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徽宗皇帝のブログ

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ギリシヤのユーロ離脱は賢明な政策という意見が出始めた
ギリシャ(「ギリシヤ」か「ギリシャ」か「ギリシア」か、いつも迷う。面倒臭い名前だ。)のユーロ離脱問題について、「阿修羅」になかなか面白い記事(というのは、当然、私の考えを補強する記事だが)が載っていたので、転載する。
理屈そのものよりも、過去にデフォルトを行って経済回復に成功した事例を見れば、ギリシャは大いにデフォルトするべきだというのは自明である。貸した方の損害は、貸し倒れはリスクとして織り込んで貸しているのだから、問題は無い。いざとなれば国が金融界に金は出すしね。もちろん、それが回り回って先進国国民への増税になるだろうが、国民がそういう金融支配的経済体制(要するに金融資本主義)を容認してきたのだから、その苦痛に甘んじるべきだろう。
問題は、何がギリシャ国民にとって賢明な道かということなのである。

(以下引用)

http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120523/232517/?ST=print
アジア・国際>Project syndicate

ギリシャはユーロ離脱しかない

2012年5月28日 月曜日 ノリエリ・ルービニ

もはやギリシャが競争力を回復し、成長を実現するにはユーロを離脱するしか道はない。離脱は、周辺国及びユーロ圏金融機関に自己資本の大幅な目減りなど深刻な影響を招く。だがIMF及びECBが必要な支援をギリシャ及び周辺国に行えば、打撃の緩和は可能だ。
 ギリシャのユーロを巡る悲劇は最終章を迎えつつある。ギリシャが今年か来年に、デフォルト(債務不履行)を起こし、ユーロ圏を離脱する確率は極めて高い。
 ユーロからの離脱を先延ばしし、6月の再選挙を経て誕生する新政権が、財政緊縮策と構造改革を柱とするこれまでと同様の政策を導入しても、そうした既に失敗した政策でギリシャの成長や競争力を回復させることはできない。
残る選択肢は秩序あるデフォルト
 ギリシャは、債務の返済不能、競争力の喪失、対外赤字、深刻の度を増す不況という悪循環に陥っている。この悪循環を断ち切るには、欧州中央銀行(ECB)、欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)(いわゆる「トロイカ」)による協調・支援の下で、秩序あるデフォルトをし、ユーロ圏から離脱するしか道はない。
 それがギリシャ及びほかのユーロ圏加盟国への副次的ダメージを最小限に抑える方法だ。

(中略)

何が重要かと言えば、ユーロ圏から離脱すれば、通貨の名目及び実質価値の下落を通じ、成長が直ちに回復し、10年にも及ぶ長期的なデフレを回避できるという点である。
 ドラクマの価値切り下げによってユーロ圏が被る貿易面でのデメリットは、さほど大きくないと思われる。なぜなら、ギリシャはユーロ圏のGDP(国内総生産)のたった2%しか占めていないからだ。
 通貨を再びドラクマに戻すことは、競争力回復のために必要な水準以上に通貨の下落を引き起こしてしまう恐れがある。これは基本的にインフレ圧力を招き、ドラクマ建てとなった対外債務において、より大きな損失を引き起こす可能性がある。
 このリスクを最小限に抑えるため、現在ギリシャ救済のために用意されているトロイカの準備金を、適正水準を超えた通貨の下落を食い止めるために使うべきだ。資本規制も有効だろう。
 ギリシャがユーロ圏を離脱すれば、その影響が飛び火し、ほかの国も深刻な危機に陥ると主張している人々がいるが、これは間違っている。
 ほかの周辺国はギリシャと同様、既に債務を持続して払い続けられるのかという問題と競争力低下の問題に直面している。例えば、ポルトガルは最終的に、債務再編及びユーロ圏からの離脱を余儀なくされる可能性がある。
 イタリアやスペインなど、流動性(徽宗注:「流動性」とは経済学用語で、ウィキペディアではこう説明している。「経済学における流動性(英: Market Liquidity)は、交易上の商品などの資産が、いかに容易に交換できるかを示す性質を言う。貨幣経済が主流となった今日では、貨幣そのものをさす場合もある。」要するに、「貨幣」や「証書」のことであり、くだらない学者用語である。私なら「交換媒体」という訳語にする。)は逼迫しているものの債務返済能力に恐らく問題はないという国に対しては、ギリシャの離脱いかんにかかわらず、欧州は支援の手を差し伸べるべきだ。というのも、そうした流動性の支援がなければ公的債務の規模が大きいイタリアとスペインでは取りつけ騒ぎが発生しかねないからだ。
 よって、大幅に拡充されたIMF及びESMの公的資金と、ECBの流動性を活用し、この両国及び問題を抱えたユーロ周辺国の銀行の問題がほかへ波及しないようしっかり囲い込むことが必要だ。

(中略)

金融危機後のアイスランド及び過去20年における多くの新興国の経験は、通貨の名目価値の切り下げと秩序立った対外債務の再編や削減を行えば、債務の持続可能性や競争力及び成長を回復させられることを示している。
 これらの事例と同様、ユーロ離脱に伴ってギリシャには甚大な副次的影響が及ぶと思われるものの、そうした影響は抑制可能だ。
 見込みのない結婚のように、「ユーロとの離婚(ユーロからの離脱)」が避けられないのなら、ルールを決めて、双方にとって痛手が少しでも小さくなるようにした方がよい。
 誤解しないでほしいのは、たとえ秩序立ったものであっても、ギリシャのユーロ離脱は、経済的には厳しい痛みをもたらすという点だ。それでもギリシャ経済と社会が、無秩序な破綻への道をゆっくりと進んでいくのを見るよりも、はるかにましだ。

国内独占掲載:Nouriel Roubini © Project Syndicate

Project syndicate

世界の新聞に論評を配信しているProject Syndicationの翻訳記事をお送りする。Project Syndicationは、ジョージ・ソロス、バリー・アイケングリーン、ノリエリ・ルービニ、ブラッドフォード・デロング、ロバート・スキデルスキーなど、著名な研究者、コラムニストによる論評を、加盟社に配信している。日経ビジネス編集部が、これらのコラムの中から価値あるものを厳選し、翻訳する。

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