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プロパガンダ手段としてのハリウッド映画

「前田有一の超映画批評」より。ハリウッド映画が米国支配グループのプロパガンダ手段であるということを知らない人間も多いかと思うので、その事について明瞭に述べているこの文章を転載する。ハリウッドを握っている資本家グループの存在と、毎年のようにユダヤ人迫害問題のハリウッド映画が作られることとの関連を考えたこともない人間が世間の大多数だろう。ただし、プロパガンダが目的でも、それが映画としても優れている場合もあるのだから、芸術と資本との関係はやっかいである。
本文中にも書いてあるが、「ハートロッカー」のアカデミー賞受賞は、アカデミー賞がどのような性質のものかを世界中に知らせた事件だったが、それでもまだアカデミー賞とかノーベル賞の権威を信じているB層の人間が世界の圧倒的多数を占めているのである。だから、「嘘も100回繰り返せば真実になる」という、アイヒマンだか誰だかの言葉は世界政治の基本となるのである。つまり、「9.11事件」のようなボロだらけの陰謀でも、マスコミさえ握っていれば十分役に立つということだ。さらに、マスコミを握ればすべてが簡単に操作できることはとうの昔に「シオン長老の議定書」に書いてあることである。


(以下引用)


『グリーン・ゾーン』80点(100点満点中)
Green Zone 2010年/アメリカ/カラー/114分/配給:東宝東和
監督:ポール・グリーングラス 原案:ラジーフ・チャンドラセカラン 脚本:ブライアン・ヘルゲランド 出演:マット・デイモン グレッグ・キニア ブレンダン・グリーソン エイミー・ライアン

お笑いプロパガンダ

『グリーン・ゾーン』を見ると、この映画を作った製作者らスタッフが、現代アメリカの本流というべき立場にいることがよくわかる。アメリカウォッチャーは、今後はこの人たちの作る映画から絶対に目を離すべきではないだろう。

フセイン失脚直後のイラク、バグダッド。米陸軍のミラー准尉(マット・デイモン)のチームは、大量破壊兵器を探す任務についている。ところが情報は常に誤りで、一向に見つかる気配はない。犠牲ばかりが増え続ける現状に納得できないミラーは、ようやくつかんだ重要情報を国防総省のクラーク(グレッグ・キニア)が握りつぶしたのをみて、何かがおかしいと感じ始める。

私はこの映画を見て、内心笑いが止まらなかった。イラク戦争の大義だった「大量破壊兵器」が実在せず、プロパガンダだったことは今では常識。ところがこの映画ときたら、この世紀の大嘘は一人の悪い小役人のせいで、国民もいたいけな米軍兵たちも、それにだまされた被害者だというのだ。

まさに厚顔ここにきわまれり。タブーを暴いたふりをして責任を矮小化し、自分たちの大多数を正当化する。本年度ダントツトップの、トンデモプロパガンダムービーである。

「ブッシュ政権のころにやってればもっとよかったのに」などという人がいるがとんでもない。政権交代したあとに公開するからプロパガンダの意味があるのだ。悪いことは前政権のせい。政権交代してみそぎを済ませたので、今の米軍はきれいな米軍ですよ──と、こういうわけだ。まさにアメリカ版・易姓革命。米中の仲がいいわけである。

アカデミー賞を取った「ハート・ロッカー」もこの『グリーン・ゾーン』も、言っていることは同じ。前の政権は悪いやつで、それに操られてひどいことをやったけど、米軍ひとりひとりは心の通った私たちと同じ市民であり、命がけで正義にまい進する立派な集団ですよということ。

アイゼンハワーが退任演説でその存在に言及したアメリカの軍産複合体は、10年ごとに在庫セールをやらないと立ち行かないと指摘する人は多い。アメリカが定期的に大戦争を起こすのはそれが理由だ、と。大不況時代を世界大戦の特需で乗り切った記憶から逃れられないアメリカは、自国最大かつ最優秀な製造業であるこの業界を、景気けん引役にしたい欲求を抑えることができない。

彼らは民主国家であるから、いつでもその「切り札」を使えるよう、いまのうちに世論作りに精を出すのは当然。なにしろ現在、アメリカは出口の見えない大不況下にいるのだから。実際に景気対策で戦争をやるやらないは別にして、選択肢を確保しておくのは為政者として当然のことだ。そのためにいま、もっとも重要なのは、イラク統治失敗に伴う罪悪感からくる国民の厭戦感情を抑える事。私が米大統領だったら、必ずそう考える。

その役割を担うのが、世界最大のコンテンツ制作集団ハリウッドということになる。アカデミー賞受賞作や、本作のような一流のスタッフ・キャストによる作品が、絶え間なく同じこの価値観を米国民(および世界のハリウッド映画ファン)に押し付け続けるのは、そういう事情があるのだろう。

つまり、現在は傷ついた米国民のリハビリ回復期間であり、「ハート・ロッカー」も本作も、米軍の信頼回復キャンペーンの一環ということだ。これで計算どおり自信を回復し、それが最良の選択肢となれば、オバマであろうが誰であろうが米国はまた「やる」だろう。翻訳家の中俣真知子氏は「アメリカ人が今、最も信頼する組織はダントツで軍隊」だと明らかにしている。望みどおり、リハビリの効果が出てきたわけだ。どうやら「その日」は近いかもしれない。

となれば、彼らのファミリーセール催事場に、日本近海が利用されないようにすることが、何より肝要である。鳩山首相には、そういう視点で普天間移設問題にあたってほしいと思う。肝心の同盟国が一番食えない相手という、日本独特の状況を決して忘れてはならない。

さて、脱線が激しくなってきたが、要するに本作の政治映画としての欠陥は、「大量破壊兵器」の嘘をついた理由に言及していない点である。確かに大量破壊兵器の嘘じたいは認めた。だが、その嘘がどんな国益に沿ったものなのか、それを伝えなくては何の意味もない。それをあえて(詳しく)語らないから、本作が100%プロパガンダ品と判明するのだが。

どんな「国益」のためにこんな嘘をついたのか。それをいえば、その「国益」が現在も進行中だとばれるので、権力者たちは言いたくない。本作の目的と背後関係が、バレバレになる瞬間である。

ポール・グリーングラス監督&マット・デイモンは、ジェイソン・ボーンシリーズでおなじみの黄金コンビ。アクションシーンのキレのよさ、大作感を感じさせる本格的な映像作りのうまさには定評がある。本作でも、実銃や本物軍人のエキストラを多数利用するなどして、見ごたえある軍事アクションを作り上げた。単なるアクション映画、戦争映画としても、抜群に面白いレベルだ。

政治映画として一流、アクションものとしても一流。お笑いプロパガンダとしては超一流。政治に興味ある大人が見る娯楽として、これ以上のものはない。オススメだ。

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