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イギリス労働党の躍進の原因分析


イギリスだけでなく、欧州全体の政治の「空気」がよく分かる、好記事である。
そして、英国総選挙では、このコービン率いる労働党が躍進したらしい。
日本の政治改革を望む人々にとって、労働党のマニフェストや戦い方は、いろいろと参考になる部分があるのではないだろうか。



NHSへの大規模支出、大学授業料の再無料化、学校・警察・福祉など削減されてきた公共サービスの復興、鉄道、郵便などの再国営化。


NHSとは何か、記事中には説明は無いように思うし、英国に住む人間以外には「常識」だとも思わないが、それ以外の部分は日本の政党がマニフェストに掲げてもいい内容に思える。もっとも、私は大学授業料を無料化するより、公教育全体の根本的改革が必要だと思っている。大学に行かないと良い就職ができない、ということ自体が間違っているのではないか。
大学って、そんなに素晴らしい授業をしているのか。仮にそうだとしても、中学高校の授業があれほど愚劣なのに、大学だけが素晴らしい授業であっても意味はないだろう。
まあ、「学校・警察・福祉など削減されてきた公共サービスの復興、鉄道、郵便などの再国営化」など、全部ではないにしても、日本でも参考にすべき点があると思う。

イギリスと日本の共通点は、一般庶民の経済的疲弊である。

年金制度や健康保険への不満や不安、雇用問題、政府の汚職、原発問題、東京オリンピックによる弊害、その他いろいろ日本の問題は山積している。これで、仮に総選挙をやって野党が負けるとしたら、そのほうが不思議である。





(以下引用)

2017英国総選挙:コービン労働党が奇跡の猛追。「21世紀の左派のマニフェスト」とは?

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労働党マニフェストを掲げるコービン(写真:ロイター/アフロ)



「6月8日の総選挙は保守党の大勝」と二週間前に東京で言いまくってきたわたしだが、全くそうじゃない事態になってきた。今月初めまで20%開いていた与党保守党と労働党の支持率の差が、6%(ITV「Good Morning Britain」のためSurvationが行った 5月29日の調査)まで急速に縮まり、コービン党首率いる労働党が奇跡の猛追を見せている。

メイ首相のオウンゴール

このような事態になった発端は、保守党が「認知症税」と呼ばれる悪名高き高齢者ケア案をマニフェストに盛り込んだことにある。これは高齢者ケア費用の複雑な分担の新案だが、要するに高齢者の持ち家を死後に手放させることによってケア費用を負担させ、しかも「一年の無給ケア休暇を認める」という働き方改革案とセットになっていたため、「要するに高齢者と家族の資産と労力を使って高齢者ケアをやれ、国はもう財政支出しません、という究極の緊縮政策じゃないか」という不満の声が噴出。メイ首相は「高齢者が生きてる間は自分の家に住める人道的政策」と主張したが、「私は今、フルタイムで認知症の母親のケアをしていますが、もしもこの案が通り、母親の死後に家が取り上げられたらホームレスになります」とラジオ番組に泣きながら電話してきた人などもいた。


この非難轟々の状況をみて、メイ首相は「認知症税」案を取り下げた。


メイ首相はサッチャーのようなゴリゴリの信念の人(いいにしろ、悪いにしろ)ではない。だから、今年はじめの自営業者の社会保険料負担増額案の撤回を見てもわかるように、世間が騒ぎ出すとけっこうあっさりUターンする。いい意味ではプラグマティック、悪い意味では日和見主義と言われる人なんだが、こうもUターンばかり繰り返すと、「ブレグジットは私のように安定した、強い指導者でなければ進められない」という主張に信憑性がなくなる。

党首討論拒否のメイ首相がライブインタビューに出演

メイ首相はコービンとの党首討論を拒否しているが、ジェレミー・パクスマンと1対1でのメイ首相とコービン労働党党首の個別インタビューが5月29日にチャンネル4とSKYで生放送された。パクスマンは陰険に鋭く突っ込むブロードキャスターで、政治家を追い詰めてポロッと本音を言わせることで有名だ。


パクスマンとのインタビューでは、コービンは「なぜ労働党のマニフェストからコービンが強く信じてきた事柄(核ミサイル「トライデント」更新反対、王室廃止など)が抜けているのか」としつこく聞かれ、「それは、僕は独裁者ではないからです」と淡々と答えた。


一方、メイは、冒頭からEU離脱投票前は彼女は残留派だったという事実を突かれ、「あなたは心変わりばかりしている。もし僕がブリュッセルであなたと交渉するとしたら、『彼女は単なるおしゃべりな自慢屋だ。銃声を聞いただけで倒れるぞ』と思うでしょう」とキツイことを言われて、ムッとした目つきになり、「ブリュッセルの人々は私のこれまでの交渉の実績を見ている。私はこれまで成功してきた」という答えを返した。


