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徽宗皇帝のブログ

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ギリシア危機の真の問題点
klug(クルーク)という電子版経済紙から転載。三橋貴明という人の経済コラムである。
今回のギリシア危機の最大の問題点について、誰も触れていない重要な事実が、下記記事での指摘である。それは、国家主権の問題だ。
グローバル世界では、経済の状態によって国家の主権が他国の手に奪われるという恐ろしい事が起こるのである。しかも、それを誰も不思議に思わないというところが、一番恐ろしい。つまり、国家という枠を超えた世界支配層の存在は、「陰謀論」どころか、歴然とした事実なのである。
ついでながら、このコラムの最後の一文の、「日本は世界最大の対外純資産国であるから、主権を失うことはない」、というのは甘すぎる言葉だろう。それ以前に、日米安保条約と米軍基地の存在によって日本は主権を実質的に失っているのだから。


(以下引用)


そして、今回のギリシャの危機の最大の問題、あるいは最大の教訓は、
「政府が対外負債を返済できなくなった国は、主権を奪われてしまう」
 ことが、どうやら現在の世界で常態化したという点である。

 ユーロ圏財務相会合のユンケル議長は、支援決定時にギリシャに対し、
「国際支援が主権の制限と雇用の喪失をもたらすことを覚悟するように」
 と、怖いことを言っている。金を貸す側であるEUの議長が、金を借りる相手に対し「主権を制限する」と明言しているわけだ。

 ギリシャ側からしてみれば、「事前に言ってくれ」という感じであろう。さらに、ユンケル議長は、今回のEUやIMFの支援がギリシャに極めて不愉快な結果をもたらすと発言し、
「ギリシャの主権は大幅に制限されるだろう」
 と、断言した。「主権の制限」とは、要するに主権の侵害であり、軽々しく口にしていい言葉だとは思えない。本来的な話を言えば、ギリシャの主権を持つのは、ただギリシャ国民のみである。ところが、金融がグローバル化された世界においては、政府の対外負債の状況如何により、国際機関の議長が「債務国の主権は侵害される」と堂々と言ってのけても構わない時代に突入したということである。

 主権の侵害とは何かといえば、その国の運命をその国の国民が決められないという話だ。ギリシャで言えば、ギリシャ国民はすでに自国の運命を自ら決することができなくなっているのである。ユンケル議長の「主権制限宣言」以前に、EUやIMFなどから、
「追加的な緊急融資をして欲しければ、緊縮財政を国会で可決せよ」
 と指示され、パパンドレウ政権が提出した緊縮財政案を、ギリシャ国会が可決した時点で、すでに同国の主権は侵害されているわけだ。本来、ギリシャが緊縮財政を実施するかどうかを決めるのは、ギリシャ国民の権利である。ところが、現実には債権者側の「要請」により、同国は国民を痛めつける緊縮財政を国会で可決せざるを得なかったのである。(世界は広いもので、別に政府の対外負債があるわけではないにも関わらず、マスコミや評論家や政治家が喜んで緊縮財政を推進しようとする、マゾヒスティックな国もあるわけだが)

 国際金融市場あるいは「グローバル金融」が幅をきかす世界においては、政府の対外負債の問題は、最終的には「主権」の問題に行き着くわけである。世界最大の対外純資産国である日本にとっては、縁のない話ではあるが。

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