「いろいろ自分なりに調べてみると、もう、根拠あるのかなっていうようなことを、根拠がないだろうと思えるような、そういうことで、この団体(統一教会)との関係が、もう、あることないこと、ないことないこと、ものすごい言われているので、それをもって誤解をしてしまうってこと、そういうことにも繋がっているんじゃないのかなと僕は思ってしまう」
容疑者も供述で触れているように、統一教会系のNGO団体・天宙平和連合(UPF)の集会に安倍氏がビデオメッセージを寄せているのは、動画も残っている客観的な事実だ。しかも、これは別稿できちんと検証するが、安倍元首相、自民党安倍派と統一教会の繋がりは祖父・岸信介氏の代から続いてきたもので、その構造的な癒着を示す証拠も複数ある。
こうした事実を、政治評論家を名乗る田崎氏などは知らないわけがないのだが、田崎氏は「聞いたこともない」とすっとぼけ、橋下氏も「ないことないこと」などと言って“ネットの陰謀論”扱いしたのだ。
■田崎史郎、古市憲寿はすっとぼけ、東国原英夫は「純粋に世界平和を願おうよという動きに賛同」とトンデモ擁護
さらに酷かったのが、東国原英夫氏だ。東国原氏は11日放送『ゴゴスマ』(CBCテレビ)で、容疑者の母親が統一教会に多額の寄付(献金)をおこなっていたことについて、「日本には宗教の自由があるから、その範囲内での自己責任、自主的な信仰」と発言。統一教会をめぐっては、借金してでも献金を迫るという問題が取り沙汰されているというのに、それを自己責任と言い放った。挙げ句、安倍氏と統一教会の関係についても、「政治家は(宗教と)一定距離は置かなきゃいけない」と言いつつ、絶句するような擁護を繰り広げたのだ。
「宗教団体が掲げているイデオロギー、今回(統一教会)は『世界平和』だが、そういったものに賛同される政治家は多い。純粋に世界平和を願おうよという動き、活動等に賛同を寄せられる政治家はいらっしゃる」
あらためて指摘するまでもないが、統一教会は80年代以降、霊感商法が社会問題となり、現在も前述のように献金トラブルが報告されている団体だ。そして、UPFなどのような団体も、統一教会の教義を政治的・文化的に実現する目的で設立され事実上一体なのは自明であり、一部の団体は巨額の献金を集めるための装置としても機能してきた。
にもかかわらず東国原氏は、統一教会のイデオロギーを「世界平和」なのだと喧伝し、賛同を寄せるのは当然であるかのように語ったのである。この東国原氏の主張がまかり通るなら、団体名に「世界平和」という言葉さえついていれば、政治家はどんな反社会的団体や犯罪集団と付き合っても許されることになる。東国原氏がこんな小学生みたいな強弁までして統一教会を擁護する理由はなんなのか。
一方、田崎、橋下、東国原各氏のように客観的事実を「なかったこと」にするのはさすがに無理があると考えたのか、もう少し巧妙なやり口で統一教会と安倍元首相のつながりを矮小化しようとする動きも出てきている。それは、「政治家が宗教団体と仲良くするのは当たり前」「安倍さんと統一教会もよくある付き合いのひとつ」という主張だ。
安倍昭恵氏と親しかった“社会学者”の古市憲寿氏も、このロジックを持ち出していた。古市氏は11日放送の『めざまし8』(フジテレビ)で、「ネットを中心に陰謀論のように、宗教団体(統一教会)と安倍さんの関係がすごく深いんじゃないかってことが議論されてた」と“陰謀論”扱いしたうえ、こんなふうに語ったのだ。
「政治家と日常的に接している人からすれば常識ですけど、本当にたくさんの会とか団体とか組織と仲良くするじゃないですか。だから、今回の宗教組織(統一教会)も、あくまでも安倍さんが付き合ったなかでの、たくさんの会のなかでのひとつに過ぎなかった」
■被害者弁護団の再三の抗議を無視し、統一教会系団体にメッセージ送った安倍元首相
前述したように、安倍元首相と統一教会の関係は「よくある政治家と宗教団体のつきあい」のレベルではないし、岸信介の時代から綿々と続く構造的なものだ。それを、古市氏は何を根拠に「たくさんの付き合いのなかのひとつに過ぎなかった」などと言い切っているえうのか。
というか、百歩譲って安倍元首相と統一教会の関係が「儀礼的な付き合い」だったとしても、統一教会はただの宗教団体ではなく、悪徳商法や勧誘が社会問題化し、裁判所も違法性を認めている団体なのだ。いくら政治的主張が合致して、選挙で支援してもらったとしても、政治家がそんな宗教団体と儀礼的にでも付き合っていい道理はない。
