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徽宗皇帝のブログ

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政府の国民遺棄
「ダイヤモンドオンライン」の「岸博幸のクリエィティブ国富論」から転載。
政府の「自主避難」という国民放棄に対して大学の先生(慶応大学教授)には珍しく正面から政府批判をしている。まあ、実は政府批判をすることは表ジャーナリズムの人間にとってもべつに難しくはない。本当に難しいのは経済界批判である。日本の真の権力はそこにあるからだ。

別の話になるが、「株式日記と経済展望」で民主自民大連合が結局は官僚独裁になるという傾聴に値する論説が書かれていたが、全文を転載すると完全なパクリブログになるので、それは自粛する。ご自分で行かれて一読することをお勧めする。


(以下引用)


福島第一原発20~30キロ圏内で何が起きているのか
自主避難という政府の低劣レトリックで深まる危機
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 福島第一原発を巡って予断を許さない状況が続いていることは、日々の報道から皆様もご存知と思いますが、地元の経済は、政府の中途半端で自らの体面や保身を優先した対応により大変なことになっています。
20~30キロ圏で政府がやっていること
 読者の皆様もご承知のように、政府は福島第一原発から20キロ圏の住民に対しては避難指示を出していますが、20~30キロ圏の住民に対しては自主避難を促すに止まっています。
 この“自主避難”というのは、実は非常に中途半端な命令であることをよく考える必要があります。20キロ圏については法律に基づく命令を出しているので、明示的に危険地帯であると認定しているに対して、20~30キロ圏については、“基本的には安全だけど、念のために自主的に退避した方がいいですよ”と言っているだけなのです。
 この、20~30キロ圏が危険なのか安全なのかが不明確な政府の中途半端な対応により、現地では大きな問題が生じています。
 政府内からの情報によれば、先週後半の官邸内の会議で「20~30キロ圏の住民には自主退避を促す一方で、動けない人々のために、圏内における経済活動の正常化を民間企業に促す」という、絵に描いたようなアブハチ取らずの方針が確認されたそうです。
 また、その方針を受け、地元の経済活動に関連する様々な業界(小売、運輸、輸送など)に対しても、監督官庁を通じて、出来る範囲で従来通りの営業をしてくれないかという打診が来ているようです。
 しかし、当たり前のことですが、政府は20~30キロ圏が危険地域と認定している訳ではないので、被曝の可能性について関係者の身の安全は政府が保障しないことが前提となります。となると、従業員の生命と安全を守ろうとするまともな会社は、当然ながらなかなか協力できません。
 このため、地元のまともな会社の多くが事業の再開を渋っていると、今度は官邸から、「官邸には20~30キロ圏内で活動すると志願する企業が来ているんだから、業界団体で志願者を募れ!」という圧力が色々なルートからかかってきたようです。
 しかし、そのように志願してきた企業の実態は、震災で仕事がキャンセルとなって経営が苦しくなった民間企業が、にっちもさっちも行かなくなって手を挙げているケースが大半のようです。
政府の中途半端な対応ゆえの混乱
 官邸のこの対応はちょっとひど過ぎます。自主避難という、危険なのか安全なのか不明確かつ中途半端な指示しか出さない一方で、真っ当に頑張っている民間事業者に対してはそこでの経済活動を強要しているのです。
 そして、この問題の解決は実は難しくありません。20~30キロ圏が安全なのか危険なのか、その白黒をまず政府がはっきりさせればいいのです。もちろん、安全と宣言するのは実際には困難です。
 そう考えると、現実的には、政府が20~30キロ圏も危険な地域と事実上認めるしかありません。具体的には、民間事業者に対して法律に基づく命令を出せば良いのです。例えば輸送については、道路運送事業法の緊急時の輸送命令を発令すれば、補償責任はすべて政府が負う代わりに、民間の運送事業者を出動させられます。
 しかし、そうした対応を取ると、“20~30キロ圏内は基本的には安全なので、あくまでも社会的な理由で自主避難”と言う政府のこれまでの発表・理屈と矛盾してしまいます。だからこそ、法律に基づく命令とかは出さず、行政指導的な圧力を民間にかける形になっているのです。
 野菜や水の場合も同様の問題が生じていますが、20~30キロ圏への対応について、官邸は、自分たちがリスクを取りたくないし、批判もされたくないので、自主退避という低劣なレトリックを使い、訳の分からない作戦指示になっているのではないでしょうか。その結果、現場ではずっとこの問題への押し問答が続いているのです。
 そのすべての元凶は、20~30キロ圏について屋内退避や自主避難という非常に暫定色の強い措置を、政府がもう2週間も引っ張っていることです。20キロ圏と同様に避難指示を出すか、または安全宣言をするか、白黒をはっきりさせる決断を政府が早く下すべきなのです。
 20~30キロ圏内に取り残された人々の生活はますます困窮を極めており、それをこのまま放置しておくと、また命を失う人が増えます。ここで述べたような民間事業者への強要を官邸で誰が中心となってやっているかを、私は個人名レベルで知っていますが、敢えてここでは書きません。
 しかし、政治家や官僚のお偉いさん達の保身、アリバイ作り、ええ格好しい、点数稼ぎのせいで現場の経済活動がかえって混乱し、20~30キロ圏の住民の生活が一層苦しくなるというのは、もう見るに耐えません。
 今のような国難のときこそ、政府は迅速に決断しなくてはなりません。暫定色の強い判断をこれ以上引っぱり続けてはいけません。この期に及んで保身やアリバイ作りに汲々とするような状態は止めるべきです。

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