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徽宗皇帝のブログ

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金融資本主義の「次」を真剣に検討しよう
「あいば達也の『世相を斬る』」から転載。
現在の世界情勢を見事に鳥瞰したいい文章だと思う。これ以上付け加えることもなさそうだから、無駄な前説は書かない。と言うより、風邪が治り、昨夜は4日遅れの正月酒を飲んだので、二日酔い気味で、自分の頭で考える気もしないのである。こういう時は、他人に考えてもらうに限る。まあ、パソコンを頭脳代わりの外部記憶装置として使うのと同様であり、他人の頭を使うのもけっして悪いことではない。某チキリン(まだネット上に生息しているかどうかは不明)とやらのように「自分の頭で考える」を標榜しながら、新自由主義に洗脳され、それに踊らされて市場原理主義者となった馬鹿もいることだし。(笑)
一言だけ言えば、「金融資本主義」は、銀行の信用創造機能により、もともと現実の貨幣経済より膨れ上がるものだが、(孔徳秋水氏はこれに肯定的だが、私はここに「金融の権力化」の源泉を見る。ただし、それをどう是正すべきかはまだ考えていない。)デリバティブなど、レバレッジ(梃子)を利かせた新金融商品が出てきたこと、コンピュータを使った高速取引などで、現在の世界金融は実体経済の何十倍もの規模を持つ巨大なバブルと化している。しかも、それはカネとしては実体経済と同等の資格を主張できるのである。つまり、構造的に「物を作る(生み出す)人間は貧しく、金を動かす人間だけが豊か」というのが現在の資本主義だ。これがまともな状態であるはずはない。
ではどうするか、というのは二日酔いの頭でなくとも、私程度の頭脳では考えるのは無理な話であるw
でも、そのうち馬鹿なりに考える努力はするつもりである。




(以下引用)


 近代資本主義が、製造を捨て、金融に頼ったがために、その仕組みは資本主義にして資本主義ではなくなった。IT金融主義は資本主義の限界が明確になった故に産まれた“鬼子”だが、それもこれも、世界に君臨していた通貨基軸「ドル」があったからに相違ない。米英に対抗する覇権構造として姿を現した中露のユーラシア共同体構想的な関係は、表向き「元とルーブルの通貨交換」と云う姿を見せているようだが、裏では「金の交換」でなされるのではないかと云う穿った論も紹介されている。

 米英は、新興国、新興資源国家の生意気な力を削ぐために、原油戦争、鉱物資源戦争と通貨戦争をミックスして、IT金融主義で勝利乃至は延命を試みているのだろうが、基軸通貨などと云うもの、世界貿易の中で10~20%流通量が減少しただけで、その信頼性は一気に萎むのだろう。米英の資本主義が崩壊したにもかかわらず詐術的にウォール街さえ元気にしておけば(株価=景気)と云う、バーチャルな経済世界を劇場の公演に乗せただけのことで、人類は見たり聞いたりは出来るのだが、味わうことが出来ない「マネー教」の取り巻き信者にさせられるわけである。衣食住に関係がないし、嗜好品でもない「マネー」が人類に役に立つのは、“ヒト・モノ・カネ”がセットの時だけだと、近々気づくのだろう。

 米英覇権にとって、世界に君臨する源泉は1、軍事力、2、外交戦略、3、資本主義で産みだされた経済力、4、ドル基軸通貨(IMF,世界銀行支配)5、先進科学技術、6、覇権国プロパガンダ機能等々だが、3の本来の資本主義の崩壊により、似て非なる「IT金融主義」で穴埋めしようとしたが、“ヒト・モノ・カネ”を介在させて資本を蓄積できなくなった。つまり、すべてに裏打ちされた実体を伴う“ヒト・モノ・カネ”と資本の蓄積、及び再投資の循環を放棄し、IT金融主義による資本の蓄積に頼らざるを得なくなった。つまり、資本主義のヒト・モノをグローバル化で失い、カネ(マネー)だけが残った。

 1の軍事力も3による経済力の低下に伴い、単独で世界を牛耳るパワーは失われ、謀略や諜報活動で弱点を補い、親米国を巻き込むことで力を保っている。本来の軍事力と云うよりも、他力に頼る傾向が強まっており、絶対的ではないし、他力が常に米国に忠誠的である保証はない。無論、比較において、米国の軍事力は今でも世界一ではあるが、核使用の怖れある国をコントロールする能力には欠けている。核の実用化が近代的になっている、ロシア、中国との核バランスは、危うい状況のままだ。また、アメリカ国民が自ら犠牲になる軍事力行使に厭戦的であり、政治がその選択をする世論は盛り上がらない。

 外交戦略は、そのような事情の中、謀略や諜報活動による軍事力行使状況を行い、それに、覇権国プロパガンダ機能を発揮させる流れになっている。スノーデン事件のような出来事が起きる状況を、覇権国・米国は常に抱える国家になっている。4のドル基軸通貨(IMF,世界銀行支配)も綻びが見られ、BRICSが推進する機構の誕生により、ドル基軸のメリットに齟齬が生まれ、米国一国が、世界のマネーをコントロール出来る唯一の存在も脅かされつつある。

 5、6の先進科学技術と覇権国プロパガンダ機能だけが、まだ優位性を保っている。米国にしてみれば、先端科学やプロパガンダ機能の権威で差別化を図り、マスメディアを通じて、世界の潮流に変化の兆しが生まれていないような土壌を作るのに躍起となっているが、資本主義に変わるダミーな「IT金融主義」を己のコントロール下に置く為に必要だったIT技術を世界に広める行為が、プロパガンダ機能の抵抗勢力として抬頭してきている。

 現在目の前で、世界的に起きている様々な地域における出来事を、強大だった米英覇権が徐々に力を失いつつある時代であり、BRICSを中心にその力と対等な力量を見せはじめている現状は、覇権の移行期と云うものが無血で起きるのかどうかを目撃できる世紀に生きていることに感謝したい。小生が死ぬまでに、その移行が行われるかどうか、是非とも目撃したいが、無血の覇権移行となると、長い時間が必要なのかもしれない。そうなると、或る国家が、旧覇権陣営に居るか、新覇権陣営に属するか、器量が問われることになるのだろう。




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