「山科恭介のブログ」から転載。
何も言う必要はない。これほどすぐれた評論を読んだのは久し振りだ。(福島原発事故直後の「反戦な家づくり」明月氏の、「政府は福島を核廃棄物処分場にするつもりではないか」という推理以来である。)政治の表層から透けて見える深層を分析するその論理は、まさしく名探偵そのものだ。
小沢について論評する人間は、その前に、何も言わず、これを読め、と言いたい。
政治家個人の人間性に対する深い洞察があって初めて政治現象の深層が見えるということだろう。
(以下引用)
政治力学の表層
2011.09.01 (Thu)
今の日本で、最も政治家らしい現役政治家を一人だけ挙げよ、という質問があったとき、100人のうち100人が、小沢一郎の名を出すだろう。
ところが、1000人いたら、そのうちの一人ぐらいは馬鹿がいて、別の名前を言ってしまう。
そしてそれが1億2000万人になれば、小沢の名を挙げるのは、せいぜい2000万人ぐらいで、残り1億人は別の名を挙げるか、ダンマリを決め込む。
これが日本の現状だ。つまり、猿の列島である。(笑)
私は、この度の民主党代表選を面白可笑しく拝見させてもらった。
ただ、少し前から世情に疎い生活をしているので、よく理解できない状況もあってか、一体何がどう展開しているのがが、いまいち判らなかった・・・・
尚、本稿中段以降、あるシミュレーションを提示するが、こういう一つの考え方は、実際に政治の場で実現するかどうかは別にして、多くの人達に、こういう角度からも物事を考える余地があるのだということを判って貰いたいと思い、敢えて時間を割いて披瀝することにした。
私は、この種の考えにかなりの自信があるが、賛同して貰えるかどうかは判らない。
しかし、否応なく訪れる現実が、それを証明するだろう。
小沢一郎が推す海江田万里が代表選に負けたことで、ガックリしている人も多いと思うので、遅ればせながら残暑見舞いだ。(笑)
結論から言えば、
あれは、小沢陣営の敗北ではあるが、小沢一郎の完全勝利である。
小沢政治哲学の真髄は、あらゆる具体策がもたらす失敗の連鎖により、目に見えないその奧に流れる思想が次第に現実世界に顕在化してくるということにある。
姿かたちを変え、その本質までもが疑われる中で、それでも貫かれている一本の筋が存在しているわけで、それが小沢の政治哲学であり、彼の生き方そのものだ。
これで小沢は終わりだとか、もう消えていくしかないとか言っている馬鹿がいるが、小沢が消えていくのは、自らの捨て身の意志であり、それは二年後だ。今ではない。
かつて、民主党代表であった前原誠司が 「メール問題」 の責任を取った形で党代表を辞任し、2006年4月、小沢一郎は菅直人を破り、民主党代表の座に就いた。
多くの人が承知しているこの出来事が、実は 「スタート」 だったのだ。
だが、その後実現する政権交代へのスタートという意味ではない。
そして、2007年7月、参議院通常選挙にて民主党は小沢代表の下、参議院第1党となり過半数を獲得、鳩山、菅、小沢のトロイカ体制と共に、前原、岡田を加えた挙党態勢を築き、政権交代へと臨むこととなる。
この、一見当たり前と見える 「挙党態勢」 は、今後、本格的な民主党政権が誕生するための布石である以上に、本質的な問題を含んでいた。
だが、その本質は、世間一般で言われるような、<確執> ではない。
ところが、代表小沢一郎は、こともあろうに、同年11月2日、自民党との大連立構想を打ち出す。政権末期の自民党を率いていた福田康夫との秘密裏の大構想だったが、事が公になると民主党内からの大反発を喰らい、混乱の責任を取って小沢は代表辞任を表明するが、鳩山由紀夫の説得をうけ、同年11月6日、代表続投を表明し、翌7日、両院議員総会にて続投が承認された。
この時の小沢一郎の真意を誤解している多くの人間達がいる。
それは同じように、自民党福田康夫の真意をも誤解していることに繋がる。
福田は退陣の折、重要な言葉を残している。
「私は自分自身を客観的に見ることはできるんです。あなたと違うんです」
多くの人々は、海江田万里を担いだ小沢一郎に幻滅していると言い、また、鳩山由紀夫にまたもや騙されたとも言っていた。
事あるごとに小沢一郎は鳩山由紀夫に騙されたとか、利用されたとか言っている人間が多くいるが、私にはそういった人間の考え方が理解出来ない。
彼らは一体何をさして、そう思い、そう言っているのだろうか?
