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徽宗皇帝のブログ

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FRBの金利引き上げはインフレ抑制になるか
「世に倦む日々」記事で、私のようなど素人には理解できない部分もあるが、アメリカがリーマンショックから回復したのは中国の発展(中国への投資)との二人三脚だったが、今回はそのような存在が無いからアメリカ経済の回復は困難だろう、という指摘は面白い。
まあ、アメリカとしてはウクライナ戦争で一儲けくらいに思っていたが、ロシアへの経済制裁という馬鹿な行為をしたためにアメリカ経済が破綻しかかっているわけだろう。もっとも、アメリカは資源大国だし農業国家でもあるから、その気になって「鎖国政策」でもすれば5年くらいで世界の一流国家に復帰可能だと思うが、戦争経済という麻薬中毒にかかっているからどうなるか。そもそも、アメリカの繁栄自体が「カネでカネを生む」金融経済(しかもドル基軸体勢のため、放っておいても世界はドルを買う。)だったのだから、今は、その金融バブル部分を取り去った「正味の経済」になったわけだ。すると、これまで「実体経済」に何一つ投資してこなかったツケが露わになったわけだろう。
岸田政権の「一億総投資家」政策が、30年遅れの馬鹿政策であることがよく分かる。投資など、誰かが得をすれば誰かが損をするギャンブルであるのは明白ではないか。しかも、インチキありの賭場である。
金利と物価の関係が今一つ分からないので日銀のサイトから引用する。まあ、鶏が先か卵が先か、みたいな議論に思える。金融資本主義は「借金の連鎖」で成り立っているから投資家にとって利率の上下は命に係わる大問題になるわけだろう。それが物価に反映されたりするので庶民には迷惑な話である。比喩的に言えば、庶民の生命が賭場のチップになるわけだ。

金融政策は景気や物価にどのように影響を及ぼすのですか?

教えて!にちぎん

回答

一般に、金融政策による、(実質)金利の低下・上昇が経済活動に与える影響は、以下のように考えられています。


金利が下がると、金融機関は、低い金利で資金を調達できるので、企業や個人への貸出においても、金利を引き下げることができるようになります。また、金融市場は互いに連動していますから、金融機関の貸出金利だけでなく、企業が社債発行などの形で市場から直接資金調達をする際の金利も低下します。


そうすると、企業は、運転資金(従業員への給料の支払いや仕入れなどに必要なお金)や設備資金(工場や店舗建設など設備投資に必要なお金)を調達し易くなります。また、個人も、例えば住宅の購入のための資金を借り易くなります。


こうして、経済活動がより活発となり、それが景気を上向かせる方向に作用します。また、これに伴って、物価に押し上げ圧力が働きます。


このように、景気を上向かせるために行われる金融政策は、金融緩和政策と呼ばれます。


一方、金利が上昇すると、金融機関は、以前より高い金利で資金調達しなければならず、企業や個人への貸出においても、金利を引き上げるようになります。


そうすると、企業や個人は、資金を借りにくくなり、経済活動が抑制されて、景気の過熱が抑えられることになります。また、これに伴って、物価に押し下げ圧力が働くことになります。


このように、景気の過熱を抑えるために行われる金融政策は、金融引締め政策と呼ばれます。



引用記事の前提の話を先に載せておく。FOMCが何か、説明くらいしろよ、と思うが、経済素人は読むな、という姿勢かww

【ワシントン=高見浩輔】米連邦準備理事会(FRB)は15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の3倍となる0.75%の利上げを決めた。上げ幅は1994年11月以来、27年7カ月ぶりの大きさ。金融緩和の縮小を始めてからもインフレの加速がとまらず、事前に示唆した利上げペースを上回る強硬策に出た。

(以下引用)末尾の「ボヤキ」部分は省略。

構造不況に入るアメリカ経済 ー 長く続いた神話の終焉と常識の転換

構造不況に入るアメリカ経済 ー 長く続いた神話の終焉と常識の転換_c0315619_16064813.pngダウ平均が1年5か月ぶりに3万ドルを割った。FOMCでの0.75%の利上げ決定(6/16)に影響された市場の反応である。1994年以来27年ぶりの大幅利上げを受けて、市場の弱気がいちだんと加速する趨勢となった。NASDAQは4.08%も下落し、昨年秋の最高値から35%も価値を失った。7月にダウが3万ドル台に戻す状況は難しいだろう。トレンドを単純に延長して占えば、8月には2万ドル割れを迎えている。パウエルはFOMC後の会見で、7月も0.75%の利上げがあると予告しており、夏の市場は悲観論一色となるのは確実だ。

