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戦略と戦術の覚え書き 2 尉繚子1

Ⅱ 「尉繚子」より

① 戦争は長引かせてはならない。近郊では一日、千里の遠方なら一月、はるかな辺境でも一年を越してはならない。
② 将帥の不適格者とは、精神が平衡を欠き、判断力に乏しく、人の意見を徴する雅量を持たぬ人間である。
② 自軍が一体となって行動すれば、敵は集結すれば散開できず、散開すれば集結できず、左翼は左翼に、右翼は右翼に膠着させられ、なす術も知らぬ状態になる。
③ 法の整備こそが軍備の第一要件である。統制の無い軍隊では、剛勇の士のみが敵陣に突進し、したがって、剛勇の士のみが真っ先に死ぬ。こういうことでは味方の損害は敵に百倍し、戦えば戦うほど敵を利することになる。これが凡将の率いる軍隊である。また、遠征の途上や戦場で逃亡する兵士に対し、凡将は無策である。これでは士気が低下しないはずがない。さらに、戦場において、自らの安全のみをはかり、他人の背後に隠れようとする兵士に対し、凡将は無策である。
④ 統制の原則。賞罰の規定が明確であること。その適用が厳正であること。士卒百人に一人の卒長を置き、士卒千人に一人の司馬を置き、士卒万人に一人の将軍を置く。この組織に立って、法制を確立すれば、強力な軍隊となる。一人を制御できるなら、十人を制御できる。十人を制御できるなら、百人、千人、万人でも同じことである。こうして統制された軍隊に、戦闘訓練を施し、整備された兵器を与えることである。(徽宗注:「呉子」の中に、一人の兵士を教育し、その一人が十人を教育し、その十人が百人を教育することで、全体の訓練ができる、とある。)
⑤ 刃物をふりかざした暴漢には誰も近づかない。これはその男に勇気があり、他の人間すべてが臆病だからではない。死を覚悟した人間と生に執着する人間との相違である。(したがって、兵士を育てるとは、大軍を必死の一暴漢に変貌させることである。)
(徽宗注:いかにして「必死の一暴漢」に変貌させるか。日本軍の「戦陣訓」のような軍隊的モラルを叩き込むことがその一つ。米国海兵隊のように、日常の訓練の中で兵士の人間性を奪い、徹底的な殺人マシーンに作り変えることもその一つ。つまり、敵は人間ではない、という思想を叩き込むこと。)
④ 人民が平時には生産に、戦時には戦闘におのおのが全力をあげて取り組むようにすることが国を保つ道である。そのためには、賞罰規定を明瞭にし、生産にいそしまぬ者は生活できず、戦争に協力しない者は栄誉を受けられないようにする。さらに、上下の関係を信によって結び、空言を許さないようにする。
⑤ 国を保つには人材が必要である。
⑥ 戦争の五要件。1、作戦計画 2、司令官の選定 3、進攻態勢 4、防衛態勢 5、軍紀の確立。 この五項目について、あらかじめ彼我の優劣を綿密に計量してから戦争は行うべきである。これが戦う前に勝つということだ。
⑦ 命令は変更するな。命令が度々変更されると、部下は、また変更されるだろうと思い、命令に従わなくなる。いったん命令を下したら、大筋で間違いが無い限りは変更せず、多少の疑念は押し切って実行しなければならない。指揮官が確信を持って命令を下せば、部下は疑念を抱かない。信じられない指揮官のために全力を尽くそうとする部下はいない。全力を尽くさずに、死を賭して戦うことはできない。
⑧ 上に立つ者が率先垂範すれば、士卒は手足のように働く。指揮官に敬服し、発奮するのでなければ、士卒は生命を投げ出す気にはならない。生命を投げ出す気がなければ戦えない。
⑨ 相互扶助の観念を民間に養成することで、戦場での協力、発奮も生まれる。勇猛無比の軍隊の基盤は、個々の勇気にではなく、一丸となって戦うところにある。
⑩ 戦争準備段階、あるいは治国の五大要件。1、食料の備蓄 2、論功行賞の徹底 3、人材抜擢 4、兵器の整備 5、賞罰の厳正な適用
⑪ 上に厚く、下に薄いことは国家滅亡の兆しである。官僚のみが富み、君主が富を独占する国家は滅亡するのみである。
⑫ 力を分散すれば弱くなる。
⑬ 信頼感の欠如した軍隊では、下部が勝手に動いても上部はこれを制止できす、流言が至るところに広がり、兵士は任務を守らず、行動を起こせば敗北必至となる。
⑭ 指揮官たる資格は、部下に敬慕されるとともに、畏怖されることである。
⑮ 成算も立たぬうちに軽軽しく物事を口に出す指揮官は部下から軽んじられるようになる。
⑯ 正義のための戦争なら、率先して兵を起こし、敵の機先を制して正義の戦であることを天下に明らかにせよ。利害のための戦いなら、万やむをえず応戦するという形にせよ。すなわち、後手を取ることで大義名分を得るのである。
⑰ 軍隊の構成は、5人に伍長、住人に什長、百人に卒長、千人に率、万人に将軍を置く。これらの幹部が倒れたら、ただちに他の者が代わって指揮をとる訓練をしておく。
⑱ 挙兵の前に、あらかじめ敵情を十分に把握し、検討を加えておかねばならない。
⑲ 敵国内に進攻する際には、迅速に行動し、交通路を遮断して敵を城市に孤立させる。こうして敵を分断した上で、一つまた一つと要害の地を抜き、砦を落とす。一城を占領すればそれを拠点としてまたさらに幾多の交通路を遮断する。攻撃がこのように進行すれば、敵将は互いに不信の念を抱き、敵兵は互いに反目し、軍律も効力を失うに至る。敵兵は渡河点も確保できず、砦を修復する余裕もなく、陣地を構築する暇もない。城があっても無きに等しい。分遣隊は本隊と合流できず、遠征軍は本国に帰れない。兵力はあっても無きに等しい。家畜を集める余裕も、穀物を収納する余裕も、軍需物資を蓄積する余裕もない。これらは、すべて、敵の虚を衝いて迅速に行動することによる帰結である。
⑳ 城の防御において、外城を設けず、周辺に障害物も構築せずに本城だけに頼るのは得策ではない。また、城内に立てこもって防御のみを行うのも得策ではない。城はそれ自体、地の利を得ているのだから、それを利用すれば、一人の兵士が十人の敵兵に相当する。したがって、城攻めには相手の十倍の兵力が必要だとされるのである。
 (徽宗注:だが、外部からの援軍がなければ、戦闘が無くても必ず食料は減少し、兵力も損耗して、やがて必ず落城することになる。)
 (城の防衛の最後の段階で、)決死の一戦をする時には、弱兵を前衛に立てる。(徽宗注:弱兵で相手を消耗させ、精鋭で勝利を得る。つまり、戦力を完全に使うのである。)

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