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徽宗皇帝のブログ

徽宗皇帝のブログ

マスコミだけを信じる馬鹿たちが権力の存在基盤
「ギャラリー酔いどれ」から転載。三つともいい記事なので、すべて載せる。
昨日は自分のブログの管理画面にアクセスできず、記事が書けなかったので、「さあ大変、ネット弾圧、ネット検閲だ」と思ったのだが、今日はアクセスできる。しかし、単なるネット接続の不調だけで、一部の政治ブログにだけアクセスできない、ということがありうるのだろうか。昨日は「混沌堂主人雑記」などにもアクセスできなかったのである。
まあ、本格的なネット検閲やネット弾圧がいつ始まってもおかしくないので、このブログや酔生夢人ブログが突然消えたら、そういうことだと思えばよろしい。
アメリカでトランプが勝利したのは、米国民がマスコミを信じず、ネット情報のほうを信頼した(もちろん、ネット情報にも嘘がたくさん混じっているが、それは「自分の頭や見識」で判断するわけだ。)結果だ、という見方もある。
日本国民がネット情報に触れて賢くなるのを一番恐れているのは自民党と官僚上部層と経済界支配層、ジャパンハンドラーズやユダ金本体であるのは間違いない。




(以下引用)



いい分析ですな、

◆http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/gurobarizumusingentinohatan.html
長周新聞  2016年11月11日付


   グローバリズム震源地の破綻

      アメリカ大統領選挙結果

      支配機構狼狽さす大衆世論



注目されていた米大統領選は、蓋を開けてみると
当初の「ヒラリー優勢」報道を覆してドナルド・トランプが勝利し
次期大統領への就任が決まった。

資本主義の総本山である米国において、支配階級が目をつけていたであろう
次期大統領候補たちは、予備選で「サンダース現象」「トランプ現象」
に呑み込まれて脱落し、
最終的に民主党のヒラリー・クリントンを大本命にして
多国籍企業や金融資本、軍産複合体やメディア、共和党重鎮も含めて
総掛かりで支援したが、米国民はトランプを選択した。

「世界を驚かせた番狂わせ」といって狼狽している姿は、
メディアや支配階級の側の感覚が世論から遊離しきっていることと同時に、
いまや欺瞞やプロパガンダが通用しないまでに
米国における階級矛盾が鋭いものになっていること、

エスタブリッシュメント
(既成の権威的勢力や体制)への信頼が崩壊し、
これらが国家や社会をまとめ上げていく力を失っていること
を浮き彫りにした。

この結果は、トランプ個人の是非や好き嫌い、
あるいは民主党共和党の範疇で捉えることなどできない。

新自由主義・グローバル化をもっとも強烈に推し進めてきたアメリカにおいて、
足下からその支配が瓦解し始めている
ことを示した。

今後、世界的な流動情勢をつくり出していくことは疑いなく、
対米従属の鎖につながれた日本社会にとっても、

各国で台頭している反グローバリズムの力とつながり、
時代の変化を捉えることが重要な局面になっている。

 
資本主義総本山で歴史的番狂わせ 時代の大きな変化象徴 
 共和 VS 民主でなく 1% VS 99%


今回の選挙は予備選の過程から、いわゆる民主党 共和党の
2大政党制支配が崩壊している姿を露呈していた。

民主党では、もともと党員でなかった自称「社会主義者」の
バーニー・サンダースが登場して、
オバマが後継指名したヒラリー・クリントンと互角に渡りあった。

共和党も政治経験ゼロの不動産王・トランプが出馬し、
こちらも共和党重鎮たちの応援を受けた候補者たちを次次と打ち負かして躍進した。

従来の民主党、共和党の枠組みを超えた番狂わせで、
両党ともに「サンダース現象」「トランプ現象」が台風の目となった。

この旋風で彼らは何を訴えたのか。

どのような力によって泡沫状態から躍進したのか。

サンダースは、1%の富裕層が90%の下層国民と同額の富を独占し、
技術と生産性の大幅な進歩にもかかわらず、
多くのアメリカ人は低賃金労働を強いられ、
子どもの貧困率はどの先進国よりも高いことなど、アメリカの不平等社会を批判した。

そして、雇用を増やし、医療をすべての人人に提供できるようにするため
「億万長者から政治的権力と経済的便益を剥奪する!」と宣言するなどして、
若者を中心に熱烈な支持を広げた。

大企業への優遇税制を停止し、タックスヘイブン(租税回避地)への税逃れの禁止、
最低賃金の上昇、国民皆保険制度などの社会保障の整備充実、
公立大学の授業料無償化、TPPに反対し
生産活動の海外アウトソーシング(調達)をやめて国内生産にシフトさせる、
インフラ再建などさまざまに政策を掲げ、
「九九%の国民のための政治」にするのだと訴えた。

