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EUの「金融取引税」成立の可能性とBrexitの関係

「阿**」から転載。
Brexitの話はもういいよ、という人もいるかとは思うが、これは「国家とは、国境とは何か」「国家間貿易や金融取引の問題点は何か」「民主主義は機能しうるか」など政治経済の根本的問題を含む面白い論題なので、まずは、様々な意見を集めているわけだ。

下の記事で初めて知ったのが、EU内で金融取引税が実行されそうだ、という情報だ。
これは現在の世界経済を根本から変える可能性のある経済政策だと思う。

金融取引税については、ビル・トッテン氏などがかなり前に、世界経済の健全化(国家税制の健全化も含む)のために導入したほうがいい、と書いており、私もそれに同意見である。確か、ビル・トッテン氏の文章では「トービン税」と書かれていたかと思う。そして、その税率は取引双方に0.5%の税を課すこと、となっていて、これだけでほとんどの税の必要は無くなる、と書かれていたような記憶がある。これは実際そうなのではないか。つまり、金融取引の額が、実体経済の数十倍の規模があるなら、金融取引税だけで実体経済の上で必要な税額はまかなえることになるはずである。金融経済はいわば実体経済の上に存在するバブル経済でありながら、その金額は巨大なものになり、実体経済を押しのけるように「金持ち階級のところへすべてのカネを供給する」ポンプとなっているわけである。トービン税を課することしか、この「一方通行のカネ流通ポンプ」を正常化する方法は無いだろう。
そう考えると、英国やEUの経済的支配者は、案外英国のEU離脱に不賛成でもない可能性もある。少なくとも、金融取引税などまっぴらだ、と考えているのは間違いないだろう。


(以下引用)



イギリスのEU離脱は経済的に合理的な選択だ(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan110/msg/422.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 6 月 30 日 08:41:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
   
 

イギリスのEU離脱は経済的に合理的な選択だ
http://diamond.jp/articles/-/93901
2016年6月30日 野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問] ダイヤモンド・オンライン


「イギリスのEU離脱は経済的に不合理な決定であり、世界経済を混乱させる望ましくない決定だ」とされることが多い。しかし、この議論は大いに疑問だ。とくに、金融活動について、イギリスの離脱には十分な理由がある。


■大勢だった残留支持の論調
 離脱で短期的には世界経済が混乱


 イギリスのEU離脱問題に対して、世界の主要な報道機関のほとんどは、残留が望ましいとしていた。ユーロ参加には反対だったイギリスの経済誌「フィナンシャルタイムズ」(FT)も、今回は社説で「残留に1票を投じるべきだ」としていた。


 また、イギリス財務省、イングランド銀行、経済協力開発機構(OECD)、国際通貨基金(IMF)等のさまざまな機関が、こぞって離脱のコストを指摘していた。


 短期的に見れば、イギリス離脱によって世界経済が混乱することは避けられない。なぜなら、それは突然の体制変更をもたらすからだ。


 以下に述べるように、イギリスとEU加盟国との関係がどうなるかは、今後決められるさまざまな取り決めに依存している。ところが、これらがどうなるかが現時点でははっきりしない。それが不確実性を強めている。現在の世界経済の動揺は、これによるものだ。


 さらに、離脱派は、最後の段階で、移民問題に焦点を当てた主張を展開した。これが労働者や一般市民の共感を呼び、離脱派の勢力が増したことは無視できない。


 そしてこれが、「移民を受け入れたくないイギリスの身勝手な決定」という良識派からの批判を強めた。


■イギリスの離脱の根底には
 巨大官僚組織と規制への反発がある


 こうした状況下で、「イギリスの離脱には、経済的な観点から見て合理的な理由がある」と指摘すれば、「何とへそ曲がりのことを言うのか」と批判されるだろう。


 しかし、それを認識することは、大変重要だ。なぜなら、「イギリスの離脱が経済的に不合理」との考えは、前提に基本的な問題があるからだ。


 この問題の根底には、「巨大官僚組織による規制の強化と、それに対する反発」という問題が横たわっているのである。


 多くの論調は、ヨーロッパ統合を目指すEUの理念は絶対的に正しく、また単一市場が経済的に望ましいとしている。


 だから、「イギリスの行動は自国中心主義、孤立主義であり、ヨーロッパにとっても世界経済にとっても望ましくない」という結論になる。


 しかし、以下に見るように、統合がつねに正しいという考えには、再考の余地がある。


 イギリス商工会議所のホームページにあるEU referendum briefingsは、離脱派と残留派の意見を、いくつかの論点について手際よく要約して整理している。以下では、これを参考としつつ、いくつかの論点について考えることとしよう。


■むしろEUの規制から
 逃れるメリットのほうが大きい


 EUは単一の市場であり、自由な経済活動が認められていると言う。しかし、実際にはさまざまな規制が押し付けられる。


 2010年以来にEUが導入した新しい法規制は3500にも及び、イギリスのビジネスに影響している。イギリス商工会議所によれば、EU規制のコストは、毎年76億ポンド(1200億ドル)に及ぶ。


 さらに、巨大な官僚組織ユーロクラットに対する人々の不満と反発も大きい。高い給与を得、しかも税金がかからない。そして、規制を押し付けてくる、というわけだ。


 貿易に関して、残留派は、EUに残れば、5億人の単一マーケットへのアクセスを維持できるという利益を強調する。


 それに対して、離脱派は、EUの外にいてもEUメンバー国と貿易できるし、無関税の取り決めをすればよいとする。その半面で、離脱すれば、EUの法規制やEU裁判所にわずらわされず、EU以外の国との自由貿易協定がやりやすくなるという。


