「船井幸雄com.」の中の記事を全文転載する。
日本の近未来(それも1、2年後という超近未来だ)予測として、かなり蓋然性が高い予測だと思う。まあ、科学などの世界の未来予測は外れるもの、というのが相場だが、政治や経済など「誰かが意図的に起こす未来」は確実に実現する。その二つの未来予測は区別する必要がある。「政治の世界では偶然は無い」のである。経済の世界も同様だろう。
筆者は暗黒の近未来を示しながら、「破壊の後の再生」を説いているが、その破壊で破滅させられる国民の大多数にとっては何の救いにもならない言葉である。そういう意味では、引用した文章の最後の段落は気休めでしかない。そういう気休めを書かないと、あまりに暗黒すぎる未来だ、ということだろうか。要するに、アベノミクスとは、貧困層に属する数割(現在は3割から4割程度か)の人間が政治的(つまり意図的)に破滅させられる、ということである。
なお、ここに書かれたことから分かるように、現在の株高は政府(日銀)が株を購入することで作られたものであり、株高になるのは当たり前であったわけだ。そしてその恩恵は庶民にはまったく無縁であり、むしろアベノミクスの円安誘導による物価上昇が国民を苦しめているのは私が何度も書いた通りである。
(以下引用)
異次元の世界
(※今回は朝倉さんのレポートを、船井幸雄の意向により、編集なしでそのまま掲載させていただきます。)
<質・量ともに次元の違う金融政策を行う!>4月4日、日銀の黒田新総裁は高らかに宣言、物価上昇率2%達成のため、何と2年間で今までの2倍のマネーを供給して、この物価上昇を実現させてみせるというのです。これには市場関係者もびっくり仰天です。2年で2倍のマネーの供給! いったいこれからどんな展開になっていくのか、市場は株高、円安で答えました。まさに異次元の金融緩和という大実験が始まったのですが、この行く末にはどんな展開が待っているのでしょうか?
結論的に言いますと、日本は株高と円安が止まらなくなって、やがて破壊的なインフレに襲われて、今とは全く違った世界が訪れ、まさに<異次元の世界>が出現することになるでしょう。<異次元の世界>では円の価値が真っ逆さまに落ちていきます。また<異次元の世界>ではいわゆる実物、不動産や株や金などの価値が急騰していきます。また<異次元の世界>では今までの日本と違って国民の格差がかつてないほどに広がっていきます。
かように<異次元の世界>は今までとは全く違った世界であり、予想を超えて厳しくそして峻烈なのです。
長いデフレから一掃するために、政府と日銀は<異次元の金融緩和>というかつてない試みを試します。ここではインフレを無理やりに起こすために、日銀は大量の国債を購入することになります。その量は今までの倍であり(今まででも日銀は世界一国債を購入してきた)、これが日銀の国債買い付け量の倍ということです。更に質的な緩和ということが加わります。質的な緩和とは購入する国債の種類に変化をもたらします。
今までは3年以内の償還の国債を主に購入してきたのですが、今度は10年以上、40年満期の国債まで購入します。この10年以上の国債の日銀による購入量は今までの8倍の量に達するのです。
と言っても何かピンとこないかもしれませんが、これは簡単に説明しますと、日銀が国債を購入するということは、日銀は無尽蔵に円を印刷できますので、まるで<打出の小槌>のようなマネー供給ができるわけです。例えば日銀が国債を10兆円購入すれば、市場には10兆円という資金が供給されます。しかも円を印刷して供給してくれるのですから無から有を生み出す、まさにお金が湧いてくるわけです。この日銀が購入する国債が2-3年で満期が来ると、国は資金手当てをして日銀に資金を返さなくてはなりません。しかしその満期が40年先であれば、しばらく国債の資金は使い放題です。こうして今回の措置によって、国はしばらく返すことを考えずに多くの資金が使えるようになるのです。
しかも日銀は特殊な法律に縛られていまして、利益は国に返還しなければなりません。