移民排斥やイスラム教徒の追放など排外主義的な言動ばかりが
とりあげられていたトランプも、
富裕層への懲罰的課税や累進課税の強化、所得格差の是正や社会福祉の充実、
市場原理を否定して社会的な規制を強化すること、
労働コストの安い海外に流出した製造業を米国に戻すこと、TPP反対などを訴え、
ワシントンの既存勢力に媚びないという訴えが支持を受けた


単純な「保守主義の台頭」という以上に、
新自由主義政策に対する国内の不満の高まりをそれとしてすくい上げるものになった。

民主党のサンダースが予備選終盤に不可解な裏切りをやり、
若者や支持者を幻滅させた
もとで、

本選はクリントンVSトランプの構図になったが、
もはや民主党VS共和党の対決というよりは
既存の政治体制の代弁者たるヒラリー・クリントンを大統領にするか否か
大きな注目が集まった。

ゴールドマン・サックスから講演料名目で巨額の資金を受けとっていたことや、
中東その他における国務長官時代の戦争狂いの実態暴露、
軍産複合体とのつながりや第3次世界大戦を引き起こしかねない危険性など、
さまざまな情報が駆け巡ることとなった。

支配階級がメディアも挙げてトランプ叩きに奔走し、必死にヒラリー支援をやったが、
そうした世論誘導のやり方も見透かされたことを示した。

こうして「嫌われ者対決」 「米国民にとって最悪の選挙」と呼ばれた選挙で、
ヒラリーの方が否定される結果となった。

予備選を含めた全過程において、予想を超えた世論の流れが選挙を揺さぶり、
誰も読めない展開をつくり出した。

候補者のいずれが強いか弱いかという以上に、
現在の米国における国内矛盾を直接に反映したのが大きな特徴となった。

財界やワシントン中枢の統治機構の思惑をことごとく突き破った原動力は、
まぎれもなく国内世論であった。

リーマン・ショックからの8年、「チェンジ」の欺瞞で登場したオバマを通じて、
支配の側は金融資本主義のシステムを守るために必死で量的緩和を実施したり、
ウォール街を優遇して延命を図ってきた。

またアメリカが主導してTPPを進め、さらに徹底して
新自由主義・グローバル化政策を推し進める方向に舵を切った。

この新自由主義政策によって犠牲を被るのは、
多国籍企業や金融資本によって食い物にされる他国だけでなく、
アメリカ国内そのものであった。

製造業は低賃金労働を求めて海外移転し、
あるいは人・モノ・金の移動を自由にした結果、

メキシコなどから低賃金のアンカーとなる移民労働力を大量に国内に招き入れて
さらに貧困と失業を拡大し、アメリカ国内は窮乏化が進行した。

人だましだったオバマケアも、おかげで医療を受けられない国民が増大し、
保険会社が肥え太っただけだった。

国民の7人に1人が貧困ライン(年収233万円)以下の生活水準になり、
29歳までの若者の失業率になると45%とすごいものになった。

サブプライムローンなど金融資本の餌食になって家を追い出されて
ホームレスに転落する人人が続出し、学生は学資ローンで金融資本の餌食となり、
さらにカードローンなど、借金地獄にたたき込んでいく仕組みによって
生活が破綻する国民が増え

低所得者層に配られるフードスタンプ(食料購入券)の利用者は
4700万人にまで膨れあがった


一方で多国籍企業やリーマン・ショックで潰れかかっていた金融資本は
膨大な公的資金によって息を吹き返し、
利益はタックスヘイブンに租税回避させ、損失は国内の納税者に要求す

自治体財政は逼迫して、公立学校や公共交通、公共サービスなどの予算が
ことごとく削られ、道路、橋、鉄道、空港などの公共インフラが
老朽化したまま放置されるような事態が深刻なものになった。

1%のためだけに政治や統治機構が機能し、社会全体がそのように運営されていく。

この強欲で支配的な力が公共的な利益をないがしろにして、
人人の生活や生命すら脅かしていくことに対して、
充満しきっていた大衆的な反撃機運が、大統領選で一気に噴き出す格好となった。


