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徽宗皇帝のブログ

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ミャンマー、欧米、中国のパワーゲーム

「マスコミに載らない海外記事」から転載。
私はずっと前からアウンサンスーチーは欧米の操り人形だと言ってきたのだが、最初にそう考えたのは、彼女が生存できていることそのものであった。通常なら、「非民主国家」で、あれほど政府を批判し続けてきた人間が生きていられるわけはない。まして、ミャンマーは軍事政権なのだから、気に入らない人間を殺すのに何の躊躇も無いだろう。ところが彼女が殺されないのは、彼女のバックが巨大であることを示している、というわけだ。もちろん、彼女の夫が英国人であることからも、彼女と欧米支配層のつながりは推測できる。
で、「非民主国家」のミャンマーが「民主主義国家」になるというポーズを少し見せただけで、もはや民主国家になったかのように海外からの投資ブームが起こっているのだが、「慌てる乞食は馬鹿を見る」と言う。だいたいにおいて、経営責任者というものは、成功の報酬は過大に受け取るが、失敗の責任はほとんど取らないから、いくら失敗しても平気なのだろうが、失敗の迷惑を被るのは会社従業員である。私なら、こんな危ない話には乗らない。「機を見るに敏」なのとそそっかしいのは紙一重である。1990年以降、つまりバブル崩壊以降の日本の大手会社経営者の判断はことごとく失敗していることを、よく考えることだ。

「上層部が責任を取らない」ことが、日本のあらゆる組織に蔓延する病であり、マスコミ、政治家、官僚、産業界、地方公共団体、教育すべてにそれは言える。
そういう国家なのだから、いまだに東日本大地震からの復興などまったく手つかずで、福島原発は相変わらず放射能垂れ流し、日本国民は放射能入り食品を食わされて寿命をどんどん縮めているのにも平然としているのである。
山科恭介がこんな国家など滅びてしまえ、と言ったのに共感したくもなろうというものだ。
だが、あいにく、この国家は我々だけのものではない。我々の子や孫、その子孫、未来に生まれるすべての子供たちを考えれば、日本という世界でも有数の素晴らしい自然と文化を持った国を我々の世代で滅ぼすわけにはいかないだろう。もう滅ぼしかかっているのだが。

引用記事とは無関係な話が長くなったが、要するに、現ミャンマー政府は欧米と手を結び、中国から離れようとしている、ということである。このパワーゲームがどうなっていくか、なかなか興味深い。



(以下引用)



2012年10月13日 (土)



アメリカ指導部、ビルマ“民主主義の偶像”を大歓迎




wsws.org


ジョン・ロバート、ピーター・シモンズ


2012年10月9日


先週、ビルマの反対派勢力の指導者アウン・サン・スー・チーは並々ならぬ17日間のアメリカ合州国訪問を終えたが、その間、彼女はアメリカ政界に祝宴でもてなされた。この惜しみない配慮は、ビルマの民主主義とは全く無関係で、ワシントンとの関係改善に向けた、ビルマ軍事政権の急転換におけるスー・チーの役割と結びついているのだ。


僅か12カ月前まで、ビルマの将軍連中は除け者で、政治弾圧を糾弾されていた。今やワシントンは、ビルマを芽を出しかけている民主主義として称賛している。アメリカが反民主的な軍支配政権の残滓を承認しているという事実をごまかす為には、オバマ政権にとって、スー・チーは政治的に好都合なのだ。


スー・チー熱烈歓迎の背後にあるのは、中国とは距離を置き、欧米と、より緊密な経済的、軍事的つながりを求めるという軍事政権の決定だ。オバマ政権にとって、これは中国の影響力を弱めることを狙う全アジアにおける外交・戦略攻勢における重要な要素だ。


アメリカ訪問中、9月19日、ホワイト・ハウスでのオバマ大統領会見を含め、スー・チーは100以上の予定をこなした。オバマは国連総会の為に訪米中の外国人首脳達との会見は断っていたので、この私的な会見は特に重要だ。米連邦議事堂、国連、米国平和研究所(USIP)、アジア・ソサエティー、アトランティック・カウンシルでの授賞式や演説と、大学や公開フォーラムへの出演もあった。


訪問先の至る所で、スー・チーはビルマ“民主主義の偶像”としてもてはやされた。ヒラリー・クリントン米国務長官はスー・チーを“友人”として抱擁し、大物共和党上院議員ジョン・マケインは彼女は“自分にとって個人的な英雄”だと断言した。国際通貨基金のクリスティーヌ・ラガルド理事長は、自分は滅多に気後れすることはないが“今晩アウン・サン・スー・チー氏を紹介するのに気後れしています。”と語った。


