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徽宗皇帝のブログ

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日本経済の今後の見通し(承前)
前回の記事の続きである。全4回の記事だが、そのうち私が興味深く思った2回分だけ掲載した。


(以下引用)


よく混同されがちだが、災害による経済損失とGDPの下落は必ずしもイコールではない。GDPは国の経済活動や所得を足し合わせたものなので、社会インフラやストックが失われても、直接影響を被らないためだ。

 もちろん、間接的な影響は被る。漁船が壊れて水産業が落ち込んだり、物流が止まって小売業が落ち込んだりするなど、被災地における生産活動の縮小は、巡り巡って日本全体の経済成長に少なからず影響を与えるだろう。とはいえ、その影響については現時点で不透明だ。

 今後は逆に、壊れてしまったインフラを建て直すための新たな需要が生まれる可能性もある。その結果、年間を通して見ると、GDPは前年度と近いレベルか、やや落ち込む程度に留まるのではないだろうか。

 たとえば、経済活動が正常化するまでの間接的な経済損失の3分の1程度(3兆円強と推測)が顕在化し、他方で政府による緊急経済対策が2兆円支出されると考えると、2011年度の実質GDP成長率に対する直接的な効果は、マイナス1兆円程度、率にして0.2%程度と推計される。

 緊急対策に乗り出した日本銀行のコメントを見ても、被災地以外の地域が間接的な影響を被り、経済活動が落ちると見ている部分が大きいように思える。壊れた社会インフラを国が建て直すことは、経済的にマイナスなことではない。消費者や企業のマインド面など不確実な要素はあるものの、日本経済全体を大きく腰折れさせることにはならないのではないか。

――復興が早まるか否かは、政府・日銀が行なう対策の効果にもかかっている。今回の日銀の緊急対策をどう評価するか。

 大震災の発生による金融機関の予備的流動性需要の高まりに応えることは、中央銀行の責務だ。先日、東北の銀行を中心に行なわれた日銀の大規模資金供給(オファー額22兆円弱、落札額20兆円弱)は、現実的な対策であり、関係者は前向きに評価している。

 今回の震災が、阪神淡路大震災のときのように人口密集地で起きた震災ではないことを考えると、この資金供給は十分な効果を生むのではないだろうか。

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