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I・モンタネッリ『ローマの歴史』

I・モンタネッリの『ローマの歴史』は、ジャーナリストが書いた面白い歴史書で、中公文庫で1095円と、文庫本としては少々高いが、買う価値は十分にある本だ。学問的な価値があるというよりは、歴史の面白さを大衆に知らせる、啓蒙的な本だ。

学者の書いた本は、学問的には正確かもしれないが、その「学問上の定説」そのものがいつひっくり返るかわからないのだから、特に歴史に関しては、学問的な正確さなど、それほど重視する必要はないと私は思っている。もともと、歴史など勝者の側の記録しか残らないのだし。
歴史に限らず、私は専門家と素人の間に、それほど大きな差があるとは思っていない。偉大な科学者も哲学者も文学者も、そのほとんどはアマチュアだったのであり、「専門家」とアマチュアの区別がやかましくなったのは近代以降のことにすぎない。
何かの言説を読む時に大事なのは、その言説に合理性があるかどうかであって、それが専門家の発言か、無名の素人の発言かどうかではない。しかし、世間の大半の人間は「専門家」の言説に、ころりと騙されるのである。テレビなどに出ている有名人の発言だと、鵜呑みにしてしまう、そういう人々がB層と呼ばれ、大衆操作のターゲットになるのである。

話が長くなった。
I・モンタネッリの『ローマの歴史』がどんなものか、少々、引用しよう。若き日のカエサル、つまりジュリアス・シーザーについての記述だ。


独裁者(徽宗皇帝注:スッラのこと。この本ではスラという表記)が引退するとカエサルはローマへもどったが、反動派の支配は続いており、マリウスの甥、キンナの娘婿(徽宗皇帝注:カエサルのこと)を許すはずがなかったから、再びキリキアへと旅立つことになる。その途中、海賊に捕われ、身代金二十タレントゥム、約四千万円を要求された。このおれにそんな安い値をつけるとは何事か、五十タレントゥムは要求しろ、とかれはふんぞりかえってわめいた。従者が身代金を取りに行っている間、詩を作って読み聞かせたが、海賊どもは風流の心がなかった。カエサルは野蛮人のあほうどもとののしり、機会が来たらきっと縛り首にしてやるぞと約束した。身代金が届いて釈放されるとミレトス島へ直行、船団を組織して海賊どもを追跡、金をとりもどし、縛り首にする前に慈悲のしるしとしてのどを切ってやった。(下線部は徽宗皇帝による)


ジャーナリストの文章らしくきびきびとしていてユーモアたっぷりである。歴史の教科書を何冊読んでも、シーザーという人間の人物像はわからない。しかし、この本では、生きた人間が歴史を動かす、その姿が見えるのである。
もう一箇所、カエサルの人物描写の部分。


美男子ではない。禿げ上った頭は少々巨大すぎ、えらが張り、口はへの字に曲がっていて、両側にまっすぐな二本の深い縦じわが刻まれ、下唇がうんと突き出していた。それでいて女にはもてた。四度結婚し、愛人情婦は数知れない。部下の兵はこの大将を「禿の女たらし」と呼んでいる。凱旋行進の時カエサルの兵士たちは、「市民よ、女房を隠せ、禿の女たらしが帰って来たぞ」と叫んだものだ。これを聞いてまっさきに吹き出すのがカエサルだった。(P261)

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