例えば日銀が100兆円の国債を購入して利息が1兆円入ったとすると、その1兆円は利益となりますので国に返還する義務があるのです。こうして日銀は国債を購入してもその金利収入は国家に返上してしまいますので、結果として日本国家は利息を払う必要がないということになります。こうして日本国が日銀に国債を購入してもらうことは、国としては無利息で無尽蔵の資金を調達できるということになります。それでは国の財政の規律がなくなって歯止めがなくなってしまいます。
それはまずいということで、いろんなルールや今までは短い期間の国債だけを購入しようとしていたのですが、今回アベノミクスということで政府が日銀に対して政府の意志を反映してくれるような人材を総裁、副総裁として登用することになりました。こうして日本政府は日銀を乗っ取った形となりました。新しい黒田日銀は当然、日本政府の方針に従うという意味で、今までとは違った思い切った緩和策を講じたわけです。これは単純に考えますと、政府の借金を簡単に日銀に引き受けてもらうということで、その度合いを今までとは違って、もっと大胆に行ってもらうことになったのです。
ここで世界の人達は、日本は変わったとみて一気に投資してきました。日銀と政府は壮大な思い切った実験に入ってきたとみているのです。
政府、日銀の狙いは何かというと、インフレの創出です。日銀の新政策によって<こんなことを大々的に行えば将来インフレがくるだろう>と人々が思うようになり、その結果として人々は消費をして今までとは違って景気の盛り上がりが生じてくるはずだという考えです。実際、そのような観測の下、株高や不動産高、円安は起こってきています。
こうして日銀は日本の年間の国債発行量の7割までも購入します。先に書いたように日銀が国債を購入すれば政府は実質無利子での資金調達となりますので、この度合いが世界でも突出してナンバー1になったわけですから当然、通貨である円の価値は減価していくという観測の下、円安が急ピッチで進んできました。
これについて世界では様々な議論があり、日本は通貨安戦争の先頭に立ったとみられています。この辺は政府、日銀の狙い通りで、日銀はさらに直接的に株のETF(上場投資信託)を購入することによってさらなる株高を目指します。これも日銀が株を購入すれば円資金をいくらでも印刷して購入できますから、まさに資金は無尽蔵で株が上がって当たりまえです。
もちろん日銀はREIT(不動産投資信託)も購入して不動産高も目指します。また日銀の新政策では、国債はかつてないほどの大量購入ですから、国債市場に流通する国債がなくなってしまいます。やむなく生損保などは国債購入をあきらめ、外国の国債、いわゆる米国債をはじめとする外債の購入に向かっていくようになります。こうなれば、自然に円安に誘導できることになります。
このように<異次元緩和>は株高、不動産高、円安を徹底的に目指していく政策なのです。これによって市場の見方は完全に変わってきました。大幅な株高、円安予想が多くの機関から発せられるようになりました。ゴールドマン・サックスは日経平均の目標値を19,000円と上方修正してきましたし、日興アセットマネジメントのチャールズ・ヒーズリー社長もインタビューに答えて、今後日本では預金から株式への流れが加速して、日経平均は2万円を目指していく可能性があると述べました。
円相場に関してもゴールドマン・サックスの予想では130円もありうるとして<日銀の決意を踏まえると、円相場の130円への下落は的外れな見通しではない>としています。各証券会社やシンクタンクはすぐにそうなるとレポートしているわけではありませんが、近い将来ということで予想の上方修正を次々に行ってきています。
アベノミクスの生みの親で安倍内閣のブレインであるエール大学の浜田名誉教授は、今回の動きに関しては満足のようで、今回の一連の金融緩和について<株や不動産などのアセットには明らかに効いている。仮に効果がなければ、株やREITなどリスク資産の日銀買い入れをさらに増やせばいいだけだ>と述べ自信を示しました。<効かなければ強い薬を使うようにさらに株やREITを購入する>という考えです。
