NHKラジオのニュース番組が、没後10年を迎える旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)の創始者・文鮮明(ムン・ソンミョン)氏の功績をたたえたなどとして、ツイッターで指摘されて、波紋を呼んでいる。
弁護士ドットコムニュース編集部が、実際にニュース番組を確認したところ、番組内容への指摘について、一部に「デマ」があることがわかった。ただ、文氏の経歴を紹介する内容をめぐっては、識者から批判もされている。
●「北朝鮮から弔電の内容を長々と読み上げた」
「今朝のNHKラジオ、文鮮明没後10年でその偉業をたたえている。これは悪夢か」
8月14日の午前7時14分、あるアカウントが上記のツイートを投稿した。
当時、NHKラジオでは午前7時から15分間、ニュース番組『マイあさ!』が放送されていた。
ほかのユーザーも「1分30秒にわたって、『文鮮明の功績を称える弔電』の内容を長々と読み上げている」などとツイートしている。
NHKが文氏の偉業をたたえたり、1分30秒にわたって弔電の内容を読み上げたことは事実だろうか。
NHKラジオのネット配信を聴いて確認した。
●弔電の内容をずっと読み上げたわけではない
番組では、台風、新型コロナ、ウクライナ関連の情報に続き、問題とされている「北朝鮮から文氏の遺族に送られた弔電」について報じた。
なお、番組の内容はNHKがネット記事として配信しており、そこからも確認ができる。
【北朝鮮の対外関係の窓口であるアジア太平洋平和委員会は、韓国で創設された旧統一教会、今の世界平和統一家庭連合の創始者文氏の死去から来月3日で10年となるのを前に、昨日付で、文氏の妻の韓鶴子総裁ら遺族に対して、弔電を送ったとウェブサイトを通じて明らかにしました】(引用)
15分番組で話題に割かれたのは約1分30秒。その中で、弔電の内容に触れたのは約10秒、文字にして約50字だ。
【弔電では民族の和解や団結などのために傾けた文氏の努力と功績は末永く追憶されるだろうなどとしています】(引用)
番組の中で、1分30秒にわたって弔電の内容を読み上げるようなことはなかったといえる。
ただ、後半で、番組は文氏の経歴を紹介することになるが、【共産主義に反対する保守系の政治団体「国際勝共連合」を設立】【南北統一のために努力するとして北朝鮮に接近】などと振り返っている。
旧統一教会の問題にくわしい宗教社会学者の塚田穂高さんは、こうした番組内容を問題視する投稿をツイートしている。
「弔電内容紹介などはニュース報道としても、その後の部分は選択的に構成。来歴、勝共連合、南北統一に努力、北朝鮮に接近、だけを取り出す。国際協調尽力の宗教人かのよう。北朝鮮に使った金はほとんど日本での『収奪』によるだろ」
冒頭で紹介したアカウントなどが「1分30秒にわたって、『文鮮明の功績を称える弔電』の内容を長々と読み上げている」とした投稿は「デマ」だと言える。
ただし、NHKが文氏の偉業をたたえたという切り取りの仕方が出てきてもおかしくない内容ではあったと言えそうだ。
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