代表選に限らず、多くの選挙戦の時に表明した小沢一郎の言説がその通りにならず、また、鳩山の右往左往する態度や言動をみて、そう思うのであろうか。いつも小沢一郎は、自分の意に適わず、鳩山に言いくるめられているとでも思っているのだろうか。
もしそうなら、彼らは、鳩山由紀夫のみならず、政治家小沢一郎をも馬鹿にしていることになる。
私は、小沢一郎という政治家は、日本憲政史上屈指の政治家だと思っているので、彼がそんなトンマな事を繰り返すとは、到底思えない。
もっとも、小沢とて人間だから、そして人の良いことで有名だから、一度や二度は些細なことで人に騙されたこともあるだろう。自分で失敗したと思った時もあるに違いない。
しかし、表向き盟友と言って憚らない鳩山に、何度も騙されるなんてことがある訳がないじゃないか。(笑)
しかも、それらはみな、小沢の政治生命に関係している事柄だ。
鳩山由紀夫が小沢を陥れるなんて、馬鹿も休み休み言えよ。
鳩山は、おっちょこちょいだ。(爆)
ろくすっぽ政治の本質を考えないで行動するお坊ちゃま政治家であることは確かだ。
だが私財を投じ、政党を作り、一国の総理まで経験した政治家が、世間が言うようなオバカであるはずがないだろう? ましてや、彼の立ち振る舞いが腹黒い行動だと感じてしまうのは、その人間が腹黒いことと同義だよ。(笑)
鳩山が小沢を潰そうと思ったら、そんなチャンスは幾らでもあるし、小沢とて鳩山を潰すことは容易に出来たはずだ。
そんなタヌキとキツネの騙し合いみたいな、まどろっこしい手は使わないよ。彼らは共に、この日本を代表する政治家だ。(笑)
さて、冗談はともかく、本題に入ろう。
小沢一郎は、1942年5月24日生まれで、現在、69歳である。
彼は最近、「最後のご奉公」 という言葉を使うようになった。
このまま順当に民主党が4年間の政権を全うすれば、2013年夏、彼は71歳になる。高齢者が多い政界にとって、71歳という年齢はさほど高齢とは思えないが、それでも現役引退を考えるには十分なる年齢と言えるだろう。
ここで、押さえておかねばならない点がいくつかある。
まず、小沢一郎が代表の座に就いたとき、即時に行おうとした大連立なのだが、これは、お坊ちゃま民主党連中達の大反対で頓挫したが、その構想自体を小沢は捨ててなかったと、私は最近思うようになった。
あの大連立の基本概念は、少なくとも民主党側からだけ言えば、まだ政治のセの字も知らない新人議員達を実践の場に投入して、現地学習、つまり官僚の態度ややり方、あるいは彼らとの対峙の方法を勉強し、それを政治という場に活かす為に、<時間> が必要だったということだ。同様に、対政治家同士の関係性についても、学習する必要があった。
さらに、内外の政策や対外問題、特に米国と中国について、その影響力を知る必要があった。
それらをやらなかった為に、その後、民主党が政権を担った後に発生した問題は多々あり、それを官僚が逆手にとって民主党をコントロールしてしまったことは、小沢一郎にとっては、忸怩たる思いだったろう。
これが、<発想> 出発点だ。
政権交代を実現し、日本の改革を根底から本気でやろうとした小沢一郎にとって、多くの民主党新人議員達の力は、現在、そして未来にかけて、絶対必要だったのである。
この観点に立ってみれば、どのような仕打ちを受けても、小沢が党を割らない大きな理由の一つが見えてくる。
つぎに、これは最も重要な観点だが、
民主党代表として政権交代を実現しようとした小沢一郎は、既得権益層からの強烈な反撃に遭い、ズタズタにされた。
それは、官憲やマスコミをも動員した国家を挙げての政治家潰しだったが、辛うじて小沢はそれに持ち堪え、代表辞任、その後幹事長職就任を経て、2009年夏、念願の政権交代を成し遂げる。
しかし、多くの民衆の期待を背負った鳩山民主党は、8ヶ月の短命で終わり、小沢一郎も鳩山退陣に併せて、幹事長職を退く。
その後、党副代表であった菅直人が首相に就任するが、菅一派・・・・誰とは言わないが(笑)、連中達との連携で、小沢一郎はさらなる苦境に立つこととなる。
しかし、彼は、依然として、党を離脱するとは言わず、党内融和、挙党態勢を言い続ける。
多くの人々が小沢一郎のその言動に不満を持ち、その行動力に疑問を抱き始めたのは、このあたりで、私も、もういい加減に民主党を割って、政界再編をやったほうが結局は良いと思っていた。
だが、この考えは間違っていたのかも知れない。
小沢の我慢強さに象徴される挙党一致態勢が本当だったのかも知れない。
むろん、鳩山由紀夫は、その点で揺るがなかった。
それを自分が作った政党が可愛い為だとか、影響力を残しておきたい為だとか、もう一度政党を作るのが面倒だとか思ってしまった人間達(私をも含む)は、ある意味、思考停止状態だったのかも知れないのだ。
その種の質問が出たとき、当の小沢は、決まってこう答えていた。
今、党を割ると、より日本は混乱することとなり、これは今の日本の現状として、ふさわしくない、だから、私は民主党を支えていく・・・・と。
この 「ヌルイ」 言葉が、不満だった。
それは、何も私だけではないだろう。
そして、民主党が政権交代をした当時と現在とでは、決定的に違うことがある。
それは、「3.11」 であり、東電福島原発の致命的な事故だ。
ひと言でいえば、国家全体にわたる放射能汚染である。
これは、国家の存続を揺るがしかねない、いや、潰れるか潰れないかの瀬戸際まで追い込まれる日本開闢以来の大惨事だ。
そして、その最も大事な時に、政権は機能しなかった。