かように今後の日本は、何が何でもインフレを起こすというふうに進んでいきます。こうして株の上げや不動産の上げが足りなければ、もっと日銀が購入していくので、株や不動産はさらに上昇を続けるだけで下げることはないでしょう。こうして、資産価格の上昇を起爆剤として日本経済を活性化させるというのが日本国が目指すところなのです。
今の日銀の計画ですと、2年で2%のインフレ目標は必達ということですから、何としても資金供給は続け、目標達成に邁進していきますので、結果として政府自身が目論むところは、毎年2%の物価上昇、さらには、今後消費税の引き上げが決まっていますので、3年後の物価は毎年2%ずつ上がって2%+2%+2%+5%(消費税)ということになりますので、3年後には11%の物価上昇が訪れるということになります。これが必達目標です。
すでに円安による輸入代金の上昇で、ガソリンをはじめとするエネルギー価格は上昇し始めています。さらには電力料金の値上げ、日用品ではテッシュペーパーや食用油が上がってきます。一呼吸おいて小麦の値上がりからパンや麺なども上がってきます。
実際問題としては、消費者物価指数というものは、これら生活必需品が上がってもテレビやパソコンなどの耐久消費財の値段が下がるのですぐに2%の上昇率の達成はできません。要は、2%の達成のためには生活必需品は毎年2%以上というか10%近い値上がりが必要になってきます。これが政府、日銀の目標であると思えばいいでしょう。
ちなみに株や不動産がいくら上がっても、消費者物価指数の品目には入っていませんので消費者物価指数上昇には影響を及ぼしません。
私はかねてから主張しているように、政府は今後、日本にインフレを引き起こすことはできますが、起こしたインフレを止めることができずに、このインフレの暴走が始まると確信しています。その走りが今の異常な株高の速度に現れています。今、投資を行っている全ての投資家がこのような異様な速度の株価上昇は経験していないはずです。
政府日銀は<異次元の金融緩和>を行ったわけですから、その狙い通り、やがて日本には<異次元の世界>が訪れることでしょう。<異次元の世界>では残念ながら経済的には働いた人よりも投資家の方が報われます。働くより株や不動産を保有している方がお金になるのです。また<異次元の世界>では保険や預金はその実質価値を失っていきます。
今までの低い金利や低い予定利回りでは今後訪れるインフレに対応できないのです。<異次元の世界>では国民の格差を極端に広げます。株や不動産が際限もなく上がっていく世の中では、持つ者と持たざる者の差が途方もなく大きくなっていくのです。
<異次元の世界>はやがて日本の社会を破壊させていきます。年金生活や生活保護では生きられないほどの物価上昇が円安と共に襲ってきます。
反面、<異次元の世界>はチャンスでもあります。この流れをつかんだ人達は巨大な富を手にすることができるのです。また<異次元の世界>はインフレを引き起こしますので、日本国債の暴落を誘導します、一見、大混乱が訪れるのですが、反面、若い人達は背負う予定だった日本国の巨額の借金返済からインフレによって解放されます。
<異次元の世界>で日本は壊滅的なインフレに襲われますが、その後は、強制的に諸問題が解決され、新しい日本が若い人達の躍動と共に始まっていきます。<異次元の世界>は厳しいですが、日本が通らなければならない道です。持続不能な年金制度も社会保障制度も官僚化した日本の社会も限界にきていることは明らかです。ドラスティックな改革が必要なのです。皆が納得して日本社会を変革するためには一度は破壊的な状況の出現が必要なのです。アベノミクスも日銀の新政策も間違っていますが、これによって破壊的なインフレが来たときに、日本人は結束して危機を克服することでしょう。これは<新しい日本>ができる<生みの苦しみ>であり、ぬるま湯に浸かりきった日本が覚醒するための試練が来ると思えばいいでしょう。無駄はありません。全ては必然です。圧倒的な危機が訪れるからこそ、我々日本人は本来持っている大きな力を発揮できるのです。これから来る<大インフレの破壊>を今から想定し、しっかり覚悟を決め、自分が<明日の日本を作る>という気概を持って来るべき混乱に備えてほしいと思います。