日本も同じ課題に直面 どの様な針路とるか

第2次大戦とその後の米ソ2極構造崩壊を経て、
アメリカは新自由主義・グローバル化を唱え市場原理主義を推し進めて
世界覇権を欲しいままにしてきた。

国境の垣根をとり払って各国に市場開放を迫り、
自由貿易、労働市場の自由化、規制緩和や行政改革などを強いてきた。

それは多国籍企業や国際金融資本が世界を股にかけて暴利をむさぼるものだったが、
同時に貧困と経済的不均衡を各国にもたらし、
リーマン・ショックまできて破綻した。

強烈なる搾取収奪の社会を作った結果、世界中で貧困が拡大し、
アメリカでも欧州でも日本国内でも、
資本と労働の矛盾、帝国主義と人民の矛盾が激化している。

自由な移動、自由な貿易といったものが、労働者の自由ではなく、
巨大独占企業や多国籍企業の自由であったこと、

そのもとでは人民生活が破壊され、
社会そのものが成り立たないことを多くの人人が実感することとなった


アメリカ大統領選におけるトランプやサンダースの躍進にせよ、
イギリスの国民投票におけるEU離脱にせよ、
欧州各国で台頭する反グローバリズムの斗争にせよ、

資本主義社会の足下から、それに成り代わる次の社会の到来を求めて
世論が噴き上がり始めている


資本主義が終わりを迎えていることを世界中の人人が実感し、
そのなかで一方は強欲に暴れ回り、
これに対して圧倒的な99%の人民の側が社会的な利益を掲げ、
みんなの暮らしをまともなものにせよと願って行動を始めている。

資本主義の冷酷さをもっとも実感している総本山の米国で、
もはや堪えきれない力をともなって行動が広がっていることを大統領選は示した。

その意味で、トランプの人物評や今後の振る舞いがどうなっていくかは別として、
米国の変化を映し出す歴史的な番狂わせとなった。

米ソ2極構造の崩壊から4半世紀が経ったが、
資本主義の永遠の勝利を叫んでいたアメリカ及び西側資本主義こそが
腐朽衰退し、体制崩壊がさまざまな形で顕在化している


1%の金融資本が牛耳る世界ではなく、社会を支え富を生産する九九%が助けあい、
まともに暮らしていけるあたりまえの社会運営
を求める力が圧倒し、

それこそ1%99%の矛盾と斗争を通じて、時代は変化していることを実感させている。

第2次大戦後のパクスアメリカーナすなわち
新自由主義・グローバル化による一極支配体制が終焉を迎えようとしている。

しかし多国籍企業や金融資本がいなくなったわけではない。

みずから退場するようなお人好しではないことから、引き続き階級矛盾は激化し、
これとのたゆまぬ斗争に挑まなければならないことを教えている。

国家を超越して一握りの多国籍企業や金融資本が直接支配・収奪に
身を乗り出しているなかで、各国の政治リーダーの善し悪しで世の中が動くのではなく、

政治家も含めて縛り上げるような大衆的な広い力を束ねることが、
時代を前に進める最大の原動力であることは疑いない。

アメリカ大統領選を受けて、
日本社会はどのような針路をとっていくのかが問われている。

打倒されつつある新自由主義政策のお先棒を担いで真似事をやるなら、
一回りして同じように打倒される運命にあることを
日本の為政者にも突きつけている。

何につけても米国支配層の受け売りばかりやってきた政財界、統治機構、メディアが
一緒になって狼狽し、なおも破綻するであろうTPPを強行採決して
媚びを売っていく姿が世界に恥をさらしている




 


もはや、米民主党がTPP支持に戻ることはない、

◆https://tanakanews.com/161109trump.htm
田中 宇(さかい)  2016年11月9日
トランプ当選の周辺


11月8日の米大統領選挙でドナルド・トランプが勝った。

米国などのマスコミには直前までクリントン勝利を予測していたので、
マスコミの論調には意外感が充満している。

毎回僅差で有名なフロリダ州は今回、トランプ勝利が早めに決まった
(2大候補の差が2・6ポイント)。

もっと僅差だったのは、ペンシルバニア(1・1ポイント差でトトランプ勝利)、
ウィスコンシン(0・9ポイント差でトランプ勝利)、
ミシガン(0・3ポイント差でトランプ勝利)といった、
五大湖周辺の「ラストベルト(さびれた製造業地帯)」の諸州だった。

今回のように僅差が続出すると、それらは出口調査の誤差の範囲内になるので、
出口調査と食い違ってもおかしいと思われず、
投票マシンのプログラム書き換えなどによる選挙不正もやりやすい。