政治を知らない民主党内の連中達が単にオツムだけで権力の座に居座っていたからだが、これは自民党でも大差ないだろう。
そして、「明治以来140年間続いた官僚支配体制」 の欠陥でもある。
東北震災は別だが、東電の原発事故は日本人に限らず、人間の手に負えるものではなかったことが事の重大性に拍車をかけた。
そして、これは現在も続いている。
ここが、小沢が事前に想定していなかった大きな問題点だ。
当然ながら、政策と今後の政治体制は、変わらざるを得ない。
既に近日中の出版を予定していた 『日本改造計画・改訂版』 は、延期せざるを得なかった。
だが、そんなことは、小沢一郎にとっては、些細なことだ。
今回の代表戦が今までで一番面白いと言ったのは、小沢一郎の本心が見えるかも知れないと思っていたからだ。彼は今回ばかりは前面に一切出ず、水面下にて終始したようにみえる。少なくとも一般大衆に対してはそうだ。これをもって小沢戦略の失敗だとか、またまた鳩山に裏切られたとか言っている人間は、一体何をみているのだろうかとの疑念を持つ。
小沢の意向が真っ正面から成功せず、それでも小沢が鳩山と連携しているのを観て、多くの人は鳩山の言動を疑い、さらには小沢の稚拙さを揶揄し、一体何をやっているのだという意見は、相変わらず多い。
そんな奴らは、ろくすっぽ物事を考えてないという証拠だな。(笑)
いわゆる、思考停止だ。
こういうことは、大物政治家同士の精神の中で余人には判らない共通項目が存在すると考えた方が理解しやすい。
小沢一郎ほどの政治家が何度も何度も同じ政治家に騙され、同じ手を喰らうなんて、あり得ない(笑)
小沢がその程度の政治家だと考えている人間は、小沢がどうの、鳩山がどうのなんてことは言わないほうが良い。外野でワイワイやっても、精神衛生上悪いだけで何も良いことはない。
さて、代表選の結果だが、ついに最後の戦いの幕が開いたようだ・・・・
民主党幹事長職に拘る小沢にとって、前原誠司が難色を示したことが決定的だった。小沢一郎は現在刑事被告人であり、同時に党員資格停止状態にあり、本人が幹事長職ならびに党の要職、さらには閣内に入ることは常識で考えても無理だ。
となれば、小沢の息のかかった人物、例えば、輿石東などがその職につくのが望ましい。
そして、実際にそうなった。
つまり、野田代表は、小沢の意向を呑む形になったわけだ。
代表選演説の際、気になった言葉があった。
一つは、馬淵候補の 「私の政治の師である田中角栄・・・・」 という言葉だ。
二年前、鳩山由紀夫代表を決定づける両院議員総会で、馬淵は小沢戦略に激しく反論し、横暴だと言った。そしてその一年後、菅、小沢の戦いの際、彼は菅サイドに付いた。
私は、馬淵澄夫という民主党国会議員は基本的に小沢一郎が生理的に嫌いで、それに自身の保身や権力欲が重なって、菅直人を応援したのだと思っていたが、本当は少し意味合いが違うのかも知れない。
田中角栄が政治の師という言葉は、小沢一郎の常套句だ。
まさか馬淵の口からその言葉を聴くとは思ってもみなかった・・・・、本当なのだろうか?(笑)
野田佳彦の演説には、マイッタ。(笑)
昔話と個人的な心情のみに終始し、およそ代表選の演説とは思えなかったからだ。
冗談だろ? とさえ思った。(笑)
朝顔とドジョウまで登場したし。(爆)
ふと・・・・後から考えてみると、前原包囲網の可能性も捨てきれない・・・・
小沢にとって、一番悪いパターンは、前原誠司が首相になることで、その為にはどうしても代表の座を与えたくない、少なくとも、今は駄目だと思っていたに違いない。
震災復興と放射能対策を最優先にして、景気浮揚の為に増税は無理、TPP締結は遙か向こうにうっちゃっておきたい・・・、そして米国が望んでいる米国債のチャラは、承認し難い。
こういった難問を前原では乗り越えられないと踏んだに違いないし、その適役は、ベターな選択として海江田、その次ぎに野田・・・・だったのかも知れない。
馬淵陣営の決選投票における票の投票先は、馬淵氏が代表選前に陣営に伝達していたことで、これは既成の事実だ。当然、小沢陣営および小沢本人も承知していただろう。
だから、NHKが確信犯的フライングをしたことを聴いて、苦笑したに違いない。(笑)
鹿野道彦の上着を脱ぐ作戦は、あまりにも漫画チックだ。(笑)
彼や彼の側近がそんなことを勧めたのなら、即、国会議員を辞めることをお勧めする。
時代劇じゃあるまし、冗談もいい加減にしろ。
しかし、この代表選で鹿野道彦が果たした役割は、非常に大きかった。彼の決断如何では、今後の展開が真逆になった可能性すらある。
だから、鹿野姓というのか・・・・(冗談、爆)
一方、カヤの外の実力者は、落ち込んでいた。
仙谷由人が主導した菅政権は、岡田克也に悲劇をもたらした。
幹事長時代に 「自分で自分の足を撃っているようなものだ」 と激しい党内対立を振り返り、「敵をたくさん作ったし、政治家としての資産を使い果たした」 と泣きが入った。幹事長職を出来ればやりたくないと当初言明していた岡田にとっては青天の霹靂だったろう。かつてのイメージは完全に崩れ、政治生命が危ぶまれる事態に陥った。岡田は、財務大臣など引き受けるべきではなく、しばらく休養したほうが良い。
尚、ご老体は、依然元気だ。(笑)
平成の黄門・・・一説には肛門との表記が正しいという説もあるが、まあ、そんなことはどうでも良い、はやいとこ、ゆっくり(め)されよ。(爆)
で、そのご老体ではなく、西岡参院議長だが、彼はこの度の代表選に本気で出馬する予定だったらしい。
しかし結局は断念し、その後、意味深な言葉を残している。
