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徽宗皇帝のブログ

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日本経済はこれから「人手不足」に悩む?
「株式日記と経済展望」に引用されていた下の記事が面白かったので、元記事から引用部分を少し変えて引用する。
今後の日本経済の進路を展望するのに良いガイドになる記事だと思う。ただし、株や投資関係の部分は、私は関心が無いのでカットした。
デフレと格差拡大というのがバブル崩壊後の日本経済の骨子だったわけだが、そのツケがこれから回ってくるわけである。デフレ自体は、物価を抑制することで国民生活を守ってきたわけだが、その一方で国民の平均所得はどんどん減少し、さらに生産現場ではあらゆるコストカットが行われてきた。いわば、限界までダイエットした人体のようなもので、ほとんど病人に近い。まったく体力など残っていないわけだ。ギリギリの人員で組織を動かすことが常態化しているので、景気が拡大してもそれに対応できない。何よりも、即座に補充できる「人材」がいないのである。
まあ、詳しいことは下記記事を読めばいい。今後の日本経済は「空前の人手不足」に悩むことになるという筆者の予測はかなり高い確率で当たると私は思っている。それを(一時的にだが)救うのはシルバー世代の再雇用となるのかもしれないが、はっきり言って老人など体力的にはポンコツであり、1日8時間もの労働は老人虐待に近い。
さて、日本の経済界や政界はこの問題を「グローバル化」で解決できると思っているのだろうが、それは甘い、というのは私がかつて何度も書いてきたことである。



(以下引用)




2014年、回復する日本経済に「空前の人手不足」が立ちはだかる! /藤野 英人

現代ビジネス 12月27日(金)8時5分配信



(前半略)


*** 抑制基調だった5年間の影響が一気に噴き出す ***
では、2014年の日本経済について考えてみましょう。

来年の経済のキーワードは「人手不足」です。空前の人手不足の時代がやってきます。というか、もうそれは激しく始まっています。有効求人倍率は0.98倍まで来ていて、1を超すのは時間の問題。建設業はすでに人手不足となっています。自動車業界など生産の現場も人手が足りず、1000人単位で探していますが、なかなか見つかりません。それはそうでしょう。なぜなら、人はどこにもいないからです。

いないなんてバカな! 日本は格差社会が始まっていて、多くの仕事にあぶれた人がいるのに、何を言っているのだと思われた方も多いでしょう。そして、それも一面で事実です。

2008年にリーマン・ショックがありました。これは本当に世界や日本経済に大きな打撃がありました。最近、米国で金融緩和の縮小を始めましたが、そもそも大規模な金融緩和を始めたのはリーマン・ショックから立ち直るためです。5年間も世界はリーマン・ショックに向き合ってきたのですね。

日本経済にも大きな打撃があり、多くの企業が派遣切りを行いました。テント村ができて、大きな社会問題になりました。多くの労働者が路頭に迷ったわけです。生活保護受給者が急増したのも、この時期からです。日本の企業サイドは派遣を切り、新規採用を抑制して、現有勢力をフル回転してなんとか乗り切ってきました。それはある意味、仕方がないことだったかもしれません。

そして、グローバル景気は2011年に一度回復に向かうのですが、日本だけが2011年3月11日の東日本大震災で景気が腰折れをしてしまいました。天災なので仕方がないのですが、本当にアンラッキーでした。

この5年間、日本企業はとにかく採用を抑制し、設備投資を抑制し、多くの日本人は節約をモットーとした辛い時期だったのです。本来、2011年に回復するはずの景気が回復しなかったので、私はその分のマグマが溜まっていると考えています。アベノミクス景気というか、アベノミクス相場の伏線は、この溜まっていたマグマにあります。安倍さんであろうがなかろうが、溜まったマグマはかならず噴き出します。上昇したエネルギーがいつかは消失するように、抑圧されたエネルギーは上に噴き出すのです。



事実、現場は相当投資を抑制しているので、「機械のビンテージ化」が起きています。老朽化した機械を騙し騙し使っていたのですが、ほぼ限界に達しつつあるのです。今後はこうして更新時期に入った機械の需要が続々増えるものと考えられます。しかし、機械以上に更新が必要で、かつ短期的にどうにもならないのは人材です。2014年、日本経済は人手不足に悩まされるでしょう。


*** 生産者人口は、東京五輪までの7年で600万人減少 ***
まずは生産者人口。総務省のデータによると、2008年のリーマン・ショック当時は約8230万人いた生産者人口が、2013年には7900万人(推計値)になっています。5年で330万人減っているのです。それも、シニアの引退と若い人の減少が重なっているから、事態は想像以上に深刻です。これがオリンピックの2020年の予測値となると7300万人。これからわずか7年で600万人も減るわけです。