パクスマンとメイ
パクスマンとメイ

メディアが苦手なはずのコービンの急変

2人の差が歴然と現れたのは、オーディエンスの質問に答えたコーナーだった。


昨年のEU離脱投票後に首相に就任したときには「いま必要なのは、社会のすべての人々のために機能する経済」と言ったくせに相変わらず緊縮を続けているメイ首相には、学校、警察、NHSなどへの支出削減に関する質問が寄せられるが、「みんな資金の問題にばかり傾注しすぎです。必要なのはもっと良い学校をつくることです」「警官の人数は問題ではありません。人々は警官の数ばかり考える」といった意味不明の答えを繰り返して視聴者を困惑させた。


一方、コービンは彼が一貫して主張してきた反緊縮をぶれずに訴えた。


「我々のマニフェストは未来への投資、若者たちへの投資についてのものです。(中略)私はこのマニフェストを誇りに思っています。これを法制化して実行できることを誇りに思います。それができることを楽しみにしています」と言い放ったコービンは自信に満ち、何が起きたのかと思った。まるで2015年に党首に選ばれたときの彼のようだ。


この人は、ひょっとすると「絶対に負ける」「問題外」と侮られているときに真価を発揮する人なのかもしれない。


観客に語りかけるコービン
観客に語りかけるコービン

さらに、中小企業の経営者だという観客から「家族代々労働党を支持してきましたが、もう支持できません。あなたは26%の法人税、ゼロ時間雇用契約の廃止、最賃10ポンドなどのバカバカしい案をマニフェストに入れ、私の子供の(私立校の)授業料にまで消費税を課そうとしている」と批判されたコービンは、「2010年まで法人税は28%だった。保守党はまだ下げるつもりでいます。しかし、労働党はそれをもとに戻す。なぜならこの国は富める者と貧しい者に分断されてしまっているからです。あなたは(公立校の)一クラスの人数が増えているのを見て嬉しいですか?多くの子供たちがお腹を空かせて学校に行っているのを見て嬉しいですか?」「長年の労働党支持者なら考えてみてください。どうやって我々は福祉国家やNHSを作ったのでしょう。それは終戦直後の労働党政権が、未来に投資する勇気を持っていたからです(※ケン・ローチ監督『1945年の精神』に詳しい)。労働党は再び同じことをやります」とコービン節を聞かせて大きな拍手を浴びた。


この日のコービンの活躍は、なんと右翼政党UKIPの元党首ナイジェル・ファラージでさえ、「僕はコービンには賛同しないが、彼はまったく嘘偽りのない人間のように見える」と好感を示すツイートをしたほどだった。

21世紀の左派のマニフェスト

コービンに退任を迫るような文章を書いていたオーウェン・ジョーンズも、「僕は、自分がこれほど派手に間違っていたことはないと思う」とガーディアンのコラムに書いた。そのジョーンズが「21世紀のレフトのマニフェスト。世界中で苦戦している左派はこれをテンプレートにするべき」と言う労働党のマニフェストは、「左派ポピュリスト・マニフェスト」と呼ばれている。わたしの周囲にも「(コービンが首相というのはどうかと思うが)あのマニフェストはいい」という人がとても多い。


NHSへの大規模支出、大学授業料の再無料化、学校・警察・福祉など削減されてきた公共サービスの復興、鉄道、郵便などの再国営化。コービンの言っていることは2015年から変わっていないが、マンチェスターの爆弾テロの後で、「こんなときに警察の人員を削減している場合か」の不安が広がっている今、リアルに地べたの人々の心に響いている。


労働党のマニフェストには、緊縮財政で暗い国を作らなくとも、投資と成長で収入を増やせば財政は健全になるのだと書かれている。そして、ヤニス・バルファキスが率いる欧州規模でEUに改革を求める組織DiEM25のスローガンである「ニューディール」の言葉もしっかりと組み込まれている。


バルファキスの同志である経済学者(80年代の伝説の労働党左派議員でもある)スチュアート・ホランドは、著書『Beyond Austerity: Democratic Alternatives for Europe 』に、「ナチスはハイパーインフレが生んだと信じている人が多いが、実はナチスを生んだものはデフレと緊縮だった」と書いている。現在の世界情勢を鑑みれば、労働党のマニフェストを「世界の左派はテンプレにすべき」とオーウェン・ジョーンズが言うのも道理だ。


「右傾化した」はずだった英国の人々が、「Mrマルキシスト」の異名を持つド左派党首の政党に戻ってきていることがその何よりもの証拠だろう。

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ブレイディみかこ 在英保育士、ライター

1965年、福岡県福岡市生まれ。1996年から英国ブライトン在住。保育士、ライター。著書に『子どもたちの階級闘争』(みすず書房)、『いまモリッシーを聴くということ』(Pヴァイン)、『THIS IS JAPAN 英国保育士が見た日本』(太田出版)、『ヨーロッパ・コーリング 地べたからのポリティカル・レポート』(岩波書店)、『アナキズム・イン・ザ・UK - 壊れた英国とパンク保育士奮闘記』、『ザ・レフト─UK左翼セレブ列伝 』(ともにPヴァイン)。The Brady Blogの筆者。



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