忍者ブログ

徽宗皇帝のブログ

徽宗皇帝のブログ

日本は崩壊しつつある米国と心中するか
「逝きし世の面影」記事所載の「JBプレス」記事だが、小川博司という人物のこの評論というか世界政治(軍事含む)分析は非常に的確だと思う。いくつか誤字や誤記があるが、そのまま転載する。引用文末尾の言葉(すぐ後に赤字で載せておく)をin deepの岡氏風に「翻訳」すれば
「政府の指揮体系が混乱し、平気で同盟国を裏切り、日本を奴隷同様に扱う米国との縁切りを日本はそろそろ考えたほうがいいよ」だろう。

ちなみに、戦後の日本経済を振り返れば、日本が高度成長したあとは米国企業が利益を上げるために日本は多くのことを譲歩して国内市場を開放している。日米関係とは、経済であれ安全保障であれ、日本が譲歩しての関係なのだ。その米国とどうやって付き合っていくのか、今の日本はそこを真剣に考えるべきである。


(以下引用)

「米国は中国を攻撃しない」と中国に電話した米軍トップの真意


小川 博司



今週(9月12日~18日)は米国の外交政策の崩壊を表面化させた週として、将来の人々に記憶されるかもしれない。


2001年9月11日の同時多発テロは、米国が大日本帝国海軍による真珠湾奇襲攻撃を上回る3700人以上の死者を出したテロリストによる奇襲攻撃であった。その20周年の追悼式典の翌日からの1週間には、世界の覇権を握った米国としては起こり得ないような問題が相次いで表面化した。


まずは何が起こったのかを時系列に列挙してみよう。


(1)9月14日、米軍トップのミリー米軍統合参謀本部長が2020年10月と2021年1月に中国の軍トップに電話し、米国は中国を攻撃するつもりがない旨の話をしていたことが9月21日発行の書籍に掲載されていることがわかった。軍のトップが仮想敵に攻撃しないと連絡していたのだ。


(2)翌15日には、米戦略国際問題研究所(CSIS)がバイデン政権の国家安全保障会議でインド太平洋問題のコーディネーターを務めるカート・キャンベル氏を招き、9月16日に米豪のパートナーシップの今後に関するカンファレンスを開催すると発表した。ところが、わずか1時間の間にキャンセルするという、ワシントンの米シンクタンクとしては前代未聞の事態が起こった。


(3)同じ15日には、米英豪が3カ国による安全保障協力の枠組み(AUKUS)を設置し、その第一弾として米英がオーストラリアに原子力潜水艦の保有を支援すると発表した。実質的なオーストラリアによる米国からの原子力潜水艦の購入である。これにより、オーストラリアは2016年に契約していたフランスからのディーゼル型潜水艦の導入を破棄した。


(4)16日には、米国外交・安保の混乱を見透かしたように、中国がTPP(環太平洋パートナーシップ)への加盟を申請した(これは安全保障にも関連するのだが、メインは経済の話なので、その説明を次回に譲る)。


(5)17日には、フランスが米豪から事前の相談なく潜水艦の売却が破棄されたとして、米豪から大使を召喚すると発表した。16日に実施されたオースチン国防長官、ペイン豪外相、ダッデン豪防衛相との共同記者会見で、米ブリンケン国務長官は「フランスには事前に説明していた」と発表したが、それとは矛盾していた。


(6)17日、米軍は「イスラム国(ISIS)」の関係者を狙ったドローン攻撃が誤射だったと認めた。8月29日、米軍がアフガニスタンの首都・カブールで行ったドローン攻撃では、7人の子供を含む10人のアフガニスタン人が死亡した。


どれほどの問題なのか、そしてなぜ米国の外交政策が壊れ始めたのかを見て行こう。

米軍トップによる対中電話から見えること

(1)米軍トップから中国軍トップへの電話報告


電話は国防長官の許可済としている(最高司令官の大統領に国防相が謀反?)が事実だとしても、ミリーが話した内容に問題があったのは間違いない。ミリー統合参謀本部長については9月28日に議会証言が、書籍出版も控えているので、証言の中身や証言事態の信憑性はそこで明らかになるだろう。


2020年10月30日の電話で「米軍は中国軍を攻撃しない。もし攻撃する場合には以前に連絡する」という内容で、これは軍のトップシークレットに属する事項だ。事前に味方の攻撃を漏らせば、その攻撃は失敗する可能性が高い。


スパイの仕事



「中国を攻撃するつもりがない」と中国軍に電話をして批判を浴びている米軍トップのミリー米軍統合参謀本部長


情報漏えいの事実がわかると軍の士気は一気に落ちてしまい、それを回復するのは難しい。


2021年1月6日の電話は、「米国の民主主義は今のところ問題ないが、おかしくなっている」「トランプ大統領が何を命令するかわからない」、ミリー統合参謀本部長は、1月8日にペロシ下院議長にこの電話の内容を報告し、彼女も同様の認識を持っていたことがわかる。国家の統率力の低下と、自軍がその影響を受ける可能性を相手に示した。


(2)米シンクタンクのカンファレンス発表とその直後のキャンセルについて


ワシントンのシンクタンクは、これまで政権内での職務とシンクタンクでの研究員を繰り返す(いわゆるリボルビングドア)というビジネスモデルをとっていたが、オバマ政権以降、シンクタンクに対する信頼度が低下したことで終わりを見ている。一方、シンクタンクとしてはビジネスに絡んだ方が儲かるという面もあり、カンファレンスや個別のコンサル契約にシフトしている。