 現在はEU加盟国との間で国境検査もなく、パスポートもいらない。離脱すれば、これらが必要になる。


 しかし、離脱派は、そうなっても通常の貿易を阻害することにはならないとする。そして、非合法の移民や難民、あるいは密輸をコントロールできるメリットを強調する。


 要するに、単一市場へのアクセスは今後の交渉で十分獲得可能であり、むしろ、EUの規制から逃れることのメリットのほうが大きいというわけだ。


■新しいパスポーティング協定ができれば
 金融機関はロンドンからは逃げない


 金融はイギリス経済の重要なセクターである。全就業者の約4%を雇用し、GDPの約8%を生み、税収の12%を占める。貿易収支にも重要な貢献をしている。


 EUの規制は、保険業に340億ポンドの負担を課しているとされる。他方で、イギリスが離脱しても、EUの規定により、大陸諸国との資本移動や決済は阻害されない。


 金融に関して問題となるのは、「パスポーティング」だ。これは、協定に参加している1ヵ国で免許を取得した業者は、新たな免許取得を必要とせずに加盟地域で金融商品・サービスを提供できるという措置だ。


 残留派は、離脱すればこの権利がなくなるので、金融機関は大陸でビジネスをするために、支店をロンドンから大陸に移すだろうという。


 JPモルガンのCEOジェイミー・ダイモンは、イギリスが離脱すれば金融機関のスタッフはイギリスを逃げ出すとした(6月3日のザ・テレグラフ)。


 FTも、銀行がロンドンから出る準備をしていると報じた(Banks begin moving some operations out of Britain)。


 しかし、離脱派は、金融機関がロンドンから逃げ出すことはないだろうとする。


 なぜなら、イギリスはEUとパスポート協定を結ぶことができるからだ。EUに所在する金融機関はロンドンで業務を行ないたいと考えるから、こうした協定に応じるだろう。こうして、ロンドンの金融市場はさらに発展するだろうとする。


■金融取引税という大問題
 ベルギー、スウェーデンも離脱!?


 金融に関する大きな問題として、金融取引税がある。これについては、すでに週刊ダイヤモンド連載「超整理日誌」で述べた(イギリスのEU離脱と金融取引税の関係、2016.3.19)。


 これはEU域内での、株、債券、為替、デリバティブの取引に0.05%の課税をするものだ。


 こうした税が課されれば、金融取引はロンドンから逃げ出し、シンガポール、ドバイ、ニューヨークなどに移ってしまうだろう。


 税構想は今年初めに変更され、取引主体のどちらかがEUにいれば、株・債券に0.1%、デリバティブ取引に0.01%の課税をすることとされた。


 この新しいルールの下では、イギリスがEUから離脱しても、EUの金融機関との取引に関しては、金融取引税を免れることができない。ただし、イギリスの金融機関の取引先は、EU加盟国の金融機関とは限らない。イギリスは世界的な金融取引の中心になっており、取引先にはオイルマネーなどもある。したがって、こうした取引について金融取引税の負担を免れることができる効果は大きいだろう。


 これに対して、エストニアはすでに反対している。今年の5月にベルギーも反対した。(EU Transaction-Tax Plan on Brink as Belgium Inches Toward Exit)。


 この問題は、まだ決着がついていない。


 金融取引税が発端となって、ベルギーとスウェーデンが離脱する可能性も指摘されている。


■EUという巨大組織に
 つきつけられた重大な疑問


 イギリスは共通通貨ユーロには加盟していない。EUへの加盟も遅かった。


 ユーロが導入されて、イギリスの金融業は衰退するだろうと言われた。しかし、実際には、ロンドンに資金が集中し、大陸の金融センターが衰退した。


 イギリスの経済成長率は、大陸諸国より高い。失業率もイギリスが低い。


 ユーロに参加しなかったイギリスのほうが、概して、ユーロ圏諸国より経済パフォーマンスが良好だったのである。


 これから分かるのは、EUのような経済統合がつねに望ましい結果をもたらすわけではないことだ。


 すでに述べたように、イギリスのEU離脱によって短期的に世界経済が混乱することは避けられない。しかしこのことと、長期的な制度選択の問題を混同してはならない。


 今回のイギリス離脱の最大のポイントは、「EUという組織に重大な疑問がつきつけられた」ということなのだ。


 イギリス離脱に触発されて、スウェーデンとデンマークが続くのではないかと言われる。さらに、イタリア、フランス、オランダでも、国民投票を求める声が出ている。


 EU離脱は、イギリスという特殊な一国に限定された問題ではないのである。


 



(徽宗追記)ビル・トッテンの「アングロサクソン資本主義の正体」という本のブックレビューが、ビル・トッテンの提言の要点を分かりやすく書いているので、参考までに転載しておく。


形式: 単行本

信用創造という方法で、銀行が自己資金以上のお金を無か創りだしている現在の制度が、いまの経済の根本問題であることが分かりやすく説明されている。

民間企業である銀行が勝手にお金を創りだせる現状の制度を止めて、国が責任を持ってお金の供給量を調整する。
銀行は、集めた預金額以上の貸し出しはできない=100%マネー。

これによって、日本の経済は復活するというビル・トッテン氏の説明は、とても合理的である。それに比べて、現状の制度の方がよほど非合理である。

そのほかにも、投機目的の為替取引への課税(トービン税)の導入や、アメリカへの貸付(アメリカ国債の購入)をドル建てから円建てにすること。あるいは政府が最後の雇用提供をすることで完全雇用を実現することなど、どれも説得的で、効果の高い政策の提言もしている。

わかりやすく書かれているので、現状の経済について、素朴に何かおかしいと感じている人には、是非読んでもらいたいと思います。
なぜおかしいのかの理由がはっきりわかると同時に、どうすれば、みんなが豊かになる新しい経済の姿も見えてきます。


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