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徽宗皇帝のブログ

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コロナ後の食糧危機と種苗法改悪、医療危機
「ギャラリー酔いどれ」から転載。
今はほとんどの人に見えていないが、コロナ騒動の陰に隠れて「新自由主義者」、特に米国企業が何を企んでいるか、下の記事はかなり詳しく明確に説明している。前半はやや「タルい」のだが、中盤からは引き込まれる内容だ。
コロナ後の世界は食料危機が起こると私は見ている。その時に大事なのが食料自給率だが、種苗法改定などは外国企業に種苗の独占権を与える目的のもので、食料安保の根幹を危険にさらすものである。
種苗法改悪以外にも、医療への米国保険会社の参入、つまり「健康保険制度」の骨抜き化なども企図されているようだ。となれば、米国の今回のコロナ悲劇(大量死)は、明日の日本の姿になるわけである。
これが今、水面下で進行している「見えない侵略」である。


(以下引用)


◆https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/17054
長周新聞  2020年5月7日
COVID19が問う 貿易・食料問題ー
 日本と世界の農業、自由貿易協定の行方は?

 アジア太平洋資料センター(PARC) が 公開講座


より抜粋、


自由貿易の問題点について 警鐘を鳴らしてきた

アジア太平洋資料センター(PARC)が 5月1日、

「COVID―19が問う 貿易・食料問題 ―

日本と世界の農業、自由貿易協定の行方は?」と題して

オンライン公開講座を開催した。

新型コロナ感染防止のため、ウェブ会議システム

「Zoom」(オンライン上での複数人同時配信)

でおこなわれた講座では、PARC共同代表の 内田聖子

東京大学教授の鈴木宣弘の2氏が 講演した。

日本国内では ほとんど報道されていない新型コロナウイルス拡大

の下での 貿易措置の世界的動向や 食料危機の可能性について

データに基づいて認識を共有し、

食料自給率が低い日本が それにどのように対処するべきかについて

問題提起をおこなった(掲載する図表は内田氏による作成・提供)。


(中略)


両氏が対談  食料主権を守る 政策を

両氏は、日本の食をめぐって 今後予測される動向について

論議した。 以下、概略を紹介する。


内田 これまで日本は 外側では自由貿易を推進し、

   国内には安い肉を流通させてきた。

   “国民が喜ぶだろう”という一方で、神戸牛など付加価値の高い牛肉は

   海外の富裕層向けに輸出したり、インバウンドでくる観光客向けに

   販売するという二極化が進んできた。

   それがコロナ危機で 輸出や インバウンドが途絶え、

   高級肉の行き先がなくなっっている。


鈴木 良質な国産の需要を支えているのが、

   高級レストランやインバウンドだったが、

   それは非常に限られた市場だった。

   今は在庫が積み上がっている。

   この状態を見直して、国民全体にそれなりにいいものを

   提供するという役割を果たしたうえで、

   輸出について考えるべきであり、

   どこをみて仕事をするのかを考え直す機会にしなければならない。


内田 供給先を失った国内農産物について、日本政府は個人に消費を呼びかけて

   いるが、それでは足りない。韓国では、給食に有機農産物を使っている学校

   も多いが、これが休校でストップした。

   そこで自治体が農産物を買いとって、家庭にいる子どもたちに

   直接配る政策をやっている。日本でも国がもっと積極的に

   買いとって配るなどの措置をすべきだ。


鈴木 諸外国では、生産者側にも消費者側にも還元されるように

   具体的にやっている。 日本は呼びかけるだけで、

   それにともなう財政措置がない


   危機のさいには 機動的に財政出動する必要があるのに、

   出し渋っている。 今回の補正予算も真水(政府の支出)がほとんどない。

   農業予算も、TPP対策や 日米貿易協定の国内向け対策費に

   3000億円というが、農家が困っているときにその差額を補てんする

   ところには 100億円くらいしか行かない。

   手続きが煩雑なうえに、予算が分散化し、ダイレクトに役に立つ

   ものが出てこない。 農水省に「予算を有効に」というと

   「うちではなく財務省が悪い」という。

   いろんな条件をつけて 出さないようにしているのだ。

   結局、予算を使い勝手が悪いものにして

   戻ってくるようにしている。

   東北被災地の復興予算と同じだ。



参加者の質問 食料自給率を上げることは一国主義に陥り、

       農産物を生産する 途上国の経済に影響を与えないか?


