始歯切れが悪かった。予算額も従来の約1766万円が来年度要求額は約5728万円と、不可解なほど急増。野党は「本丸直撃」(立憲民主党の枝野幸男代表)と位置づけ、「外堀を埋め、総理が答えるしかない状況をつくる」と息巻く。首相の「私物化疑惑」は政権にも打撃だ。菅義偉官房長官は会見で招待客の選定基準の明確化を検討すると、火消しに走り始めた。【中山知子】