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上級国民を裁判の場へ

「NHKニュース(電子版)」から転載。
比較的冷静で客観的な記事だと思うので、現時点での情報まとめとして保存した。(遺族の声などは不要に思う。遺族の悲しみなど分かりきったことで、報道内容をことさらに情動的な方向にするのは日本のジャーナリズム体質の欠点だ。)
東電元経営陣強制起訴のニュースが流れたのは、もう数日前の話だが、裁判などが今後どうなるかは、今予測しても無駄な話だと思うので、書かなかった。
彼らが起訴されたこと自体が大事であり、これは社会が前に進んではいる証左と見てもいいのではないか。もちろん、これまた一種のトカゲの尻尾切りにすぎない可能性もあるが、「上級国民」が裁判の場に引きずり出されそうだという事態そのものが画期的なのである。
ゲスな言い方だが、私は「ワクテカ」しつつ見守っている。


(以下引用)

原発事故巡り強制起訴 今後の裁判の争点は

2月29日 18時10分
 
福島第一原子力発電所の事故を巡って、検察審査会に「起訴すべき」と議決された東京電力の元会長ら3人が、業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴されました。裁判では、原発事故を引き起こすような巨大な津波を事前に予測することが可能だったかどうかが最大の争点になります。
東京電力の元会長の勝俣恒久被告(75)、元副社長の武黒一郎被告(69)、元副社長の武藤栄被告(65)の3人は、福島第一原発が津波で浸水する可能性について予測できたはずなのに適切な措置を取らなかったとして、業務上過失致死傷の罪に問われています。
一方、事故の翌年に開かれた国会の事故調査委員会の意見聴取で、勝俣元会長は試算の報告を受けていないと説明し、元副社長の2人は報告を受けたことは認めましたが、根拠が不十分だったため巨大な津波は予測できなかったと主張しています。
業務上過失致死傷の罪は、被害を予測できたのに対策を怠った場合でなければ有罪にならないため、元会長への報告の有無や、試算に十分な根拠があったといえるかどうかなど、津波の予測が可能だったかが最大の争点になります。
また、予測が可能だったとしても、報告から事故までの間に有効な対策を取ることが不可能だったと考えられる場合は罪に問われないため、事故を避けることができたかどうかも争われる見通しです。
3人は、国会の事故調査委員会のほか、政府の事故調査・検証委員会の聞き取りにも答えていますが、その内容は今も非公開のままで、事故が起きるまでのいきさつについて法廷でどのように説明するかが注目されます。

津波対策決定で極めて重要な立場に

起訴された東京電力の旧経営陣3人は、いずれも津波対策を決めるうえで極めて重要な立場にいました。
政府や国会などが設けた事故調査委員会の報告書によりますと、東京電力は、事故の3年前の平成20年、福島第一原発で最大で15.7メートルの津波が想定されると試算していたとされています。
これについて勝俣元会長は、国会の事故調査委員会で「当時、こうしたことは起こりえないんじゃないかという判断が有力で、原子力本部止まりになっていた」と述べ、自分は報告を受けていなかったとしています。
また、原子力・立地本部の本部長だった武黒元副社長は「試算は津波が発生する場所を三陸沖にしていたので、福島第一原発では福島県沖で想定しなくてはならなかった。原発の設計基準にするには土木学会などの審議で発生場所を確定する必要があったように思う」と述べ、あくまで仮定の計算だったため具体的な対策は講じなかったとしています。
さらに、原発の安全対策を担当する副本部長を務めていた武藤元副社長は「専門家で議論した基準で、われわれとしては安全性は十分担保されていると思っていた」と述べ、当時としては十分な安全対策を取っていたとしています。
この試算は政府の事故調査・検証委員会の報告書でも取り上げられ、武藤元副社長は報告を受けた際、対策として新たな防潮堤を建設すると数百億円規模の費用とおよそ4年の時間がかかると説明を受けましたが、実際にこうした津波は来ないと考え、従来の津波の想定を当面は変えない方針を決めたとされています。また、武黒元副社長も特段の指示を出すことはなかったとされています。

事故原因「津波で電源喪失 原子炉冷却できず」

福島第一原子力発電所の事故を巡っては、政府や国会、民間の団体、それに東京電力などがそれぞれ検証を行ってきました。いずれも、津波によってすべての電源が失われ、原子炉を冷却できなくなったことが事故の原因だと指摘しています。
このうち政府の事故調査・検証委員会の報告書は、15メートルを超える津波の試算を出したものの、実際にこうした津波は来ないと考え、当面は想定を変えない方針を決めたとされる東京電力の一連の対応について、「自然現象は大きな不確実さを伴うことなどから、具体的な津波対策を講じておくことが望まれた」と指摘しています。また、武藤元副社長は、この試算について報告を受けた際、対策として新たな防潮堤を建設すると数百億円規模の費用とおよそ4年の時間がかかると説明を受けたとされています。
一方、国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会、いわゆる国会事故調の報告書は、東京電力の経営陣と規制当局が何度も事前に対策を立てるチャンスがあったにもかかわらず安全対策を先送りしたとして、「自然災害」ではなく明らかに「人災」だと結論づけています。
また、福島原発事故独立検証委員会、いわゆる民間事故調は、東京電力に対し、「対策が極めて不十分で、その結果、重大な事故を起こしたことは紛れもない事実だ」と批判しています。そのうえで、東京電力が「巨大官僚組織」的であることが安全対策の劣化につながったという見方を示していますが、個人の責任については言及していません。
これに対して、東京電力の事故調査報告書は、「試算は仮想的なもので、当時は専門家の間でも意見が定まっておらず、今回の津波は想定を超える巨大なものだった」としました。しかし、言い訳に終始しているとの批判を浴び、平成25年3月、「巨大な津波を予測することが困難だったという理由で、原因を天災として片づけてはならない。事前の備えが十分であれば防げた事故だった」と総括しています。