日本の近未来(それも1、2年後という超近未来だ)予測として、かなり蓋然性が高い予測だと思う。まあ、科学などの世界の未来予測は外れるもの、というのが相場だが、政治や経済など「誰かが意図的に起こす未来」は確実に実現する。その二つの未来予測は区別する必要がある。「政治の世界では偶然は無い」のである。経済の世界も同様だろう。
筆者は暗黒の近未来を示しながら、「破壊の後の再生」を説いているが、その破壊で破滅させられる国民の大多数にとっては何の救いにもならない言葉である。そういう意味では、引用した文章の最後の段落は気休めでしかない。そういう気休めを書かないと、あまりに暗黒すぎる未来だ、ということだろうか。要するに、アベノミクスとは、貧困層に属する数割(現在は3割から4割程度か)の人間が政治的(つまり意図的)に破滅させられる、ということである。
なお、ここに書かれたことから分かるように、現在の株高は政府(日銀)が株を購入することで作られたものであり、株高になるのは当たり前であったわけだ。そしてその恩恵は庶民にはまったく無縁であり、むしろアベノミクスの円安誘導による物価上昇が国民を苦しめているのは私が何度も書いた通りである。
(以下引用)
異次元の世界
(※今回は朝倉さんのレポートを、船井幸雄の意向により、編集なしでそのまま掲載させていただきます。)
<質・量ともに次元の違う金融政策を行う!>4月4日、日銀の黒田新総裁は高らかに宣言、物価上昇率2%達成のため、何と2年間で今までの2倍のマネーを供給して、この物価上昇を実現させてみせるというのです。これには市場関係者もびっくり仰天です。2年で2倍のマネーの供給! いったいこれからどんな展開になっていくのか、市場は株高、円安で答えました。まさに異次元の金融緩和という大実験が始まったのですが、この行く末にはどんな展開が待っているのでしょうか?
結論的に言いますと、日本は株高と円安が止まらなくなって、やがて破壊的なインフレに襲われて、今とは全く違った世界が訪れ、まさに<異次元の世界>が出現することになるでしょう。<異次元の世界>では円の価値が真っ逆さまに落ちていきます。また<異次元の世界>ではいわゆる実物、不動産や株や金などの価値が急騰していきます。また<異次元の世界>では今までの日本と違って国民の格差がかつてないほどに広がっていきます。
かように<異次元の世界>は今までとは全く違った世界であり、予想を超えて厳しくそして峻烈なのです。
長いデフレから一掃するために、政府と日銀は<異次元の金融緩和>というかつてない試みを試します。ここではインフレを無理やりに起こすために、日銀は大量の国債を購入することになります。その量は今までの倍であり(今まででも日銀は世界一国債を購入してきた)、これが日銀の国債買い付け量の倍ということです。更に質的な緩和ということが加わります。質的な緩和とは購入する国債の種類に変化をもたらします。
今までは3年以内の償還の国債を主に購入してきたのですが、今度は10年以上、40年満期の国債まで購入します。この10年以上の国債の日銀による購入量は今までの8倍の量に達するのです。
と言っても何かピンとこないかもしれませんが、これは簡単に説明しますと、日銀が国債を購入するということは、日銀は無尽蔵に円を印刷できますので、まるで<打出の小槌>のようなマネー供給ができるわけです。例えば日銀が国債を10兆円購入すれば、市場には10兆円という資金が供給されます。しかも円を印刷して供給してくれるのですから無から有を生み出す、まさにお金が湧いてくるわけです。この日銀が購入する国債が2-3年で満期が来ると、国は資金手当てをして日銀に資金を返さなくてはなりません。しかしその満期が40年先であれば、しばらく国債の資金は使い放題です。こうして今回の措置によって、国はしばらく返すことを考えずに多くの資金が使えるようになるのです。
しかも日銀は特殊な法律に縛られていまして、利益は国に返還しなければなりません。
