「混沌堂主人雑記(旧題)」から転載。
元記事はグラフが多く、しかも数ページにわたっているので、この抜粋は助かる。非常に好記事であるし、元記事を見るまでもなく要点が分かる。
まあ、ほとんどの人、特に年少の人は「SDGs」の「目標」をきちんと精査して考えていないだろうから、その美辞麗句に簡単に騙されるだろう。しかし、その「17項目(だったと思うが)」をきちんと見れば、それがいかに愚劣なものか分かるはずである。要するに、「経済詐欺」が中心で、後はただの装飾である。
(以下引用)
元記事はグラフが多く、しかも数ページにわたっているので、この抜粋は助かる。非常に好記事であるし、元記事を見るまでもなく要点が分かる。
まあ、ほとんどの人、特に年少の人は「SDGs」の「目標」をきちんと精査して考えていないだろうから、その美辞麗句に簡単に騙されるだろう。しかし、その「17項目(だったと思うが)」をきちんと見れば、それがいかに愚劣なものか分かるはずである。要するに、「経済詐欺」が中心で、後はただの装飾である。
(以下引用)
上記文抜粋
・・・・・・・・・・・・・・・
そんな国をあげての「SDGs啓発」に対して「うさん臭い」と異議を唱えている人たちもわずかながらに存在する。5月27日に『SDGsの大嘘』(宝島新書)を上梓した生物学者の池田清彦氏もその1人だ。
・・・・・・・中略・・・・・・・
池田氏はSDGsが掲げている17の目標をすべて否定しているわけではない。「質の高い教育をみんなに」や「ジェンダー平等を実現しよう」のような社会インフラの整備や人権問題などについて国際社会で協力をしていくことは悪いことではないと言っている。
ただ、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「気候変動に具体的な対策」「飢餓をなくそう」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさを守ろう」というエネルギー、食料、そして地球環境という分野の目標については、「誰も反対できないような美しい言葉を並べただけ」の「実現性に乏しい絵に描いた餅」と批判しているのだ。
・・・・・・中略・・・・・・・
『SDGsは、アメリカ、中国、ロシア、中東と比べて、天然エネルギーの資源を持たない欧州が「自らの劣勢を挽回しよう」という、エネルギー安全保障に関する戦略的な意味合いが強い。ハイブリッド車で世界一の技術を誇る日本がSDGsなんて進めたところでなんのメリットもなく、むしろ損をすることの方が多い』(P102)
ロシアのウクライナ侵攻で注目されたように、欧州諸国は天然ガスでロシアにガッツリと依存していた。こういう資源のない国が資源を大量に持っている国に対して優位になるためにはどうすればいいのかというと、最も簡単で効果的なのは、「ゲームのルールを変える」ことだ。
つまり、石油やガスなんてのはたくさん持っている国が強いという時代はもう終焉(しゅうえん)を迎えており、これからは太陽光、風力、水力などの「クリーンエネルギー」を推進している国が「将来有望」という風に世界の常識を変えてしまうのだ。こうなれば、天然資源の乏しい欧州は米国やロシア、さらには中国がエネルギーをちらつかせてもビビる必要がない。これまで通り、世界経済の主導権を握り続けることができるというわけだ。
多くの日本人を飢えさせる
もし事実なら「SDGs」なるものを開発した人間は、本当に頭がいい。誰も反対できないような美しい言葉を並べて、世界各国が協力をせざるを得ない状況になっているが、その恩恵があるのは一部の国だけ。実に巧妙な仕掛けだ。
そこで池田氏はこの皮肉な構図を、「地獄への道は善意で敷き詰められている」という英国のことわざに喩(たと)えている。日本の場合、「地球のため」「未来のため」と張り切れば張り切るほど、破滅の道へと突き進んでいくというのだ。
その最たるものが、「太陽光発電」だという。再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度」が導入された10年前から全国の農地がまるで「オセロ」のようにパタパタと太陽光パネルに塗り変わっている。
太陽光発電の設置が加速しているが……(画像はイメージ)
自治体や地主もハッピー、再エネ企業もハッピー、SDGsの目標達成に近づくので政府もハッピーという「3方よし」ということで、まさにSDGsを代表する取り組みなのだが、生物学者である池田氏によれば、日本でこれを推進することはまったく「エコ」ではなく、むしろ多くの日本人を飢えさせることにもつながる恐れがある「環境破壊」だという。
『ソーラーパネルを地面に建てて、そこで太陽光エネルギーを奪っているわけだから、その下の地面にはそのエネルギーがいかない。これまでそこで生きていた生物は光合成ができないので死に絶える。当然、それを食べていた生物にも影響が出る。周辺の生態系も壊されていく。