だが今回、選挙不正があったという指摘は、散発的にしか出ていない。

不正があるとしたら、投票機を使い、党本部が絡んだものになる。

共和党本部から嫌々ながらしか支持されていないトランプ陣営は不正をやれない。

不正をやるとしたらクリントン陣営の方で、
だからトランプは支持者たちに「投票日に選挙不正を監視せよ」と呼びかけた。

結局、不正はあまり指摘されず、クリントンは負けた。


世論調査や討論時の不正(えこひいき)は多かったが、
投票日の組織的な不正は行われなかったと考えられる。

上記のラストベルト3州は、米マスコミの事前予測でクリントンが勝ちそうな州
に分類されていた。

製造業の労働組合員は、もともと民主党支持だ。

3州合計で46人の選挙人(間接投票者)を決める。

この3州がマスコミの予測通りになっていたら、クリントンの勝算がぐんと上がった。

トランプが勝ったのは、NAFTAに象徴される自由貿易体制に乗って、
ラストベルトの自動車メーカーなど製造業が、

メキシコや中国などに工場を転出し、製造業で働いていた中産階級の人々が
貧困層に転落して不満を抱えていたのを、

トランプが自由貿易体制(ビルクリントンがやったNAFTAと、その拡大版であるTPP
に猛反対する候補として彼ら(凋落した製造業の元従業員たち)に接近し、
支持を急増させたからだった。

私が何回も記事の中で紹介した、ラストベルト出身の映画監督
マイケル・ムーア(民主党支持)は、この点を繰り返し指摘して
「トランプが勝ってしまうぞ」と警告していた。

おそらく今後も、米民主党は、この凋落した製造業の元従業員たち
自分らの側に取り戻さないと、大統領の座を得られない。

ラストベルトの民主党敗北は僅差が多いので、4年後に逆転しうる。

だから、米民主党がTPP支持に戻ることはない。

そもそも、TPPは米議会が反対しているので批准の可能性はない


議会両院は今回の改選後も引き続き共和党が優勢だ。

当日の金融相場の動きを見ると、今回の選挙は、
6月末の英国がEU離脱を可決した国民投票と似ている。

当日の昼前(日本時間)まで、金融相場は、株も為替も、事前のマスコミ予測に沿って、
EU残留を予測する株高、ポンド高のかたちをとっていた。

だが昼すぎに、離脱優勢が進むと相場がパニックになり、
株は暴落、為替もポンド急落になった。

今回の大統領選でも同様に、開票開始前の午前中はクリントン勝利を織り込んだ
株高(日本株)、円安ドル高だったが、

フロリダでトランプの勝算が高まったあたりから株が急落、
円高ドル安、金地金の急騰が起きた。

英離脱投票の時は、何日か前から、世論調査で離脱の可能性が高まる予兆があったが、
米大統領選はそうした直前の動きがなく、
当日までクリントン勝利予測一本槍で進んでいた。

米国のマスコミは往生際が悪く、フロリダの開票率が99・3%(残り7万票)の時に
トランプが1・5ポイント(13万票)も優勢で、どう考えてもトランプ勝利なのに、
どこも「当確」を打たない状態が40分間も続いた(日本時間12時20分から13時)。

その後も、クリントンの勝利州だけを早めに加算してトランプ不利を演出している感じが続いた。

そんな感じで、選挙は終わった。

私は、日本でトランプ勝利を予測していた数少ない分析者の一人だったらしい。

だが、トランプが大統領になって何を一番やりたいか、私にもよくわからない。

私がトランプの当選を予測できたのは、彼についてよく知っていたからでない。

マスコミの歪曲報道に対する日頃の分析から、
実態は歪曲と逆の方向だと推測した
結果だ。

戦略は、公言せずにやる方が威力がある。

彼は、自分が大統領になってやりたいことの最重要な点が何なのか言わないまま当選した。

クリントンと対照的に、トランプは自己資金なので、
政治献金と引き換えに政策履行の約束をする必要がなった。

トランプが大統領になって何を一番やりたいか、推測はいろいろできる。

新ヤルタ体制の構築者とか。

ニクソンが米中対立を終わらせ、レーガンが冷戦を終わらせたように、
トランプは「テロ戦争」を終わらせるとか(すでにオバマが終わらせた、とも言えるが)。

ニクソンの金ドル交換停止の向こうを張って米国債の債務不履行を上演するとか(怖)。

米連銀が12月に利上げを敢行するかどうか、まず見ものだ。

選挙が終わったので、オバマの任期末にかけての
最後のイスラエルいじめも行われるのでないか。

トランプの型破りな当選のしかたからして、かなり画期的な大統領になると予測される。

2期8年やりそうな感じがする。

トランプのこれまでの発言の感じからして、CFRやロックフェラーは、
ひそかにトランプを支持している


トランプが何をしそうか、これまで何度か推測して書いてきたので、
この記事からリンクしたそれらの記事をとりあえず読んでいただきたい。

トランプ政権の閣僚人事の下馬評がいくつか出ており、それらの分析も今後やるつもりだ。



 
原発村の画策、

◆http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50152
現代ビジネス 2016・11・16
泉田裕彦・前新潟県知事が明かす不出馬の真相」 ついに重い口を開いた
 by河野 正一郎


