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徽宗皇帝のブログ

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「西欧文明の精神」について
「さてはてメモ帳」から転載。
記事を保存したのは少し前だが、どうコメントしていいか迷っていた。ナイジェリアという国に興味の無い人間がほとんどだろうが、しかし、ここで行われていることは欧米による帝国主義的搾取の一典型であるだろうから、知っておく価値はある。

20年以上も前、私が社会的問題について少し興味を持ち出したころに、一番疑問に思ったのが、「アフリカは、なぜいつまでも貧困状態のままなのか」ということだった。
当時は今のようにインターネットで調べるということは一般人には不可能だったし、お固い学術書など読む気もなかったから、その疑問は疑問のまま、私の中で燻り続けていたのだが、ある時期から私は、「これは国家間、つまり西欧諸国とアフリカ諸国の間の収奪構造がシステム化されているからだ」と思うようになった。そういう観点で見ると、すべてが合理的に説明できるのである。
とするならば、「『自由貿易』も収奪構造維持のシステムではないだろうか」というのが次のステップであった。実際、アフリカは自由貿易によって貧しくなるばかりではないか。
アフリカの農業の在り方も奇妙な感じで、中学校の社会科では、アフリカはプランテーション(大農園制)で商品作物を栽培することによって生計を立てている、と習ったが、その言い方は、まるでそれがいい事であるかのような感じであった。当時はそれに何の疑問も持たなかったが、さすがにそれから25年以上たってもアフリカが貧困のままであるとなると、これは何かが間違っている、と思わざるをえない。この農業システムは、アフリカを貧困に縛り付けるシステムではないのか? さらにまた20年が過ぎても、アフリカは貧しいままである。
(以上で、私の年がばれてしまったが、まあ、私の精神年齢は今でも中学生レベルである。それを示すのが、私が別にこっそりとやっている「アンファニズム」というブログだが、ブログというのはいつ終了する羽目になるか分からないから、ここに紹介しておくことにする。間もなく住居を引っ越す予定なので、ネットからしばらく離れることになるし、そのまま永久におさらばになるかもしれない。次の住居は京都北部の山奥の予定である。そこで隠者暮らしをするわけだ。観光地沖縄から観光地京都へ行くと言っても、田舎から山奥に行くだけのことである。おっと、脇道に逸れすぎた。)
これはアフリカの人間が駄目だからか? まさか、そんなことはあるまい。アフリカが西欧文明と接触して数百年になる。普通なら、その間に教育が普及し、アフリカ全体の文明化が行われて当然のはずだ。
では、そうなっていないのはなぜか。
それは、意図的にアフリカがそういう状態のままにされてきたからとしか考えられないのである。
私も昔は西欧崇拝思想が心のどこかにあり、西欧人は文明的であり、民主的であり、容姿は美しく、西欧文明の諸芸術や諸科学は他の文明より優っていると思っていた。その西欧人が、20世紀(当時である)の現代でも、意図的にアフリカを搾取しているということは信じられなかったのである。
だが、そうでないかぎり、アフリカの貧困と非文明的状態は説明できない。
その頃、森村明氏の「西欧文明の常識」というホームページを知って、我々が学んできた近代史は実はまったくの偽物で、近代史とは西欧による世界の収奪の歴史であったことが明瞭に分かったのである。
その時から、アフリカの貧困は、西欧文明の精神がバイキング的な強奪者の精神であることの明らかな証拠である、と私は考えるようになった。
そういうわけで、アフリカとは、西欧文明の精神の醜さを私が知るようになったきっかけであったのである。
その西欧文明の精神とは、もちろん、ロスチャイルドやロックフェラーを中心とした超富裕者層と旧ヨーロッパの王室、貴族、新興成金などの精神であることは言うまでもないだろう。ただし、あらゆる軍隊や警察、司法、行政の上位層を彼らは自由自在に動かしており、西欧社会の上部は皆、その同類や手下と見るべきなのである。
NWOとは、彼らの精神を一つの実体のように見なしただけの話で、まさか彼らが実際に談合してあらゆる世界政治を動かしているわけではないと思う。しかし、自分たちの利益を守り、拡大するというその行為が自然に一致した行動になるから、「300人委員会」なるものがあるとか、「イルミナティ」というものがある、とかいう発想が出てくるのだろう。まあ、それが本当だろうと、嘘だろうと、確かなことはただ一つ。彼らは不道義な行為を平然と行い、多くの人間の不幸と悲惨と貧困の上に、自分たちの財産を積み上げてきたということである。そして、その不道義に対し、法は彼らをどうすることもできないということである。なぜなら、彼らが法をも支配しているからである。


