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徽宗皇帝のブログ

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みんな必死で努力した結果、みんな地獄に行きました。
インターネットをさまよいながら、いい記事を見つけると、これはぜひ多くの人に紹介しようと思うのだが、別の記事に出会って、こちらを先にしようと思っているうちに、前の記事を忘れっぱなしにすることがある。
以下に転載する「独りファシズム」の記事は、いつもながらいい記事だが、緊急性の面から後回しにしていたものである。何しろ、今はTPPという大変な問題が起こってきているのだから。
とは言っても、この記事もTPPと関係はある。つまり、日本が企業の海外移転を推進するということは、自由貿易の未来を示してもいるのである。そして、企業の海外移転、つまり技術移転をした後には、日本の第二次産業の優位性はまったくなくなるのである。私が、第一次産業に産業の比重をシフトするべきだと言っているのは、この海外移転の流れはもはや変えられないと思うからだ。
つまり、少しでも経営効率を高めようとする、個々の企業の経営努力が、全体としての日本の産業を破滅させるのである。個々の問題の解答としては正しい解が、全体としては誤った解になるという、いわゆる「合成の誤謬」が生じるのである。



(以下引用)



こんな具合に日本人社員が数十年間かけて研鑽、蓄積した技術やノンバーバルな体得的経験知までもが途上国へ怒涛のごとく流出しているわけです。一昔までは規格品の大量生産を行う安価な単純労働者を求めての海外移転でしたが、近年進出企業は設計から開発、工程管理など高度熟練技能者の育成に力を入れていますので様相は全く異なります。この10年だけをみても推計100万人分の雇用が海外流出し、つまりは100万の日本人が職能蓄積の機会損失を被り、次世代への技術伝承も壊滅的に絶たれるという重層的なエライことになっているわけです。

つくづくこりゃ深刻だと思ったのは、指導に赴いている技術者が口を揃えて「日本に帰ったら、もう働くところがない。」と言うことです。周知のとおり「比較優位」の原理により途上国へ生産をシフトした業態においては、いくら優秀な人材と言えども余剰人員に過ぎないわけです。またこのご時勢ですから、企業側としては駐在員を極力減らし、可能な限り現地スタッフによる低コスト体質で経営したいというのが本意で、最近では社員をいったん早期退職させた後、現地法人の社員として再雇用をする、というエゲツナイことまで行われています。いわゆる「現地採用」という労働形態で、各種保険や福利厚生の適用、退職金などもなく正社員に比べると相当に劣悪な雇用条件となります。しかし日立、NEC、ソニーなど超一流企業においてすら各社1万人規模でリストラを断行する経済環境においては、再就職の機会があるだけでもまだマシとも言えるでしょう。

この4、5年、使い捨てにされた日本人技術者が中国や韓国の家電メーカーに再就職する頭脳流出の問題が顕在化していますが、当地ではもうちょっと先を行っています。空調機メーカーの担当者から聞いた話ですが、近年同社製コピーが出回っており、そのブツたるやあまりにも見事すぎる完成度だとか。室外機の金型から部品の切削、鍛造、研磨、加工精度は日本製を凌駕するレベルで、品質においては完全にキャッチアップ。早い話、日系企業をスピンアウトした連中が模造品を作っているわけです。半導体や電子部品などはとっくにアジア諸国のお家芸と化していますが、技術と人材の流出にともない、これまで日本の牙城であった自動車部品、素材、中間材、生産材などの分野においても、とんでもない勢いで猛追されています。生産拠点の海外移転は短期的にみればコストダウンで収益が上がるものの、長期でみれば他国の人材育成に金をつぎ込み自ら商敵を作ってるようなもんですから完全にパラドックスです。案の定、今年はとうとうタイの財閥系部品メーカーが日本の優良金型メーカーを買収するという事態となりました。‘蛮人’と蔑んでいたオドアケル率いるゲルマン人の傭兵部隊にあっさり滅ぼされたローマ帝国末期の様相ですな。

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