スー・チーと彼女の国民民主連盟(NLD)は、軍による経済・政治支配により、権益が損なわれているビルマの資本家階級を代表している。NLDは、外国、特に欧米の資本向けの低賃金労働基地として、ミヤンマーを開放することを長らく主張してきた。


深化する経済危機に直面し、ビルマ軍事政権はスー・チーや他のNLDメンバーを軍主導の国会に選出するのを可能にした上辺だけの政治改革を演じながら、現在外国からの投資を奨励している。スー・チーは即座に同調した。彼女は軍事政権に対する批判者というよりは、その大使として、アメリカを周遊したのだ。USIPで講演した際、彼女は元将軍のテイン・セイン大統領の政治・経済“改革”を称賛し、アメリカによる経済制裁の更なる緩和を呼びかけた。


この演説が大半のスー・チー公式声明を方向付けている。“わが国民は自らの運命の責任を引き受けることを始めねばならないと思ので、私は経済制裁の緩和を支持する”と彼女は述べた。“民主主義に向かう勢いを維持するのに、我々は、アメリカの経済制裁緩和に依存するべきではありません。我々自身が、これに取り組まねばなりません。”


ビルマのテイン・セイン大統領との会談中に、アメリカは対ビルマ製品輸入の規制緩和を開始すると宣言して、クリントン米国務長官は好感を示した。これは“改革に向けて続いているプロセスを認め、政府と野党双方からの要求に対する答えだ”とクリントンは述べた。


アメリカの大企業はビルマ国内で開かれつつあるあらゆる機会をとらえ、低賃金労働と原料を利用しようとしたがっている。とはいえ、スー・チーとビルマで起きている変化への熱狂は、アジアにおける中国の影響力に反撃することを軸とする、より広範な戦略的課題に深く関係しているのだ。


1988年の大衆抗議行動とストライキに対する軍の強烈な弾圧と、NLDが勝利した1990年の選挙を破棄した後、欧米による経済制裁が課されて以来、中国は主要な投資者であり、軍事政権の支持者だった。ビルマは中国にとって原料供給源であり、また代替輸送・インド洋から中国南部への直接パイプライン経路を申し出ていた。


軍事政権がワシントンに向いたため、こうしたことが今では全て怪しくなった。経済関係に加え、何十年にもわたって非難し続けてきた軍事政権との軍事的連携を、アメリカは狙っている。先月、戦略国際問題研究所(CSIS)での講演で、カート・キャンベル国務次官補はこう宣言した。“交流から、ほとんど取り残されている機構の一つは、ミヤンマー国内で、依然として決定的な役割を演じている軍だ。”ビルマ軍と“責任をもって交流する”必要性について彼は語っているのだ。


9月20日付けの“アメリカはミャンマー[ビルマ]との軍事交流を求めている”と題するフィナンシャル・タイムズの記事は、この“交流”が既に進行中であることを示唆している。“訓練プログラムの再開やミャンマー軍との交流の見通しに関する目立たない交渉がアメリカとミャンマーの国防省関係者の間で行われた”とある。


軍事協力が前向きに検討されている。“これまで論議されている提案には、東南アジア諸国連合ASEANや、アメリカのシンクタンクや軍の学校等のような既存ルートを経由して、統合訓練も含まれている”とフィナンシャル・タイムズは説明している。“ミャンマー人士官候補生もアメリカ軍士官学校に入学できるようにしたり、ミャンマー向けのアメリカの国際軍事教育や訓練プログラムを開始したりできるようにすることが提案された。”


2月、日本の共同通信は、毎年恒例のアメリカが主導するこの地域での“ゴールド・コブラ”作戦演習に参加する意向を表明するのに、ビルマ軍はタイ軍のコネを使ったと報じている。クリントン米国務長官は、中央情報局(CIA)のデービッド・ペトレイアス長官が今年ビルマを訪問する可能性があり、この動きがビルマ軍との情報共有の可能性のきっかけになりうることを、かつてほのめかしている。


アメリカは1960年代や1970年代の昔から、ひそかにビルマ軍との関係を回復しており、そうしつつ、中国軍がビルマの基地を利用するあらゆる可能性を無くしてきた。専制的な権力を維持し続けている軍事政権に対する、スー・チーによる承認の御印籠は、オバマ政権のひねくれた策略にとって、極めて重要な政治的煙幕になっている。


記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2012/oct2012/burm-o09.shtml

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