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徽宗皇帝のブログ

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頭と心のリセット



「現代ビジネス」より転載。

250年前のリスボン大地震で国家が破壊的な被害に遭ったポルトガルの事例を日本復興の参考にしてみよう、という記事だ。日本の場合は、地震・津波・原発事故のトリプル災害という、世界史上初の大災害であるから、これまでの災害とは異なるわけで、国家財政破綻まで行く可能性が高いと下記記事の佐藤教授は述べている。ネット上では国債を日銀が引き受ければ金などすぐに作れるという意見も多いが、もちろん、そうするとインフレは避けられないだろう。政府はほぼ確実に増税するだろうから、インフレと増税の二重苦で庶民生活は苦しくなるという予想は誰にでもできる。どうも暗くなるような話ばかりだ。

まあ、これは戦争があったようなもので、今は敗戦直後なのだと考えれば、戦後の日本が復興していった時の明るさがこれから来るのだという期待もできる。まずは、頭と心をリセットするのがいいのではないか。「夜明け前が一番暗い」と昔から言う。これから日本は新しいステージに向うのだと信じよう。

(以下引用)

では、このリスボン大地震により、ポルトガル経済はどのようなダメージを負ったのか。上智大学外国語学部ポルトガル語学科の市之瀬敦教授に聞いた。
「もともとポルトガルは国土が狭く、植民地や外国との貿易で稼いできた歴史があります。ところが、リスボン大地震の津波で、リスボンの港はすべて崩壊してしまい、船が着けられなくなったことで、大きな痛手を受けました。また、工場が破壊され、製造業の被害も深刻で、生活必需品価格のインフレが起こりました。ポルトガルの国内総生産の32~48%が失われたという記録もあります」
 一方、日本はどうか。日本も貿易大国で、自国に資源を持たないというところは同じ。製造業に甚大な被害が出ているところも似ている。与謝野馨経済財政担当相は地震発生から11日後の3月22日、国会で「地震による日本経済への影響はさほど大きくない」などと語っていたが、1ヵ月後の4月12日には、「当初予想していたよりも、経済に対する打撃は大きいのではないかと思っている」と漏らした。
 その理由のひとつに挙げたのが、各種製造業で部品が入手できずに製造中止に追い込まれるケースが相次いだことだ。たとえば、自動車メーカーのトヨタでは東北に複数ある関連企業や部品工場がダメージを受けたため、国内はもちろん、北米の製造工場でも製造ラインがストップした。
 そして、ここはポルトガルと大きく異なるところだが、日本では福島第一原発の事故による放射能汚染が、経済動向に大きな影響を与えることは間違いない。内閣府は地震と津波による被害を最大25兆円程度と試算しているが、放射能汚染による被害についてはまだ試算すら出せない状況だ。日本総研理事の湯元健治氏によれば、「風評被害の大きさを考慮に入れると原発関連だけで最大10兆円の被害が出てもおかしくない」という。

(中略)
 一橋大学大学院教授の佐藤主光氏は、震災と原発事故が日本経済に及ぼす影響を、こう分析する。
「内閣府は震災の被害額を最大25兆円としていますが、これはインフラや住宅、工場などが受けた直接的被害で、これ以外に生産設備が破壊され部品供給ができなくなったことによる二次的被害もある。被害総額はさらに増えると思われます。
 ただ、震災だけなら主な被災地域である東北3県のGDPは全国の4%で、さほど影響は大きくないと見ていましたが、原発事故とそれに伴う電力不足のほうが懸念材料です。これから夏場以降十分な電力供給ができなければ、さまざまな工場で生産停止や稼働時間削減による生産縮小が起きるでしょう」
 震災の復興では、建築関連などを中心に需要拡大が見込まれる分野もあり、被害額がある程度相殺されるという見方もあるが、問題は国家の財政破綻。緊縮ムードで税収は減り、消費税アップをすれば消費マインドが冷え込む。そこへ原発被害を含む補償が重なれば、破綻の可能性は一気に高まる。佐藤教授が続ける。
「復興需要についても、今回は阪神淡路大震災とは違う部分がある。あのときは津波の被害がなかったので、土地の権利関係もクリアで、もとの土地の上に建物を作るという作業で済みました。しかし、今回は津波の影響で道路一本作るにしても、以前の道路がどこにあって、どの部分が誰の土地だったかわからない状況です。こういう問題を解決しないと復興に着手すらできない可能性があります。
 国の財政も、われわれの試算では、2020年までに日本に財政破綻の危機が訪れる確率は、震災前で12・5%でした。ところが今は24・9~31・9%と、倍以上になっています」

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