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徽宗皇帝のブログ

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名詩の現代語訳「秋の歌」
例によって、外国語の詩の日本語訳のそのまた現代語訳である。
ボードレールの「秋の歌」だが、これには名訳も多々あって、今更訳する必要も本当は無い。だが、やはり古風な文章での訳が多いので、それを少し変えてみることにする。元になったのは永井荷風の訳である。第二節はあまりいいとは思わないので、第一節だけを訳すことにする。
現代口語というものにはロマンティックさが欠けているので、この詩に関しては文語体のほうが似合うとは思うが、詩に馴れない人のために、まずは意味を優先させようという意図で訳している。もちろん、その「意味」も私が恣意的に作った部分がある。


 「秋の歌」

私たちはすぐに寒さの闇の中に陥るだろう。
短かった夏の光よ、さようなら。
私を驚かすあの音は、中庭の敷石の上に
誰かが投げ込む薪の音。

ふるえながらその音を聞けば
それは、まるで断頭台を築く音のようだ。
頑強な戦士の槌の一撃に
倒れる城の物見の塔か、私の胸は。

その物憂い響きに混じり
どこかから聞こえる、棺に打つ釘音のような音。
それは過ぎた夏を葬る声であり
秋が来たと告げる声。
その声はまるで死者を送る弔鐘のようだ。

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