鈴木 日本だけは 例外的に少ないが、先進国はかなりの予算をかけて

   食料の国産化を推進している。

   確かに途上国では、農産物の輸出で外貨収入の大部分を得ている国もある。

   そのような国の経済にはマイナス面があるだろうが、

   一方で、米国が関税を撤廃させて 自国で食料をつくらなくなったハイチ

   などの国では、食料危機で 飢饉による死者が出ている。

   カロリー(穀物)については、それぞれの国が自給する方が、

   途上国の食料安全保障にとっても 必要なことだ。

   途上国の輸出農産物は、果物やコーヒー豆など

   付加価値の高い商品作物が多い。

   例えば東南アジアや南米原産のコーヒー豆などは、

   他国と競合することはない。

   むしろ ネスレ などのグローバル食品企業が買い叩くわけだ。

   途上国の経済を守るためには、こういうことにこそ

   メスを入れる必要がある。


内田 一番の食料難が懸念されるのは途上国だ。

   FAOも指摘しているが、そもそも圧倒的な貧困があり、

   水や医療が保障されず、今後はイナゴの大群や他の感染症の問題もあり、

   COVID対策だけをやっておれない というのが現状だろう。

   そのうえで輸入に依存しているという構造上の問題を

   解決しなければいけない。単純に先進国とは比較できないこともある。


   日本では現在、種の自家採取を禁止する ことを含む

   種苗法改定 の国会審議が 連休明けに迫っている。

   これがどのような問題を持ち、自給率にどのように関係するだろうか。


鈴木 日本の野菜の自給率は 80%といわれるが、

   種子の 9割は 外国の圃場で生産されている。

   種まで遡って考えると野菜の自給率は 8%になってしまう。

   だが、種苗法改定によって 公共種子や農民種子を

   企業の特許種子に置き換え、コメ、麦、大豆の種までも

   グローバル種子企業が握る 可能性が出てくる。


   苗法については、農水省自体は 日本の種苗が海外で

   勝手に複製されることを抑止する という考え方でやっている。

   担当部局は誠意をもってやっているが、

   もっと上の方で 別目的が動いている。

   種子法廃止とセットで、「試験研究機関 及び 都道府県が有する

   種苗の生産に関する知見の 民間事業者への提供を促進する」

   という 農業協力強化支援法八条4項を 定めて

   「公共の種」をなくして差し上げ、

   種苗法の改定で 農家の自家採種を禁止し、

   種をグローバル種子企業から 買わなければならないものにする。

   南米で吹き荒れた「モンサント法」とまったく同じ方向に

   動かされてしまっている。

   本来誰のものでもない種子を、

   一握りの育成者の 「知的財産権」として登録し、

   その権利を独占させるものだ。

   「登録品種はわずかだから 大丈夫」という議論もあるが、

   そこでもうけようとするグローバル種子企業は、

   在来種などの非登録品種 を勝手に登録して

   自分たちのものにしていくインセンティブが働く。

   「登録品種であっても 許諾を受けるなら使える」

   という論調もあるが、農研機構(農水省所管の独立行政法人)

