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徽宗皇帝のブログ

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世界はBCGに目を向けている
「大隅典子の仙台通信」というサイトから転載。記事前半は既報の内容と重なるので割愛。
なお、私は新型コロナウィルス肺炎の略称(covid19)をしばしば誤記していたが、面倒くさいので訂正はしない。

(以下引用)


このような研究背景をもとに、すでにオランダではCOVID-19対策のためにBCG接種を開始した。主として医療従事者への接種を行う。
ドイツのマックス・プランク研究所も同様(報道としてはこちらが早い)。
オーストラリアでも開始された。
SARS-CoV2そのものに対するワクチン開発や、その他の治療薬の開発には年単位で時間がかかることから、これまで高い安全性が認められ汎用されてきたBCG接種に期待が集まっている。もちろん、他の生物学的な要因も絡んでいることは十分にありえる(注:別記事にするつもりであるが、SARSCoV2に弱毒性のものと強毒性のものの2種あって、国・地域によってどのウイルスが最初に侵入したのかなど)。We will see...
【追記(2020.3.29)】
他のブログ経由でもっとわかりやすい図にたどり着きました。
引用されていた図は以下のデータベース公開サイト(オープンデータ万歳)に掲載されています。
by Samantha Vanderslott, Bernadeta Dadonaite and Max Roser
Samantha Vanderslott, Bernadeta Dadonaite and Max Roser (2020) - "Vaccination". Published online at OurWorldInData.org. Retrieved from: 'https://ourworldindata.org/vaccination' [Online Resource]
こちらのページを下の方にたどっていただくと、国別1歳未満児のBCGワクチン接種率が出てきます。デフォルトは、記事が書かれた2015年時点のものですが、過去に遡ることもできるインタラクティブなインフォグラフィックスとなっています(注:ただしすべての年ですべての国のデータが揃っている訳ではありません)。
その公開されている世界地図がこちら(注:グレイの部分はno dataとなっていますので、接種率がゼロという訳ではありません)。
【さらに追記しました】新型コロナウイルスとBCG_d0028322_09481113.png
もう一つ、挙げられていた図を元論文情報とともに再掲します(注:元論文はオープンアクセスではないのですが、私はリモートでVPN接続し、東北大学附属図書館経由でTubeluclosisという雑誌を閲覧することができます。元がオープンアクセスだったらなお良かったのに……)。
BCGワクチンの「株」にも差があって、ロシアや日本の使っているものの方が上記の効果が高いのではないか、という考察が為されます。
【さらに追記しました】新型コロナウイルスとBCG_d0028322_09585685.jpg
繰り返しますが、現時点でBCG接種とCOVID-19との負の相関関係は、疫学データを元にした仮説です。現在、3カ国で開始されている結果がどうなるか、というヒトに対する効果とともに、本当にBCGの株による差異があるのかについては、ぜひ、まずモデル動物を用いた実験や、もし何か公開されているデータがあれば、それを用いた仮想比較などを行うことが良いと思います。
もし読者諸氏が他にも気づかれた情報があれば教えて下さい。
Twitterアカウントは以下です。
@sendaitribune
【さらに追記します(2020.3.29.16:46)】
本ブログを読まれた方から教えて頂いたのですが、東北大学老年内科に所属されていた大類孝先生という方が、寝たきりの老人に対して、BCG接種による肺炎予防効果について調べておられました。BCG接種後にツベルクリン反応が陽転になった方々では、陰性群に比して肺炎の発症率が有意に抑制されたとなっています。
ただし、これは上記で紹介した、長期にわたるサイトカイン応答エピジェネティクスによる(かもしれない)trained immunityそのものとは異なる観点です。しかしながら、BCGワクチン接種により高齢の方の肺炎劇症化を防ぐことができるのであれば、その原因がSARS-CoV2かどうかに関わらず朗報でしょう(注:ただし、ワクチン接種には副作用もありえます)。
<以下、科研費報告書より引用>
高齢者介護施設に入所中のADLの低下した155名の高齢者を対象とし、ツ反を施行し陽性群及び陰性群に分け、さらに陰性群を無作為にBCG接種群及び非接種群に割り付けをした。そして、BCG接種4週間後に再びツベルクリン反応を施行し、陽性者を陽転群とし、その後2年間にわたり各群における肺炎の発症率を前向きに追跡調査した。その結果、ツ反陰性群では44名中19名(42%)に、陽転群では41名中6名(15%)に、ツ反陽性群では67名中9名(13%)に新たな肺炎の発症が確認され、ツ反陽転群では陰性群に比して肺炎の発症率が有意に抑制された(p=0.03)。以上の結果より、BCG接種は細胞性免疫の低下した寝たきり高齢者において、肺炎発症の予防効果を有する事が明らかにされた。
科学研究費の報告書(2004年):
上記の内容が含まれる英文総説:

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