(以下引用)



ナイジェリアの地政学的意味(その1)IMFの奇妙な役割 F・ウィリアム・イングドール
http://tamekiyo.com/documents/W_Engdahl/nigeria.html より

掲載2012年2月15日

訳者メモ

ナイジェリアは、豊富な石油資源がありながら、ガソリンを輸入している。国民の大部分は困窮し、失業している。どうしてかは、実に単純な構造なので、読んでいただければわかる。無知・無関心な大衆と、一部の腐敗した人間がいれば、こんなバカげた支配でも容易に実現できる。ナイジェリアほどわかりやすくはないが、日本も似たようなもので、よそ事ではない。

ペルシャ湾にはアメリカの引退直前の原子力空母エンタープライズが配備され、「イランの攻撃」という形で低コストで廃棄処分する準備を整えているようだ(原子力空母エンタープライズの艦長が作成・放映したビデオが問題化というスキャンダルも、リリースのタイミングからして何かシンボル操作的な意味があるのだろう)。石油価格を操られると、簡単にパニックになるのは日本も同じであり、近い将来ありうることとして読んでおくべきだろう。大部分の原発が停止している中、石油価格が上昇すれば、電気料金もはねあがる。それでソーラーパネルがますます売れるという算段だろうか。あるいは、アメリカではスリーマイル島の事故以来、凍結されていた原子力開発が再開されたそうだが、新型の原子力発電でも売り込んでくるのだろうか。


ナイジェリアの地政学的意味(その1)IMFの奇妙な役割 F・ウィリアム・イングドール January 27, 2012



さまざまな徴候からして、アフリカ最大の人口、最大の産油国であるナイジェリアは、計画的に混沌・内戦状態に投げこまれていることがわかる。グッドラック・ジョナサン政権がガソリンなど輸入燃料に対する補助金を突如として打ち切る決定をしたことは驚きであったが〔ナイジェリアは産油国だが、精製施設がないので燃料を輸入している〕、これには単なる金権腐敗をはるかに超えた邪悪な背景があり、そこではワシントンを拠点とする国際通貨基金(IMF)が鍵となる役割を果たしている。これで損害をこうむるのは、ナイジェリア国民だけでなく、中国のようだ。

政府によるガソリンなど燃料の補助金の突然の廃止に抗議した最近のストライキにより、ナイジェリアは一時行き詰まり状態になったが、これは多くの国民にとって思いがけないことだった。何ヵ月か前にジョナサン大統領は、経済的な負担を軽減するため、4段階で徐々に補助金を廃止していく方針を、主要な労働組合と約束していた。だが、それにもかかわらず、ジョナサン大統領は、事前警告もなく、2012年1月1日発効で補助金を即時に全廃すると発表したのである。「ショック療法」と表現するだけでは済まない内容だ。

現在、ナイジェリアは、リビアやイギリス北海油田と同等の高品質の原油(ライト・スイート油)の生産国としては世界で最重要の国の一つである。また、ナイジェリアは、深刻な混乱へと下降スパイラルで落ち込んでいることが、さまざまな徴候からうかがえる。ナイジェリアは、米国にとって5番目の石油輸入先であり、世界的にもクウェートと並び第12位の産油国で、日量200万バレルを超えるベネズエラに迫る規模である。[1]


IMFの補助金廃止要求の絶妙なタイミング

豊富な石油資源にもかかわらず、ナイジェリアはアフリカ最貧国の一つにとどまっている。既知の油田は、およそポートハーコートから首都ラゴスの方角に伸びた広大なニジェール・デルタのあたりに集中しており、大規模な新規油田はすべて石油資源の豊富なギニア湾沿いに開発されている。ナイジェリアの石油の大半は、英米の大手石油企業(シェル、モービル、シェブロン、テキサコ)が採掘し、輸出している。イタリアのAgipも進出している。また最近では当然のことながら、中国の国営石油会社がナイジェリア政府と大規模な採掘・石油インフラについて合意を模索している。