「こういう問題は下りた幕の物語をする必要はない。次の幕をご期待ください」
西岡が言う、「次の幕」 とは、一体何か? (笑)
さて、長々と書いてきたが、ここからが本当の本番だ。
野田政権は、よほどの事が無い限り、一年続くだろう。
逆に言えば、一年しか続かない。
党内融和、挙党態勢を唱えていたが、菅直人が二度にわたり裏切ったのと違って、彼はそれを実現しようとしているように見える。
その第一が、幹事長職に小沢一郎の側近中の側近である輿石東を据えたことだ。
これで、民主党の300億円は、小沢の視界に入った。
輿石は、参議院議員会長と幹事長を務めることになった。誰かが言っていたが、参院は輿石でなければ纏まらないので、彼の幹事長職就任に際して、輿石が最初に難色を示したのは、参議院議員会長を辞めねばならないということが条件であったかどうか、ということなのだ。野田は、幹事長職と参議院議員会長職との兼任を認め、さらに参議院からの初の幹事長となった。異例中の異例である。
その他、野田は随所に 「挙党態勢」 のエッセンスを散りばめ、今後の政局に臨むだろう。
そして、野田が山積する問題、やらねばならないことを取り敢えずやり終えた一年後、2012年9月、再度、現職総理大臣として、民主党代表選に臨むことになる。
臨まざるを得ない。
国会議員が選挙に落ちれば、それはタダの人だ。
だから、彼らにとっての地位保全として、一番大事なのは、選挙に勝つことである。
その為には、小沢一郎が必要だ・・・・という空気が起こってこないはずがない。
あと任期一年を切り、不人気の民主党国会議員がこう思わなかったら、その人間はオツムがどうかしている。(笑)
鳩山、菅、野田と失敗し続けた民主党政権に再度栄光をもたらすのは、選挙に強い小沢一郎を先頭に立てて戦うのが一番良いと思うはずだ。
野田は、先の政権と同様、失敗する。
野田にはそれが判っている。
そして、海江田、馬淵、鹿野にも判っている。
判っていないのは、前原だけだった。
だから小沢は、前原には総理は不適任だと判断した。
つまり、ただでさえ大変なのに、その上に震災が加わり、原発による放射能汚染まで加わったのだ。菅、仙谷、枝野、玄葉、前原らには、それが判っていない。
要するに、鳩山・菅と、沈んでしまった民主党政権をマイナスから、プラマイゼロにするのが野田政権の役割である。
それから浮上するのは、民主党本来の政権、つまり、小沢一郎政権の役目となる。
したがって、来年の代表選は、小沢対野田の戦いになる。
だが、野田にその意欲はもう無いだろう。
小沢に譲るべき代表選であり、その為のセレモニーだ。
かくして、民主党代表小沢一郎が再度、誕生する。
その時は、もう二度とあのような悲劇は訪れない。
何人も、小沢一郎を潰すことが出来ない。
もしそのようなことがあれば、民主党全体で対抗するだろうし、今度は、小沢は既に総理大臣だ、やれるものなら、やってみろ。(笑)
では、あの時なぜ、小沢を擁護しなかったのか?
どうして、既得権益層からの攻撃である理不尽と民主党は戦わなかったのか?
理由は、極めて明瞭である。
既得権益、権力というものの本質を彼らが判っていなかった。
しかし、四年間(実質三年間)、彼らはその渦中にあって、それを学んだはずである。
もう、四年前の民主党ではない。
与党を続けた三年間であり、権力を手中に収めた三年間だからだ。
もし、小沢を潰せば・・・・、
官僚は、民主党国会議員達と切ったハッタの大勝負を展開しなければならなくなる。
バックには、総理大臣小沢一郎がいる。権力の魔性を知った人間は強いぞ。(笑)
さて、多くの人が気になっている小沢の党員資格停止は、輿石が唱えているように、近々解かれるだろう。
そして、来年三月の結審をまって、いよいよ、小沢一郎が最後の舞台へと躍り出る。
民主党が政権を担って丸三年、その間、多くの新人議員達は十分とは言えないが、政権内で、必要最小限の勉強をしてきたはずであり、小沢はそのことを異様に気にしているように思う。なぜなら、それは姿かたちを変えた、あのかつての 「大連立の果実」 であるからだ。
だから小沢は艱難辛苦に耐え、党を割らず、その時を待った。
多くの人が懐(いだ)く小沢幻想とは違って、一人では結局何もできないということを小沢本人が一番よく判っている。
来年4月、春の訪れを待たずに、ついに、小沢政権への静かなる準備が始まるだろう。
野田政権では、民主党は総選挙に勝てない。
選挙に勝つためには、やはり小沢一郎が幹事長もしくは、党の代表でなくてはならない。
4年間という月日は過酷なもので、1年2年なら可能だったものも、4年経つと不可能になることも多い。
政権与党の代表もしくは、党ナンバー2である幹事長を仕留めることなど、もう出来ないのである。
そして、小沢は、明言するはずだ。
最後のご奉公をやらせてほしい・・・本当に最後のご奉公だ。
民主党代表を再度やらせてもらい、来たるべき総選挙に勝利し、民主党を揺るぎない政権党としたい。
私は、今度の総選挙に民主党が勝利したのを見届け、政界を引退する所存です・・・・と。
小沢は、自らの引退を担保に民主党代表の座と総理の座を射止め、そして一年の時間を与えられる。だが、民主党が再度、政権党になったとき、小沢一郎は、もういない・・・・
このレトリックが、最強の小沢一郎を生み出すのだ。
小沢の幻影が消えた時、小沢一郎は最強の政治家となる。
背水の陣を敷いた民主党と小沢の敵は・・・・、いないだろう。
小沢が代表の座についている一年、むろん選挙対策は怠りないだろうが、その選挙に勝つためには、民主党は絶対的な実績を残さねばならない。