政府の事故調査・検証委員会は当時の関係者772人から聴き取りを行っていて、政府はおととし9月から、福島第一原発の吉田昌郎元所長に加えて、本人の同意が得られた人について証言の記録を公開してきました。
これまでに246人の証言が公開されていますが、今回、起訴された東京電力の旧経営陣3人ついては今も公開されていません。

東京電力の津波対策の経緯

政府の事故調査・検証委員会の報告書などによりますと、福島第一原子力発電所は、建設当時、それまでに観測された中で最も高かった昭和35年の「チリ地震津波」を基に最大の津波の想定を3.1メートルとしたうえで、非常用のポンプなどは海抜4メートルの場所に、原子炉建屋などは海抜10メートルの場所にそれぞれ設けられました。
その後、東京電力は、平成14年2月に土木学会がまとめた新しい計算方法に基づいて津波の想定を5.7メートルに引き上げ、6号機の非常用発電機などをおよそ6メートルにかさ上げしました。
一方、この年の7月、政府の地震調査研究推進本部は、過去に記録がなかった福島県沖でも大津波を伴う地震が起きる可能性があるとする評価結果を発表します。さらに研究者からは、堆積物の分析などから、平安時代に東北地方を襲ったとされる「貞観津波」のような巨大津波が繰り返し押し寄せていたとする論文も発表されました。
こうしたなか、東京電力は平成20年、福島県沖で大地震が発生した場合、福島第一原発に押し寄せる津波の高さは最大で15.7メートルに達する可能性があるという試算をまとめましたが、このような津波は実際には来ないと考えたとされ、具体的な対策は行いませんでした。

遺族「事実を明らかに」

福島第一原発の事故で病院から避難中に亡くなった男性の遺族は、裁判を通じて事故の新たな事実が明らかになることを望んでいます。
福島県大熊町の双葉病院に認知症の症状で入院していた藤吉正三さん(当時97)は、事故の3日後に自衛隊に救出されましたが、230キロを超える避難の過程で体調が悪化し、その後、搬送された体育館で亡くなりました。
藤吉さんの娘で東京都内に住む71歳の女性は、NHKの取材に対して、「当時の健康状態からみても、原発事故さえなければ、父はすぐに亡くなることはなかったので、今も事故への憤りは強くあります」と話しています。女性は、藤吉さんが過酷な状況のなかで亡くなったことを思うといたたまれなくなるといいます。
女性は「起訴された3人には、法廷で罪を認めて謝罪してほしい。裁判でこれまでに明らかになっていない事実が明らかにされ、それが今後に生かされるのであれば、大きな意義があると思う」と話しています。

福島第一原発事故の検証を続けている新潟県の技術委員で多摩大学情報社会学研究所の山内康英教授(58)は「航空機事故が起きた場合は、原因が特定されるまで同型の航空機は飛べなくなるが、原子力災害も何が問題だったのか、何が誤りだったのかを徹底して究明する必要がある」と指摘しています。そのうえで、「東京電力がメルトダウンを判断する規定を明記した内部文書があったことをみずから公開したことが示唆しているように、われわれは福島第一原発の事故の全体像をまだ十分には把握できていない。起訴された3人は無罪を主張するだろうが、この未曾有の事故に真摯(しんし)に向き合って証言してほしい。さらに、3人以外の証言や社内の内部文書などが裁判の過程でどれだけ明らかにできるかも重要で、事故の真相究明に期待したい」と話しています。

今後の裁判「責任の大きさ どう捉えるか」

刑事裁判の専門家は、今後開かれる裁判では、原発の運営者としての責任の大きさをどのように捉えるかが重要になると指摘しています。
強制的に起訴された3人の裁判では、福島第一原発が津波で浸水することを予測できたか、そして、被害を予測できたとしても事故の対策が間に合ったかが主な争点になるとみられます。
元刑事裁判官で法政大学法科大学院の水野智幸教授は、1つ目の争点について、「刑事責任を問うには、事故の被害をある程度具体的に予測できたと証明する必要がある。経営陣の一部は事故の3年前、原発に10メートルを超す津波が来るという試算結果を聞いていたので、この試算の信頼性の評価が重要だ」と指摘しています。
また、もう1つの争点については、「防潮堤の建設や原発の移設のほか、津波が来ても電源が喪失しないための対策が震災までにできたかどうかが焦点で、それぞれの対策にかかるコストや時間、当時の東京電力の経営状況などを踏まえて判断することになる」と述べています。
さらに、自然災害が原因の事故は、人為的な事故に比べて、予測や対策が難しい場合があるとしたうえで、有罪か無罪かの判断のポイントについて、「いったん事故が起きれば甚大な被害が出るという原発の運営者の責任の大きさをどのように捉えるかが重要になる」と指摘しています。

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