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徽宗皇帝のブログ

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定義の明確でない言葉に基づく論議は無意義
曽野綾子も昔、似たような題名の本を書いたことがあったが、もちろん私は読んでいない。その頃には曽野綾子という人間の正体は明白だったから。
下の記事の中の午堂氏の発言は「いい人」という漠然とした言葉に恣意的な特徴づけをして論じているのだが、要するに「いい人」ではなく、単なる「臆病な迎合主義者」にすぎない。
一般的な意味での「いい人」とは「優しい善良な人」のことだろうから、単に「いい人」を否定するだけでは、「悪い人」になれ、と勧めているようなものであり、むしろ世に害毒を流す言説だろう。まあ、「悪い人」の方が、現実的な利益を手に入れやすいというのは事実であり、そんなことは「憎まれっ子世にはばかる」という諺で大昔から言われていることだ。
私自身、「善は悪を為せないが、悪は偽善という形で善すら為すことができる。従って善より悪が強力であるのは当然だ」と昔から書いている。にも関わらず、悪を為して一生を送るより悪を為さないで一生を送るほうが有意義な人生である、と思っている。善がなせないなら、むしろまったく無為に一生を送るほうが、悪を為して生きるよりマシだ、とも思っている。まあ、それでは何のために生まれたのだ、と言われそうだが、ぼんやりと空や雲を眺めて生きるだけでもこの世に生まれた甲斐はある、というのが私の考えである。

しかしまあ、下の午堂氏の発言は「倫理的」にはどうかと思われるが、組織力学などの面では聴くに値する部分もある。



(以下引用)


「いい人」ほど組織で埋没する根本的理由

プレジデントオンライン / 2017年7月7日 9時15分

午堂 登紀雄さん


『「いい人」をやめれば人生はうまくいく』(日本実業出版社)の著者で、米国公認会計士の午堂登紀雄さんは、「何かの分野で大成したいと望むなら、今すぐ『いい人』をやめ、変人になれ」と言います。なぜ著者はこんな刺激的なことを言い出したのか。日本実業出版社の販売担当者が午堂さんに直接話を聞きに行きました。書籍未収録の特別インタビューをお届けします――。

■他人との摩擦を避けても成果は生まれない

──「成功者には、いい人よりも変人が多い」と書かれていますが、午堂さんの周囲の「変人」はどんな人ですか?


知人の経営者には変人が多いですね。特に他人に迎合することを嫌うからか、「友達なんていらない」という人はすごく多い。ある外食チェーンの創業社長は「おれには友達なんていない!」と豪語しています。あるネット起業家からは「友達がいて、なんか楽しいことある?」とはっきり言われました。まあそんな人だから相変わらず独身なんだよ、と話すんですけど、会社の業績はすごく良くて、年に3棟ぐらいビルを買っています。


僕自身はそういう人生をうらやましいとは思わないけれど、突出した結果を出す人は、普通の人には考えられない信念と価値観を持っていますね。彼らが変わっているのは、自分に対する自信と強い信念があるからです。これだ、と決めたらわき目もふらず突っ走る。そこが普通の人たちともっとも違うところでしょう。


──普通の「いい人」では成果を上げられないものでしょうか?


まず、「いい人」は他人と摩擦を起こすことを避けます。たとえ周囲と違う意見を持っていたとしても、嫌われることをおそれて自分を抑え、隠し、迎合します。そうすれば波風が立つこともなく、「いい人」にとって快適に過ごせるからです。


しかし、ずっとそのままでは、いずれ「あの人、何を考えているかわからないね」と言われるようになり、「いい人」は「どうでもいい人」と化します。そうなってしまうと、会社が新しいプロジェクトなどをスタートするときに声がかからなくなったりして、活躍の場がだんだんとなくなっていく。社内を見渡してみても、アクの強い人物が昇進したり、抜擢されたりしていることが多いはずです。

■完璧にこだわり、摩擦をさけたがる

──成果を出すには摩擦を恐れるべきでない、ということですね。


摩擦はむしろ必要悪だと考えたほうがいいと思います。普段から強く自己主張していると「面倒くさいヤツだ」と言われるかもしれませんが、大事な時に「あいつちょっと変わってるけど何かアイデアが出てきそうだから呼んでみるか」ということになる。成果を出すチャンスが巡ってくるんです。ある意味「変わってる人」はほめ言葉とも言えます。


もっとも、主義主張をただわめき散らすのはダメだし、優秀な若手に多い「これ絶対におかしいです! こうすべきです!」と正義正論をむやみに振りかざすのもダメ。うっとうしがられるだけで、意見は通りにくい。「正論」を語るのであれば、現実的具体的な方法の提案もセットで話すことです。さらに「自分にやらせてください」と言えると頼もしく感じられ、「コイツに任せてみよう」という話になる可能性も高くなる。


提案や意見については、「一発OK」をもらいたがる人が多いですよね。意見を少し否定されただけで、まるで人格を否定されたようにへこんでしまう。場合によっては、逆上してしまう。これも良くないですね。完璧にこだわりすぎるのも摩擦をさけたがる「いい人」の特徴ですね。


自分の意見を通したければ、反対する人を説得するだけの根拠とロジックを用意する。プラス、他人の意見を取り入れて、自分の考えをより良くしようとする視野の広さと冷静さも必要です。そのためには、物事に対する自分なりの判断軸、価値観をしっかり持っていないといけない。


ところが、他人に迎合する「いい人」にはそれがないんですね。

■みんなと反対の立場から物事を見てみよう

──どういうことでしょうか?