その為の、小沢政権なのだ。
「国民の生活が第一」・・・・やはり、この原点に戻り、民主党は次々と小沢首相の下で政策を実現していくだろう。
時間は無い。だが、一年あれば、小沢なら十分だ。
しかし、小沢が願う本当の戦いは、次世代へと託さざるを得なくなるだろう。
寄り道をし過ぎた・・・・
また、これは余分だが、海の向こうのあのクソタレジジイは、すでにあっちの世界へ旅立っている可能性が高い。(爆)
こんなこともまた、小沢は頭のどこかで計算しているに違いない。
レールを敷き、総選挙に勝利し、そしてついに政界引退の時期を迎える小沢一郎の顔には、翳りはないだろう。あとは育ってきた若い連中に任せると言いつつ、花道を歩いて消えていくはずだ。
そして、
その小沢無き民主党を率いる一人の政治家は、この度の代表選のさなか、こうつぶやいた。
「しばらく静かにしていなさい。ためを作りなさい。誰よりも汗をかいて頑張りなさい。」 政治の世界の師匠の親心。自分を突き放してみると今まで見えなかった絆や光が見えてきました。https://twitter.com/#!/kharaguchi
何も言う必要はない。これほどすぐれた評論を読んだのは久し振りだ。(福島原発事故直後の「反戦な家づくり」明月氏の、「政府は福島を核廃棄物処分場にするつもりではないか」という推理以来である。)政治の表層から透けて見える深層を分析するその論理は、まさしく名探偵そのものだ。
小沢について論評する人間は、その前に、何も言わず、これを読め、と言いたい。
政治家個人の人間性に対する深い洞察があって初めて政治現象の深層が見えるということだろう。
(以下引用)
政治力学の表層
2011.09.01 (Thu)
今の日本で、最も政治家らしい現役政治家を一人だけ挙げよ、という質問があったとき、100人のうち100人が、小沢一郎の名を出すだろう。
ところが、1000人いたら、そのうちの一人ぐらいは馬鹿がいて、別の名前を言ってしまう。
そしてそれが1億2000万人になれば、小沢の名を挙げるのは、せいぜい2000万人ぐらいで、残り1億人は別の名を挙げるか、ダンマリを決め込む。
これが日本の現状だ。つまり、猿の列島である。(笑)
私は、この度の民主党代表選を面白可笑しく拝見させてもらった。
ただ、少し前から世情に疎い生活をしているので、よく理解できない状況もあってか、一体何がどう展開しているのがが、いまいち判らなかった・・・・
尚、本稿中段以降、あるシミュレーションを提示するが、こういう一つの考え方は、実際に政治の場で実現するかどうかは別にして、多くの人達に、こういう角度からも物事を考える余地があるのだということを判って貰いたいと思い、敢えて時間を割いて披瀝することにした。
私は、この種の考えにかなりの自信があるが、賛同して貰えるかどうかは判らない。
しかし、否応なく訪れる現実が、それを証明するだろう。
小沢一郎が推す海江田万里が代表選に負けたことで、ガックリしている人も多いと思うので、遅ればせながら残暑見舞いだ。(笑)
結論から言えば、
あれは、小沢陣営の敗北ではあるが、小沢一郎の完全勝利である。
小沢政治哲学の真髄は、あらゆる具体策がもたらす失敗の連鎖により、目に見えないその奧に流れる思想が次第に現実世界に顕在化してくるということにある。
姿かたちを変え、その本質までもが疑われる中で、それでも貫かれている一本の筋が存在しているわけで、それが小沢の政治哲学であり、彼の生き方そのものだ。
これで小沢は終わりだとか、もう消えていくしかないとか言っている馬鹿がいるが、小沢が消えていくのは、自らの捨て身の意志であり、それは二年後だ。今ではない。
かつて、民主党代表であった前原誠司が 「メール問題」 の責任を取った形で党代表を辞任し、2006年4月、小沢一郎は菅直人を破り、民主党代表の座に就いた。
多くの人が承知しているこの出来事が、実は 「スタート」 だったのだ。
だが、その後実現する政権交代へのスタートという意味ではない。
そして、2007年7月、参議院通常選挙にて民主党は小沢代表の下、参議院第1党となり過半数を獲得、鳩山、菅、小沢のトロイカ体制と共に、前原、岡田を加えた挙党態勢を築き、政権交代へと臨むこととなる。
この、一見当たり前と見える 「挙党態勢」 は、今後、本格的な民主党政権が誕生するための布石である以上に、本質的な問題を含んでいた。
だが、その本質は、世間一般で言われるような、<確執> ではない。
ところが、代表小沢一郎は、こともあろうに、同年11月2日、自民党との大連立構想を打ち出す。政権末期の自民党を率いていた福田康夫との秘密裏の大構想だったが、事が公になると民主党内からの大反発を喰らい、混乱の責任を取って小沢は代表辞任を表明するが、鳩山由紀夫の説得をうけ、同年11月6日、代表続投を表明し、翌7日、両院議員総会にて続投が承認された。
この時の小沢一郎の真意を誤解している多くの人間達がいる。
それは同じように、自民党福田康夫の真意をも誤解していることに繋がる。
福田は退陣の折、重要な言葉を残している。
「私は自分自身を客観的に見ることはできるんです。あなたと違うんです」
多くの人々は、海江田万里を担いだ小沢一郎に幻滅していると言い、また、鳩山由紀夫にまたもや騙されたとも言っていた。
事あるごとに小沢一郎は鳩山由紀夫に騙されたとか、利用されたとか言っている人間が多くいるが、私にはそういった人間の考え方が理解出来ない。
彼らは一体何をさして、そう思い、そう言っているのだろうか?
