徽宗皇帝のブログ

社会科の教師も、経済学の教師もたぶん教えないことだが、金融資本主義では通貨の価値は年々下がっていくのである。
単純なモデルで言えば、元金が１で利子（年利）が２％とすると、1年後には元金が１．０２になる。これは社会の通貨量が実質的に１．０２倍に増えたということであり、通貨価値は逆に１/１．０２に減少したということだ。つまり、インフレである。金融経済ではインフレ（通貨価値の低下）は宿命であるわけだ。
これが１００年続くとどうなるか。実質的通貨流通量は１．０２の１００乗になり、７．２４４６……となる。つまり、社会には最初の7倍の通貨が流通し、通貨価値は７分の１になる。最初の1ドルが１４セントの価値しかないわけだ。
この通貨価値の低下は、おそらく昔のドルや５０セント銀貨の価値を知っている人間なら分かるはずだ。昔の超富裕者はミリオネア（百万長者）、つまり「１００万ドル」を資産とする人々だったのだが、今では１００万ドルの資産は小金持ちでしかない。（円の場合は「銭」「厘」という貨幣単位すら消えた。つまり、物凄い通貨価値低落である。）
では、社会に流通しているはずの通貨（通貨相当の富）はどこに消えたか。当然、金融資本家の手に入ることになる。社会の富の７分の６が民間から金融資本家の手に移動したわけだ。

これはモデル的に論じただけだが、基本原理はそういうことだ。かつて（60年前）の銀行の普通預金利子が７％もあったのが、いつのまにか超低金利になったのは、社会の「金融インフレ」が限界に近いからだろう。言い換えれば、超富裕層は資金源としての銀行すら不要なほど富を蓄積したわけだ。

まあ、素人の素人思考だが、分かりやすいのではないか。

資産のある人には「ユダヤの資産三分法」をお勧めする。資産の３分の１は現金で、3分の１は実物（土地、家屋などのモノ）で所有し、残り３分の１は銀行に預ける。そうすれば銀行を通した商売はできるが、銀行の倒産による自己破産は避けられる。

（追記）参考までに載せておく。銀行への過度の信頼は危険だよ、という話だ。