仕分け現場でもタイミーさんが増殖している(写真:Hakase/イメージマート)*写真はイメージです仕分け現場でもタイミーさんが増殖している(写真:Hakase/イメージマート)*写真はイメージです
2枚の画像を見る

 最近、おじさんが意外な場所で働く姿を見かける。給料が上がらない。本当に年金もらえるの? AIに仕事を奪われる…! 将来の不安から副業を始める中高年男性が増えているのだ。おじさんたちはどんな副業をしているのか、どれくらい稼いでいるのか、あるいはまったく稼げていないのか。組織をはみ出し、副業を始める全力おじさんの姿をより深くレポートする。(若月 澪子:フリーライター)

令和の階級社会

 日本の労働現場に、新たな階級が誕生したのかもしれない。

 これまでは正社員が最上位で、契約社員や派遣社員は第二身分、パート・アルバイトは第三身分。フリーランスはそれに次ぐ底辺……と個人的に思っていた。


 正社員はボーナスや社会保険などがあるが、第二、第三身分になるとそうした「特典」は減っていく。筆者のようなフリーランスに至っては、取引先のルールだけ押し付けられる「旅芸人」だ。雨ざらしで、軒下にさえ入れてもらえない。


 ところが、さらに新たな階級が出現した。「タイミーさん」だ。

 タイミーさんとは、1日数時間だけ働く臨時アルバイトのこと。「タイミー」「シェアフル」「メルカリハロ」などのスポットワークのアプリを通じて日雇いの仕事に応募する、新しい働き方だ。

【写真】スポットワーク市場には大企業も参入している。写真はメルカリの「メルカリハロ」(写真:つのだよしお/アフロ)【写真】スポットワーク市場には大企業も参入している。写真はメルカリの「メルカリハロ」(写真:つのだよしお/アフロ)

 業界最大手の名前から、現場では「タイミーさん」と呼ばれることが多い。タイミーに登録するワーカーは、2024年9月現在で900万人。3年前からおよそ4倍に増えている。


 雇用する側にとって、タイミーさんは必要なときだけ募集すればいい「都合のいい存在」だ。一方で、タイミーさんにも本業は別にあり、副業でタイミーさんに変身する。


 すきま時間をうまく活用できるため利用者側のメリットも大きいが、コスト削減の一環として導入する企業も多く、その立場はフリーランス以上にぜい弱だ。


 今、タイミーさんは人手不足のあらゆる労働現場に増殖している。先日、筆者はスポットワークで大手運送会社の配送センターの作業を体験したが、現場の仕分けスタッフのほとんどがタイミーさんであった。