代表選に限らず、多くの選挙戦の時に表明した小沢一郎の言説がその通りにならず、また、鳩山の右往左往する態度や言動をみて、そう思うのであろうか。いつも小沢一郎は、自分の意に適わず、鳩山に言いくるめられているとでも思っているのだろうか。
もしそうなら、彼らは、鳩山由紀夫のみならず、政治家小沢一郎をも馬鹿にしていることになる。
私は、小沢一郎という政治家は、日本憲政史上屈指の政治家だと思っているので、彼がそんなトンマな事を繰り返すとは、到底思えない。
もっとも、小沢とて人間だから、そして人の良いことで有名だから、一度や二度は些細なことで人に騙されたこともあるだろう。自分で失敗したと思った時もあるに違いない。
しかし、表向き盟友と言って憚らない鳩山に、何度も騙されるなんてことがある訳がないじゃないか。(笑)
しかも、それらはみな、小沢の政治生命に関係している事柄だ。
鳩山由紀夫が小沢を陥れるなんて、馬鹿も休み休み言えよ。
鳩山は、おっちょこちょいだ。(爆)
ろくすっぽ政治の本質を考えないで行動するお坊ちゃま政治家であることは確かだ。
だが私財を投じ、政党を作り、一国の総理まで経験した政治家が、世間が言うようなオバカであるはずがないだろう? ましてや、彼の立ち振る舞いが腹黒い行動だと感じてしまうのは、その人間が腹黒いことと同義だよ。(笑)
鳩山が小沢を潰そうと思ったら、そんなチャンスは幾らでもあるし、小沢とて鳩山を潰すことは容易に出来たはずだ。
そんなタヌキとキツネの騙し合いみたいな、まどろっこしい手は使わないよ。彼らは共に、この日本を代表する政治家だ。(笑)
さて、冗談はともかく、本題に入ろう。
小沢一郎は、1942年5月24日生まれで、現在、69歳である。
彼は最近、「最後のご奉公」 という言葉を使うようになった。
このまま順当に民主党が4年間の政権を全うすれば、2013年夏、彼は71歳になる。高齢者が多い政界にとって、71歳という年齢はさほど高齢とは思えないが、それでも現役引退を考えるには十分なる年齢と言えるだろう。
ここで、押さえておかねばならない点がいくつかある。
まず、小沢一郎が代表の座に就いたとき、即時に行おうとした大連立なのだが、これは、お坊ちゃま民主党連中達の大反対で頓挫したが、その構想自体を小沢は捨ててなかったと、私は最近思うようになった。
あの大連立の基本概念は、少なくとも民主党側からだけ言えば、まだ政治のセの字も知らない新人議員達を実践の場に投入して、現地学習、つまり官僚の態度ややり方、あるいは彼らとの対峙の方法を勉強し、それを政治という場に活かす為に、<時間> が必要だったということだ。同様に、対政治家同士の関係性についても、学習する必要があった。
さらに、内外の政策や対外問題、特に米国と中国について、その影響力を知る必要があった。
それらをやらなかった為に、その後、民主党が政権を担った後に発生した問題は多々あり、それを官僚が逆手にとって民主党をコントロールしてしまったことは、小沢一郎にとっては、忸怩たる思いだったろう。
これが、<発想> 出発点だ。
政権交代を実現し、日本の改革を根底から本気でやろうとした小沢一郎にとって、多くの民主党新人議員達の力は、現在、そして未来にかけて、絶対必要だったのである。
この観点に立ってみれば、どのような仕打ちを受けても、小沢が党を割らない大きな理由の一つが見えてくる。
つぎに、これは最も重要な観点だが、
民主党代表として政権交代を実現しようとした小沢一郎は、既得権益層からの強烈な反撃に遭い、ズタズタにされた。
それは、官憲やマスコミをも動員した国家を挙げての政治家潰しだったが、辛うじて小沢はそれに持ち堪え、代表辞任、その後幹事長職就任を経て、2009年夏、念願の政権交代を成し遂げる。
しかし、多くの民衆の期待を背負った鳩山民主党は、8ヶ月の短命で終わり、小沢一郎も鳩山退陣に併せて、幹事長職を退く。
その後、党副代表であった菅直人が首相に就任するが、菅一派・・・・誰とは言わないが(笑)、連中達との連携で、小沢一郎はさらなる苦境に立つこととなる。
しかし、彼は、依然として、党を離脱するとは言わず、党内融和、挙党態勢を言い続ける。
多くの人々が小沢一郎のその言動に不満を持ち、その行動力に疑問を抱き始めたのは、このあたりで、私も、もういい加減に民主党を割って、政界再編をやったほうが結局は良いと思っていた。
だが、この考えは間違っていたのかも知れない。
小沢の我慢強さに象徴される挙党一致態勢が本当だったのかも知れない。
むろん、鳩山由紀夫は、その点で揺るがなかった。
それを自分が作った政党が可愛い為だとか、影響力を残しておきたい為だとか、もう一度政党を作るのが面倒だとか思ってしまった人間達(私をも含む)は、ある意味、思考停止状態だったのかも知れないのだ。
その種の質問が出たとき、当の小沢は、決まってこう答えていた。
今、党を割ると、より日本は混乱することとなり、これは今の日本の現状として、ふさわしくない、だから、私は民主党を支えていく・・・・と。
この 「ヌルイ」 言葉が、不満だった。
それは、何も私だけではないだろう。
そして、民主党が政権交代をした当時と現在とでは、決定的に違うことがある。
それは、「3.11」 であり、東電福島原発の致命的な事故だ。
ひと言でいえば、国家全体にわたる放射能汚染である。
これは、国家の存続を揺るがしかねない、いや、潰れるか潰れないかの瀬戸際まで追い込まれる日本開闢以来の大惨事だ。
そして、その最も大事な時に、政権は機能しなかった。
政治を知らない民主党内の連中達が単にオツムだけで権力の座に居座っていたからだが、これは自民党でも大差ないだろう。
そして、「明治以来140年間続いた官僚支配体制」 の欠陥でもある。
東北震災は別だが、東電の原発事故は日本人に限らず、人間の手に負えるものではなかったことが事の重大性に拍車をかけた。
そして、これは現在も続いている。
ここが、小沢が事前に想定していなかった大きな問題点だ。
