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徽宗皇帝のブログ

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国際政治の建前と現実
「株式日記と経済展望」の引用記事の、そのまた一部を転載。
伊藤貫という人の文章らしいが、主義主張の是非は別として、まったくTORAさんの目配りの広さには感心する。
以下に書かれた内容自体は、私がずっと前から主張している、「世界はまだ帝国主義の段階にある」つまり、国際政治に道義は存在しない、というのと同じことである。「言葉ではなく行動を見る」ことをきちんとやれば、大国の我欲に満ちたあさましい行動は歴然としており、アングロサクソン国家が海賊国家であることなど明らかであるのだが、なまじその「言葉」を聞こうとするからわけがわからなくなるのである。口ではいくらでもきれい事が言えるというのは人間社会のリアリズムであり、口は嘘を言うためのものだと理解したほうが、他人に騙されずにすむ。ところが、実生活ではリアリストを気取っている人間たちが、政治のことになると表マスコミ情報を疑いもせずに信じるのである。「馬鹿に馬鹿を足しても馬鹿だ」とは亀井静香の名言だが、「嘘付きに嘘付きを足したら嘘付き集団になる」のが当然なのである。
なお、下記記事中の「ウィルソニアン・パラダイム」という聞きなれない言葉だが、第一次大戦後に米大統領ウッドロー・ウィルソンが世界平和のために国際連盟(「国際連合」とどっちがどっちなのか、今でも混同する。だから中学高校の社会科は嫌いなのだ)を提唱したことを指すのだろう。一般的に使われている言葉か、筆者独自の造語かは分からない。


(以下引用)


思うに、人類というのは、世界政府とか世界立法院、あるいは世界裁判所とか世界警察軍、そういうものをつくることができない体質なのです。もちろん、いかさまな国際裁判所をありますけれど、「本当の正義」を実現する力など持っていません。ルワンダやセルビアやカンボジアといった弱小国が“見せしめ”としてお仕置きを加えられるだけです。世界の強国であるアメリカやロシアや中国は、けっしてお裁きの場に引きずり出されることはありません。結局、みんなで寄ってたかっていじめてもかまわないような国だけが、国際裁判にかけられるのです。

アメリカのイラク戦争だって、ロシアがグルジアに攻め込んだのだって、国際法違反の侵略戦争ですしかし力の強い大国に対しては、どこの国も処罰できない。米中露イスラエルのように利己的・独善的で軍事力と国際政治力の強い国は、何をやってもいい。これら諸国が侵略戦争をしようが凶悪な戦争犯罪を繰り返して民間人を無差別虐殺しようが、いっさいお咎(とが)めなしです。

「いったん強国が一方的に軍事力を行使すると、どうしようもなくなってしまう」というのが、過去3千年間続いてきた国際政治の現実なのです。残念ながらこの現実は、21世紀になって変わっていないのです。米中露イスラエル等の覇権主義国家は、本音レベルでは、「真の実効力を持つ世界政府や世界裁判所などをつくると、自国の行動の自由を束縛されるからイヤだ」と考えています。それゆえ、「ウィルソニアン・パラダイム」が強調する相互依存とか国際組織とか対話促進と信頼醸成とかいったものに平和を委ねるのは危険だ、というのがリアリスト派の基本的な考え方になっています。

ところが戦後の日本の大学で教えられているのは、ほとんどが「ウィルソニアン・パラダイム」に属する相互依存派や制度派の思考パターンです。なぜかというと、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して(前文)……国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する(第9条)とする日本国憲法を維持する立場からは、そのほうが都合がいいからです。

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