「現代ビジネス」記事で、記事を読んでいる途中から違和感があったのだが、最後まで読んで、書いたのが長谷川幸洋であることで、腑に落ちた。
どういう違和感かと言うと、この問題は明らかにナンシー・ペロシという好戦的な女が無理に台湾を訪問しようとしたことから起きた事件であるからだ。それがなぜ事件になるかは記事中にも明確に書いてある。軍用機で訪問するだけでなく軍艦を同行させる可能性すらあるとされているのだ。とすれば、中国との間に突発的な戦闘行為が生じてもおかしくない、実に非常識な訪台であるわけだ。ところが、記事の中で、そのペロシは批判されず、バイデンが批判されているのはおかしくないか。
もちろん、私はバイデンは大嫌いだし、ほぼ認知症で大統領が務まる人間ではないと思う。しかし、この一件では、明らかにペロシの強引な訪台が原因である。放火事件で火をつけた犯人を非難せず、鎮火で不手際をした消防隊を非難するような話ではないか。
長谷川幸洋という人物の評論家(マスコミ言論人)としての質の悪さは前から感じていたが、常に「為にせんが為に」議論をする低劣さを感じる人物だと思う。たしか、最初は経済評論などをしていたのではなかったか。まあ、要するに「右寄りマスコミ御用達評論家」だろう。
(以下引用)
またバイデンがやらかした…「三度目の失言」で判明した米中「軍事衝突」の可能性
これで三度目の失言
ジョー・バイデン米大統領がまた、やらかした。中国の習近平総書記(国家主席)との電話会談を前に、軍事衝突のリスクをにじませる「失言」をしたのだ。大統領は米下院議長の台湾訪問に「米軍が反対している」と明らかにした。いったい、何が起きているのか。 【写真】習近平、ついに“自滅”か…アメリカの論文が予想した中国「大崩壊」の末路 それは、7月20日のことだった。バイデン大統領はナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問計画について、記者団に問われて「米軍は、それがいい考えだとは思っていない、と思う。だが、私は状況がどうなっているか、知らない」と語った。 この答えを聞いただけで、怪訝に思う読者もいるだろう。記者団もそうだったはずだ。なぜ、下院議長の訪台問題に米軍が口を出すのか。それは、この問題が単なる議員外交の問題ではなく、軍事衝突に発展する可能性を秘めているからにほかならない。 どういうことか。話は4月に遡る。 かねて台湾の自由と民主主義を強く支持する姿勢を示していたペロシ議長(民主党)は、4月に台湾を訪問する予定だった。ところが、自分自身が「新型コロナに感染した」との理由で、訪台は一時、棚上げになった。7月に入って再び、この話が持ち上がる。 フィナンシャル・タイムズが7月19日、ペロシの動向に通じている情報源の話を基に「議長は8月に訪台を計画している」と報じたのだ。これは、中国はもちろん、世界を驚かせた。 下院議長は、大統領にもしもの事態が起きれば、副大統領に次いで、大統領の職を引き継ぐ2番目の立場にある。下院議長が訪台するのは、1997年に当時のニュート・ギングリッチ議長以来、25年ぶりだ。訪台が実現すれば、近年、訪台した米有力者の中では、もっとも高位の人物になる。 そんな人物が訪台すれば、米国は「台湾を支持している」と表明したも同然だ。 もちろん、中国は直ちに反発した。中国外務省報道官は19日、報道を受けて「もし訪台すれば、我々は主権と領土の一体性を守るために、断固として強力な措置をとる」と、記者団に表明した。この発言は、軍事力の行使もいとわない覚悟をうかがわせた。
米中衝突の可能性も
肝心のペロシ氏はといえば、報道の後も、訪台計画については、安全上の理由で「ノーコメント」を貫いていた。そんな矢先に飛び出したのが、大統領発言だったのだ。 これは何を意味するか。 黙っていれば、最終的に訪台しなくても、何も問題は起きない。「最初から検討中の話にすぎなかった」と言い訳できるからだ。だが、大統領が間接的な言い方であれ、事実上、確認したとなると、そうはいかなくなる。 まして「米軍が反対している」となると、ただ事ではすまない。大統領自身が最悪の場合、米中の軍事衝突になる可能性を心配している、と表明したも同然だからだ。案の定、というべきか、中国側はすぐ反応した。 中国国防省は7月26日、もし米国が訪台計画を実行するなら「中国人民解放軍はけっして座視しない。外部からの介入と台湾独立の策謀を阻止するために、強力な手段を講じるだろう」と表明したのである。 これで、単なる議員外交ではなく、米中が台湾で軍事衝突する可能性をはらんだ問題であることが世界に明らかになってしまった。 いったい、どうして下院議長の訪台が軍事衝突に至る危険があるのか。それは、ペロシ議長の訪台自体が軍事行動と表裏一体であるからだ。議長が乗る飛行機は民間機ではなく、軍用機である。軍用機は昨年11月の上下両院議員団の訪台でも、使われた。 一般の議員でもそうなのだから、まして大統領継承順位が2番目の下院議長となったら、なおさらだ。それだけではない。ワシントン・ポストによれば、議長が搭乗する軍用機を護衛するために、戦闘機編隊を出動させ、さらには空母の派遣まで検討されている、という。 中国側から見れば、議長訪台が米台関係を象徴するだけでなく、米軍が堂々と台湾に派遣される事態なのである。だから、絶対に許せない。議長の搭乗機が台湾周辺の上空で中国軍機に迎撃され、一歩間違えれば、衝突する事態も十分に考えられる。だからこそ、米軍が訪台計画に懸念を示し、大統領にも報告が上がっていたのだ。
