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徽宗皇帝のブログ

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借りた金には利息がつくものだって知ってるかい?
「孤帆の遠影碧空に尽き」という、ワードでは漢字変換の難しい字が並ぶブログ名のブログから転載。(これからは「孤帆の……」と略記するかもしれない)
さて、内容は、ギリシアにとってはデフォルトの先輩国であるアルゼンチンが、デフォルトしてどうなったか、という事だが、読めば分かるように、万万歳の結果である。下記記事には「デフォルトの後遺症もある」とあるが、その内容は、べつにデフォルトの結果ではなく、それ以前の経済悪化の結果と思われるものがほとんどだ。
こういう事があるから、文章は常に眉に唾をつけて批判的に読まねばならないのである。ただし、「専門家」の書く「真面目な文章」に関してである。専門家というのは人を騙す専門家であることが多いのだ。娯楽的文章は最初から騙されるつもりで楽しむのは当然のことだ。
まあ、海外からの借金ができなくなる、というのがデフォルトの結果の一つだが、実はそれも大いに喜ぶべきことなのである。借金というのはすればするほど返済する額が増え、借りた方はにっちもさっちも行かなくなるものだ。個人でも国でもそれは同じことだ。借金できることが何か素晴らしいことであるかのような考え方は、金融資本主義支配層が広めたデマゴギーにすぎない。
記事の最後にある「国際金融市場への復帰」などすれば、アルゼンチンはまた地獄に逆戻りだと、今から予言しておく。


(以下引用)


再選挙に突入したギリシャでは、さすがにユーロ離脱などへの不安から財政緊縮策維持への支持がやや持ち直し傾向にあるようです。
しかし、このところはスペインの国債利回りが上昇するなど、市場では警戒感が強まっています。

ギリシャ、スペイン、イタリアと、欧州経済は債務不履行(デフォルト)など経済破綻への危機感が強まっていますが、かつて実際にデフォルトを経験した国がラテンアメリカのアルゼンチンです。

以前は経済的豊かさを背景に、政治的・軍事的にもラテンアメリカをリードする国であったアルゼンチンですが、フォークランド紛争・政治的混乱・経済失政から1988年にはハイパーインフレーションを招きました。(1989年には対前年比50倍の物価上昇)
90年代には一旦経済は回復したものの、99年のブラジルの通貨切り下げで国際競争力を失い国際収支が悪化、2001年11月14日には国債をはじめとした対外債務の返済不履行宣言(デフォルト)を発する事態に陥り、国家経済が破綻しました。

その後は、マクロ経済的には、高い成長率を維持して順調な回復しているようにも見えます。
アルゼンチンは世界有数の穀物の輸出国であり、「大豆など中国からの需要が高い」(米メディア)穀物の価格高騰もあって、2010年は実質GDP成長率9.2%、11年は8.3%を記録。

こうした経済的な好調さもあって、夫婦で権力の頂点を目指した政治的野心から「南米のヒラリー」と呼ばれることもある、また、政治的指導力の問題も指摘されるフェルナンデス大統領ですが、11年10月には見事再選を果たしています。(前大統領の夫が急死したことによる同情票もありましたが・・・)

2012年経済については、欧州債務危機や主要輸出先のブラジルの経済成長率下振れ懸念から、5%台にとどまる見通しとされていますが、欧州や日本などからすれば、うらやましい数字です。
“失業率もここ20年間で一番低く、貧困率も07年から半分になった”【11年10月25日 産経】とのことです。

【「デフォルトの最悪の影響は、数年間、ほとんどインフラ投資ができなかったことだ」】
そんなアルゼンチンですが、デフォルトの影響は10年以上が経過した今も未だ消えていないようです。
国も銀行も長期資金を海外で借りられないため、インフラ投資が出来ず、住宅ローンも存在していません。

****〈行きづまる国々:4〉デフォルト 苦しみ10年*****
ユーロ圏9カ国の国債が一斉に格下げされた13日、アルゼンチンでは昨年の物価が前の年より9.5%上がったと公表された。だが専門家は「庶民の実感とかけ離れている」と疑い、実際は20%近いと指摘する人もいる。庶民生活に響くインフレを招きやすい体質は、国家破綻(はたん)から10年たったいまも変わらない。

広大なラプラタ川を背にしたアルゼンチンの首都、ブエノスアイレスの港地区に、真新しい高層マンションが立ち並ぶ。
マンションの人気の部屋は一室、日本円で1億円程度する。「みな現金で買っていく。大豆の取引でもうけた成り金が多いね」。地元の不動産業者は言う。

この国には、返済までの期間が長い住宅ローンが存在しない。だから高い物件は、手持ちの現金をたくさん持っている人でないと手を出せない。
アルゼンチンは2001年12月、政府債務(借金)を返せなくなり、債務不履行(デフォルト)を宣言して破綻した。日本でもアルゼンチン国債を買っていた個人や地方自治体が損失を被った。それから10年。日本政府など先進国からの借金は今も返していない。

このため、国の格付けは、「投資不適格」とされる「B」(米スタンダード・アンド・プアーズ)のまま。海外市場で実質的に国債を発行できない孤立状態が続く。国内の銀行や企業の格付けも国の格付けに従って低い。

■住宅ローンなく
国も銀行も長期資金を海外で借りられないため、消費者に長期の住宅ローンを提供できない。「家を持てるのは親の支援がある人だけだ」と20代男性は言う。資産のない若者は現金をためるしかない。(中略)

■失業率、一時30%
お金の流れが滞り、給与や代金の支払いが止まって倒産や解雇が相次いだ。02年の失業率は約30%まで上昇し、国内総生産(GDP)の伸び率は前年比でマイナス11%に落ち込んだ。(中略)

デフォルトは、国力に合わない為替政策がたたった、との見方が一般的だ。
フォークランド紛争などで増えた借金がたたってインフレが進んだアルゼンチンは1991年、対策として固定相場制を採用した。90年代後半にアジア通貨危機の影響が南米にも及び、ブラジルは通貨レアルの価値を下げたが、アルゼンチンは固定相場を維持した。輸出競争力が弱まり、経済が悪化。外貨の流出が止まらなくなり、約1400億ドル(約11兆円)まで積み上がった対外債務の返済が行きづまった。

ただ、デフォルト後は力強く成長する。債務を整理し、ペソを切り下げ、製造業は輸出競争力を取り戻した。折しも中国の急成長にともない、国際的な穀物価格が急上昇。もともと大豆などの穀物の輸出大国だ。外貨を稼げるようになり、03年以降は8%程度の成長を続ける。

■木造の地下鉄も
ただし、後遺症は残る。トルクアト・ディ・テッラ大学のグイド・サンドレリス教授は「デフォルトの最悪の影響は、数年間、ほとんどインフラ投資ができなかったことだ」と話す。
国も民間も、収入の範囲内でしか投資ができない。ブエノスアイレスの中心部を走る地下鉄線のひとつはいまも木造だ。電気利用がピークに達する夏や冬は電力が不足し、一部工場で停電するという。

産業界からは「交通網や電力などのインフラはもう限界にきている」との声が高まっている。このため、フェルナンデス政権は最近、先進国への借金の返済へ意欲をみせ始めた。外貨準備は400億ドル(約3兆円)以上で、現在90億ドル(約6900億円)といわれる借金が返せるまで積み上がっている。国際金融市場への復帰が視野に入りつつある。(後略)【1月18日 朝日】

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