皮肉なことに、ナイジェリアは輸出でドル収入を得て国内インフラを整備するために十分な石油資源がありながらも、政府はわざと国内の石油精製施設を荒廃するに任せる政策をとってきた。その結果、豊富に石油がありながらも、輸送など産業を動かすために利用するガソリン他の大部分の石油精製物を輸入に頼っている。そして、ガソリンなど高価な精製燃料の輸入コストから国民を保護するため、中央政府は補助金を出していた。

2012年1月1日まではそうだった。だが、その日、事前警告もなく、ジョナサン大統領はあらゆる燃料補助金を即刻廃止する発表をしたのである。ガソリン価格は、1リットル65ナイラ(35セント)から150ナイラ(93セント)へと、すぐに3倍近くはね上がった。その衝撃は、穀物や野菜の価格にいたるまで、経済全体に波紋を起こした。[2]

この措置を正当化するため、中央銀行総裁のLamido Sanusiは「資金はナイジェリア国民の利益になる社会的アメニティの提供やインフラ整備に活用され、国を経済的な亀裂から救うことに使われる」と主張している。[3] ジョナサン大統領は、「ナイジェリア政府の浄化」の一環として補助金を段階的に廃止していると述べている。それが本当ならば、どのように進めるつもりなのか、実に不明瞭だ。

想定外の燃料価格の大幅上昇に、全国的な抗議運動が発生し、1月中旬には経済を停止させるほどの脅威となった。大統領は、部分的に価格を戻す発表をして、手際よく抗議者たちの出鼻をくじいたが、それでも昨年12月の倍の価格のままである。それからすぐに労働組合の連盟が抗議を中止するよう呼びかけると、露骨なことに、ジョナサンの政府は、軍に命令して「秩序の維持」のため街頭に向かわせ、事実上、新たな抗議運動を阻止した。こうした一連の出来事は、極端な混乱状態をつくりだしているテロリストのボコ・ハラム〔イスラム過激派〕による爆弾と殺人の暴虐が最も高まった時期に起きていた。[4]


IMFの悪事の決定的な証拠

この動揺について世界的にさまざまな報告がなされているが、そこで埋没しているのは米国の支配下にあるIMFが果たした露骨な役割である。ジョナサン大統領が補助金について突然の決断をする数日前という疑わしいタイミングで、IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事〔セックス・スキャンダルで辞任したストロスカーンの後任〕はナイジェリアに滞在していた。[5] 誰しも言っているが、今回、IMFとナイジェリア政府は、補助金の廃止要請を公表するに当たり、露骨にならないように注意していた(チュニジアでは食料抗議を招き、2011年のTwitter反乱のきっかけとなった)。



ナイジェリア訪問中にラガルドは、ジョナサン大統領の規制撤廃に向けた「変革計画」は、「ナイジェリア人によるナイジェリア人のための計画であり、IMFはサポートするためにここにいるし、ナイジェリア人にとって良いパートナー」だと述べた。[6] それで納得したナイジェリア人はほとんどいなかった。12月29日にロイターは「IMFは、西アフリカと中央アフリカの諸国に、燃料補助金を削減するように急かしている。貧困者の救済に直接向かうものではなく、腐敗と密輸を促がしているからという理由だ。過去数ヶ月に、ナイジェリア、ギニア、カメルーン、チャドの各政府が燃料補助金の削減に踏み切っている」と報じている。[7]



ナイジェリア政府に米国とIMFの圧力がかかっていたことを示す更なる証拠として、ジェフリー・サックス(国連事務総長の特別補佐官)は、今回の補助金の決定した直後の1月初めにナイジェリアでジョナサン大統領と会ったときに、大統領の決断は「勇敢で正しい政策」だと述べている。[8] 元ハーバード大学経済学教授のサックスは、1990年代前半にIMFの「ショック療法」をポーランド、ロシア、ウクライナなど旧共産圏の諸国に処方したことで悪名高くなった。これらの諸国は、ドル資金の豊富な西側多国籍企業による事実上の略奪のために貴重な国の資産を開放した。[9]