バイデン政権にとっては手痛い打撃
ロシアのプーチン大統領と習近平総書記[Photo by gettyimages]
大統領発言によって、ペロシ訪台問題はメディアが報じた噂話ではなく、現実に進行している計画に格上げされてしまった。大統領はどう対応するのか。結論を先に言えば、訪台を断念させても、逆に実行させても、大統領に対する批判は避けられない。 ホワイトハウスや米軍はこの間、水面下でペロシ側と接触し、訪台を断念するよう説得してきた。なぜかと言えば、中国は秋に党大会を開き、習氏が異例の総書記3選を果たそうとしているからだ。そんな政治的に微妙な時期に、中国の神経を逆なでしたくない。 ウクライナ侵略戦争を続けるロシアに肩入れしないよう、習氏を説得しなければならない局面で、あえて習氏の顔に泥を塗るようなマネもしたくない。バイデン政権が「何もこの時期に」と思うのも、当然といえば、当然なのだ。 ペロシ氏の説得に失敗すれば、中国が激怒するのは避けられない。軍事衝突のリスクが高まるだけでなく、国内的にもバイデン政権の求心力に疑問符がつく。大統領は、同じ民主党員のペロシ氏を説得できなかった、という話になるからだ。 一方、訪台断念で説得できたとしても「バイデン政権は中国の脅しに屈した。弱腰だ」という批判が出るのは避けられない。共和党はここぞとばかり、政権を攻撃する。実際、すでに「衝突の危険があっても、ペロシ氏は台湾に行くべきだ」という声が出ている。 結局、ペロシ氏が訪台してもしなくても、バイデン政権への打撃は避けられなくなってしまった。こうなったのも、繰り返すが、大統領自身が「米軍は(訪台を)いい考えと思っていない」と口を滑らせてしまったからだ。 バイデン氏の失言癖を数え上げればキリがないが、昨年8月のアフガニスタン撤退時期の公言、12月のウクライナ派兵の否定、そして今回と重要問題だけでも3つある。むしろ、問題が重要であればあるほど、必ず問題発言をする、と言ってもいいほどだ。 今回の発言に対しては、米国内からも批判が出た。そもそも下院議長の訪台を止める権限はホワイトハウスにも、まして米軍にもない。にもかかわらず、横やりをいれるかのように発言した。しかも、米軍というデリケートな問題に触れた。 自分自身が習氏との電話会談を目前に控えたタイミングでもあった。米ブルームバーグやCNNは28日までに、バイデン氏が29日に習近平氏と電話会談する見通し、と報じている。もともとの議題はウクライナ問題や台湾問題が中心とみられていたが、こうなると、ペロシ訪台問題を避けて通れないだろう。
台湾問題の3つの選択肢
台湾問題については、米国内で議論が一段と熱を帯びている。たとえば、米外交誌「フォーリン・アフェアーズ」は最新の22年7~8月号で、米国の戦略について3つの可能性を指摘した「征服の結末」と題する論文を掲載した。 それによれば、米国は(1)従来同様、アジアの同盟国や友好国との盟約と米軍基地によって、中国を封じ込める戦略を維持する(2)より柔軟な政策を採用し、中核となる同盟国とだけ盟約を維持し、米軍基地は縮小する(3)より限定したアプローチとして、すべての盟約を縮小する、という3つの選択肢がある、という。 論文は明示していないが、私には、2番目の選択肢は日本や韓国、フィリピンのような国との同盟関係は維持するが、台湾は見捨てる可能性を示唆しているように読める。3番目はもっと強烈で、アジア太平洋全体への関与を減らす、という話だろう。 米国がいずれの選択肢を選ぶにせよ「中国の台湾支配は、太平洋における米国の軍事的能力に制約をもたらし、米国の国益を脅かす」というのが、論文の結論だ。台湾が中国に奪われれば、中国軍は自由に太平洋に出入りできるようになるので、言わずもがな、だろう。 私は、こうした選択肢がおおっぴらに議論されていること自体に、米国のスタンスがにじみ出ている、と思う。たとえば、5月の記者会見で飛び出した、台湾に対する大統領の「軍事介入」発言にしても、それだけ見れば、あたかもバイデン政権が介入に前向きであるかのように受け止められがちだ。 だが、大統領が昨年8月、同10月、ことし5月と3回もメディアに同じ質問をされたのは、国民の間で「大統領は本気で台湾に介入するつもりなのか」と疑心暗鬼が広がっている証拠である。米国民は「米軍を台湾に派遣して、中国と戦う」などとは思っていないのだ。 そんななかで起きたのが、今回のペロシ訪台問題だった。ペロシ氏のように「なんとしても台湾を守りたい」という政治家は少なくない。だが、大統領が自らドツボにはまっていく光景を何度も目にすると、とても台湾防衛どころではないのではないか。
長谷川 幸洋(ジャーナリスト)
コメント