今も解けない謎

原発再稼働の慎重派が劇的な勝利を収めた新潟県知事選(10月16日投開票)には、
いまも解けない謎が残っている。

事前に圧勝するとみられていた泉田裕彦知事(当時)が、
突然立候補を辞退した理由だ。

告示を約1ヵ月後に控えての出馬辞退は何の前触れもなく、
一報をキャッチした地元マスコミは騒然となった。

出馬を辞退した理由について、泉田氏は
「県の第3セクター事業をめぐる報道で、地元・新潟日報が誤報を繰り返し、
訂正を申し入れても黙殺される。

私が候補者でいると、知事選で本来議論されるべき原子力防災などが
争点にならない」などと説明した。

しかし、その出馬辞退理由を額面通りに受け止めた人は少ない。

私は泉田氏の真意を聞きたいと思い、9月初めから、
新潟市内にある県知事公舎や東京都内で計5回7時間にわたり泉田氏にインタビューし、
新潟県内の関係者にも取材した。

立候補をとりやめた背景に何が渦巻いていたのか。

取材を始めた当初は口が重かった泉田氏も、新知事への引継ぎをほぼ終え、
新たな新潟県政がスタートしたいま、少しずつ本音を吐露し始めた。


川に浮かびますよ


――突然の出馬辞退について、いまでも疑問を抱いている有権者は多いと思います。
  そもそも、立候補を辞退するのではなく、候補者として街頭に出て、
  新潟日報の報道の問題点や不満を直接有権者に訴えればよかったのではありませんか。

「県内で圧倒的なシェア(6割、約43万部)を持つ新潟日報の前では無力ですよ。
県の第3セクター問題をめぐって、新潟日報の読者投稿欄に
『県は説明責任を果たすべきだ』という趣旨の投稿が載ったので、
すぐに県としての返答を新潟日報社に出した。

でも、その返答は黙殺されて掲載されない。

以降、誤った情報が載るたびに新潟日報に訂正を申し入れても対応しようとしない」


…と、ここまではどこかで読んだ話である。
 泉田氏は京大法学部卒の理論派。そう単純な答え方はしない。

深く突っ込んだ質問をすると、口を開きかけて
「あっ、これはまだ言わないほうがいいな」と笑い出したり、

「これ以上話す必要ありますか?」などと言ったりして、口が堅い。

なかなかの「聞き手泣かせ」だが、ニュアンスや表情の端に真実が潜む。

――新潟日報が県からの申し入れを黙殺するというのは、
  確かにアンフェアな印象を受けます。

「この報道で知事の首を取る、という企てが新潟日報にあった、
と他の報道機関の人から聞きました。
報道機関がプレーヤーになってはいけないと思います」

――出馬撤回の理由は新潟日報との対立がすべてですか。

「9割は、そうですね(ニヤッと笑う)」

――ということは「残りの1割」があるんですね。

「……」

――「1割」の中身は何ですか。

「いろいろありました……(天井を見上げる)。

ある報道機関の人が、取材先から『これ以上取材するとドラム缶に入って川に浮かぶよ』
と警告を受けたという体験談をしたあと、
『知事も気をつけてくださいよ』と言われたこともありました」

――物騒な話ですね。

「知らない車にずっとつけられたこともありました」

――なにか脅迫めいていませんか。

「誰がしたことかわかりませんから、確定的なことは言いません」


原発とともにあった12年間

「出馬辞退の9割を占める」という、
県の第3セクター事業をめぐる新潟日報の報道については後述するとして、
まずは泉田氏の当時の立場を整理しておきたい。

新潟県には東京電力の柏崎刈羽原発がある。

1~7号機合わせた出力
(約821万キロワット)は世界最大規模だ

泉田氏が知事に初当選して4年目の2007年、中越沖地震が起きて
2、3、4、7号機が停止した。

このとき原発内で火災が起きたが、
原発内部にある緊急対策室と県庁を結ぶホットラインは通話できなかった。

緊急対策室の扉が地震で開かなくなったためだ。


泉田氏はこう語る。

「肝心なときにホットラインが使えないなんて困る、と東電に対応を求めた。
その結果、強い地震に耐えられる免震重要棟が柏崎刈羽原発にできました」

――免震重要棟が建てられたのは、柏崎刈羽原発だけだったのですか。

「最初はそうです。同じ東電の施設なのに福島には建てられず、
新潟だけに(免震重要棟が)建てられた。これはおかしい、という話になって、
福島原発にも免震重要棟が完成しました。東日本大震災が起こる8ヵ月前のことです」

