忍者ブログ

徽宗皇帝のブログ

徽宗皇帝のブログ

「老人のいない世界」より「自動車の不要な世界」を作るべき
「文春オンライン」記事の一部を転載。
道交法改正(改悪かもしれない)に伴う、医師の「自己防衛」のための「認知症判定の拡大」をもっとも恐れるべきだろう。実際のところ、高齢者のほとんどは「ベテランドライバー」であり、慎重な運転をする傾向があるはずだ。若者の無謀運転や不熟練運転のほうがはるかに危険であることは前にも書いた。
まあ、だからと言って、認知機能に明らかな障害の出ている人間が自動車という危険な乗り物を運転していいはずはないが、今のように高齢者を「老害」呼ばわりする世の中だと、一部の人間の声高な叫びが危険な法改正をさせたり過激な老人いじめになるファナティズムへの暴走になりかねない、ということである。


(以下引用)赤字部分は徽宗による強調。

単なる物忘れが認知症に!?

 そもそも認知症患者のほうが通常の高齢者より事故を起こしやすいという根拠はあるのだろうか。


 長年認知症患者を診続けてきたお多福もの忘れクリニック(茨城県水戸市)の本間昭医師は、「認知症患者が、安全運転に支障をきたすという国内での明らかなデータはほとんどない」としつつ、「事故を起こす可能性がある以上『運転を続けていいよ』とは言えない」と語る。


「もしも認知症の人が運転して事故を起こし、誰かが亡くなった時に、相手が『認知症だから勘弁しよう』とはならないでしょう」


 となると道路交通法改正以降は、診断する医師側も安易に「認知症」と診断する可能性があるのではないだろうか。川畑医師が「過剰診断の危険性」について、こう話す。


「ある医師が『問題ない』と考えた患者が、後に人身事故を起こし、別の医師が『数年前から認知症を発症している』という診断を下した時『最初の診断は正しかったのか』を問われます。ですから迷う時は、認知症と診断しておいたほうがトラブルにならないと考える医師もいるでしょう。しかし、実際の臨床の場では、認知症かMCI(軽度認知障害)か、あるいは加齢に伴うもの忘れかの区別がつかないケースが少なくありません」

認知症かどうかより、運転免許に特化した認知機能検査を行うべき

 一方で、現状の制度では認知症ではないものの、脳機能が低下したために運転に支障をきたす高齢者を捕捉できない可能性もあるという。


 浴風会病院(東京都杉並区)精神科医の須貝佑一医師は、現在の認知機能検査の在り方を批判する。


「なぜ事故を起こしたのか、脳のどの部分の機能が低下した結果なのか、科学的なデータがありません。アクセルとブレーキの踏み間違えや、駐車券を受け取りつつ車を動かす時に事故を起こしてしまうのは、『2つのことを同時にする』という前頭葉の機能が衰えている疑いがあります。しかし、これは認知症でない高齢者でも陥る危険があるケースなんです。認知症かそうでないかの診断ではなく、運転免許に特化した認知機能検査を行うべきでしょう」


 認知機能低下が疑われたら、自動車がなくても生活できるような態勢を少しずつ整えたい。交通至便の都会であればまだいいが、地方では免許を返納して運転できなくなれば、生活に支障をきたす人もいる。家族のなかで認知症の患者本人しか運転できない、というケースもあるだろう。


 前出・東京都健康長寿医療センターの石井研究部長は「ある日突然、免許を取り上げてしまうと、それまでやっていたことが立ち行かなくなってしまいます。特に認知症を発症した場合は運転をしなくてもいい環境を作りながら、本人とコミュニケーションをとり、無理なくやめてもらうことが理想」と話す。


「認知症の人と家族の会」の大野さんは、運転が「生活の足」となるだけでなく、「人として最後のプライド」であると感じている。


「運転は、自分の力であちこち行くことができる、唯一といっていい手段です。認知症の患者さんと家族の関わりを見ていると、運転免許を取り上げられると人として否定されたように感じるようです」


 心が傷ついてボロボロになった患者を何人も見たという。どう乗り越えていけばいいのだろうか。

運転以外の「生きがい」を探す

「まだ認知症になっていない人なら、運転ができるうちにそれ以外の“生きがい”を見つけてほしい。免許がなくなっても『私にはまだこんなに満足できるものがある』という人なら大丈夫」


 軽度の認知症ではなんとか運転が可能であっても、中等度以上に進むと運転そのものが難しくなる。


 また、たとえ認知症でなくても90歳や100歳で運転を継続することは困難だろう。少し運転技術が落ちたかもしれないけど、まだ免許を返納するほどではない――多くの高齢者はそういった認識で、運転している。認知症という診断を受けていなくても、家族や他人が見たら「危ない」運転の人が相当数いるのかもしれない。


 問題となるのは、運転をすることへのリスクが伴うほど脳の機能が低下しているかどうか、だ。違反行為の有無や、ペーパーの認知機能検査だけでは万全とはいえないかもしれない。表4に、認知症患者に特に多く見られる危険な運転行動の8項目を挙げた。1つでも当てはまるなら、運転のリスクが高くなる認知機能低下を否定できない。今は認知症と診断されていない人も、前出「 違反行為18項目 」か「 危険な運転行動 」のリストに複数当てはまるものがあれば、一度「物忘れ外来」「精神科」などで認知症専門医の診察を受けることをお勧めする。事故を起こしてからでは取り返しがつかない。


(笹井 恵里子/文春ムック 文藝春秋クリニック もうボケなんか怖くない! 認知症[予防&介護]のすべて)


拍手

PR

コメント

コメントを書く