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徽宗皇帝のブログ

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JR北海道の経営手法
「陽光堂主人の読書日記」から転載。
この後には、核マル派による内部工作ではないかとかいう、あまりピンと来ない話が続くが、それよりもこの「ハフィントン・ポスト」(私はこちらもあまり信用はしていないのだが)がすっぱ抜いたJR北海道の経営の仕組みが面白い。勉強になった。なるほど、「国鉄民営化」の実態はこうだったのか。つまり、「官僚は、一度得た利権は絶対に手放さない」という話だろう。どうせ、民営化自体が、「天下り先」の増設でもあったと思われる。
民営化すれば、その後に起こる不祥事は行政の責任ではなくなるから、「トカゲの尻尾切り」でいくらでもごまかせるし、利益はいくらでもお手盛りで幹部社員や経営陣のものにできる。そうした「民営化」のツケが、このJR北海道の現状だ、と見るべきであり、「陽光堂主人」の言うような、「これは民営化のためではない」という見方は、正反対ではないか、と私は思う。民営化される前の国鉄なら、「スト」はやっても、これほどの杜撰な業務はしなかったはずだ。
もちろん、JRに関しては、今だに官僚組織と背後でつながっているから、これは「真の民営化」ではない、と言うならば、それはその通りだ。だが、「真の民営化」とはワタミやユニクロなどのようなものになるかもしれないのである。(笑)
JRの場合は確かに、その経営のやり方が不透明で不健全であり、通常の民間企業ではありえないほどの「ぬるま湯体質」であったとは言えるだろう。
要するに、今のJRは官でも民でもないヌエ的存在なのではないか。


なお、上の文中の「今だに」は「未だに」の誤記ではなく、意図的に書いている。「未だに」は否定語を伴って用いるもので「イマダ」自体が「まだ」と同義である。つまり「未だ・に」と分解される。「今だに」は、「今・だに」と分解され、「だに」で一語である。まあ、誤解を避けるなら「今でも」と書けばいいだけだが、古風なニュアンスが好きなので、「今だに」と書いたりするわけだ。この「今だに」を使う人は少ないが、飯山一郎翁など、ふざけた文体のわりには、こういう所はしっかりしていて、この「今だに」を使っていたりする。

(追記)「ニューズウィーク」日本版に、JR北海道の特殊事情を教える記事があったので、公正を期するため、そちらも転載しておく。




(以下引用)


JR北海道・不祥事連鎖の謎

 JR北海道は事故を多発させ、記者会見の場で謝罪・説明している最中にも不祥事が発生したりして、一体どうなっているのかと批判が殺到しています。わざとやっているんじゃないかと思うほど、酷い有様です。

 民営化の弊害が指摘されていますが、JR北海道は形だけ民営化しているものの、実際には旧国鉄時代と何ら変わっていないようです。25日付の「ハフィントンポスト」にはその辺の事情が明らかにされているので、以下該当部分を引用します。(http://www.huffingtonpost.jp/2013/09/24/jr-hokkaido_n_3985142.html)

   JR北海道、赤字300億でも倒産しないカラクリとは

   (前略)

安全軽視は民営化による利益追求が原因との声も聞かれるが、現実問題としてJR北海道が置かれている状況はもっと深刻であり、民営化の是非を議論する以前の状況といってよい。

JR北海道は基本的に自力経営とはほど遠い状況にある。同社の2013年3月期の鉄道事業の売上げは約780億円だが、経費はなんと1100億円である。赤字額は300億円を超えており、毎期大量の赤字を垂れ流している状況である。これで同社が倒産しないワケは、国鉄民営化の際に提供された「経営安定化基金」と呼ばれる資金を保有しているからである。現在、同社はこの基金の運用益である300億円を赤字補填に回すことで、何とか経営を維持している。つまりJR北海道の収益の半分近くはファンドの運用益なのだ。

だがこの運用益にも問題がある。2013年3月期の基金の総額は約7300億円。だがこの基金からの運用益は300億円あり、4.1%もの高利回りで運用されている。この超低金利時代に4%の運用などどう逆立ちしても無理である。

このカラクリは、実質的な国庫補填にある。安定化基金の多くは、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に貸し付けられており、この貸し付けについては4%近い特別な高金利となっている(他の民間からの借り入れは1%以下)。つまり、この独法に対する貸し付けは事実上のJR北海道救済資金であり、当該独法の性質上、最終的には国の特別会計が負担していることと同じになる。

つまりJR北海道は民間企業などではなく、形を変えた国鉄であり、しかも鉄道事業としてまともに継続できる状況にはないのだ。この状況を考慮せずに「民営化の弊害」と捉えると本質を見誤る可能性がある。

   (後略)





(補足)「ニューズウィーク」日本版より。



 この過疎・高齢化の問題については、企業経営者でブロガーの山本一郎氏がブログでJR北海道の一連のトラブルに関連付けて述べています。ここ数週間、車両整備の問題に加えて保線工事の遅れなど多くの問題が明るみに出たJR北海道については、私はこの欄で「2年続きの厳冬に見舞われるなど鉄道事業者として過酷な条件を背負っている」ことへの理解を訴えました。一方で、山本氏の方は「JR北海道の一連の事故は『過疎化し衰退する地方』の一里塚」であるとして、相当に辛口な論を展開しています。

 山本氏は「JR北海道というのはそもそも無理難題の象徴であり、乗降客が一日100人未満の駅もそこらじゅうにあるという修羅のような赤字の世界」という認識をベースに「『じゃあ車でいいじゃん』とはならないのがまた地方の泣けるところ」だと理解を示しながらも、JR北海道の今後に対しては、「もはや誰かが『ない袖は振れない』と言うしかない」という厳しいコメントを突きつけています。私はこの点に関して同意はしませんが、表面的なバッシングとは違う厳しい視点は受け止めないといけない、そう感じたのも事実です。












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