――もし福島第一原発に免震重要棟がなかったら……。

いま東京に人が住めていたか、怪しいと思います



発電の燃料コストを少しでも抑えたい東電は、東日本大震災から2年半後の
2013年9月、6、7号機について安全審査を申請、
来年初めには合格するとの見方もあった。

しかし安全審査に合格しても、即座に再稼働にゴーサインが出るわけではないし、
地元自治体の理解なしに再稼働は認められないのが通例だ。

新潟県知事だった泉田氏は、東電に対し
福島第一原発事故の検証と総括がないまま再稼働の話はできない
再稼働について高いハードルを設定してきた。

そのため首都圏の電力を支える柏崎刈羽原発を再稼働させたい
政府、東電、原発メーカーら原子力ムラ」からすれば、
泉田氏は天敵
とも言える存在だった。


東電関係者によると、泉田氏が知事選出馬の辞退を表明した8月30日の夕方、
東京・内幸町にある東電本社には、
出馬辞退を報じる新潟日報夕刊のコピーがファクスで届くと、
社内で驚きの声が上がったという。

翌31日、東電ホールディングス株は一時前日比12%値上がりした。

泉田氏が出馬辞退を決めた「残り1割の理由」とは、
この原発再稼働をめぐるものなのだろうか。

あるとき、取材を続ける私に泉田氏の周辺者がこう話しかけてきた。

「最近になって、泉田さんの周辺を国税が調査していたらしいんです」


国税が調査していた?

この周辺者によると、調査された痕跡があるのは、泉田氏のカナダの口座だという。

通産省(当時)の官僚だった泉田氏は1993~94年にカナダの大学の客員研究員を務めた。

通産省はこの大学と2~3年ごとに人事交流をしており、
泉田氏のほかにも通産官僚が代々、同じ客員研究員を務めていた。

泉田氏は当時の生活に使っていた口座(預金額約200万円)を
カナダに残したままにしており、
この口座の管理をカナダ在住の日本人男性に任せていた。

その男性のもとに、2015年冬、
カナダの銀行のマネージャーから電話があったというのだ。

「カナダの銀行のマネージャーを名乗る人が突然電話してきて、
泉田さんの口座のことを聞きました。

ほかの官僚のことは聞かなかったので不思議に思いました」

この男性によると、通産官僚は辞令が出ると、部屋の整理をしないまま帰国してしまう。

だから、部屋の家具や家賃を精算した残りの現金を銀行に預け、通帳を保管していた。

他の数人の通産官僚の通帳も持っているという。

決して高額とはいえず、しばらく資金移動もしていない泉田氏の銀行口座を
カナダの金融当局が狙い撃ちする理由があるだろうか。

東京地検特捜部など捜査機関が政治家を逮捕する事件に着手する場合、
まず国税庁が調査を始めるのが、ごく一般的だ。

日本の捜査機関からカナダの金融機関に照会があったとも考えられる。

後日、泉田氏に「周辺に国税の調査が及んでいたようですね」と尋ねると、

彼はニヤッとして、話した。

「元通産官僚と東電が癒着していると思われるのは心外だし、
私は東電には厳格に接してきたから、カネについては普段から身ぎれいにしていた。

カナダの預金は、毎年の資産公開でも明らかにしている。
痛くもない腹をさぐられ、薄気味悪かった」


仮に国税の調査だったとしても調査の意図はわからないし、
そんな調査ぐらいで知事を辞めるのか――。

そう考える読者もたくさんいらっしゃるだろう。

私の手元に1冊の本がある。

元福島県知事・佐藤栄佐久氏が著した『知事抹殺 つくられた福島県汚職事件』(平凡社)。

佐藤氏はもともと原発容認派だったが、その後立場を変え、

福島第二原発でのプルサーマル(プルトニウムを使ったMOX燃料による発電)
の導入を認めなかった。

すると、「闘う知事」として知られた5期18年目の2006年、
実弟がからむ贈収賄事件が発覚し追及を受け知事を辞任、収賄容疑で逮捕された。

事件の詳細は省くが、懲役2年、執行猶予4年の有罪判決が確定している
(2012年、最高裁第1小法廷)。

不可思議なのは、判決で認定されたワイロ額が「0円」だったことだ。

異例の司法判断について、佐藤氏は著書の中で、実弟を取り調べた検事が
知事は日本にとってよろしくない。いずれ抹殺すると言った
というエピソードを検事名を特定して記している。