それに加えて、一度ソーラーパネルを設置した土地を再び農地として使うことは、かなり難しいのだ。太陽エネルギーが届かないわけだから、土壌のなかにいる微生物などにも悪影響があり、農作物を育てる栄養素もなくなってしまう。その土地はいわば「死んだ」ことになる』(P87)
実際、この池田氏の主張を裏付けるように、「全国で公害化する太陽光発電 出現した黒い山、田んぼは埋まった」(毎日新聞 21年6月27日)のような形で、太陽光発電の自然破壊が問題になっているのだ。
日本の食料自給率は37%程度と他国と比べて圧倒的に低い。国際紛争でシーレーンが破壊されて輸入ができなければ、多くの日本人は飢える。そんな国が「もっと地球に優しく!」なんて叫びながら、ソーラーパネルで国土を破壊している様は、確かに「地獄への道は善意で敷き詰められている」という言葉にピッタリだ。
ついでに言えば、日本のメガソーラーで多く使われるのは中国製の太陽光パネルだ。この分野は中国が世界でシェアナンバーワンだからだ。ご存じのように、中国は自分たちは途上国なのでSDGsなんて関係ないというスタンスなので、火力発電をフル稼働して、太陽光パネルを大量生産しながらバンバンCO2を排出している。
そんな環境負荷の高い太陽光パネルを、日本はわざわざ航空機や船便で大量に輸入して、自分たちの国土破壊に用いているのは「エコ」とは言い難い。
また、同じ構造で風力発電も問題だという。風が吹いてタービンを回すので、風力発電の先に風が届かない。植物の種子などは風に乗っているので、そよ風がそよいでいることによって、順調に育つ草木とかもあるので、風力発電のせいでその生態系が壊されるという。
風力発電は生態系にどのような影響を与えているのか(画像はイメージ)
さて、このような池田氏の生物学者としての見解を聞くと、「SDGsに環境破壊などの問題はあるというのは分かるが、それを欧州が得をするためだというような陰謀論はいいかがなものか」と感じる人も多いだろう。
だが、SDGsとともに、欧州主導で巨大マネーが動いている「ESG投資」に目を向けると、陰謀論の一言で片付けられない現実も浮かび上がる。
ご存じのない方のために説明すると、ESG投資とは「従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資」(経産省のWebサイト)のことだ。要するに、地球と人類の未来のためには、単にもうけ主義から脱却して、SDGsを推進している企業に積極に投資をしようという話である。
よく知られていることだが、このESG投資は欧州の「ひとり勝ち」だ。21年11月11日にブルームバーグが報じたところによれば、ESG投資商品への純資金流入で7~9月(第3四半期)は欧州が77%を占めたことに対して、米国は11%に過ぎない。(参照リンク)
つまり、国連がSDGsの目標達成を声高に叫んで、ESG投資を呼びかければ呼びかけるほど、世界から莫大なカネが欧州に流れ込んでいるという構図なのだ。
・・・・・・・・中略・・・・・・
モヤモヤするのは、欧州の都合で「ESG投資」自体の意味も恣意的に変えられていることだ。これまでESG投資家は環境、社会、ガバナンス的な観点から、売上高の5%以上を軍需関連が占める企業に投資しない、などと決めている場合が多かった。
しかし、ロシアがウクライナに侵攻したことをきっかけにそれがガラリと変わった。例えば、スウェーデン金融大手SEBはこのほど方針を見直し、一部ファンドについて軍需関連の企業に投資できるようにした。
民主主義はキレイゴトだけでは守れない。サステナブルな社会を守るためには、ロシアをぶっ潰さなくてはいけない。そのためには、軍事産業で最新兵器をつくることも「サステナブル」というロジックなのだろう。
「地球環境のため」「サステナブルな社会のため」という美辞麗句を並べていても、本音の部分では「欧州の利益を守る」というゴリゴリのエゴが優先される。そのためには「ゲームのルール」などコロコロ変えていく。EUのガソリン車規制などその典型だ。
こういう欧州の現実を見ていると、池田氏の「SDGsはヨーロッパがエネルギー安全保障を優位に進めるためのルール設定」という話も妙に納得してしまう。
だが、池田氏のような主張があったところで、もはやSDGsやESG投資という大きな動きに日本が逆らうことはできない。政府も自治体も企業も、そしてまだほとんど関心を示していない中小企業でさえも、遅かれ早かれ、この大きな潮流に飲み込まれていくのだろう。
それはつまり、もう少し経過したら、日本でも欧州のように「軍事産業に対してもESG投資をすべき」というムーブメントが盛り上がる可能性もあるということだ。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
抜粋終わり
PR
コメント