   がもっていた権限をグローバル企業に渡しなさい

   といっているわけだから、農研機構も 海外から人が入ってきて

   公的機関とはいえない状態になって行く。

   だから「大丈夫だ」という議論は成立しない。

   営利企業の恣意的な判断が動き、いろんな形で影響が出てくる。


内田 なぜ今そこまで 知財を強化するのか という合理的な説明がない。

   RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の協議のなかでも、

   日本が 育成者権 という種の所有権を強化しようとしている

   ことが警戒されている。アジアでの互恵的な関係をつくっていく

   うえでも、先進国が知財を強化することは受け入れられない。


   第1ラウンドを終えた日米貿易交渉(FTA)の 第2ラウンドの行方も

   懸念される。1月に発効した協定は基本的には物品に限ったもので、

   農業の分野で譲歩をしているわけだが、

   さらに広い分野を対象にした交渉がおこなわれることが予想される。


鈴木 「4カ月後に 協議開始」の通りであれば、

   すでに始まるところだが、コロナ・ショックで延期になっている。

   トランプ大統領としては、大統領選前に とるべきものはとった

   という状態かもしれないが、米国全体としては

   TPPで USTR(米国通商代表部)が示した 

   22項目すべて を狙っている。

   それぞれの企業が狙っている。

   農産物でも先送りになった コメや乳製品の枠など

   前回はやらなかったものが 33品目残っている。

   食の安全基準でも、BSEでは 米国に対して全面的に条件撤廃している。

   BSEの月齢制限だけでなく発がん性が高い防カビ剤「イマザリル」も、

   日米レモン戦争(1975年に米国産輸入レモンから

   防カビ剤が多量に検出され、日本側が海洋投棄したことに米国側が激怒。

   自動車輸出を制限した事件)以後、

   日本はイマザリルを農薬ではなく「食品添加物」に分類して

   検査基準を緩和した。それでも米国は表示されることに怒り

   食品添加物の表示義務そのものをやめさせろといっている。

   この安全基準も農薬や添加物についても 項目が出てくるだろう。


   医療分野も心配だ。薬価が不当に釣り上げられ、

   一部の医薬品企業が ジェネリック(後発医薬品)の権利を独占する

   ことが予想される。

   本丸は国民健康保険だ。

   医療・保険の企業チェーンが日本に進出するというのが

   米国の究極目標だ。

   どこまで進むのかを考えたときに、

   コロナ・ショックで米国の医療が どれだけたいへんな状況であったかが

   顕在化している。国民皆保険がないため、無保険者が多く、

   高額の医療費を支払えず、治療どころか検査も受けられないまま

   たくさんの人が亡くなっている。

   日本もすでに国内医療が 効率主義で苦しめられているが、

   これ以上、日米間でこれを進めては 絶対にいけない

   という思いを強くしている。


内田 また現在、COVID―19のワクチンや 治療薬の開発をめぐり、

   世界の企業が争って研究開発をしている。

   これは必要なので開発が急がれることではあるが、

   これが企業特許となって、グローバル製薬会社が丸抱えし、

   高値で売りつける可能性がある。

   これにWTOのルールの下で強い保護が与えられたら、

   それにアクセスできる人や国は限られてくる。

   この世界的パンデミックに対して、

   開発国の権利は保護されるべきだが、

   薬があるのに手に入らずに死んでいくことが危惧される。

   エイズのときの 二の舞になりかねない。

   とくに途上国に対しては特例的な措置をすべきだ。


   また、FTAなどの貿易協定に含まれるISDS条項
 
   (日本ではTPPのみに含まれる)は、

   投資国の法律改定などで利益が損なわれた場合に、

   外国企業や投資家が相手国政府を提訴できる制度だが、

   今回のCOVID感染対策として各国がおこなった

   ロックダウンなどの緊急措置によって

   企業活動が制限されたとして、外国企業側がそれらの国を

   提訴することが予想される。

   欧州では、すでに損害賠償を求める準備を進めている企業もあるようだ。


   COVID下の各国の輸出制限に対する報復措置についても、

   WTOやRCEPではテレビ会議での交渉会合が予定されている。

   この動きが進めば、公衆の衛生を守るという権利さえも、

   私企業の利益のために歪められてしまう恐れがある。

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