佐藤氏からすれば、国策に反発した政治家は無理矢理にでも政界から追放される
と言いたかったのだろう。

泉田氏もそんな立場だったのだろうかーー。

私はいたずらに、「国策捜査」などといった謀略論を主張するつもりはない。

だが過去に、「公安調査庁長官が逮捕された事件(2007年)など
明らかに国策捜査とみられる事件はあった」
(元東京高検検事の郷原信郎氏)という見方もある。

ならば泉田氏が「薄気味悪さ」を感じるのも無理はない。


新潟日報「泉田追及報道」の背景

さらに、泉田氏が「出馬撤回の9割」と指摘した新潟日報による
「日本海横断航路のフェリー購入問題」も奇々怪々である。

経緯を簡潔に説明すると、新潟港の貿易拠点としての価値を上げたい新潟県と
新潟経済界が、首都圏とロシア・ウラジオストックを結ぶ最短経路として
日本海横断航路を計画した。

官民が出資してつくった第3セクターの子会社が昨年8月末にフェリーを購入したが、
速度不足で運行に適していないことが判明。

購入準備のために県が出資した3億円がムダになる可能性が出てきた、という話だ。

新潟日報は、資本金の65%を県からの出資に頼る第3セクターと
その子会社は県の支配下にあったから、
フェリー購入のトラブルは県に責任があるとして、今年7月中旬以降に連日報道した。

一方の県は、第3セクターからフェリー購入を知らされたのは購入契約後で、
船が運行に適していないことは知らなかったと主張。

新潟日報の報道に対し、県側は7月18日から9月15日までの間に、
「憶測にもとづく一方的な記事だ」などと12回の訂正申し入れをする事態になった。


県民の間でも、知事選直前の新潟日報の報道に対し、
「意図的な泉田おろしではないのか」という声が上がり、

ネットでは「新潟日報は東電から広告をもらって
東電の意向に添って『泉田おろし』を始めた」といった書き込みが相次いだ。

『電通と原発報道』(亜紀書房)を著した元博報堂社員で、
原発立地県の地方紙をチェックし続けている作家の本間龍氏によると、

新潟日報には今年になって、15段全面広告2回、
5段広告(紙面の下3分の1程度の広告)2回の東電広告が載ったといい、
東電からの広告料は、公開されている料金表で計算すると約800万円とみられるという。

今年3月の株主総会で示された資料によれば、
新潟日報社の2015年の純利益は約7億7千万円。

2012年以降の純利益は7~9億円で推移している。本間氏はこう話す。

「東電から支払われた広告料が新潟日報社の経営を左右するものとは考えにくい。

もっと巨額の広告費をもらっている地方紙もある。

この程度の額なら東電の意向に添って『泉田おろし』報道をしたというのは、
考えすぎだろう」

一方で本間氏はこうも指摘する。

「新潟日報は原発立地県の地方紙としては反原発の動きも書き込む公正な新聞だ
と思っていたから、一連のフェリー問題報道はかなり一方的な書き方で驚いた。

執拗な『泉田おろし』報道に見えた」 


キーマンを直撃

なぜ、ここまで泉田氏と新潟日報の関係がこじれたのか。

知事周辺者によると、泉田氏が新潟日報社の小田敏三社長と最初に出会ったのは12年前、

初当選した知事選の告示数日前のこと。

新潟駅前の寿司屋で約2時間歓談したのちの別れ際、ほろ酔いの泉田氏に、
当時編集局次長だった小田氏は「新潟日報はあなたを応援しませんから」と言ったという。

泉田氏は親しい人に、その時のことを「一気に酔いが覚めた」と漏らしている。 

こう聞くだけでは訳のわからない話だが、ベテラン県議がこう解説してくれた。

「12年前の知事選では、自民と公明が、総務省の官僚(当時)と
泉田氏のどちらを候補者にするかで調整作業をしていて、

新潟日報は泉田氏とは別の人を推していたんだよ。
結局は泉田氏が候補者になったんだけどね」

複数の新潟日報社の関係者からは、こんな話も聞いた。

2006年、岐阜県庁の裏金問題が発覚した。

1992年度からの9年間にカラ出張などで計17億円の裏金を作り、
官官接待などに使っていたというもので、当時の県庁幹部が費用を弁済した。

泉田氏は2003年から翌04年まで、経産省から岐阜県新産業労働局長に出向中で
105万円の返納を求められたが、
「裏金作りや使用に関与せず、赴任時に裏金は組合に移されていたので
存在すら認識していない」などとして返納に応じなかった。

