南アフリカの鉱山労働者の賃上げストライキの中で、多数の労働者が警察官に射殺されたようだが、現在の南アフリカの状況を「孤帆の遠影碧空に尽き」の記事から見てみる。
私は、植民地として支配されていた国の独立後の姿がどうなっているかということに常に関心があるのだが、私の見た限りでは、ほとんどが政治経済的な苦境に陥ることが多い。その理由も想像がつく。
これらの「独立国」は、ほとんどの場合、白人の傀儡政権が独立後の政権を担うからである。そういう連中の仕事は、国家をうまく運営することではなく、国家を壊滅的状態にすることだ。そして「程度の低い有色人種にはやはり国家運営はできない。植民地支配の方が幸せだったのだ」という感想を世界の人々に抱かせるわけである。そして、影の支配者である白人にとって都合の悪い有能で誠実な政治家が出てきたら、冤罪で失脚させ、あるいは暗殺する。このあたりは藤永茂博士の「私の闇の奥」に幾つも例が出ている。
このやり方はこの日本でも踏襲されている。
これが白人による「影の植民地支配」である。
ここまで書けば、下記記事をどう読めばいいかも明らかだろうから、贅言は無用だろう。
(追記)この記事とは無関係だが、「山科恭介のブログ」に載っていた「小沢一郎インタビュー」を見て、私は小沢橋下同盟の確率は50%以上あると思うようになった。そうなった場合、私は小沢支持者であることをはっきりとやめる。いくら「政治は数だ」と言っても、悪魔と手を結ぶ人間を支持するわけにはいかない。小沢のTPPに対する態度が煮え切らないのは、橋下との連携がまだ視野にあるからだろうが、TPPはたかだか政権奪取とかいうレベルの問題ではない。ほとんど国家の消滅の危機なのである。
(以下引用)
****南アフリカの与党ANCが100周年 人気は下降線****
反アパルトヘイト闘争の中心になった南アフリカの与党、アフリカ民族会議(ANC)が8日、結成100周年を迎えた。アパルトヘイト政策撤廃後17年にわたって政権を担ってきたが、党内対立や幹部による汚職疑惑などが相次ぎ、支持離れが加速している。
同日、結成地の中部ブルームフォンテーンで記念式典を開催した。式典には、ズマ大統領らANC幹部のほか、アフリカ各国の高官らが出席し、支持者10万人以上が集まった。ズマ大統領は演説で「党だけではなく全国民にとってのお祝いだ」と融和を強調した。
ANCの前身、南アフリカ原住民民族会議(SANNC)は、英自治領南アフリカ連邦下の1912年に結成。40年代後半から黒人差別が強まると反対闘争の中心組織になり、60年に非合法化された。その後武装闘争に踏み切り、責任者だったネルソン・マンデラ氏は27年間投獄された。
白人政権との対話を通じ、90年に合法化され、初めて全人種が参加した94年の選挙で圧勝。マンデラ氏が大統領となり、全人種平等を柱とする新憲法を制定した。こうした功績から09年の総選挙で6割を超える得票を得るなど、支持率自体は依然高い。
だが、貧困や格差が一向に解消されないことに加え、ズマ大統領に過去の武器取引に絡む汚職疑惑が持ち上がるなど、幹部の金銭スキャンダルは後を絶たない。反アパルトヘイトで戦った時代の記憶は薄れ、拝金主義のイメージが強まっている。
ヨハネスブルク大学社会学部のザイルスカラカンプ准教授は、ANCの人気は今後落ちる一方だと指摘。「現在の支持は他に選択肢がないからだ。高い失業率、インフラと教育制度の未整備。この現状に、国民は選挙に関心がなくなっている」と話した。
■「貧しい者、さらに貧しく」非白人居住区
最大都市ヨハネスブルク郊外にあるアパルトヘイト時代の非白人居住区ソウェト。闘争の象徴的な地でもANCへの失望が漏れ、若者からアパルトヘイトの現実感が薄れてゆく声も聞こえた。