当然ながら、政策と今後の政治体制は、変わらざるを得ない。
既に近日中の出版を予定していた 『日本改造計画・改訂版』 は、延期せざるを得なかった。
だが、そんなことは、小沢一郎にとっては、些細なことだ。
今回の代表戦が今までで一番面白いと言ったのは、小沢一郎の本心が見えるかも知れないと思っていたからだ。彼は今回ばかりは前面に一切出ず、水面下にて終始したようにみえる。少なくとも一般大衆に対してはそうだ。これをもって小沢戦略の失敗だとか、またまた鳩山に裏切られたとか言っている人間は、一体何をみているのだろうかとの疑念を持つ。
小沢の意向が真っ正面から成功せず、それでも小沢が鳩山と連携しているのを観て、多くの人は鳩山の言動を疑い、さらには小沢の稚拙さを揶揄し、一体何をやっているのだという意見は、相変わらず多い。
そんな奴らは、ろくすっぽ物事を考えてないという証拠だな。(笑)
いわゆる、思考停止だ。
こういうことは、大物政治家同士の精神の中で余人には判らない共通項目が存在すると考えた方が理解しやすい。
小沢一郎ほどの政治家が何度も何度も同じ政治家に騙され、同じ手を喰らうなんて、あり得ない(笑)
小沢がその程度の政治家だと考えている人間は、小沢がどうの、鳩山がどうのなんてことは言わないほうが良い。外野でワイワイやっても、精神衛生上悪いだけで何も良いことはない。
さて、代表選の結果だが、ついに最後の戦いの幕が開いたようだ・・・・
民主党幹事長職に拘る小沢にとって、前原誠司が難色を示したことが決定的だった。小沢一郎は現在刑事被告人であり、同時に党員資格停止状態にあり、本人が幹事長職ならびに党の要職、さらには閣内に入ることは常識で考えても無理だ。
となれば、小沢の息のかかった人物、例えば、輿石東などがその職につくのが望ましい。
そして、実際にそうなった。
つまり、野田代表は、小沢の意向を呑む形になったわけだ。
代表選演説の際、気になった言葉があった。
一つは、馬淵候補の 「私の政治の師である田中角栄・・・・」 という言葉だ。
二年前、鳩山由紀夫代表を決定づける両院議員総会で、馬淵は小沢戦略に激しく反論し、横暴だと言った。そしてその一年後、菅、小沢の戦いの際、彼は菅サイドに付いた。
私は、馬淵澄夫という民主党国会議員は基本的に小沢一郎が生理的に嫌いで、それに自身の保身や権力欲が重なって、菅直人を応援したのだと思っていたが、本当は少し意味合いが違うのかも知れない。
田中角栄が政治の師という言葉は、小沢一郎の常套句だ。
まさか馬淵の口からその言葉を聴くとは思ってもみなかった・・・・、本当なのだろうか?(笑)
野田佳彦の演説には、マイッタ。(笑)
昔話と個人的な心情のみに終始し、およそ代表選の演説とは思えなかったからだ。
冗談だろ? とさえ思った。(笑)
朝顔とドジョウまで登場したし。(爆)
ふと・・・・後から考えてみると、前原包囲網の可能性も捨てきれない・・・・
小沢にとって、一番悪いパターンは、前原誠司が首相になることで、その為にはどうしても代表の座を与えたくない、少なくとも、今は駄目だと思っていたに違いない。
震災復興と放射能対策を最優先にして、景気浮揚の為に増税は無理、TPP締結は遙か向こうにうっちゃっておきたい・・・、そして米国が望んでいる米国債のチャラは、承認し難い。
こういった難問を前原では乗り越えられないと踏んだに違いないし、その適役は、ベターな選択として海江田、その次ぎに野田・・・・だったのかも知れない。
馬淵陣営の決選投票における票の投票先は、馬淵氏が代表選前に陣営に伝達していたことで、これは既成の事実だ。当然、小沢陣営および小沢本人も承知していただろう。
だから、NHKが確信犯的フライングをしたことを聴いて、苦笑したに違いない。(笑)
鹿野道彦の上着を脱ぐ作戦は、あまりにも漫画チックだ。(笑)
彼や彼の側近がそんなことを勧めたのなら、即、国会議員を辞めることをお勧めする。
時代劇じゃあるまし、冗談もいい加減にしろ。
しかし、この代表選で鹿野道彦が果たした役割は、非常に大きかった。彼の決断如何では、今後の展開が真逆になった可能性すらある。
だから、鹿野姓というのか・・・・(冗談、爆)
一方、カヤの外の実力者は、落ち込んでいた。
仙谷由人が主導した菅政権は、岡田克也に悲劇をもたらした。
幹事長時代に 「自分で自分の足を撃っているようなものだ」 と激しい党内対立を振り返り、「敵をたくさん作ったし、政治家としての資産を使い果たした」 と泣きが入った。幹事長職を出来ればやりたくないと当初言明していた岡田にとっては青天の霹靂だったろう。かつてのイメージは完全に崩れ、政治生命が危ぶまれる事態に陥った。岡田は、財務大臣など引き受けるべきではなく、しばらく休養したほうが良い。
尚、ご老体は、依然元気だ。(笑)
平成の黄門・・・一説には肛門との表記が正しいという説もあるが、まあ、そんなことはどうでも良い、はやいとこ、ゆっくり(め)されよ。(爆)
で、そのご老体ではなく、西岡参院議長だが、彼はこの度の代表選に本気で出馬する予定だったらしい。
しかし結局は断念し、その後、意味深な言葉を残している。
「こういう問題は下りた幕の物語をする必要はない。次の幕をご期待ください」
西岡が言う、「次の幕」 とは、一体何か? (笑)
さて、長々と書いてきたが、ここからが本当の本番だ。
野田政権は、よほどの事が無い限り、一年続くだろう。
逆に言えば、一年しか続かない。
党内融和、挙党態勢を唱えていたが、菅直人が二度にわたり裏切ったのと違って、彼はそれを実現しようとしているように見える。
その第一が、幹事長職に小沢一郎の側近中の側近である輿石東を据えたことだ。
これで、民主党の300億円は、小沢の視界に入った。
輿石は、参議院議員会長と幹事長を務めることになった。誰かが言っていたが、参院は輿石でなければ纏まらないので、彼の幹事長職就任に際して、輿石が最初に難色を示したのは、参議院議員会長を辞めねばならないということが条件であったかどうか、ということなのだ。野田は、幹事長職と参議院議員会長職との兼任を認め、さらに参議院からの初の幹事長となった。異例中の異例である。