例えば日銀が100兆円の国債を購入して利息が1兆円入ったとすると、その1兆円は利益となりますので国に返還する義務があるのです。こうして日銀は国債を購入してもその金利収入は国家に返上してしまいますので、結果として日本国家は利息を払う必要がないということになります。こうして日本国が日銀に国債を購入してもらうことは、国としては無利息で無尽蔵の資金を調達できるということになります。それでは国の財政の規律がなくなって歯止めがなくなってしまいます。
それはまずいということで、いろんなルールや今までは短い期間の国債だけを購入しようとしていたのですが、今回アベノミクスということで政府が日銀に対して政府の意志を反映してくれるような人材を総裁、副総裁として登用することになりました。こうして日本政府は日銀を乗っ取った形となりました。新しい黒田日銀は当然、日本政府の方針に従うという意味で、今までとは違った思い切った緩和策を講じたわけです。これは単純に考えますと、政府の借金を簡単に日銀に引き受けてもらうということで、その度合いを今までとは違って、もっと大胆に行ってもらうことになったのです。
ここで世界の人達は、日本は変わったとみて一気に投資してきました。日銀と政府は壮大な思い切った実験に入ってきたとみているのです。
政府、日銀の狙いは何かというと、インフレの創出です。日銀の新政策によって<こんなことを大々的に行えば将来インフレがくるだろう>と人々が思うようになり、その結果として人々は消費をして今までとは違って景気の盛り上がりが生じてくるはずだという考えです。実際、そのような観測の下、株高や不動産高、円安は起こってきています。
こうして日銀は日本の年間の国債発行量の7割までも購入します。先に書いたように日銀が国債を購入すれば政府は実質無利子での資金調達となりますので、この度合いが世界でも突出してナンバー1になったわけですから当然、通貨である円の価値は減価していくという観測の下、円安が急ピッチで進んできました。
これについて世界では様々な議論があり、日本は通貨安戦争の先頭に立ったとみられています。この辺は政府、日銀の狙い通りで、日銀はさらに直接的に株のETF(上場投資信託)を購入することによってさらなる株高を目指します。これも日銀が株を購入すれば円資金をいくらでも印刷して購入できますから、まさに資金は無尽蔵で株が上がって当たりまえです。
もちろん日銀はREIT(不動産投資信託)も購入して不動産高も目指します。また日銀の新政策では、国債はかつてないほどの大量購入ですから、国債市場に流通する国債がなくなってしまいます。やむなく生損保などは国債購入をあきらめ、外国の国債、いわゆる米国債をはじめとする外債の購入に向かっていくようになります。こうなれば、自然に円安に誘導できることになります。
このように<異次元緩和>は株高、不動産高、円安を徹底的に目指していく政策なのです。これによって市場の見方は完全に変わってきました。大幅な株高、円安予想が多くの機関から発せられるようになりました。ゴールドマン・サックスは日経平均の目標値を19,000円と上方修正してきましたし、日興アセットマネジメントのチャールズ・ヒーズリー社長もインタビューに答えて、今後日本では預金から株式への流れが加速して、日経平均は2万円を目指していく可能性があると述べました。
円相場に関してもゴールドマン・サックスの予想では130円もありうるとして<日銀の決意を踏まえると、円相場の130円への下落は的外れな見通しではない>としています。各証券会社やシンクタンクはすぐにそうなるとレポートしているわけではありませんが、近い将来ということで予想の上方修正を次々に行ってきています。
アベノミクスの生みの親で安倍内閣のブレインであるエール大学の浜田名誉教授は、今回の動きに関しては満足のようで、今回の一連の金融緩和について<株や不動産などのアセットには明らかに効いている。仮に効果がなければ、株やREITなどリスク資産の日銀買い入れをさらに増やせばいいだけだ>と述べ自信を示しました。<効かなければ強い薬を使うようにさらに株やREITを購入する>という考えです。
かように今後の日本は、何が何でもインフレを起こすというふうに進んでいきます。こうして株の上げや不動産の上げが足りなければ、もっと日銀が購入していくので、株や不動産はさらに上昇を続けるだけで下げることはないでしょう。こうして、資産価格の上昇を起爆剤として日本経済を活性化させるというのが日本国が目指すところなのです。
