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徽宗皇帝のブログ

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日本鎖国論と産業シフト
あいば達也の「世相を斬る」より転載。
私が自分のブログでずっと述べてきた、「日本は鎖国をすべきだ」、という考えを持っていたのは私だけではない、と思うと心強い。
あいば氏も別の日の記事で述べていたが、「鎖国したら日本は生きていけない」というよくある議論を私はもちろん信じていない。
肝心の食糧自給問題にしても、現在の科学技術水準なら、簡単に自給できる水準に到達できる。それどころか、現在でも日本での廃棄食糧は、全生産の30%近くだか何だか、正確な数字は知らないが、巨大な割合であると言う。
いわゆる「比較優位説」によって、日本は農漁業よりも工業の方が割がいいから農漁業は他国に任せて、工業を推進してきた結果の食糧自給率低下なのである。つまり、最初から他国との貿易による金儲けが目的で日本の産業シフトは行われてきたのだ。
ところが、その貿易による金儲けが、今後は見込めない、というのが現在の状況だ。仮に一部企業の金儲けはできても、日本国内の産業空洞化と雇用減少、労働者の所得減少は避けられない。
海外との貿易をやめれば、日本は第一次産業重視の社会に戻らざるをえない。そして、その結果、社会全体が「生存に必要な物を作る人間が尊敬される」健全な社会になるのである。
そして、労働集約的産業である第一次産業の復活は、日本が抱える最大の問題である雇用問題の非常に簡単な解決策になる。つまり、高校大学など行かなくても、若者の誰にでも仕事がある、という社会になるのである。
まあ、下記記事にもあるように、いきなり海外貿易をすべて禁止しろ、という乱暴なことは私も言わない。海外貿易がしたい企業はすればいい。しかし、輸出企業のために政治が捻じ曲げられ一般国民がその被害を受ける(「被害を受ける」は「馬から落馬する」と同じく畳語だが、「後で後悔する」と同様、言葉の調子のために必要な畳語だ)という、現在の日本や世界の在り方は、根本的に間違っていると私は信じている。


(以下引用)

 円高が大変で輸出産業は死活問題に直面している。企業の空洞化が加速するばかりだ。製造原価を圧迫する日本の雇用体系では国内での雇用は守れない。世界一高い法人税も足枷だ、減税を。もっと成長経済に繋がる政策も急務だし、財政再建と同時並行的に行われなければならない。経団連の米倉爺が口にするのは、以上のような内容だろう。マスメディアもほぼ同様の論調が主流だ。

  仰ることは一々ごもっとも、その通りです。ただ、グローバル経済においては、国境を越えて「人モノ金」が移動するわけで、今さら騒ぎ出す方が間抜けなだけだ。円高で国内での製造業が不利であるなら、シコタマ溜め込んだ内部留保のマネーを積極活用、海外優良企業のM&Aに注力すべきだろう。モノ言わず、既に黙々と日本企業の海外企業買収は右肩上がりで進行している。マクロなグローバル経済と云うものは、一種“化け物”なわけで、今さら制御することは不可能なのだと思う。どのような学者や識者の話を聞いても、クリアな答えに出遭わない、各国中央銀行も財務省等々の処方箋を見出していないし、見いだせない可能性の方が高い。

  グル―バル経済に組み込まれた産業の分野を、国内的に拡大しようとか、そこで生まれる雇用に期待する政策などは、効果は期待できず、役人どもの権益の拡大と族議員の増大に寄与するのが関の山である。国内立地補助金など、金をドブに捨てる政策に近いと考えるべきだ。核汚染物質再処理施設の候補地に補助金がつぎ込まれるのと同様に、その地域の自主独立の精神をスポイルする弊害しか生まない愚策である。

 国内で集中的に国家予算を注ぎ込むべき産業は、グローバル経済に馴染まない土着な産業の方が将来的な投資に繋がるだろう。つまり、国内故に成立する産業の育成に集中投資すべきである。その意味で「地産地消」と云う概念が広義に重要な意味を持つ。「地産地消」は食物に限らず、エネルギーであり、サービスであり、農漁業林業であり、医療介護等である。基本的に、日本国土において成立し得る産業で、尚且つ日本国民を対象とする産業である。

 意味のない努力に国富を投ずるは愚かだ。日本固有の産業の育成は、最終的にグローバル経済の中で、バラバラな意志で動く大企業を別扱いするだけの社会構造、産業構造の構築は、実は先進文明国家の共通の悩みである、経済成長の先細りに、僅かな光明を与えることにもなるだろう。たしかに内向きな論理だと云う批難はあるだろうが、グローバル経済はボーダレス経済であり、国家のリアリティを失わせる。つまり、国家の為、日本人の為に何かをするアイデンティティが失われるのだ。国家主義に陥る危険はあるが、現在の日本人に、そのような気風があまりにも失われているわけで、多少は良薬として作用するだろう。丁度、デフレ不況の中で、僅かなインフレ・ターゲット(2%)が容認されるのに似ている。国家主義と云うより、筆者は民族の自立に重きを置いているので、国家の自尊より、国民の自尊に多くを期待したい。

 野田政権は、野田佳彦がどれ程気色ばんで否定しても、勝財務事務次官に洗脳された政策にひた走っているのは自明だ。他からみて、そのようにしか映らないことが判らないこと自体、勝次官信者と云う事だ。まぁ実力がないのだから、何かにすがる気持ちも判る、特に責める気にはなれない。適当にやっておきなさい。間違ってもTPPだけは絶対に参加してはイカン!日本の為にも、米国の為にも、まったくならない。

 金儲けが至上命題の大企業はグローバル経済の中で、強かに生きていけば良いのだ。特に個別の国家レベルで、何処の誰に塩を送るか判別のつかない経団連参加の乞食根性大企業に、血税を注ぐべきではない。広義の「地産地消」産業の育成こそ、少子高齢化してしまった国家体制を維持する道はない。少子化対策が有効に機能したとして、30年ほどは少子高齢化人口構成が変わるわけではない。

 筆者の思考の根幹には、自立出来る国家、最低限「地産地消」で生きられる国家像がある。素朴な言葉で表現すれば、鎖国的国家だ。勿論、個別の企業の貿易にケチをつけることはないが、支援はしない。あくまで市場原理で、売れるなら海外に売り、売れるなら海外から買えば良いだけだ。個別の企業が個別の国家と取引する為に、橋渡しが必要なら、最低限の協力をすれば良いだけだ。勿論、個人の海外旅行禁止などと云う規制もない、緩やかな鎖国マインドだ。

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