パウエルの発言を要約した記事によれば、FRBは2022-24年の各年末の政策金利を3.4%→3.8%→3.4%と設定している。つまり、今年よりも来年の政策金利が高くなっていて、インフレ収束が年内に終わらず、来年以降も課題と格闘が続くという厳しい見通しが立てられている。アメリカのインフレは厄介で、簡単に退治できるものではないのだ。6月のCPI(消費者物価指数)も未だ上昇中という計測があり、何人かの専門家の予測では、インフレ率はさらに悪化して9%に達するという見方も示されている。7月の利上げは0.75%では生ぬるいという声も出ている。




構造不況に入るアメリカ経済 ー 長く続いた神話の終焉と常識の転換_c0315619_14064473.pngFRBが精力的に利上げを重ね、QT(Quantitative Tightening:量的縮小)を推進すれば、当然、市場は冷えて株価は下がる。金融引き締めはマーケットの動きを止める。マネーの増殖の活力を奪う。それは景気抑制の方向に作用する政策である。ここ数十年、こうした政策がアメリカや先進国で発動される場面はなく、景気を冷やす方向に当局が舵取りし注力する姿を見ることはなかった。量的緩和が常態であり、ゼロ金利が常識であり、先進国の成熟経済はデフレ体質が基調で、当局(政府・中央銀行)はデフレ対策が日常業務だと現代人は観念していた。

金融緩和と財政出動。アベノミクスの政策をトランプもバイデンも採用して模倣している。リーマンショック後の西側諸国の経済政策は、基本的にアベノミクスと同質同類で、当局(中央銀行と政府)がマネー(通貨と国債)を市場に撒きまくり、株価を押し上げ、成長とトリクルダウンを導くというものだった。安倍晋三、トランプ、バイデン、3人の経済政策に差はない。そして、それが当然で普通になっていたのが現代経済の構図だった。今、その情景が一変している。当局は必死で市場のマネーを圧縮する方策で臨み、過剰流動性を抑止する挙に出ている。本当に久しぶりの出来事で、懐かしさを感じる。


構造不況に入るアメリカ経済 ー 長く続いた神話の終焉と常識の転換_c0315619_13560333.png若い人たちは初めての経験で戸惑いを覚えているだろう。ある種の価値観の転換に繋がる事態が起きているのではないか。何しろ、これまでの政府は、個人と企業に対して、とにかく株式投資で儲けろ、金融市場の主体になってマネーを動かせ、当局はそれを支援するからという指導のメッセージを発していた。実際、株価は上り続けていて、若い人たちが為政者(安倍晋三、トランプ、バイデン)を信用するのも無理のないことだった。日銀が株(ETF)を買い、政府が年金資金(GPIF)を市場にぶち込み、
郵貯と簡保まで流し込んで株価を支えていたのだ。若者たちが麻生太郎の話を信じたのも無理はない。

だが、それが転換した。アメリカでは世界がチェンジした。無論、日本市場の株も下がる。東証の売買の7割は外国人投資家のマネーであり、東証はNYSEのサブセットであり、夜間営業を受け持つ小さな支店に過ぎないから。私は今回、8月にはダウは2万ドル割れするだろうと書いたが、この予測に同意しない者が何人いるだろうか。おそらく9割は同じ認識のはずだ。保有株は価値が下がる。しかも、それはFRBの分析では長期に続く。アメリカの悪性インフレは簡単に収まらないと専門家は診断していて、株価が下がっても、失業率が上がっても、暫くは利上げとQTを継続せざるを得ない。


