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徽宗皇帝のブログ

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企業が国家主権より上位にある世界
「株式日記と経済展望」経由で、中野剛志の記事を転載。
現在の韓国が米国の経済的支配下に置かれていることもだんだんと知られてきた。サムスンだのヒュンダイだのが世界的企業になったと言っても、あれは実質的には米国企業なのである。つまり、韓国自体が繁栄しているわけではない。むしろ経済的には疲弊し、いつデフォルトするか、とも言われている。その一因に米韓FTAがあると考えてよいだろう。
米国の政治は、「企業支配政治」である、というのが一番に着目すべきポイントであり、米政府は企業の使用人にすぎない。その米政府の要望とは国際的資本家が要求しているにすぎない。その目的は全世界的な収奪である。国家的利害などを問題にしているわけではない。収奪できる獲物があれば世界のどこへでも行くのが国際的資本家であり、そのために自由貿易は推進される。自由貿易とは、「企業が自由に、つまり自分に都合の良いルールを作って貿易できること」である。
下記記事に見られる韓国やメキシコ、カナダの惨状を見て、それでもTPP推進を唱える人間は完全な売国奴であり、国民の敵と言うべきだろう。


(以下引用)


◆米国丸儲けの米韓FTAからなぜ日本は学ばないのか 10月24日  中野剛志


 まずTPPは、日本が参加した場合、交渉参加国の経済規模のシェアが日米で9割を占めるから、多国間協定とは名ばかりで、実質的には“日米FTA”とみなすことができる。また、米韓FTAもTPPと同じように、関税の完全撤廃という急進的な貿易自由化を目指していたし、取り扱われる分野の範囲が物品だけでなく、金融、投資、政府調達、労働、環境など、広くカバーしている点も同じだ。

 そして何より、TPP推進論者は「ライバルの韓国が米韓FTAに合意したのだから、日本も乗り遅れるな」と煽ってきた。その米韓FTAを見れば、TPPへの参加が日本に何をもたらすかが、分かるはずだ。

 だが政府もTPP推進論者も、米韓FTAの具体的な内容について、一向に触れようとはしない。その理由は簡単で、米韓FTAは、韓国にとって極めて不利な結果に終わったからである。 

 では、米韓FTAの無残な結末を、日本の置かれた状況と対比しながら見てみよう。(中略)

 このISD条項は、米国とカナダとメキシコの自由貿易協定であるNAFTA(北米自由貿易協定)において導入された。その結果、国家主権が犯される事態がつぎつぎと引き起こされている。

 たとえばカナダでは、ある神経性物質の燃料への使用を禁止していた。同様の規制は、ヨーロッパや米国のほとんどの州にある。ところが、米国のある燃料企業が、この規制で不利益を被ったとして、ISD条項に基づいてカナダ政府を訴えた。そして審査の結果、カナダ政府は敗訴し、巨額の賠償金を支払った上、この規制を撤廃せざるを得なくなった。

 また、ある米国の廃棄物処理業者が、カナダで処理をした廃棄物(PCB)を米国国内に輸送してリサイクルする計画を立てたところ、カナダ政府は環境上の理由から米国への廃棄物の輸出を一定期間禁止した。これに対し、米国の廃棄物処理業者はISD条項に従ってカナダ政府を提訴し、カナダ政府は823万ドルの賠償を支払わなければならなくなった。

 メキシコでは、地方自治体がある米国企業による有害物質の埋め立て計画の危険性を考慮して、その許可を取り消した。すると、この米国企業はメキシコ政府を訴え、1670万ドルの賠償金を獲得することに成功したのである。

 要するに、ISD条項とは、
 各国が自国民の安全、健康、福祉、環境を、自分たちの国の基準で決められなくする「治外法権」規定なのである。
 
 気の毒に、韓国はこの条項を受け入れさせられたのだ。

 このISD条項に基づく紛争の件数は、1990年代以降激増し、その累積件数は200を越えている。このため、ヨーク大学のスティーブン・ギルやロンドン大学のガス・ヴァン・ハーテンなど多くの識者が、このISD条項は、グローバル企業が各国の主権そして民主主義を侵害することを認めるものだ、と問題視している。

ISD条項は毒まんじゅうと知らず
進んで入れようとする日本政府の愚

 米国はTPP交渉に参加した際に、新たに投資の作業部会を設けさせた。米国の狙いは、このISD条項をねじ込み、自国企業がその投資と訴訟のテクニックを駆使して儲けることなのだ。日本はISD条項を断固として拒否しなければならない。

 ところが信じがたいことに、
 政府は「我が国が確保したい主なルール」の中に
 このISD条項を入れているのである(民主党経済連携プロジェクトチームの資料)。

 その理由は、日本企業がTPP参加国に進出した場合に、進出先の国の政策によって不利益を被った際の問題解決として使えるからだという。しかし、グローバル企業の利益のために、他国の主権(民主国家なら国民主権)を侵害するなどということは、許されるべきではない。

 それ以上に、愚かしいのは、
 日本政府の方がグローバル企業、特にアメリカ企業に訴えられて、
 国民主権を侵害されるリスクを軽視していることだ。

 政府やTPP推進論者は、「交渉に参加して、ルールを有利にすればよい」「不利になる事項については、譲らなければよい」などと言い募り、「まずは交渉のテーブルに着くべきだ」などと言ってきた。

 しかし、TPPの交渉で日本が得られるものなど、たかが知れているのに対し、守らなければならないものは数多くある。そのような防戦一方の交渉がどんな結末になるかは、TPP推進論者が羨望する米韓FTAの結果をみれば明らかだ。

 それどころか、政府は、日本の国益を著しく損なうISD条項の導入をむしろ望んでいるのである。こうなると、もはや、情報を入手するとか交渉を有利にするといったレベルの問題ではない。日本政府は、自国の国益とは何かを判断する能力すら欠いているのだ。(後略)




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