ソウェトは、水道や電気が通っていない住宅も多い。地元で治安の悪さから警官も立ち寄らないと言われるバガスポロ地区では、汚水が砂利道を流れていた。
自称ダンサーのマゴフェニさん(21)は「仕事もないのに税金を払わされる。ANCに何の期待もできない」という。アパルトヘイト時代の記憶はなく、「強制労働でも仕事があっただけ、アパルトヘイトの方が民主主義よりましだ」とまで語る。
ンコーンさん(41)はANC党員。それでも「腐敗にはあきれる。富める者はさらに富み、貧しい者はさらに貧しくなった」と批判する。
高い失業率は、治安の悪化にもつながる。公式統計では約24%だが、実際には4割を超えるとされる。南アフリカの2010年度の殺人事件は未遂も含めると3万1433件で、住居侵入盗は約25万件に上る。
常習強盗のナマニーさん(41)は、「リスクが高いからやめたいが、家族10人を養わないといけない」という。週2回ほど、銃を持って乗り合いバスで高級住宅街に出かける。多い月で8千ランド(約7万5千円)を稼ぐ。「昔は白人が憎かったが、今は誰でもいい。誰もが金のことしか頭にない」と語った。
世代間で思いも異なる。高校生のボディベさん(18)はアパルトヘイトに現実味がない。「マンデラは27年も牢獄にいたからすごい、と言われる。だけど他の人でもできたと思う」
ソウェト北方のエバトンに住むムシーディさん(63)は、シャープビル事件で警官隊に撃たれ左目の視力を失った。長く闘争に加わった。「100周年を祝う。私たちの唯一の大統領、マンデラが生きて一緒に祝えるから」と語った。【1月9日 朝日】
********************
新興国として注目を集める南アですが、他の成長著しい国同様に、貧富の格差が成長過程でむしろ顕在化することが社会不安を大きくしているようです。
そのことに適切に対応できない与党ANCは、反アパルトヘイト闘争の遺産を食い潰しつつあるように思われます。
ジャンル:
政治
私は、植民地として支配されていた国の独立後の姿がどうなっているかということに常に関心があるのだが、私の見た限りでは、ほとんどが政治経済的な苦境に陥ることが多い。その理由も想像がつく。
これらの「独立国」は、ほとんどの場合、白人の傀儡政権が独立後の政権を担うからである。そういう連中の仕事は、国家をうまく運営することではなく、国家を壊滅的状態にすることだ。そして「程度の低い有色人種にはやはり国家運営はできない。植民地支配の方が幸せだったのだ」という感想を世界の人々に抱かせるわけである。そして、影の支配者である白人にとって都合の悪い有能で誠実な政治家が出てきたら、冤罪で失脚させ、あるいは暗殺する。このあたりは藤永茂博士の「私の闇の奥」に幾つも例が出ている。
このやり方はこの日本でも踏襲されている。
これが白人による「影の植民地支配」である。
ここまで書けば、下記記事をどう読めばいいかも明らかだろうから、贅言は無用だろう。
(追記)この記事とは無関係だが、「山科恭介のブログ」に載っていた「小沢一郎インタビュー」を見て、私は小沢橋下同盟の確率は50%以上あると思うようになった。そうなった場合、私は小沢支持者であることをはっきりとやめる。いくら「政治は数だ」と言っても、悪魔と手を結ぶ人間を支持するわけにはいかない。小沢のTPPに対する態度が煮え切らないのは、橋下との連携がまだ視野にあるからだろうが、TPPはたかだか政権奪取とかいうレベルの問題ではない。ほとんど国家の消滅の危機なのである。
(以下引用)
****南アフリカの与党ANCが100周年 人気は下降線****
反アパルトヘイト闘争の中心になった南アフリカの与党、アフリカ民族会議(ANC)が8日、結成100周年を迎えた。アパルトヘイト政策撤廃後17年にわたって政権を担ってきたが、党内対立や幹部による汚職疑惑などが相次ぎ、支持離れが加速している。