構造不況に入るアメリカ経済 ー 長く続いた神話の終焉と常識の転換_c0315619_14020789.pngアメリカ経済がリセッション入りするのは確実で、今回はそのタイムスパンが長期に及ぶだろう。活況に湧いていた不動産市況がインフレのため一部の相場で値下がりという情報が出ている。金利が上がり、住宅ローンの返済負担が重くなり、買い手が渋り始めたようだ。ローン返済中の者も、変動金利が上がって大変になるだろう。アメリカはクレジットカード社会であり、リボ払いが一般的だから、この物価高と金利高は消費者に打撃を与えるに違いない。カードローン破産が増える。さらに株価下落は、配当額や年金基金(401K)に影響を与え、アメリカ人の所得を減らすだろう。アメリカ人は株に生活を依存している面が大きい。

これまで順風満帆で泰然自若だったアメリカの個人消費が落ち込む。インフレ退治に長期を要するという診断を前提とすれば、景気回復まで数年を要する。今度のリセッションは、少なくともリーマンショック時と同じ谷の深さになり、トンネルの長さも同程度になると思われる。NY株価の推移を見ると、リーマン時の不況は3年で元に戻っている。あのときは金融システムの破損が不況の原因で、オバマが金融機関に公的資金で資本注入し、GMなど企業を倒産から救い、短期で危機を収束させたが、インフレという病患は発生していない。今回のインフレの要因の一つである「金融じゃぶじゃぶ」になるのはリーマン後のQE(Quantitative Easing)からで、そこからアメリカ経済は依存症体質になった。


構造不況に入るアメリカ経済 ー 長く続いた神話の終焉と常識の転換_c0315619_14072252.png体力回復のために炭水化物をとりすぎて糖尿病になった。特にトランプノミクスの弊害が大きかったと私は思う。トランプはFRB議長の采配に横槍を入れ、権力で恫喝し、株価吊り上げのため無理やり金融緩和を強制した。アメリカをインフレ病にした真犯人を一人挙げよと問われれば、トランプに指をさすべきだろう。前回のリーマン危機は、喩えて言えば外傷で、走って転んでの骨折とか肉離れの重傷である。典型的な金融バブルの破裂であり、オランダのチューリップ・バブルと同じだ。入院手術で回復できた。今回のインフレは内科の病気で、外科的な方法では治療できない。時間がかかり、忍耐を伴う治癒過程が必要となる。

ここで考えるべきは、リーマン時の不況からアメリカ経済と世界経済が立ち直れた契機は何だったかという問題である。通常、それは中国の4兆元(約65兆円)に上る巨大な内需拡大の公共投資だったと言われている。道路・鉄道・空港などの大規模なインフラ投資。それが世界の危機を救ったと言われ、世界経済の成長を牽引したと総括されている。中国の評価は上り、G2時代などという言葉も生まれ、アメリカはG20会合を創設する。米中が協力協調して世界経済を運営し、相互にサプライチェーンを深化させ、共存共栄を図る時代が到来したかに見えた。トランプが方針転換するまでは、G2時代はリアルな21世紀のコンセプトだった。


構造不況に入るアメリカ経済 ー 長く続いた神話の終焉と常識の転換_c0315619_14114536.png今、中国はアメリカにとって打倒すべき「競争」の敵であり、5年後には台湾有事で戦争する相手として措定されている。「民主主義」西側陣営の敵であり、消滅させるべき邪悪な悪魔の存在だ。現実に、アメリカは中国とのサプライチェーンを切断し、デカップリングして経済を物理的に分ける措置に出、着々とその成果を上げている。したがって、このインフレが世界経済全体の不況に繋がり、世界恐慌となったとしても、そこから脱出するためのパートナーには中国はならない。リーマンショック後の回復過程のような米中関係の蜜月図は描けない。ということは、アメリカ経済の今度の病患には有効な処方箋がないということを意味する。

あのとき、中国の65兆円のインフラ投資がなければ、アメリカ経済の不況は長く続き、ドルへの信認も揺らいでいた可能性が高い。われわれは、あまりにもアメリカ経済の繁栄を所与のものとして捉えすぎ、永遠に固定した条件だと信じすぎている。実際には、半導体の技術開発で台湾や韓国の後塵を排しているのがアメリカで、製造業のイニシアティブでは中国に地位を奪われているのが実態だ。アメリカのインフレと株バブルの崩壊、そして構造不況は、中国との関係にどういう影響を与えるのか、そこが焦点である。現在の路線を修正して協調に向かうのか、そのまま戦争(台湾有事)に突っ込むのか。できれば、前者の方に針路を変えることを願いたい。

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