前にも少し触れた山本七平(および小室直樹他)の「日本教の社会学」の、山本と小室の対談の一節で、章題が「一人もいなかった天皇主義者」という部分だが、詳しく言えば「軍隊には(高級軍人には)一人もいなかった天皇主義者」とするべき内容で、戦前の日本の高級軍人がいかに天皇を軽んじていたかということに触れている。(彼らにとって「天皇」は「自分が属する共同体のために利用する」「錦の御旗」でしかなかったということだ。)
それはまた私が言う「組織悪」の事例でもあり、軍隊という組織を天皇より重んじた結果でもある。これは、その組織が企業でも役所でも変わらない。組織内の「暗黙のルール」が社会全体のルールに優先するのである。まあ、組織の「村洛化」である。そのムラの中では独自のルールが法律より優先されるわけだ。
(以下引用)赤字は徽宗による強。。
天皇に対する大逆
小室「以上のような点からすると、戦前の日本というのは軍国主義国家のように見えながら、軍国主義とは最も遠い国であるということになります。(徽宗注:近代的な軍隊規範、特に命令の序列や命令の正当性への意識が成立していなかったという意味である。)そして、その論理からすれば、戦前の日本は天皇制国家だなんてとんでもない。また天皇主義者なんて一人もいなかったともいえるのではないでしょうか。」
山本「最も典型的なのは三長官会議です。これほど明確な謀反というのはないですよ。しかも憲法違反であり、当時の日本人的な論理からいっても、天皇に対する大逆でしょう。」
小室「なんとなれば、総理大臣を自由に選ぶのは、天皇の大権事項です。また当時の国民としての義務からしても、それに対して協力する義務がある。それがいやであれば、議会を通して内閣を叩くことこそ合憲です。ところが、別なルートでもって、それに逆らうってことは近代国家の論理として許されることではない。」
山本「ええ。ところが三長官が陸軍大臣を出しませんという決議をして、内閣がこれで流産をしてしまった。そのことに対して、誰もこれを謀反だといわないわけです。天皇よりも三長官の決定が上になっちゃったんですわ。」
(中略)
山本「これは『統帥権』という意識と関連がありますでしょうね。陸軍だけ特別である。だから陸相といえども、単に総理大臣の下にいる人間ではないという意識がどっかにあったんでしょうね。」
小室「ですから、まだまだ幕府意識っていうのか、山本さんが書いていらっしゃるように、日本陸軍が占領したがってたのは日本国であったと、まさにそうでしょ。」
山本「そうですね。やっぱり幕府だな、あれは。陸軍幕府。」
それはまた私が言う「組織悪」の事例でもあり、軍隊という組織を天皇より重んじた結果でもある。これは、その組織が企業でも役所でも変わらない。組織内の「暗黙のルール」が社会全体のルールに優先するのである。まあ、組織の「村洛化」である。そのムラの中では独自のルールが法律より優先されるわけだ。
(以下引用)赤字は徽宗による強。。
天皇に対する大逆
小室「以上のような点からすると、戦前の日本というのは軍国主義国家のように見えながら、軍国主義とは最も遠い国であるということになります。(徽宗注:近代的な軍隊規範、特に命令の序列や命令の正当性への意識が成立していなかったという意味である。)そして、その論理からすれば、戦前の日本は天皇制国家だなんてとんでもない。また天皇主義者なんて一人もいなかったともいえるのではないでしょうか。」
山本「最も典型的なのは三長官会議です。これほど明確な謀反というのはないですよ。しかも憲法違反であり、当時の日本人的な論理からいっても、天皇に対する大逆でしょう。」
小室「なんとなれば、総理大臣を自由に選ぶのは、天皇の大権事項です。また当時の国民としての義務からしても、それに対して協力する義務がある。それがいやであれば、議会を通して内閣を叩くことこそ合憲です。ところが、別なルートでもって、それに逆らうってことは近代国家の論理として許されることではない。」
山本「ええ。ところが三長官が陸軍大臣を出しませんという決議をして、内閣がこれで流産をしてしまった。そのことに対して、誰もこれを謀反だといわないわけです。天皇よりも三長官の決定が上になっちゃったんですわ。」
(中略)
山本「これは『統帥権』という意識と関連がありますでしょうね。陸軍だけ特別である。だから陸相といえども、単に総理大臣の下にいる人間ではないという意識がどっかにあったんでしょうね。」
小室「ですから、まだまだ幕府意識っていうのか、山本さんが書いていらっしゃるように、日本陸軍が占領したがってたのは日本国であったと、まさにそうでしょ。」
山本「そうですね。やっぱり幕府だな、あれは。陸軍幕府。」
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