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徽宗皇帝のブログ

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戦略と戦術の覚え書き 1(マキャベリ)
 戦略と戦術の覚え書き

Ⅰ マキァヴェッリ「戦争の技術」より

① 騎兵が歩兵より強いというのは間違いであること
 馬は臆病な動物であり、戦場で思い通りに動かすのは容易ではない。前方に危険が待ち構えていると知れば、馬は前進しない。また、通常の場合、馬は拍車で容易に前進はするが、制動をかけ、停止させるのは容易ではない。また、馬は平坦で広い土地を走るのに適しており、山岳の斜面や湿地、林間などでは行動が著しく制限される。したがって、馬の利点は一にその機動性、速度にあり、騎兵自体の攻撃力が高いわけではない。騎兵が有効なのは、追撃の場面、あるいは兵力の速い展開が必要な場面である。
 (徽宗注:ただし、以上は、アジア遊牧民の騎兵作戦を度外視しており、騎馬からの弓の射撃、ヒットアンドアウェイ戦術が歩兵に対して有効なことを考慮していない。)
 
② 大砲は歩兵に対してはそれほど有効ではないこと
 大砲が有効なのは、城や砦などの建造物攻略においてであり、歩兵に対してはそれほど怖い武器ではない。というのは、(徽宗注:弾丸自体が破裂する近代の大砲とは異なり)大砲の与える被害は弓や小銃とそれほど差があるわけではなく、散開した歩兵に対して効率的なものではないからである。また、大砲の弾丸は直線的に飛ぶものであるから、平野において彼方の敵歩兵を狙う場合、僅かな角度の誤りによって、弾丸はその頭上を飛び越え、あるいはその前方の地面に当ることになる。(徽宗注:城を狙うのが、立てた紙を的にすることに喩えられるのに対し、平野で歩兵を狙うのは横にした紙を的にすることに喩えられる。この大砲の弱点は現代の戦闘でも同様だが、弾丸自体の破裂と、その猛然たる爆音、硝煙による恐怖が、大砲の威力を実際以上に見せているのだろう。)

③ 槍が有効な局面は限度があること
 古代ギリシアやローマの密集陣形では、槍兵が中心だったと考えられているが、槍を使うにはある程度の空間が必要であり、味方自体が密集していると、槍を扱うことが困難になる。つまり、軍隊が前進していく、その最初の接触の局面では槍先を揃えた兵士の前進は脅威であるが、戦争が乱戦状態になると、槍は逆に不利な武器になるのである。乱戦では、盾と剣が有効であり、その剣も、切るよりも突く攻撃が重装備した敵には有効である。
(徽宗注:槍の有利さは、相手の届かない距離から攻撃できる点にあり、これに馬のスピードを加味して考えたら、馬上からの弓の攻撃と馬上からの槍の攻撃は歩兵よりも優位であると言えるだろう。)


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