同日、結成地の中部ブルームフォンテーンで記念式典を開催した。式典には、ズマ大統領らANC幹部のほか、アフリカ各国の高官らが出席し、支持者10万人以上が集まった。ズマ大統領は演説で「党だけではなく全国民にとってのお祝いだ」と融和を強調した。
ANCの前身、南アフリカ原住民民族会議(SANNC)は、英自治領南アフリカ連邦下の1912年に結成。40年代後半から黒人差別が強まると反対闘争の中心組織になり、60年に非合法化された。その後武装闘争に踏み切り、責任者だったネルソン・マンデラ氏は27年間投獄された。
白人政権との対話を通じ、90年に合法化され、初めて全人種が参加した94年の選挙で圧勝。マンデラ氏が大統領となり、全人種平等を柱とする新憲法を制定した。こうした功績から09年の総選挙で6割を超える得票を得るなど、支持率自体は依然高い。
だが、貧困や格差が一向に解消されないことに加え、ズマ大統領に過去の武器取引に絡む汚職疑惑が持ち上がるなど、幹部の金銭スキャンダルは後を絶たない。反アパルトヘイトで戦った時代の記憶は薄れ、拝金主義のイメージが強まっている。
ヨハネスブルク大学社会学部のザイルスカラカンプ准教授は、ANCの人気は今後落ちる一方だと指摘。「現在の支持は他に選択肢がないからだ。高い失業率、インフラと教育制度の未整備。この現状に、国民は選挙に関心がなくなっている」と話した。
■「貧しい者、さらに貧しく」非白人居住区
最大都市ヨハネスブルク郊外にあるアパルトヘイト時代の非白人居住区ソウェト。闘争の象徴的な地でもANCへの失望が漏れ、若者からアパルトヘイトの現実感が薄れてゆく声も聞こえた。
ソウェトは、水道や電気が通っていない住宅も多い。地元で治安の悪さから警官も立ち寄らないと言われるバガスポロ地区では、汚水が砂利道を流れていた。
自称ダンサーのマゴフェニさん(21)は「仕事もないのに税金を払わされる。ANCに何の期待もできない」という。アパルトヘイト時代の記憶はなく、「強制労働でも仕事があっただけ、アパルトヘイトの方が民主主義よりましだ」とまで語る。
ンコーンさん(41)はANC党員。それでも「腐敗にはあきれる。富める者はさらに富み、貧しい者はさらに貧しくなった」と批判する。
高い失業率は、治安の悪化にもつながる。公式統計では約24%だが、実際には4割を超えるとされる。南アフリカの2010年度の殺人事件は未遂も含めると3万1433件で、住居侵入盗は約25万件に上る。
常習強盗のナマニーさん(41)は、「リスクが高いからやめたいが、家族10人を養わないといけない」という。週2回ほど、銃を持って乗り合いバスで高級住宅街に出かける。多い月で8千ランド(約7万5千円)を稼ぐ。「昔は白人が憎かったが、今は誰でもいい。誰もが金のことしか頭にない」と語った。
世代間で思いも異なる。高校生のボディベさん(18)はアパルトヘイトに現実味がない。「マンデラは27年も牢獄にいたからすごい、と言われる。だけど他の人でもできたと思う」
ソウェト北方のエバトンに住むムシーディさん(63)は、シャープビル事件で警官隊に撃たれ左目の視力を失った。長く闘争に加わった。「100周年を祝う。私たちの唯一の大統領、マンデラが生きて一緒に祝えるから」と語った。【1月9日 朝日】
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新興国として注目を集める南アですが、他の成長著しい国同様に、貧富の格差が成長過程でむしろ顕在化することが社会不安を大きくしているようです。
そのことに適切に対応できない与党ANCは、反アパルトヘイト闘争の遺産を食い潰しつつあるように思われます。
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