ただでさえ生産者人口、それも若者が減っているのに、多くの企業はこの5年間、新卒採用を抑制して、若い人に機会も与えず、十分な投資を怠ってきました。そして結果的に、意図しないニートをたくさん作ってしまいました。本来は雇用をし、OJTなどを通じて教育をし、経験を積んで初めて本来の「生産」者になるわけです。

建設業も非常に厳しい時代が続いていたので、下請け業者は若手の採用を抑制してきました。その結果、現場の高齢化がどんどん進んでいます。そこへ東日本大震災の復興特需とオリンピック特需がやってきました。小さい規模の経済で適正化されていた経済圏が一気に膨張したわけです。そもそも生産者人口が減ってきているのに、現場で作業をしたり、現場監督をしたりするノウハウを持った現場の人が圧倒的に不足してしまったのです。

資材も不足していますが、それだって誰かが現場でモノを作らなければ解消しません。セメントも、足場も、機械で自動的に作られるわけではなく、機械を動かす人が必要です。トラックを動かすのにも大型の免許を持った人が必要です。しかし、大型免許を保有している人の高齢化が進み、若い人はそもそも大型免許の取得を嫌がっているので、これから深刻なドライバー不足になるのは目に見えています。

今まで「幸運にも」生産者人口の減少の痛みを受けてこなかったのは、リーマン・ショックの上に東日本大震災が続き、経済が縮小均衡をしていたため気が付かなかったのだと思います。しかし、わずかに景気が持ち直すだけで、この問題点が浮上してきます。



本来、精魂を込めて仕込まなければいけなかった若者たちの就業機会を社会全体で受け止めてこなかったツケは、社会全体で負っていくことになるでしょう。


*** 建設、外食・小売、物流…「現業」従事者の不足をシニアが埋める ***
これは外食・小売の分野でも切実な問題として起きています。アルバイトが採用できないのです。それはそうです。なぜなら若者が減っている上に、社会全体の教育力が落ちているので、時間通りに出勤したり、敬語を使ったりできない若者が増えているのです。

ブラック企業問題も影を落としています。長時間労働の辛い仕事はすべて「ブラック」である、というような風潮が広まっています。もちろん、そのようなブラック企業が多いのは事実です。しかし、そのおかげで大学生が居酒屋でアルバイトをしようとしても仲間に止められたり、親に止められたりするケースが増えているようです。「そこまでして働かなくてよい」と、多くの人が考えているのです。

そこで起きるのは時給単価の上昇です。それはもうすでに始まっていて、外食や小売のアルバイト時給はジリジリ上昇しています。しかし、時給が上がったからといって、優秀な子が来るわけでもありません。厳しく叱ったらすぐ来なくなるし、朝来ないと思ったら、店長にLINEやメールで「体調不良で」と送るようなドタキャンも日常茶飯時になっています。これは外食・小売業に共通の悩みです。

これは結果的に価格に反映されていきます。もしくはサービスの低下です。デフレ時代には「安くてよいサービス」が成り立っていました。しかし、これからは「安くて悪いサービス」か「高くて良いサービス」を選択するようになっていくものと思われます。これは予言ではなく、未来の事実だと私は思っています。

物流も同じ状況です。ネットの普及で、運ぶ人の負担が増えてきています。アマゾンや楽天の成長はすばらしいことですが、それは買い手ではなく売り手が運ぶということを意味しています。運ぶ人たちの現場での負担は厳しく、またドライバーも不足気味です。アマゾンに対して、ヤマトも値上げ交渉をしているという話を聞きます。

このように、実際にモノを作ったり運んだりサービスをする「現業」の人たちが不足しつつあり、それは短期的に解消する見込みはありません。なぜなら人口は加速度的に減っていて、かつ経験値はカネで買えないので、育てるには時間を要するからです。そこは、シニア世代を投入して埋めていくことも一定程度可能ですし、マクドナルドを見ればわかるように、すでに現場にはシニアの人たちが大量に「進出」しています。



一方で、経理や事務など、IT技術で取って代われるようなホワイトカラーの人たちの居場所は、どんどんなくなるでしょう。付加価値の少ない仕事をしているホワイトカラーの人たちは、デフレ下の勝ち組だったのですが、これからは相対的に貧乏になっていくかもしれません。

企業サイドは、上昇する労務費、材料費、物流費、外注費と向き合う必要があります。これらは、消費税の転嫁よりも、むしろインパクトが大きくなる可能性があります。


(後略)

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