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徽宗皇帝のブログ

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ここでもまた「宝の持ち腐れ」
「読売オンライン」から転載。
倒産した会社の従業員への採用希望がこれだけ殺到したということから二つのことが分かる。
第一に、会社の不業績の責任は経営者にある、ということ。従業員がいかに高い技術力を持っていても、それを生かす経営ができなければ宝の持ち腐れである。この会社の場合はリーマン・ショック以降需要が落ち込み、経営が悪化したと記事にはあるが、他の会社から大畠製作所の従業員が欲しいという申し込みが殺到したということは「本当は需要はあった」ということだ。つまり会社間の競争に敗れただけである。そしてこれは多くの不振企業に言えることである。にも関わらず、馬鹿の一つ覚えのように、罪の無い社員の首切りをリストラの手段とする企業があまりに多すぎる。
第二に、技術職系の人間は、会社の倒産やリストラに遭っても次の職場が見つけやすい、ということ。その技術の習得には時間も費用もかかっているのだから、技術系の人間は客観的価値(社会的価値)が高い、ということだ。ただし、技術職の人間はあくまで「現場の人間」だから、出世は難しいだろう。昔から文系はゼネラリスト、理系はスペシャリストという大雑把な見方があったのはそのためだ。
今後進学を目指す高校生などはそのあたりを頭に入れておくのもいい。しかし、技術職の怖さは、せっかく習得した技術が、或る日突然、新しい技術や機械の発明によってまったく不要になる可能性があることだ。簡単な例で言えば、剣術を学んで達人になっても、鉄砲が出現したら、その技能は集団戦闘においてはほとんど無意味になるようなものだ。あの宮本武蔵も、戦場では弾丸に足を射られるか何かで、まったく働けなかったという。
まあ、今日の話題は経済的事象に興味の無い人にはつまらない話だろうが、「会社は倒産した。しかし従業員への採用申し込みが殺到した」というのはなかなか皮肉な面白さがある。もちろん、私はこの話の内情は知らないから、経営者がすぐれた人物でありながら、どうしようもない事情で倒産したという可能性もあるだろう。


(以下引用)

解雇従業員に採用希望殺到…技術力高く評価か

経営難に陥った山口県柳井市の半導体製造装置メーカー「大畠製作所」が8月31日付で全従業員89人を解雇したところ、同社の元従業員を指定し、「雇用したい」という申し入れが地元のハローワークに相次いでいる。

求人企業は5日までに19社に上り、再就職を支援するハローワーク柳井は「これほど集中するのは珍しい」と驚いている。
大畠製作所は1946年設立。県内の中堅企業で、機械部品から半導体製造装置に事業を拡大し、2007年1月期には約38億円の売上高があった。しかし、08年のリーマン・ショックを機に需要が落ち込み、経営が悪化。今年6月、山口地裁岩国支部に民事再生法の適用を申請し、再建を目指したが、「事業継続の見通しがたたない」として全従業員を解雇した。
ハローワークに相次いでいるのは、求人条件を特定の企業出身者などに限定する「指名求人」。19社は山口、広島両県の機械メーカーで、大畠製作所の取引会社や関係職種の企業が多い。半数近くが採用人数を示し、それぞれ2~十数人を雇用する意向という。
ハローワーク柳井の山下宣孝所長は「大畠製作所の商品の品質や、長年もの作りに携わってきた従業員の技術が高く評価されている証しでは」と分析。今月中旬までに求人情報をまとめ、再就職希望者に提供するという。

(2012年9月6日18時25分 読売新聞)

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