国内の燃料補助金を急に打ち切った決断がさらに疑わしく思えることに、ワシントンとIMFは一部の選んだ国だけを対象に補助金廃止の圧力をかけている。現在、ナイジェリアでは1リットル1ドル(約1米ガロン3.78ドル)相当で石油が販売されており、決して安いとはいえない。ブルネイ、オマーン、クウェート、バーレーン、カタール、サウジアラビアは、いずれも非常に安い価格で国民に石油を提供している。サウジアラビアでは17セント、クウェートでは22セントで売っている。[10]米国のガソリンの平均価格は1リットル89セントだ。[11] ということは、IMFとワシントンは、石油部門の腐敗の排除に役立つという本当とは思えない理屈を根拠に、アフリカ最貧級の国の人々に重い税負担を課すよう強制したことになる。補助金の廃止が上層部の腐敗に何の効果もないことは、IMFもよく知っている。

仮にIMFと世界銀行がナイジェリアの国内経済の健康を心配しているならば、老朽化するがままに放置されている国内の精製業の再建と振興を支援するはずである。そうすれば、貴重な国家予算を使って精製燃料を輸入する必要がなくなる。それを実現する最も簡単な方法は、2年前からの中国とナイジェリア政府の取引を促進し、石油精製部門の大規模拡張に約280億ドルを投入し、外国からガソリンなど精製物を輸入する必要性そのものを消去することである。

だが、NNPC(ナイジェリア国営石油会社)と政府の内部にいて従来の補助金制度に乗っかり巨大な利益を得ている犯罪的な陰謀集団は、まったく逆のことをした。従来の腐敗した輸入制度を維持するために、突如として2倍(3倍以上になる可能性もある)にしたのだ。もちろん、彼らのうまい汁を終わらせかねない中国の精製施設の建設を妨害する目的もある。


自滅行為

ナイジェリア中央銀行総裁のMallam Sanusi Lamido Sanusiによると、ナイジェリア一般国民の利益になるというIMFの主張とは反対に、補助金の廃止により一日2ドル以下で生活している9割の国民は一層貧しくなった。[12] 人口1億4800万人のナイジェリアでは、推定4千万人が失業中である。大部分の貧しいナイジェリア国民にとって、公共交通機関のコストの上昇に加え、食料を都市に運ぶ上で輸送コストは大きな要因であるため、食料価格も急上昇した。Nigerian Leadership Sundayによると、「ガソリンスタンドの店頭価格の副産物として上昇した生活必需品の価格は、下がる気配がない」という。路上の野菜売りから、洗車場、道端のカメラマンに至るまで、何もかも燃料価格の上昇の衝撃を感じ取っている。中小企業がつぶれ、失業も増えている。[13]

IMFとジョナサン政権は、燃料価格を自由化すれば、ナイジェリアの「インフラ」を再建したり、社会サービスに資金を振り当てることができると議論している。だが、IMFも政府も、ナイジェリア国内の精製施設の再建に投資するほうが、現在の腐敗した精製ガソリンの輸入制度を排除するには、はるかに経済的に現実性が高いことを知っている。

「ナイジェリア発展のための認識(Nigerian Awareness for Development)」のSon Gyohは、「地場産業の競争力と諸経費に与える影響を考えれば、精製施設がフル稼働するように政府に圧力をかけるほうが得策ではなかろうか?」と述べている。[14] Gyohは問題の原因を指摘している。「歴代の政権は、どうして巨額の補助金を支出しながら、精製施設を破損したままに放置してきたのか? 補助金の廃止で生じた資金が、精製施設の修復に直行する可能性はあるのだろうか? 規制撤廃とは、NNPCが精製石油の輸入を独占している状態を終わらせることを意味するのか、それとも、この勢力は独占状態を継続するための利己的な生命線になっているだけなのか?」 そして「いずれにせよ、陰謀集団は組織を再編成して戦術を変えるだけであり、補助金の廃止が燃料不足の問題を解消することにはならない。そう疑う十分な理由がある。ナイジェリア国民にはよくわかっていることだ」と結んでいる。[15]