前例がないシンクタンク、カンファレンスが発表直後に中止 内容は同じ日に発表された米英豪3国同盟だったとの憶測


CSISに落ち度があったとは思わないが、この問題の本質は、第一に政権とシンクタンクとの距離が遠くなっている点にある。キャンベル氏自身、CSISに所属したことがあるにもかかわらず、キャンベル氏を招いたカンファレンスを実現させることができなかった。


日本のメディアや米国専門家が読むレポートの内容もこれまで通りに受け止められない。しかも、日本の場合、中国や韓国のような独自のワシントン駐在拠点(官僚か民間人かを問わない組織となっている)を持たないため、この影響は両国と比べて一段と大きい。

米英豪のAUKUS設置が意味すること

(3)と(5)米英豪のAUKUS設置と豪州の原潜購入


国際協調が大切だとしてきたバイデン政権が、実はトランプ政権よりもアメリカ・ファーストだった。フランスの潜水艦の代わりに米国の潜水艦を買わせたのは米国にとっては巨額なビジネスの成立である。


また、米国が安全保障で信用できるのは同じアングロサクソンの英国をルーツとする国だけだと言っているに等しい。ファイブ・アイズでは米英豪加新の5カ国。


9月24日Quad(クアッド)の米豪日印4カ国首脳がワシントンに集まる直前。別の枠組みを駆け込み発表したが、クアッドには英国が参加するという話もあったため、AUKUSを設置せずにクアッドに英国を加盟させれば済む。同盟国の日本や友好国のインドを信用すれば、その方が自然。焦る必要はなかった


当然のことながら、同じ地域の安全保障の枠組みは一つの方が機能しやすい。


EU離脱の英国はフランスから潜水艦のみならず、自動車などを含む工業製品の調達が期待できないなど思わぬところにブレクジットの影響が出た格好だ。本件は、アメリカ・イギリス・ファーストだったのである。


事前の説明を受けることなくNATO同盟国の米国に自国の軍事産業をコケにされたフランスは、マクロン大統領以下、烈火のごとく怒っている。事前の説明がなかったにもかかわらず、説明したと発表されたことが火に油を注いだ形だ。その結果、フランスのルドリアン外相は17日に駐米、駐豪大使の召還に踏み切っている。


米国が信用するのは英国だけと図らずも明らかになった瞬間だ。しかも、英国には手が回らない広い太平洋を守るという観点で関係を密にしていこうと決めたのが(日本ではなく)オーストラリアだったという事実でもある。


ソ連のいないNATOは利用価値が低下しており英国以外の欧州諸国に米国が信用できる国ではない。加えて、ファイブ・アイズとはいうものの、ニュージーランドは軍事力が弱い。カナダは親中の度合いが強く、今もファーウェイのCFOを米国に引き渡していない。


こうした中で起こったのが今回の原潜売却ディールだ。これは同時に、これまでの米国のグローバル安全保障が壊れ始めたことを意味する。


(6)敵ではなく味方の民間人を攻撃した米軍


米軍としては致命的。国家にとって軍事力が国民を殺すのであれば、軍など信用できなくなるからだ。一方米国は200人の米国市民(と政府は発表しているが1000人だとする民間調査結果もある)をアフガニスタンに残しており、彼らを安全に米国に戻せるかどうかという信頼の低下にもつながる。


米国には自軍を守るための情報さえ正しく把握できなくなった


アフガニスタンにおいて、最後の最後で軍が自国民を置いて逃げ出したという事実は変わらない。同時に、残った米軍も味方を守り、敵を倒すという基本ができなくなった。世界中に駐留している米軍からはこれまでの威厳というようなものが失われており、駐留地域やカバーする範囲内での警察機能が低下してしまっていることでもある。オバマ大統領が、米国は世界の警察を維持できないと言ってから10年になるが、いよいよその影響が本格化したのかもしれない。

日本への影響が甚大となる可能性 

日本は米国の同盟国である。しかし、太平洋の実際の防衛について、武器に関する機密情報が漏れるリスクを冒してまでオーストラリアに原潜の輸出を決めた米国の腹の内にあるのは、最後まで信用できる国と、そうではない国の違いを示すということだろう。


同じ民族の血、キリスト教という宗教観、民主主義という価値観という3つで判断すれば、日本やインド、大陸欧州諸国は除くということになったということだ。


日本が冷静に考えるべきは、昨年から盛り上がっていた反中の動きで、日本が今のままでいると、いざという時に米国から梯子を外されるリスクが出てきた点だ。米軍トップが米軍は中国を攻撃しないし、攻撃する場合は事前に連絡すると言っているのだから、


米軍のトップが中国を攻撃しないと連絡しているのに、愚かな話だ。そもそも、日米安全保障条約は同等な同盟国という立場にはない。

日米安保の本質は頼りにならない用心棒

今回のミリー統合参謀本部長の電話からすれば、米軍は、もはや日本のことを頭には置かなくなりつつあるということがわかる。この電話の内容は、尖閣で日中間に問題が起きたとしても、米軍は日本のために中国とは戦わないということになるからだ。


つまり、日本にとっての米軍は、自分の意志で行動を決める、最後まで頼りにはならない用心棒ということになる。あとは、トランプ大統領に反旗を翻していたミリー参謀本部長に対して、日本との同盟を守ることが重要だと第七艦隊や日本に駐留している海兵隊などが反旗を翻してくれることを期待する以外にない。


ちなみに、戦後の日本経済を振り返れば、日本が高度成長したあとは米国企業が利益を上げるために日本は多くのことを譲歩して国内市場を開放している。日米関係とは、経済であれ安全保障であれ、日本が譲歩しての関係なのだ。その米国とどうやって付き合っていくのか、今の日本はそこを真剣に考えるべきである。
(抜粋)


拍手

PR

コメント

コメントを書く