複数の関係者の話によれば、この一件を引き合いに出して、
小田氏は、社内で多くの記者を前にこう言ったという。

「とんでもない人物が知事になっていた。辞めさせないといけない」

また、そもそも新潟日報がフェリー購入問題を連日報道した背景には、
フェリー問題を統括していた森邦雄・前新潟県副知事(今年3月に退任)のリークがあった
のではないかという見方が根強い。

実際、「週刊エコノミスト」(毎日新聞出版)は9月27日号で
「泉田新潟知事が4選出馬撤回 不祥事“弾劾”に2人の森氏の影」との見出しで、

今回の新潟県知事選の候補者となった森民夫・前長岡市長と並んで、
前副知事の森邦雄氏に触れ、
「新潟日報が泉田氏の責任を追及するのは報道機関として当然だ。
ただ、キーマンとも言える森・前副知事の責任を問う報道はほとんどなかった」
と意味深な書き方をしている。

私は知事選投開票日の翌10月17日朝、森(邦雄)氏を直撃した。

――新潟日報に詳細な情報を漏らしたのは森さんだという見方がありますが。

「そんなことを言う人もいるらしいけど、まったくの濡れ衣ですよ」

――小田さん(新潟日報社社長)とは、
  夫婦2組4人で一緒に海外旅行に行くほど親密だという話も聞きました。

「まあ、古くからの知り合いなのは確かです」

――今年3月に副知事を辞めた後も、小田さんと会いましたか。

「小田とは何回か会っているが、そんな話はしません。
フェリー問題の話なんてしません。お互い立場はわきまえていますから」

――新潟日報が書いているフェリーの記事について、
  泉田さんは誤報があると言っていますが、森さんはどう見ていますか。

「いやあ、誤報やミスリードがだいぶ載っている。
フェリー問題は県政の最重要課題というわけでもないのに、
新潟日報はなんであんなに大げさにフェリー問題を書いたんでしょう。

あれでは『泉田おろしのための報道』と言われても仕方ない気がします」


いったい誰が、新潟日報にフェリー問題の情報をリークしたのだろうか。

泉田氏との出会いや岐阜県庁裏金問題が発覚した後の言動、
フェリー購入問題の報道などについて、知事選の投開票日直後、
10項目の質問を記した封書を小田社長宛に配達証明郵便で送付したが、
一切返答はなかった。

改めて11月2日に電話で、回答をもらえないか新潟日報社に尋ねると、
「責任者がいない」との答えで、電話で対応した女性は
「折り返しの電話をします」と言ったが、その後、着信はなかった。

そのため、私はこの原稿に関係者の話を引用したものの、
小田社長の発言の真意や真偽はいまだ確かめられていない。

分からないこともある。だが…


泉田氏に聞いた。

――地方紙社長と知事という立場だから
  定期的な会合があってもおかしくないと思う。小田社長とは会っていましたか。

「もちろん公の場で会うことはあるが、取材目的も含んだ少人数で
酒を酌み交わすような会合は12年前にあったきり。

前任の高橋(道映)社長からはよく誘われたが、
2014年に小田さんが社長になってからは一切ない。誘われたこともないので。

知事から報道機関の社長を誘うと、圧力と受け取られかねないでしょ」

泉田氏は私の顔を見据えて、半ば呆れたような口調だった。

新潟日報のウェブ版「新潟日報モア」は泉田氏の出馬辞退について、
「選挙態勢整わず 本紙に責任転嫁」という見出しで、

かつての支持基盤である自民党や業界団体が離反したと指摘し、
「支持基盤が瓦解(がかい)。

選挙を勝ち抜く態勢は十分に整わず、出馬断念に追い込まれた」と記した。

だが、泉田氏はこう反論する。

「県政への評価や事前の調査結果は知っていたので、
選挙については心配はしていなかった」

――そのことは再稼働に慎重な候補が当選した
  実際の選挙結果が証明しているとも思えます。
  いま新潟日報に言いたいことはありますか。

フェリー購入問題についてちゃんと論争しませんか、と言いたい。
私は知っていることは正直に答えています。
だから、新潟日報も間違いがあったら認めて謝ってもらいたい



福島第一原発の廃炉費用分担や東電の経営問題が議論される中、
今回の新潟県知事選の結果は、
安倍政権の解散総選挙戦略にも影響したと言われている。

新潟県内の政治力学にも重大な影を落としたと言えそうだ。

泉田氏と新潟日報のバトルに、第二幕はあるのだろうか。



「闇が深い」ようですなぁ。




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