ナイジェリアは、1970年代後半に石油部門の一部を国営化した後、シェル石油のポートハーコート第一精製所も管理下に置いた。1989年にポートハーコート第二精製所が建設された。1994年にアバチャ軍事独裁政権が、NNPCの国内の精製石油市場の「取り分」を削減したとき(例えばガソリンは84%から22%に削減)、この二つの精製所はひどい破損状態に陥ることになった。NNPCは資金繰りに行き詰まり、精製所の操業を停止することになったのである。今日では、4つの精製所の内、稼動しているのはたった一つである。[16]

それ以来、ナイジェリアの国内需要のために外国からガソリンなど精製物をNNPCが輸入するという仕組みが出来上がってきた。当然ながら、はるかに高いコストである。補助金は、その高い輸入価格を緩和するためという、まったくバカげた解決策であったが、この輸入プロセスから大儲けできる政府や民間部門の腐敗した人々にとっては非常に好都合なものだった。


犯罪企業NNPC

IMFは、ナイジェリアの燃料産業の問題の本当の原因をよく知っている。燃料産業の問題の原因を調べているナイジェリアの立法委員会は、国営NNPCを中核とする燃料業界の腐敗のため、少なくとも毎年40億ドルが納税者から奪われていることを実証した報告書を最近発表した。


同委員会によると、「毎日、燃料輸入業者は、5900万リットルの燃料を納入している。国の消費量は毎日3500万リットルである。差し引き2400万リットルが、石油の密輸業者の輸出に利用可能になっており、それが政府の燃料補助金で支払われている。ロイターによると、これはナイジェリア国民にとって毎年およそ40億ドルのコストになっている」[17]という。

ナイジェリア政府は、毎年燃料補助金に費やされている75億ドルが、切望されているインフラの供給に利用可能だと言っている。だが、闇市場の密輸業者がはびこり、吸い上げている40億ドルのことには言及していない。密輸業者たちは、NNPCの高い地位の政府職員の黙認の下、近隣諸国に売って暴利をむさぼっていると伝えられている。カノ州のAbdullahi Umar Ganduje副知事によると、輸入された精製燃料は、石油価格がはるかに高いカメルーン、チャド、ニジェールなどの近隣諸国に密輸されているという。[18]


IMFの標的は中国?

ナイジェリアの石油と政治に関する最近の議論で一般的に無視されている大きな地政学的要因は、同国において伸張している中国の役割である。ジョナサン大統領が就任して間もない2010年5月、中国はナイジェリア政府と3つの精製所を新設する285億ドルもの契約に調印した。これはIMFの計画にとっても、ワシントンにとっても、あるいは英米石油メジャーにとっても、決して良い話ではなかった。[19]

中国のCSCEC社は、NNPCと3つの石油精製所を建設する取引に署名した。これは中国がアフリカで行った取引としては最大のものだった。NNPCのShehu Ladan代表は、調印式のときに、精製所の新設により、精製物の輸入に費やされている金額が毎年100億ドル削減されると発言している。2012年1月現在、この中国の3つの精製プロジェクトは依然として計画段階にある。伝えられるところでは、既存の腐敗した輸入システムで恩恵を受けている強大な利権によって阻止されているそうだ。[20]

昨年11月に、ナイジェリアはエネルギー、鉱業、アグリビジネス業界に投資する中国の投資家を求めているというOlusegun Olutoyin Aganga(通商投資大臣)の発言を中華日報が掲載している。昨年9月の北京訪問時に、ナイジェリア中央銀行総裁のLamido Sanusiは、人民元が準備通貨になるという見通しを持っており、ナイジェリアには外貨準備の5~10%を人民元に投資する計画があると述べている。2010年の段階で、中国のナイジェリアに対する貸し出しと輸出は70億ドルを超えており、かたやナイジェリアは10億ドルの原油を輸出していると、サヌシは述べている。[21]