その他、野田は随所に 「挙党態勢」 のエッセンスを散りばめ、今後の政局に臨むだろう。
そして、野田が山積する問題、やらねばならないことを取り敢えずやり終えた一年後、2012年9月、再度、現職総理大臣として、民主党代表選に臨むことになる。
臨まざるを得ない。
国会議員が選挙に落ちれば、それはタダの人だ。
だから、彼らにとっての地位保全として、一番大事なのは、選挙に勝つことである。
その為には、小沢一郎が必要だ・・・・という空気が起こってこないはずがない。
あと任期一年を切り、不人気の民主党国会議員がこう思わなかったら、その人間はオツムがどうかしている。(笑)
鳩山、菅、野田と失敗し続けた民主党政権に再度栄光をもたらすのは、選挙に強い小沢一郎を先頭に立てて戦うのが一番良いと思うはずだ。
野田は、先の政権と同様、失敗する。
野田にはそれが判っている。
そして、海江田、馬淵、鹿野にも判っている。
判っていないのは、前原だけだった。
だから小沢は、前原には総理は不適任だと判断した。
つまり、ただでさえ大変なのに、その上に震災が加わり、原発による放射能汚染まで加わったのだ。菅、仙谷、枝野、玄葉、前原らには、それが判っていない。
要するに、鳩山・菅と、沈んでしまった民主党政権をマイナスから、プラマイゼロにするのが野田政権の役割である。
それから浮上するのは、民主党本来の政権、つまり、小沢一郎政権の役目となる。
したがって、来年の代表選は、小沢対野田の戦いになる。
だが、野田にその意欲はもう無いだろう。
小沢に譲るべき代表選であり、その為のセレモニーだ。
かくして、民主党代表小沢一郎が再度、誕生する。
その時は、もう二度とあのような悲劇は訪れない。
何人も、小沢一郎を潰すことが出来ない。
もしそのようなことがあれば、民主党全体で対抗するだろうし、今度は、小沢は既に総理大臣だ、やれるものなら、やってみろ。(笑)
では、あの時なぜ、小沢を擁護しなかったのか?
どうして、既得権益層からの攻撃である理不尽と民主党は戦わなかったのか?
理由は、極めて明瞭である。
既得権益、権力というものの本質を彼らが判っていなかった。
しかし、四年間(実質三年間)、彼らはその渦中にあって、それを学んだはずである。
もう、四年前の民主党ではない。
与党を続けた三年間であり、権力を手中に収めた三年間だからだ。
もし、小沢を潰せば・・・・、
官僚は、民主党国会議員達と切ったハッタの大勝負を展開しなければならなくなる。
バックには、総理大臣小沢一郎がいる。権力の魔性を知った人間は強いぞ。(笑)
さて、多くの人が気になっている小沢の党員資格停止は、輿石が唱えているように、近々解かれるだろう。
そして、来年三月の結審をまって、いよいよ、小沢一郎が最後の舞台へと躍り出る。
民主党が政権を担って丸三年、その間、多くの新人議員達は十分とは言えないが、政権内で、必要最小限の勉強をしてきたはずであり、小沢はそのことを異様に気にしているように思う。なぜなら、それは姿かたちを変えた、あのかつての 「大連立の果実」 であるからだ。
だから小沢は艱難辛苦に耐え、党を割らず、その時を待った。
多くの人が懐(いだ)く小沢幻想とは違って、一人では結局何もできないということを小沢本人が一番よく判っている。
来年4月、春の訪れを待たずに、ついに、小沢政権への静かなる準備が始まるだろう。
野田政権では、民主党は総選挙に勝てない。
選挙に勝つためには、やはり小沢一郎が幹事長もしくは、党の代表でなくてはならない。
4年間という月日は過酷なもので、1年2年なら可能だったものも、4年経つと不可能になることも多い。
政権与党の代表もしくは、党ナンバー2である幹事長を仕留めることなど、もう出来ないのである。
そして、小沢は、明言するはずだ。
最後のご奉公をやらせてほしい・・・本当に最後のご奉公だ。
民主党代表を再度やらせてもらい、来たるべき総選挙に勝利し、民主党を揺るぎない政権党としたい。
私は、今度の総選挙に民主党が勝利したのを見届け、政界を引退する所存です・・・・と。
小沢は、自らの引退を担保に民主党代表の座と総理の座を射止め、そして一年の時間を与えられる。だが、民主党が再度、政権党になったとき、小沢一郎は、もういない・・・・
このレトリックが、最強の小沢一郎を生み出すのだ。
小沢の幻影が消えた時、小沢一郎は最強の政治家となる。
背水の陣を敷いた民主党と小沢の敵は・・・・、いないだろう。
小沢が代表の座についている一年、むろん選挙対策は怠りないだろうが、その選挙に勝つためには、民主党は絶対的な実績を残さねばならない。
その為の、小沢政権なのだ。
「国民の生活が第一」・・・・やはり、この原点に戻り、民主党は次々と小沢首相の下で政策を実現していくだろう。
時間は無い。だが、一年あれば、小沢なら十分だ。
しかし、小沢が願う本当の戦いは、次世代へと託さざるを得なくなるだろう。
寄り道をし過ぎた・・・・
また、これは余分だが、海の向こうのあのクソタレジジイは、すでにあっちの世界へ旅立っている可能性が高い。(爆)
こんなこともまた、小沢は頭のどこかで計算しているに違いない。
レールを敷き、総選挙に勝利し、そしてついに政界引退の時期を迎える小沢一郎の顔には、翳りはないだろう。あとは育ってきた若い連中に任せると言いつつ、花道を歩いて消えていくはずだ。
そして、
その小沢無き民主党を率いる一人の政治家は、この度の代表選のさなか、こうつぶやいた。
「しばらく静かにしていなさい。ためを作りなさい。誰よりも汗をかいて頑張りなさい。」 政治の世界の師匠の親心。自分を突き放してみると今まで見えなかった絆や光が見えてきました。https://twitter.com/#!/kharaguchi
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