「いい人」は、社会的な常識とか道徳といった感情的な判断基準に、簡単に自分の考えを預けてしまいます。そういうものを疑うことなく思考停止している。それでは自分なりの価値観など持てません。結果として迎合的になり、同調圧力に負けてしまう。


それだけならまだしも、「いい人」たちは、自分たちは社会的規範を守る、常識的で模範的な存在だと思っているから、異質な「変人」を見ると我慢できなくてたたこうとします。「それ常識でしょ」「みんなこう言っているよ」という言葉に象徴的ですね。常識的で多数派であることを拠り所としていて、個人としての判断軸がないために、多様性を許容する力が低い。だから、反対意見を受け入れられないんです。


話が少しずれますが、ちょっとした不祥事で異様にたたいたり炎上させたりすることが増えているのは、思考停止した「いい人」たちの不寛容さが原因じゃないかと思います。


──思考停止、不寛容とかなり手厳しいですね。では、「いい人」が独自の価値観を持つ「変人」に変わるにはどうしたらいいのでしょうか。


一般的に信じられている常識や道徳を疑ってみることです。たとえば、みんながイエスというものをノーの立場から考えてみる。ノーというものをイエスの立場で考えてみる。そしてその根拠を自分で探すんです。多様なものの見方をするように意識するんですね。


たとえばニュースを見るときにもそういう視点を持つ。「このコメンテーターの言うことに根拠はあるか。反対の立場に立ったとき、どういう根拠があるだろうか」と考えればトレーニングになります。


読書も同じようにできます。家を買おうと思ったら、「かしこいマイホームの買い方」という本を読むのは普通ですが、まったく反対の内容を主張する「いま家を買ってはいけない」というような本も読む。そうすると、「家を買うぞ!」とだけ考えていたときに気づかなかったリスクが見えてくるので、より満足度の高い家の買い方ができるようになるでしょう。

■他人と交わらない1人だけの時間を作る

──物事をうのみにせず、反対方向からも見てみる、ということですね。


また、僕は常々、「内省」が必要だと言っています。生活の中に、他人と交わらない1人だけの時間を作って、自分の行動や世の中のできごとを振り返るのです。頭の中だけではなく、ノートなどに書き出すのがおすすめです。そうすれば、「自分はなぜこういう判断をして、なぜこの結果を招いたんだろう。次はどうすればいいんだろう」と客観的に検証できるんです。


ただ単に成功した、失敗した、で終わっていては何も教訓が得られないので、いつまでたっても自信が持てませんが、内省によって、自分なりの判断基準や、「こういう考え方でいいんだ」という自信が出来上がってきます。


この「内省」を日々繰り返していけば、迎合的でない、自分なりの価値観、判断軸ができて、意見を主張できるようになると思います。


──主張したくても、大きくて古い組織になればなるほど「言ってはいけないこと」が増えますよね。


「創業者が立ち上げた事業部だから異を唱えられない」などでしょうか。それぞれ特有の事情があるので、仕方のない部分もあるかもしれません。


しかし、現状を改善するアイデアを持っているのであれば、「こうやってみたらより良くなると思うのですがどうでしょうか。よろしければ自分がやってみますが」と、先兵を買って出る覚悟を持って提案してみることです。自分の不満を、良い形で解消する方法が見つかるかもしれません。不満だからといって「だからだめなんですよ!」と声高に批判だけするのは避けたほうがいいですね。

■「いい人」ばかりの組織の末路

──会社員時代、組織人としての午堂さんはどんな存在でしたか?


いま思うと、周りに異を唱える「面倒くさいヤツ」だったと思います。孤立しかかったこともありますけど、「言うだけ番長」にならないように、行動して、結果も出していたから、本当に孤立したわけではありませんでした。そういう自分をきちんと評価してくれる人が必ずいるものです。


「いい人」ばかりの組織は危険です。論理思考が苦手で、「いま、なぜそれをやらなければならないのか」を考えずに空気に流されてしまうから。はやりの「忖度」が横行する組織になるでしょうね。


それに「いい人」に限って、組織的な不正に、結果的に加担してしまうと思うんです。自動車メーカーや電機メーカーの不正だって、現場の人はみんないい人だったはずです。変人はどこかで異を唱えて干されるか辞めているでしょうから。


──周囲に流されずに、論理的に考えなければいけないんですね。


変人の行動原理は、「思考は内に、行動は外に」です。絶えず「内省」を繰り返して、自分だけの価値観を磨けば、ただの「いい人」から信念を持った「変人」に生まれ変わって、行動が変わり、成果を出すことができるようになると思います。


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午堂 登紀雄(ごどう・ときお)
1971年、岡山県生まれ。中央大学経済学部卒業。米国公認会計士。大学卒業後、東京都内の会計事務所を経て、大手流通企業にて店舗及びマーケティング部門に従事。アーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。現在は不動産投資コンサルティングを手がけるかたわら、資産運用やビジネススキルに関するセミナー、講演で活躍。『捨てるべき40の「悪い」習慣』(日本実業出版社)など著書多数。

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(米国公認会計士 午堂 登紀雄 聞き手=日本実業出版社 マーケティング部 渡辺博之)




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