これまでナイジェリアは、外貨準備の79%ほどをドルで、残りをユーロまたはポンドで保有してきた。これら諸国の財政・債務問題を考えると危険に思える。最近ではインド、日本、ロシア、イランなども似たような動きをしているが、主な産油国のドル離れの動きは、圧倒的な世界準備通貨としてのドルの地位の継続にとっては悪い知らせが生じる予兆である。[22] ワシントンにいる人々にとっては喜ばしくないことは明らかだ。

また、中国は、従来英米の領域だったナイジェリアの豊富な石油資源に直接の利権を得ようと努力している。2010年7月、中国のCNPC(中国石油集団)は、4つの有望な石油区画を獲得した。2つはニジェール・デルタにあり、もう2つはチャド盆地の新領域にある。そして、ラゴス・カノ間の複線鉄道の建設とカドゥナ精製所の中核の出資者となる計画がある。[23] また、中国の石油会社CNOOCは、ナイジェリアに大きな沖合い生産エリア〔深海油田〕を持っている。

ナイジェリアのエネルギー業界における中国の未来と同様、このタイミングで輸入燃料の補助金を廃止するようにIMFとワシントンが圧力をかけたのは何故だろうか。明らかなのは、補助金の廃止はナイジェリア国民にとって利益にならないことだ。この状況においてさらに警戒すべきなのは、不可解で疑わしいまでに見事に武装されたボコ・ハラムのテロ殺人と爆撃の新たな高まりが画策されていることである。これについては、次回、最近になって主要な麻薬の中継拠点に変容したナイジェリアという文脈から考えてみたい。

(翻訳:為清勝彦 Japanese translation by Katsuhiko Tamekiyo)

関連情報

原文 

Nigeria: Thrown into Chaos and a State of Civil War: The Role of the IMF by F. William Engdahl Global Research, January 27, 2012
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=28900


脚注

[1] John Campbell, Nigeria's Turmoil and the Outside World, January 12, 2012.

[2] Chika Otuchikere and Chibunma Ukwu, Nigeria: Aftermath of Subsidy Crisis Food Prices Hitting Roof Tops, 22 January, 2012.

[3] Mustapha Muhammad, Nigeria: Billions Siphoned by Corruption Could Have Been Used to Maintain Fuel Subsidy, Inter Press Service, January 11, 2012.

[4] Mike Oboh, Boko Haram Islamist Insurgents Kill at Least 178 in Nigeria's Kano, January 22, 2012, International Business Times.

[5] Christine Lagarde, Statement by IMF Managing Director Christine Lagarde at the Conclusion of her Visit to Nigeria, IMF, Washington, Press Release No. 11/478, December 20, 2011.

[6] Ibid.

[7] Quoted in Idris Ahmed and Kate da Costa, Nigeria: IMF Pushing the Country to End Subsidy - - Report, 30 December 2011.

[8] Olutayo Olubi, Fuel subsidy: International conspiracy against Nigerians, National Daily, 15 January 2012.

[9] Ibid.

[10] Ibid.

[11] Ibid.

[12] Ibid.

[13] Chika Otuchikere and Chibunma Ukwu, Nigeria Aftermath of Subsidy Crisis: Food Prices Hitting Roof Tops, 22 January 2012.

[14] Son Gyoh, Nigeria: The case against removal of fuel subsidy and the argument for deregulated petroleum sub sector.

[15] Ibid.

[16] MBendi, Oil Refining in Nigeria--An Overview.

[17] Heather Murdock, Nigeria finds 4 billion dollars in fuel corruption, January 20, 2012.

[18] Mustapha Muhammad, Nigeria: Billions Siphoned by Corruption Could Have Been Used to Maintain Fuel Subsidy, Inter Press Service, January 11, 2012.

[19] Kerri Shannon, China Continues Its Run on African Commodities With $23 Billion Nigeria Oil Deal, Money Morning, May 15, 2010.

[20] Gavin du Venage, Everyone is a loser in Nigeria's fuel subsidy cut and partial restoration, The National, January 24, 2012.

[21] China Daily, Nigeria seeking Chinese capital, November 12, 2011.

[22] Xinhua, Nigeria bank chief sees yuan becoming reserve currency, September 6, 2011.

[23] Kayode Ekundayo, Nigeria: China, 2010 Budget and Oil Blocks, Daily Trust (Abuja), 12 July 2010.

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