しかも、安倍氏は一国の首相だった人間なのだ。そんな地位の人物が反社会的団体の集会にお祝いのメッセージを贈ったら、それこそその団体のやり方にお墨付きを与えてしまうことになるのは自明だろう。
実際、全国霊感商法対策弁護団が会見でも明らかにしたように、統一教会にエールを送る安倍元首相ら自民党政治家の行為に対して、被害者弁護団は再三にわたって抗議していた。ところが、安倍元首相はそういう声を無視して、UPFの集会にビデオメッセージを贈ったのである。
古市氏はなぜそれが問題がないと言うのか。相手が詐欺集団や暴力団だったとしても、「お祝いのビデオメッセージを送るくらいなら、政治家にとって普通の付き合いだからかまわない」とでも考えているのか。
しかし、この「政治家と宗教団体が付き合うのは普通」という詐術は古市氏だけでなく、産経新聞の阿比留瑠比氏や有本香氏ら安倍応援団、ネトウヨ連中もここにきて一斉に口にし始めている。
極右思想に取り憑かれ改憲運動に邁進している彼らにとっては、統一教会は強い味方であり、「霊感商法」など取るに足らない話ということなのだろうか。
■三浦瑠麗は “安倍元首相と統一教会の関係”を「容疑者の妄想」扱いし検証封じ込め
まったくその姑息な矮小化の手口には呆れるしかないが、しかし、今回の「安倍元首相と統一教会のつながり」を封じ込める言説の中で、もっと悪質だったのが、三浦瑠麗氏だ。三浦氏は本日12日放送の『めざまし8』で、こう発言した。
「こういう事件が起きて、因果関係として報じることは、安倍さんに責任の一端があったかのような、そういう印象操作になっている」
「しかも、政党のリーダーも含めて各所でそのようなことを言い出している人がいる。私はこれは非常に由々しきことだと思っている」
「因果応報的な報道は、犯罪者に加担するもの。彼の妄想に加担してはいけない」
あらためて指摘するまでもないが、安倍氏と統一教会の関係をもって殺人が肯定されるはずがなく、当然だが、「因果応報」などと報じているメディアもひとつもない。すべてのメディアは、「殺人という行為は絶対に許されない」というセリフを過剰なくらい繰り返しているし、安倍元首相や自民党と統一教会の関係については、ほとんど深掘りしていない。
ところが三浦氏は、統一教会の話題を取り上げること自体を「因果応報的な報道」「容疑者の妄想への加担」と決めつけ、一国の元首相を銃撃した容疑者が「統一教会との関係」が犯行の動機だと語っているのに、一切報じるな、というのだ。これが仮にも、学者を名乗る人間のセリフなのか。
あらためて言うが、今回の銃撃の背景に、違法な行為をおこなう統一教会を行政や政治家が放置し、安倍元首相はじめ自民党が癒着してきたという問題があるのは紛れもない事実だ。全国霊感商法対策弁護団も会見で、安倍元首相がビデオメッセージを贈ったことが「統一教会のために人生は家庭を崩壊、あるいは崩壊の危機に追い込まれた人々にとって、大変な衝撃を与えるものでした」と語っていたが、「自分たちはこんなにひどい目にあったのに、政治は何もしてくれないどころか、統一教会を応援している」と感じた絶望感が容疑者を凶行に走らせた可能性は非常に高い。
だとすれば、第二、第三の怨恨による政治家襲撃を起こさないためにも、この機会にきちんと、自民党と反社会的な宗教団体の関係にメスを入れておく必要があるのは当たり前ではないか。三浦氏のように、真実に蓋をしようとする態度は逆に、反社会的商法の被害者の孤立を深め、憎悪を生み出す土壌を温存することにしかならない。そういう意味では、犯罪の助長に加担しようとしているのは、むしろ三浦氏のほうだといってもいいほどだ。
ここまでくると、もうおわかりだろう。安倍応援団連中はもっともらしい理屈をつけているが、実際は、自分と仲の良かった安倍元首相と自民党を守るために、事実関係を隠したいだけなのだ。
何度でも繰り返すが、統一教会と安倍元首相、旧清和会、そして自民党の間には、“ただの付き合い”レベルではない構造的な癒着があり、深い疑惑がいくつもある。本サイトも別稿であらためて検証するつもりだが、マスコミは安倍応援団の詐術やスリカエに騙されることなく、この問題を徹底的に追及する必要がある。
(編集部)
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