今の日銀の計画ですと、2年で2%のインフレ目標は必達ということですから、何としても資金供給は続け、目標達成に邁進していきますので、結果として政府自身が目論むところは、毎年2%の物価上昇、さらには、今後消費税の引き上げが決まっていますので、3年後の物価は毎年2%ずつ上がって2%+2%+2%+5%(消費税)ということになりますので、3年後には11%の物価上昇が訪れるということになります。これが必達目標です。
すでに円安による輸入代金の上昇で、ガソリンをはじめとするエネルギー価格は上昇し始めています。さらには電力料金の値上げ、日用品ではテッシュペーパーや食用油が上がってきます。一呼吸おいて小麦の値上がりからパンや麺なども上がってきます。
実際問題としては、消費者物価指数というものは、これら生活必需品が上がってもテレビやパソコンなどの耐久消費財の値段が下がるのですぐに2%の上昇率の達成はできません。要は、2%の達成のためには生活必需品は毎年2%以上というか10%近い値上がりが必要になってきます。これが政府、日銀の目標であると思えばいいでしょう。
ちなみに株や不動産がいくら上がっても、消費者物価指数の品目には入っていませんので消費者物価指数上昇には影響を及ぼしません。
私はかねてから主張しているように、政府は今後、日本にインフレを引き起こすことはできますが、起こしたインフレを止めることができずに、このインフレの暴走が始まると確信しています。その走りが今の異常な株高の速度に現れています。今、投資を行っている全ての投資家がこのような異様な速度の株価上昇は経験していないはずです。
政府日銀は<異次元の金融緩和>を行ったわけですから、その狙い通り、やがて日本には<異次元の世界>が訪れることでしょう。<異次元の世界>では残念ながら経済的には働いた人よりも投資家の方が報われます。働くより株や不動産を保有している方がお金になるのです。また<異次元の世界>では保険や預金はその実質価値を失っていきます。
今までの低い金利や低い予定利回りでは今後訪れるインフレに対応できないのです。<異次元の世界>では国民の格差を極端に広げます。株や不動産が際限もなく上がっていく世の中では、持つ者と持たざる者の差が途方もなく大きくなっていくのです。
<異次元の世界>はやがて日本の社会を破壊させていきます。年金生活や生活保護では生きられないほどの物価上昇が円安と共に襲ってきます。
反面、<異次元の世界>はチャンスでもあります。この流れをつかんだ人達は巨大な富を手にすることができるのです。また<異次元の世界>はインフレを引き起こしますので、日本国債の暴落を誘導します、一見、大混乱が訪れるのですが、反面、若い人達は背負う予定だった日本国の巨額の借金返済からインフレによって解放されます。
<異次元の世界>で日本は壊滅的なインフレに襲われますが、その後は、強制的に諸問題が解決され、新しい日本が若い人達の躍動と共に始まっていきます。<異次元の世界>は厳しいですが、日本が通らなければならない道です。持続不能な年金制度も社会保障制度も官僚化した日本の社会も限界にきていることは明らかです。ドラスティックな改革が必要なのです。皆が納得して日本社会を変革するためには一度は破壊的な状況の出現が必要なのです。アベノミクスも日銀の新政策も間違っていますが、これによって破壊的なインフレが来たときに、日本人は結束して危機を克服することでしょう。これは<新しい日本>ができる<生みの苦しみ>であり、ぬるま湯に浸かりきった日本が覚醒するための試練が来ると思えばいいでしょう。無駄はありません。全ては必然です。圧倒的な危機が訪れるからこそ、我々日本人は本来持っている大きな力を発揮できるのです。これから来る<大インフレの破壊>を今から想定し、しっかり覚悟を決め、自分が<明日の日本を作る>という気概を持って来るべき混乱に備えてほしいと思います。
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